『ふたりのゴッホ ゴッホと賢治37年の心の軌跡』
伊勢英子 作
この本は、画家のゴッホと、詩人であり童話作家の宮沢賢治に
国や時代の垣根を越えて、こんなにも似通っているところがあったのだ
ということを、伊勢英子という画家が、自分の足で実際にゆかりの地を旅し、
自分の目で見たこと、感じたことを、研究し、表したものです。
文章にしながら、伊勢英子さんは、自分の中にある、
ゴッホと賢治への尽きない気持ちを、確かめていたのだと思います。
ふたりは、生まれた場所、生まれた年代は違うのに、
こんなにも、共通したところがありました。
宗教心、猛烈な読書、弟(ゴッホの場合)妹(賢治の場合)への限りない愛情、
旅への欲求、生前の不遇、貧困、37年の生涯。そして、どちらの家庭も
裕福であり、父親の期待を受けた長男として生まれたことー。
私の中でも、ゴッホという画家は、興味のある人でした。
20年くらい前に竹橋で開かれた展覧会の図録や、自分で買い求めた画集があり、
それに、何の本で読んだかは思い出せませんが、波乱万丈な人生や
ゴーガンとの因縁も、よく覚えていました。
ゴッホの描いた絵の中で、好きなのは「アイリス」。
跳ね橋や教会や糸杉やひまわりや麦畑など、どれも強く印象に残りますが、
ゴッホが描いた自画像も、忘れてはならない彼の重要なモチーフです。
自画像を、描く人の気持ちは、推察できます。
そこにある自分というものを、すこしでも、自分自身で捕まえたい、
あるいは深く知りたいからでしょう。
椅子だけを描いた絵もあります。
自分の椅子と、ゴーガン用に用意した椅子の絵。
『ふたりのゴッホ』202ページに、椅子についての記述がありました。
ゴッホは空っぽの椅子を描くことで自分の不在を描いたのだが
それ(不在を描くこと)は、そこにそれを描く画家の眼と不在を
凝視する視線があったことを意味する。
つまりゴッホは不在と同時に強烈に自分の「存在」を描いたと
いうことだ。
どうやって描いたか、ということよりも、
何を描いたか、ということのほうが、より重きをおかれることなのだと
あらためて思いました。
ゴッホが見た自分自身、ゴッホが見たゴーガンのための椅子、
ゴッホがみたひまわり、ゴッホが見た糸杉、ゴッホが見た麦畑…
気持ちが寄り添えば寄り添うほど、その絵は、ずきずきと見るものに
迫ってくるでしょう。
ことばによって、切り取られた風景も、それを読むものの中に、
またイメージとなって同じ風景を呼び起こします。
私は、宮沢賢治作品を、そう多くは知らないので、痛むほどの詰まった気持ちは
沸き起こりませんが、深くその世界を知っている人は、ゴッホの絵から感じるのと
同じようなせつなさを受けるのでしょう。
ゴッホが生まれたのは、1853年。宮沢賢治は1896年生まれです。
ゴッホは、賢治のことを知るはずもないですが、賢治は、ゴッホの名も
ゴッホの作品も知っていたのではないでしょうか。
まだ読んだことがない宮沢賢治作品にも、伊勢英子さんの他の
著作へも、興味はつきません。
最新の画像[もっと見る]
- 2024年10月に観た映画 3週間前
- 2024年10月に観た映画 3週間前
- 2024年9月に観た映画 2ヶ月前
- 2024年9月に観た映画 2ヶ月前
- 2024年9月に観た映画 2ヶ月前
- 2024年9月に観た映画 2ヶ月前
- 2024年9月に観た映画 2ヶ月前
- 2024年9月に観た映画 2ヶ月前
- 2024年8月に観た映画 3ヶ月前
- 2024年8月に観た映画 3ヶ月前
昨日K駅を通り過ぎたら、近くにお花見の宴でにぎわう公園を発見しました。
あ~、K市だ!と思ったのですが(笑)。今日は、とても寒いですね。
この本、読まれたのですねー。
私も、少ない知識の中でゴッホは興味を持った時期のある画家なのです。
黄色い椅子を解説してる新聞の切り抜きを、スクラップした記憶もあります。
どちらも半端にしか知らないくせに「切ない」って言葉が
とてもしっくりくるような気がしてしまいました。
私も、読んでみたいと思います。
やっぱりおひさまがでると嬉しくなりますね~。
>昨日K駅を通り過ぎたら、近くにお花見の宴でにぎわう公園
おおっ、まさに、その電車から見える公園で、お花見していたのですよ、昨日、私たち!
あの曇り空の下、寒いねって言いながら。
(ここ数年は、毎年近場のあそこで済ませています)
なんか、不思議な気持ちです。何本も通り過ぎる電車を
眺めましたが、その中のどこかにjasuminさんたちが
乗ってたかもしれないなんて‥
ところで、ゴッホの本ですが‥
伊勢さんは、思いっきりゴッホ寄りです。だからもしも
ゴーガンのファンの人が読んだとしたら、それはどうかな?
と思うところもあるかもしれないなあとは思いました。
本文には書きませんでしたが、弟のテオが、最後は
精神病院で亡くなっているのが、とても気になっていて、
今度は、テオについて、もっと知りたくなっているのです。
お身体の具合、いかがですか?
私は、過去に1度だけ中耳炎にかかり、痛くて眠れず、
その時、初めて耳の痛い辛さを知りましたよ。
お忙しい毎日だと思いますが、無理しないで下さいね。
今日、お昼休みにご紹介の本を借りて来ました。
もう気になって気になって、帰りまで待てずに
図書館へGO!
絵のことはよくわかりませんが、私もゴッホの絵が好きです。
もう10年以上前ですが、東郷青児美術館で5年連続で開催された
ゴッホ展に3年続けて行きましたよ。
制覇できなかったのが残念なのですが。
それにしても、ゴッホと宮沢賢治に共通点があったとは・・・
読むのが楽しみです。
早速借りてきた本、読み始めましたか?
私は、伊勢さんが、妹の伊勢京子さんと一緒に出された
テオについての本を昨日図書館から借りてきました。
まだちゃんとは読み始めていないのですが、おわりに
ついている年表や、エピローグなどをぱらぱらみていたら
ゴッホ兄弟の、下の妹さんも精神病院でなくなってるし、
もう一人の弟さんは、自殺してるみたいです。
ゴッホの家系は、呪われていたのかあ!!と思ってるところです。
それと、興味深いのは、テオは病気がかなり進んでいて、
もしゴッホが自殺していなかったとしたら、テオの方が
先になくなっていただろうと推察されていること。
もしそうなったら、ゴッホは耐え切れずに、きっと後を追って
いただろうから、遅かれ早かれ、兄弟は同じ運命を辿ったのでしょう。
さあ、今日から本格的に読み進めます。
追伸 体の不調を心配してくださって、どうもありがとう。
足は、もうほとんど治ってますが、耳はだめですね。
依然、水の中状態です。