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長野電鉄2100系「スノーモンキー」(車内編)

2011-07-01 | 鉄道[甲信越]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた長野電鉄2100系「スノーモンキー」は、外観だけでなく車内設備面でも、空港アクセス特急として活躍した往時の姿をほぼそのまま保っている様で、有名な固定クロスシートも健在です。
(MAKIKYUは「成田エクスプレス」の姿は嫌と言うほど見ているのですが、今日まで実際に列車を利用した事がありませんので、往時の姿に関してはネット上などでの見聞を基にするしかないのですが…)

有名な固定クロスシートは、3両編成で活躍する2100系の長野寄り2両の客室に用いられており、この車両では特徴的なハットラック式の荷物棚も健在です。

 
固定クロスシートは車内中央の向かい合わせ部分を境目に、これより前方が進行方向と反対を向く格好となり、「固定クロスシート」と言う位ですので、単に進行方向を変えられないだけでなく、リクライニング機能も装備していない代物です。

今回「スノーモンキー」乗車で初めて利用したこの座席は、固定クロスシートとは言えども、足元が広く確保されており、進行方向の座席に座れれば、座り心地自体は決して悪くないと感じたものでした。

ただ長野電鉄の特急は要特急料金とはいえ、特急料金が100円と非常に廉価に設定(その代わり普通運賃は割高ですが…)されており、全車自由席で好きな座席を選んで座れる事などを考えると、固定クロスシートでも100円の特急料金に対して充分見合うのではと感じたものでした。

とはいえJR時代は全車指定席で運用しており、走行区間故に乗車率も高く、否応なしに逆向き座席に当たる可能性も高率な事を考えると、とても割高な指定席A特急料金に見合う設備とは言い難く、不評を買ったのも無理はないと感じたものでした。

また湯田中寄り1両は元グリーン車車両を、後に普通車に改めた車両だけあって車内の様相が大きく異なり、座席は特急普通車で一般的な回転式リクライニングシートを装備し、荷棚も一般的なタイプとなっています。

 
こちらの方が足元はやや狭いものの、進行方向と逆向きと言う大外れを引き当てる事がありませんので、設備的には特急車両に相応しいと言えますが、元がグリーン車だった車両を改造した事もあって窓割が合わず、おまけにただでさえ小さい窓の中央にブラインドのレールがあるなど、見た目が非常に美しくない上に、展望性の観点からも頂けないものです。
(固定クロスシート装備の2両は、1つの窓で2席分となっており、ブラインドは窓毎に上下に動かすスタイルです)

そのため乗り込んだら目的地到着まで居眠り…といった場合は無問題ですが、りんご畑と山並が拡がる信州の車窓を堪能するには不適で、その上この車両だけがモーターなし車両となっていますので、固定クロスシート車両とはどちらも甲乙付け難いものです。

そしてこの車両の運転席寄りには、かつてのグリーン個室はさすがに改造が難しい事もあってか、余り需要はなさそうなものの「Spa猿~ん」という名称で個室が存置されています。


こちらは特急料金の他に別途個室利用料金が必要となっており、MAKIKYUが乗車した時は空室となっていましたが、空室時は鍵がかかっており、個室の様子は扉の外から僅かに伺える程度です。

また長野電鉄では必要性の薄いスーツケース用の荷物収容スペースを初め、分割併合時の誤乗対策も兼ねてデッキに設置したLED式の情報案内装置(行先などを表示)も残存しており、トイレを封鎖している事が目立つ他は、概ねJR時代の設備を踏襲している模様です。

 
JRの特急列車としては遜色列車の代表格と言われた253系も、老朽化が進み設備面での陳腐さも否めず、専ら骨董品としての懐古趣味を楽しむための列車と言っても過言ではない従前の特急車両に比べれば、快適さの面では比べ物にならない程向上しており、用途不要の中古車とは言えども、特急料金も100円のまま存置されている事は大いに評価できるものです。

そのためJRの特急列車としては設備的に劣るものの、長野電鉄へ譲渡するだけでなく、国鉄時代から活躍する古い特急形車両を用いた快速列車や、団体臨時列車用に用途転用する事や、長野電鉄以外の鉄道への譲渡もできなかったものか気になる所で、253系は既に大半の車両が解体されてしまったのは惜しい限りと感じたものです。

MAKIKYUが乗車した感想としては、長野電鉄で使用するには、料金面や車両の経年などを考えると妥当な所で、長野電鉄も老朽特急車の取替えを画策していた所に、良い出物を捕らえたものと感じたものです。

ただMAKIKYUが小田急贔屓である事を差し引いても、元ロマンスカーの「ゆけむり」に比べると、元が空港アクセス列車だけに展望製の悪さなど、観光輸送として使う車両には不適な面もあり、デザインや設備の面では…とも感じてしまったのは惜しい限りです。
(これは「ゆけむり」が日本の地方私鉄では破格の設備を誇っている事が大きく、「スノーモンキー」も地方私鉄の車両としてはかなりハイレベルな部類に入るのですが…)