音楽の喜び フルートとともに

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脳を理解する

2008-10-04 02:37:23 | Weblog

蔓紫をみると、おいしそうと思ってしまいます。おひたしにしたり、スープに入れたり。鉄分も一杯

人の脳は本来つながりがないものを、つながっている、まとまりのないものをまとまっていると考えてしまう癖があるそうです。
たとえば点が4つあると、勝手に目と鼻と口とつなげて考え、人の顔がそこにあるとまとめてしまいます。天井のシミに顔を見たり、写真の中の影の中に顔をみつけたりするのは、脳の癖のせいだそうです。

人は目にはいった情報をすべて記憶に残すわけではありません。入ってきた情報を、整理し、取捨選択していれています。その時、意識的にも無意識的にもまとめて処理するんだそうです。

意味のない数字を10桁覚えるのは大変ですが、3個、3個、4個にわけ、それぞれの塊に区切ると覚えやすい(認識しやすい)と言うようなことです。

音楽はこういうことを巧みに利用しています。楽譜は拍子によって、小節で区切られ、2個ずつ、4個ずつつなげて一塊になったりしています。

たとえば、音楽をはじめたばかりの人の演奏は、4分音符が4つあると、すべて同じ長さ、同じ大きさで吹きがちです。少し音楽がわかってくると、4拍子で4分音符4つだと、1拍目を少し強調し、次に3拍目を、2拍目と4拍目は軽く演奏します。強調の仕方は、他の音より音量を大きくしたり、長めに吹いたりいろいろですが、そうやって、まとめやすいように塊をつくることによって、より旋律や音の流れが強調され、聴く人の脳に強い印象となって残りやすくなる。つまりは感動を呼び起こしやすくなるのです。

バッハの無伴奏パルティータの一楽章などは、4拍子でほとんど、ずっと、16分音符と16分休符のみで書かれています。これを、すべて同じ大きさと長さの音で演奏すると、たちまち脳は混乱して、何を聞いているのかわからなくなってしまいます。

ところが、まず、小節の頭の音、16個の音のはじめの音を重く少し長めに強調して演奏すると、4拍子の曲であると言うことがわかり、小節のまとまりを脳の錯覚でつくりだしてしまいます。
たとえば、ミスって2個目の音が極端に小さく、聴こえないくらいであっても、勝手にそこに音があると聞き手の脳の方が音を作り出してしまうようになるのです。(もちろんこれは極端な例で、音を出さなくてもいいというわけではありませんが)

そして、パルティータは、ピアノで言えば、伴奏と、旋律を単音しか出ないフルートと言う楽器で演奏しているので、そこに必ず、旋律があります。その旋律部分と、伴奏部分を見つけ出し、フレーズでわけまとまりを作り出し、強調する方向性、盛り上がりに向かうのか、収まっていく時の音符なのかを考えながら、一つ一つの音をどうまとめて聴いてもらうのかを考えて演奏すると、印象的な音が旋律として、聴く人の耳に残っていくのです。

音楽を演奏するという作業には、こういう人が持っている癖を理解し、人が理解できる形、認識しやすい形で受け取ることができるように、音楽がどのような構成でなっているかを細かく読み解いていくと言う楽しみもあります。