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韓国・世宗特別自治市を走るBRT(2)~車両編

2014-03-25 | バス[大韓民国]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた韓国・世宗特別自治市を運行するBRTは、試験運行の際には2両連結の輸入車なども運行し、磁気誘導式車両による運行なども検討された様ですが、現状では一般的な市内バス車両による運行となっています。

 
そのため990番と言う系統番号が付けられ、専用塗装のバスがBRT専用レーンを走行する事を除くと、ただの市内バスと大差ないと感じる方も多いかと思いますが、韓国では今日導入される新車でも2段ステップ車が当り前という中で、全車超低床ノンステップ車による運行となっている辺りは、他の市内バスよりも先を行くBRTならではといった所です。

韓国の市内バスは、天然ガス車の普及率が高く、この事も2段ステップ車が多い要因の一つになっている気もしますが、日本と同様に超低床ノンステップ車でも、韓国市内バスの2大メーカー(現代・大宇)共に天然ガス車の設定があります。

比率としては低いものの、バス大国の韓国だけあり、天然ガスのノンステップ車は、大都市圏を中心に結構な頻度で姿を見かけ、MAKIKYUも何度か実際に乗車した事もあります。

近年では路線バス車両の環境負荷低減策の一環として、日本でもハイブリッド車の導入が行われ、事業者によっては結構な割合で走っていますが、天然ガス+ハイブリッドと言う車両はまず見かけないと思います。

しかしながら世宗BRTで用いられる車両は、天然ガス車の市内バス普及率が高い韓国らしく、天然ガス+ハイブリッドとなっているのが特徴で、現代製の一般的な超低床ノンステップバスとよく似た外観ながらも、車高が全般的にやや高い印象を受けるBLUE CITYと呼ばれる車種を用いているのも大きな特徴です。

BLUE CITY自体はまだ余り普及している車両とは言い難く、韓国でも活躍箇所は結構限られている様ですが、世宗BRT以外でも幾つかの都市・路線で活躍しており、今後どの程度普及していくのかも気になる所です。


バス車内に足を踏み入れると、こちらも韓国で一般的な超低床ノンステップバスの典型と言った雰囲気、ビニール張りの座席が韓国らしいと感じる所で、つり革の吊り輪がカラフルなのも、最近の現代製市内バス車両では良く見かける光景です。

近年はワンステップ車をベースとしている通称「お手軽ノンステ」が増殖し、中には「ゲテモノ」と称される車両まで出回っている日本のバスとは異なり、後部の段差が比較的小さく抑えられている点は、結構評価できる所かと思います。
(日本の路線バス車両でも、近年廃業した西日本車体工業製のワンステップバスなどは、車内段差の面では個人的には結構良い車両と感じているのですが…)


またこの車両に限らず、韓国の超低床ノンステップバスでは、中扉より前側に位置する折り畳み座席を設置した車椅子スペースの下部に、車椅子固定用の車輪止めが装備されている姿をよく見かけ、この装備も日本の路線バスに比べると進んでいるのでは…と感じたものです。

韓国のバス車両は、近年高速・観光用の現代UNIVERSEで日本仕様車の設定があり、安価な車両価格などが評価されて一部の高速乗合バスなどで活躍する姿も目にしますが、路線車もこのBLUE CITYの様な車であれば、日本の国産メーカーが現在市販している車両にはないメリットが幾つも見受けられ、今後日本向け輸出仕様車が出てきても…と感じたものです。

ただ天然ガスバスやハイブリッドバスと言った低公害車は、導入コスト面で公営交通はともかく、独立採算運営の民営事業者が、自治体などの補助なしで導入するのが難しい上に、どちらも非力で運転性に難があるという話(車種による差異などもあると思いますが…)を聞きますので、天然ガス+ハイブリッド車であるBLUE CITYの運転性がどの程度なのかという問題もあるかもしれませんが…