MAKIKYUが先月九州を訪問した際、熊本県の人吉市で乗車した産交バスのコミュニティバス「さるく人吉」に関しては、数日前「MAKIKYUのページ」でも取り上げましたが、MAKIKYUが先月熊本県内を走る九州産交グループのバスを何度か利用した際には、人吉市内以外でも日野製の「ポンチョ」と呼ばれる低床のマイクロバスに乗車する機会がありました。
九州産交グループでは、熊本都市圏以外の閑散路線などに、マイクロバスを路線車として多数走らせているのですが、一般路線で用いている車両は、車両価格の関係もあって主にリエッセが用いられています。
こちらは最近導入した車両でも、低床化の代わりに車椅子用リフトを装備する事で、バリアフリー対応としていますので、マイクロバスで低床のポンチョは余り見る機会がないのが現状です。
そのためポンチョの活躍は、専らコミュニティバスなどの類に限られますが、九州産交グループでは「さるく人吉」以外にも幾つかの導入事例が存在しており、MAKIKYUは先月、その一つである熊本市内の「しろめぐりん」にも乗車機会がありましたので、取り上げたいと思います。
「しろめぐりん」は熊本城周遊バスの通称で、このバスは熊本駅を起終点に、熊本城の周りを循環運行するラケット状の運行経路となっており、昼間時間帯に概ね30分間隔で運行しています。
熊本城はMAKIKYUもその姿は何度も見ていながらも、先月初めて城内を見物する有様だったのですが、天守閣の建物自体はさほど…という印象を受けたものの、城周囲の石垣などが相当な規模を誇っており、城内の規模は相当なものと感じたものでした。
城周囲の石垣などが相当な規模を誇っている事から、熊本城の入口は天守閣などに近い箇所以外にも幾つも存在しており、それも天守閣などから離れた入口は、市電や一般路線バスなどでのアクセスは比較的至便な位置にもあります。
路線バスを利用し、天守閣などから結構離れた入口から熊本城内に入場したMAKIKYUは、汗だくになって天守閣や宇土櫓を目指したもので、MAKIKYUでもややハードと感じた程ですので、熊本城の石垣が相当な規模を誇っている事を実感するには良いとは言え、これでは体力に自信のない高齢者の訪問などはまず無理なのでは…感じたものでした。
(今日の観光訪問はともかく、外敵の侵入から身を守るという城本来の目的を考えると、訪問し難い方が良いのは言うまでもない事ですが…)
ただ熊本城は熊本を代表する名所だけあって、当然ながら石垣を上がるハードな道程だけでなく、坂道を上がった天守閣や宇土櫓の近くにも入口が設けられており、こちらであればさほど体力に自信がなくても容易に訪問できるのですが、こちらは観光バスによる団体ツアーやマイカーでの訪問には便利なものの、市電や一般路線バスのルートからは結構離れており、公共交通機関での訪問にはやや難ありなのが現状です。
そのため公共交通機関で熊本城を訪れる観光客の便宜を図り、運行しているバスが「しろめぐりん」で、MAKIKYUは熊本城見学の後、天守閣や宇土櫓の近くの入口に近い「熊本城・二の丸駐車場」から乗車したのですが、他にも熊本城周囲を巡回するルートの途中では旧細川刑部邸近くなども経由するなど、熊本城周辺の観光には非常に便利な存在となっています。
運賃は熊本市内の一般路線バス初乗りと同額の130円で、全区間均一運賃となっていますので、そこそこの距離を乗車すれば割安感があり、300円で「しろめぐりん」専用の一日乗車券も設定されているのですが、元々熊本市内中心部の路線バス運賃は比較的値ごろ感がある上に、500円で市内中心部の市電・電鉄電車・熊本バスを除く各社バスが利用可能な「わくわく1dayパス」の設定もありますので、運賃設定は一般路線と同等扱いでも良いのでは…と感じた程です。
また運行ルートは多数の一般路線と重複する通町筋~交通センター~熊本駅間などでは、一部停留所のみ停車となっており、実質的に快速運転を行っていると言っても過言ではないのですが、電鉄電車の始発駅となっている藤崎宮前の直ぐ近くを通りながらも、ここは通過(しろめぐりん~電鉄電車の乗換時は、壺井橋バス停利用が比較的至便)であるなど、他交通機関との結節性と言う面ではやや問題もあります。
熊本駅~交通センター間は一般路線バスが頻発し、「わくわく1dayパス」などで乗車可能な事を考えると、鉄道利用客の市内中心部(交通センター)までの移動は一般路線バスに任せ、交通センターを起終点に熊本城周辺を巡回するルートを運行し、一般路線バスの各停留所に停車させる運行形態に改めると共に、運行区間を短縮した分だけ増回か、余裕時間の確保(MAKIKYUが乗車した際は、通町筋付近で渋滞による遅れが発生していました)を行った方が…とも感じてしまったものです。
使用車両は既に触れた「ポンチョ」を用いており、乗車したのは先月が初めてだったものの、「しろめぐりん」専用車はMAKIKYUが以前に熊本を訪問した際にも、交通センターなどで既に何度か目撃しており、熊本城のイラストなどが描かれた外観は、一般路線バスとは異なる「熊本城周遊バス」である事を強く印象付けるものになっていますが、これに加えて「熊本城周遊バス」という標記を4ヶ国語(日本語・English・한국어・中文)で表示しているのも特徴的です。
車内に入ると、先日取り上げた「さるく人吉」などと同様に、ポンチョの標準的な仕様となっており、内装などは特に強い印象を受けるものではありませんが、運転席背後にLCDモニターが設置され、海外に近い土地柄も影響してか、日本語を使えない海外からの観光客にも考慮して4ヶ国語表示(日本語・English・한국어・中文)による案内を行うと共に、車内放送も4ヶ国語案内に対応する辺りは、観光客向けに走らせている路線ならではと感じたものです。
また車両自体は比較的標準的な仕様になっているとはいえ、車内随所には「熊本弁一口講座」と称し、いくつかの方言を紹介しており、これもさほど手をかけずとも、地域色を出して他所からの観光客が楽しめる様にする施策としては面白いもので、ここまで4ヶ国語の登場とは大したものですが、この様な取り組みは他のバスでも各地で登場しても…と感じたものでした。
そして車内の座席モケットも、「ようこそ くまもと」を4ヶ国語で記したものを用いており、乗車前にはこんな所にまで4ヶ国語を登場しているとは予想していませんでしたので、これには脱帽したものでした。
(中文は「歓迎光臨」ではなく「熱烈歓迎」と記しているのは、Englishや한국어に比べ、随分大袈裟な気がしないでもないですが…)
「しろめぐりん」は使用車両がポンチョと言う事もあって、旧年式車や大都市圏移籍車をはじめ、多数の大型路線車が走る熊本市内では、車両面では地味な印象が否めず、今まで乗車機会がなかったものでしたが、熊本城訪問の際には非常に便利な手段であると共に、至る所に見られる4ヶ国語表示なども興味深く、意外と面白いバスと感じたものでした。
「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も熊本市内を訪問する機会がありましたら、熊本城訪問などと併せ、熊本城周遊バス「しろめぐりん」への乗車を検討してみては如何でしょうか?