昨日東京から新大阪へ向かっていた東海道新幹線・下り「のぞみ」号の車中において乗客に死傷者が発生した事に関しては、既にニュースなどでも大々的に報じられていますので、ご存知の方も多いと思います。
(写真は事故車両と同形のJR東海所属による運行のN700系「のぞみ」号・先月岡山駅にて撮影したイメージ画像で、事件該当とは別編成です)
最初「東海道新幹線の車中において白煙が発生、心肺停止の乗客」というニュースタイトルを聞いた際には、以前JR北海道の気動車特急で何度か発生し、大きく報じられた車両トラブルと類似した事案が新幹線でも…と想像したものでした。
(新幹線は「電車」ですので、気動車特有の燃料漏れやエンジン過回転による加熱に起因した事故はまず発生しませんが…)
しかしながら様々なニュース報道などを見ると、自殺志願者が車中で焼死を図ったとの事で、JR側過失による車両や軌道などのトラブルや、運行側の手違いによる事故ではありませんので、今回の事案は「事故」ではなく「事件」と言っても過言ではないと感じます。
自殺志願者が自ら命を絶つのは致し方ないにしても、他に巻き添えで一酸化中毒とみられる症状により死亡した乗客がいる事や、それ以外にも乗客の中で大勢の死傷者が発生した事は遺憾です。
またMAKIKYUは東海道新幹線を利用する機会がここ最近は年に数回程度、先月も一度利用機会がありましたが、その際には横浜市内におけるJR在来線が複数路線でダイヤ乱れとなり、新幹線発着駅の新横浜駅に到達するまでに予想以上の時間を要したため、指定席利用だったものの指定列車に乗り遅れるという有様でした。
指定列車乗り遅れの際には、当日中の後続列車自由席のみ利用可能という条件付の乗車票を所持(旅行会社の個人型パッケージ商品利用)していましたので、新横浜駅から後続列車の自由席を利用したのですが、「のぞみ」号の自由席車は基本的に博多方の3両(1~3号車)となっています。
今回の事件が発生したのも、この自由席の中で先頭に位置する1号車で、MAKIKYUは乗り遅れや予定変更などで「のぞみ」号の自由席車を利用する事もしばしばありますので、自殺志願者がもう少し早く自殺計画を実行しようとしていたならば…と考えると恐ろしい限りです。
車両自体の難燃性が極めて高い事や、緊急停止した地点が地上だった事などは不幸中の幸いだったと思いますが、過去に韓国・大邱(Daegu)の地下鉄1号線で発生した放火事件では、異常発生後の対向列車入線に加え、車両自体の難燃性や避難誘導の問題などもあり、200名近い死者を出す大惨事に至っていますので、一歩間違えればこの事件と同レベルの大惨事にも発展しかねなかったと言っても過言ではありません。
現時点では故意に車内で問題を発生させる人物に対しての有効な予防策も乏しく、鉄道事業者や国土交通省なども頭を抱えていると報じられる状況ですが、こんな事が続くと中国高鉄(CRH)の如く乗車前に手荷物検査などのセキュリティチェック導入も必要となってしまいます。
鉄道をはじめとする公共交通機関は「安全第一」、お客様を目的地まで確実にお届けする事が最重要ですので、すぐに乗車券を買って乗れるという新幹線の大きなメリットを犠牲にしても、今後旅客の安全を確保するためにセキュリティチェックを実施という可能性も否定できませんが、今後同種事件の報を再び聞かずに済む事を願いたいものです。
そして今回の放火事件の巻き添えで不幸にも亡くなられた方の冥福を祈ると共に、負傷した乗客の方々が早期に回復される事を願うばかりです。