若いころに読んではみたものの、あまりそのよさがわからず、
一応読みました、となっている本が何冊もあって。
『ロング・グッドバイ』もそんな本のうちの1冊でした。
すこしまえに、マーロウシリーズの『大いなる眠り』を読んだことから、
チャンドラーを読み進めていけそうな予感がすこししていたのですが、
それもいつの間にか、忘れていて‥。
NHKでやっていた、設定を戦後の東京に置き換えて、浅野忠信と綾野剛が
演じていたドラマはとてもおもしろかったので、今度(こそ)はそのおもしろさが
わかるような気がしていて‥春樹訳も出ているのだから‥と思っていました。
そして、図書館の棚で見つけて、そうそう読んでみようと思っていたんだと
手にしてから4週間。やっと数日前に読み終えました。
そうか、そういう話だよね、と、ドラマを観たことがよい下敷きになって、
フクザツな人間関係にもこのたびは入っていくことができたし、
読みながら、ドラマの舞台を戦後の東京にしていたこととか、
主人公を演じた浅野忠信と、テリー役を置き換えた原田保を演じた
綾野剛が、自分の中では浮き上がってきて、それに、本家のマーロウと
テリーが重なっていくようで、二つのロング・グッドバイが入り乱れながら、
でも、そのおかげでどんどん進んでいきました。
(ドラマの方は、ラストシーンに向けてちょっと甘めかなーと思いますが)
読み終わってみて、どうして若いころは「わからなかった」のかといえば、
人生経験の浅さかな、と今は思えます。
探偵じゃなくたって、フィリップ・マーロウじゃなくたって、人間ながい年月生きて
いれば、その人なりの人生観や、暮らし方ができていくし、譲れないこだわり
どころだってできてきます。(マーロウの譲れなさは半端じゃないですが・笑)
でも、若いときには男女間のことだって、夫婦のことだって、男同志の友情
だって、実感としてはよくわからなかったのだろうと思います。
そして、今回、春樹氏のあとがきを読んで、そういう読み方があったのか、を
知ったので、もう一度最初から、今度は「その視点」をもって、ふたつの本を
読み比べてみたいなあと思っているところです。
思えば、「その本」も長いあいだそのよさがわからず、でも、春樹訳で読み返してみて
その面白さを確認したのでした。
生きている限り、何度でもいろんな角度から楽しめる、本を読む行為って
ほんとうに素晴らしいなあと思います。
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