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阪急・嵐山線で走り始めた6300系

2009-04-14 | 鉄道[近畿・スルッとKANSAI加盟社局]

 

先月末と今月初めに相次いで関西へ出向いたMAKIKYUですが、今月初めに関西へ出向いた際には、阪急嵐山線で走り始めた6300系電車に乗車する機会もありましたので、今日はこの車両に関して取り上げたいと思います。

6300系は1970年代後半に京都線特急用車両として製造された8両固定編成の2扉車で、特急料金不要列車(それも大阪・梅田~京都・河原町間は40km以上の距離がありますが、運賃は390円と極めて格安で、同じ線路幅で車両の大きさも大差ない首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)を走る某中小私鉄とはえらい違いです)にしては豪華な部類に入る転換式クロスシートを装備した車両としても知られています。

車両デザインや手入れの良さもあって、見た目は今でも古さを感じさせない車両とMAKIKYUは感じていますが、製造から既に30年以上の月日が経過しており、近年京都線特急用に新型車9300系が登場してからは、車内設備の面などで同車との格差を感じるものです。

また近年他の関西私鉄各線にも言える事ですが、阪急京都線の特急停車駅は次々と増えており、現在の特急停車駅は一昔前の急行停車駅と同レベルの状態になっていますが、この事によって2扉車故に乗降性にも難が生じる様になっているなど、現在の京都線においては、特急用としても使い難い車両になってきているのも事実です。

その上6300系は2箇所の客扉が車端に寄った配置となっており、単純に中央扉を増設し、先代特急車2800系などの様に3扉車へ改造する訳にもいかない事もあって、比較的近年まで各編成共に大きな更新工事などが施される事もなく、各編成が特急用として活躍して来ました。

とはいえ近年9300系の増備などによって運用離脱となる編成も相次ぎ、以前は京都線特急では嫌でもその姿が見られる程だった6300系も、先日MAKIKYUが阪急京都線に乗車した際は、特急でも遭遇率は半分以下(それでも先日特急でMAKIKYUが乗車した車両は6300系でした)にまで落ち込んでおり、編成単位での廃車も発生している状況です。

そんな中でも3編成は8両→4両に短縮され、活躍の場を嵐山線に移して今月に入ってから新たな活躍を開始していますが、この車両は車内が大幅にリニューアルされているのが大きな特徴となっています。

リニューアル内容としては、座席や内装などを最新型車両9300系と同レベルのモノに取替え、現代の水準に見合うものとしており、ドアチャイムの装備なども行われています。

座席配置もドア付近はロングシート化されていますが、車両中央付近は座席を交換しながらも、短い乗車時間の嵐山線にしては贅沢過ぎるとも言える転換式クロスシートが、2+1配列で装備されているのも特徴です。

そのためMAKIKYUが嵐山線用にリニューアルされた6300系に乗車した際には、編成が8両のままで中央部の転換式クロスシートが2+2列であるならば、京都線特急で運用しても良いのでは…と感じた程です。

まして京都線特急では最新型9300系こそ私鉄の料金不要列車にしては最高レベルと言え、6300系もグレード的には9300系には劣るものの、料金不要列車にしては破格の設備と言えますが、昼間でも2割程度の確率で大ハズレのロングシート車が混入(しかも大ハズレ2本の時間帯が比較的近接しているのは困りモノです)しています。

そのロングシート車特急もまだ比較的新しい8300系を限定運用するのであれば、まだ理解できるのですが、いくら阪急電車の手入れが良く、元々のグレードが高いとはいえ、首都圏ではお払い箱レベルと言える大阪万博前の昭和40年代前半に製造された車両(6300系より古いですが、最近リニューアルを施しておりまだまだ使う気配を感じます)が平然と活躍していましたので、こんな車両を他鉄道との競合も激しい京都線の花形列車として走らせ、6300系を嵐山線に移す位であれば、嵐山線用に改造した編成を2編成併結して京都線特急に再登板させた方が…と感じたものでした。
(9300系の増備or既存3扉車リニューアル時に転換式クロスシート化で、昼間特急の運用必要数をロングシート車充当なしで賄えることなのが最も理想的なのですが…)

その一方で外観は専ら各駅停車での運用となる嵐山線用に転用されたとはいえ、特異な扉配置も影響してか2扉車のまま存置されており、前面形状も特に変化無く、阪急お得意の前面行先・種別表示幕の拡大すら行われていません。

窓ガラスが拡大された側扉と、日よけが阪急名物とも言えるアルミ製鎧戸から一般的なモノに取り替えられたのが目立つものの、大幅リニューアルの割には、見た目は原型を比較的よく留めています。

阪急に限らず特急用→ローカル転用と共に扉増設などが行われ、見た目が大きく変わる車両も多い中で、大幅リニューアルにも関わらず、6300系の持つ優雅な印象を損ねていないのは喜ばしい限りで、4両と言う短い編成と、MAKIKYUが嵐山線沿線を訪れた際に丁度満開だった桜の組み合わせも、非常に映えるものと感じたものです。

嵐山線用に転用された6300系各編成は、元々車両の手入れと物持ちの良い阪急が、これだけ大規模なリニューアルを施したこともありますので、すぐに他車両に置き換えられる事はまずないと思いますが、今後嵐山線で末永く活躍し、活躍の場を大きく変えても、優雅な姿が永く見られる事に期待したいと感じたものです。