猛暑を乗り切り、秋の花期がやってきています。旧宅から挿し芽でやってきたこのバラ。名前はわかりません。わかりませんが、あたりはついているのです。ただ、バラはいろいろあってよほど特徴のあるものでないと、わかりません。
でも、これは多分「白秋」・・・と思います・・・というか、白秋であったらいいなぁ。
とその気になっていたら、2000年に大槻啓仲さんが作ったと書いてあって、もろくも夢破れました。なぜなら、旧宅に引っ越した20年前1994年にはもうしっかり根をはった大きな木でしたから。
しかし、なんというバラだろう?
北原白秋はバラについていくつか詩を残しています。
代表作は、やっぱりこれ。↓
『薔薇二曲』
薔薇ノ木ニ
薔薇ノ花咲ク。
ナニゴトノ不思議ナケレド。
薔薇ノ花。
ナニゴトノ不思議ナケレド。
照リ極マレバ木ヨリコボルル。
光リコボルル。
(詩集「白金の独楽」より大正三年)
他にも「バラ三題」という情熱的な詩もあります。
白薔薇については特別思いがあったらしく、
「白薔薇はその葉を噛んでも白薔薇の香ひ(におい)がする。
その香ひは枝にも根にも創られている。
花とはじめて香ひが開くのではない。
白薔薇の香ひそのものがその花を咲かすのである。」
なんてことも言っています。
残念ながらうちのこのバラはあまり香り高くありません。やっぱり「白秋」じゃないみたい。
でもまあ、今夜ばかりはその気になってこの詩をバラととともに味わうことにします。
せっかく咲いてくれたんだから。