ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「百円の恋」、安藤さくら渾身の力作

2015-01-22 18:49:18 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆☆

この映画が、松田優作と関係があることを、後で、公式ホームページで知った。

劇場公開の日本映画の劣化が激しい昨今の映画界では快挙の出来だ。

松田優作の出身地である山口県周南の映画祭で2012年に創設された松田優作賞(脚本)の第一回グランプリに輝いた本作。

この脚本に惹かれて集まった人たちで作られた。

そこには、自ら志願した安藤さくらがいた。

この映画は、ぐうだらで、その日暮らしの一子が、男性に恋をしふられ、どん底に落ちて、そこから立ち上がる、ボクシングによる起死回生物語だが。

そのギャップを演じきれる役者が必要だった。

もともと、ボクシングをかじった経験の安藤さくら。その意味ではぴったりだが、2週間の撮影の中で、そのギャップを埋めるという離れ業をやってのけたのだ。

トップシーンで、甥っ子とゲームにはげむ一子の後ろ姿は、象にたとえてもいいぐらいたるんでいる。肥えているだけなら張りもあろうが、だらしないのひとことだ。

そして始まる、百円コンビニのアルバイト生活。これがまたひどい。ただ、ここは、周りの人間のコミカルな展開だが、

そして、近くのボクシングジム。そこで黙々と練習する狩野を見染め、そこから再生へのスタートが切られる。

ふられてどん底に落ちて、選んだのがボクシング。

確かにボクシング、合法的鬱憤のはけ口だ。

おまけに、テストだとか試合とか、上昇の道がある。

かかんに練習する一子、その姿が、だらだらと対照的に素晴らしい。この辺は演出の妙か。

前向きに立ち向かう人の姿はカッコいい。だが、この映画は、簡単には勝たせてくれない。でも一筋の灯りを示して映画は終わる。

一途に、なぐり、はしり、立ち向かう一子の姿に、なぜか涙がこぼれる。


ボクシングのシーンも結構迫力がある。武正晴監督あっぱれ。
コメント (2)
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