音楽の喜び フルートとともに

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色彩感

2008-10-26 00:51:20 | 音楽

やっぱり、ピンクのコスモス。最近はオレンジの黄花コスモスが大流行ですが、ピンクのコスモスも健在でした。色によって同じ花でも受ける感じが全く違います。私が感じるのは、ピンクは淡い、可憐。オレンジは濃い、元気。っていう感じかな。

音楽の色彩というと、調整ですが、絶対音感を持たない私は、そう敏感に感じませんが、それでも、今暗い感じの調整になったとか、透明になったとか、明るい感じになったとかは感じます。

葉月最相さんの「絶対音感」小学館1998年によると、「メシアンはC D♭ E♭ E F♯ G A Bの音程配列ではバイオレット、C D E♭ E F♯ G A♭ B H ではグレーの奥からきんが反射してきて、オレンジ色の粒が散らばって、そこに黄金色に輝いている濃いめのクリーム色が・・・などといろんな色がみえたようです。」と書いています。

また、その中で來孝之氏は「ドは赤、レは黄、ミは緑、ファはオレンジ、ソは空色、ラは紫、シは白。・・・・なぜこうなるのかずっとわかりませんでした。みんなも同じなのかと思っていました。・・・原因が1960年頃にヤマハ音楽教室で採用されていた色音符だと思いあたったとき、実は改めて子どもの頃の刷り込みの深さに恐ろしくなった。」といっています。

京都市立芸術大学の大串健吾さんの調査によれば、共通して、ハ長調=白、ト長調=青、ニ長調ホ長調=橙や黄色、イ長調=赤・・・といった色彩イメージがあることがわかったといいます。
今聞いている曲が、何調か認識しながら聞くことが出来る。ヘ長調だと認識しながら「田園」を聞くことによって、鑑賞することによって、壮大な田園風景を思い浮かべ、緑のイメージが記憶に残る。とも書いています。

作曲家や演奏家のすべてが音と色を結びつけているかどうかわかりませんが、私はこれが、不作為の3つの点を見た時に顔だと人間が認識してしまうような、脳のカテゴリー化の作業の一つのような気がしてきました。明瞭なイメージがあるために、曲や、音を記憶に残しやすく、したがって、演奏技術の向上に役立ったり、暗譜をしやすいなど、記憶にとって合理的なメリットがあるのだろうと思いました。

そう色の明瞭なイメージが無くても、調性が変ったりすると、不安になったり、明るくなったり、自信に満ちたり、気分が変り、そのことで音楽を楽しんでいる人はたくさんいて、きっとそれで、充分だと思います。
赤は情熱、青は理性なんていっても、赤い理性や青い情熱なんていう表現が、もっとクールでおしゃれだと言う人もいるだろうし、色も音も単なる記号で、情感を伝えあう手段で、全部同じなんてあり得ない個人的な感覚なんだろうなぁという気がします。

まだ幼稚園に行く前のこと、「エリーゼのために」をいたずらものの叔父が、ピアノを弾いて、聞かせてくれました。「これはお化けが出てくる時の音楽だよ。」私は、しばらく我慢して聞いていましたが、途中の展開部まで来た時には、怖くて我慢できなくなって泣き出して「やめて、やめて」と逃げてしまいました。

一つ下の従妹にも、同じいたずらをしたら、「お化けがでたら、ウルトラマンになって、やっつけてやる!」とそこにとどまり続けたそうです。

どちらもお化けについては、叔父の刷り込みから逃れることができなかったわけですが、カテゴライズ化を積極的に捕らえた従妹は、バンバンピアノを弾いて、小6には、ポップスくらい、一度、聞いただけで何でも弾いていましたが、中学に行く時にすっぱりやめて、今は英語の教師をして、音楽とは無縁です。
消極的に捕らえた私は、カテゴライズ化できるほど、練習もせず。ゆっくりオルガンを弾いたり、ピアノに転向したり、合唱団に入ったり、あちこちいい加減に音楽を楽しみ。その後6年ほどして、あれほど怖かった、エリーゼのためにを弾いてお化けなんか出てこない愛らしい曲だったんだ自分で気づき。

おかしいけれど、何十年も自分の成長をあきらめず、音楽を楽しんでいます。

どちらがいいなんて一言ではいえないし、色が見える人は見えない世界を知らないし、見えない人は見える世界を絶対わからない。そのうち私がわかるようになったら、違いをいえるかもしれないけれど、自動的に色が浮かんだら、今の見え方はどうなるんだろう?その瞬間音楽によって起きる気分のゆらぎは違ってくるのかもしれない。それは、ちょっと怖いかも知れないなんて想像してみるだけです。