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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

2025年1月 読書の記録

2025-02-13 17:19:37 | 好きなもの・音楽や本

1月に読み終えた本は2冊で、どちらも借りた
のではなく、自分で買った本でした。

本が増え続けていくのは困るので、どうしても
手元に置いておきたいもの以外は図書館で借りる
ようにしていますが、新しい本はやっぱりいいな
と、たびたび思った1月でした。


1月1日から読み始めたのは‥文庫化されたばかりの
この小説。


昨年10月に一度読んではいるのですが、忘れている
ところもあったし、よく理解できないところも
あったので、初めからじっくりと読みました。
(特にニーチェの『ツァラトゥストラ』を
引用しているところ)

ペッパーズ・ゴーストとは‥

劇場や映像の技術でひとつで、照明やガラスを使い、
別の場所に存在する物を観客の前に映し出す手法。
本来はそこにいない、別の隠れた場所に存在するものが
あたかもいるかのように登場する。(本文P228より)

ロシアンブルとアメショーの二人組は、もしや
ペッパーズ・ゴーストなのでは?と読者である私たちに
(一瞬)思わせておいて‥
そんな物語を読んでいる自分自身でさえ、どこか高い
場所に居る誰かの思惑で、動かされているだけかも
しれないと、仮定してみるのもおもしろい。

ロシアンブルとアメショー。
またどこかで出てきてほしいと強く願ってます。





もう1冊は、こちらの小説。
『ペッパーズ・ゴースト』を買いに行ったときに、
ショッピングセンターの中にある書店を久しぶりに
ゆっくり歩いていて、ふと目に留まったので。
(まかてさんの新作が出ていたこと知らなかった
ので、驚きと喜びで買ってしまいました)


まかてさんの作品のほとんがそうであるの
ですが、読み始めると、主人公にたいそう魅了
されている自分に気が付きます。
今回も、杜宇(とう)と一緒に気持ちが動き、
米作りの大変さも、九四郎を信じてよいのか
どうかの揺らぎも葛藤も自分のことのようで。
読み終えてしまうことが惜しくて、最後は
ゆっくりゆっくり読みました。

ときは江戸、三代将軍家光公の頃、世のなかは
やっと争いごとから解放される。逃げているのは杜宇。
はじめは、読み手には理由わからず。隠れ小屋から
満姫(みつるひめ)と(さく)に見つかり、
くじを引かされた結果、青姫の郷へと連れていかれる‥

青姫の郷とはどんなところで、杜宇はなにゆえ
米つくりを命じられたのかー。その謎だけでも夢中に
なってしまうのに、中ほど、九四郎なる人物が現れて
から、物語はまたひとつ、ふたつと展開していきます。

その面白さに加え、青姫(=満姫)が身にまとっている
衣装の美しさといったら!

たとえば。
梔子色の表衣には紅白の萩や雉が刺繍されていて、
長袴は朱色、帯紐は浅葱色。

そして、こんな箇所。
日中、汗みずくになって土と水と稲に接していると、夜は
文字が慕わしくなった。夏の終わりの空に立ち並ぶ雲の白、
木下闇に沈んだ青(中略)そんなことを綴るだけだ。
けれどこの郷には真に「青姫」が棲んでいるのだなあと
思う。自在なる魂が。

杜宇の言葉からわかる通り、青姫の郷とは、桃源郷
だったのでしょう。


まかてさんファンだけでなく、物語好きな方みなに
読んでもらいたい、と強く思います。
(そして感想を分かち合いたいです)









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