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東京急行電鉄 6020系~大井町線急行用の最新型車両

2018-04-03 | 鉄道[首都圏・私鉄等]

先日東京急行電鉄(東急)ではダイヤ改正を実施、この改正は複々線化事業完成による大規模ダイヤ改正を実施した近隣の小田急電鉄に比べると小規模なものですが、ダイヤ改正に合わせて増発と新型車両導入も実施されています。

新型車両は田園都市線と大井町線に導入、既存車両とは別の新形式となっており、田園都市線用は2020系(10両編成)・大井町線用は6020系(7両編成)という、どちらも非常に中途半端な形式名となっているのが大きな特徴です。

両者は両数やラインカラーなどが異なるものの、デザインや基本的仕様は概ね共通化されており、今後の東急新標準車両になると思われますが、中途半端な番号の形式名を聞くと、関西の有料特急運行で定評ある某大手私鉄を連想してしまう方も少なくないと思います。

製造メーカーは東急線車両製造においては定評あるJ-TREC(旧:東急車輌→現:総合車両製作所)、同社新標準ステンレス車「sustina」の一員となっています。

田園都市線と相互直通運転を行っている他社車両では東急車輌/J-TREC以外のメーカーが製造した車両も数多く走る中、東急グループから離脱した今日でもJ-TREC製ステンレス車を採用し続ける辺りは、東急らしい選択という気もします。
(東急と並び旧東急車輌製車両を好んで導入していた関西の狭軌某大手私鉄は、近年になって車両発注をJ-TRECから地場メーカーに移行しつつあります)

2形式の中でも2020系は運行範囲が中央林間~久喜/南栗橋間と非常に広く、同系統での稼働車両数も相当数に及びますので、まだ導入から日が浅く編成数が少ない今日では、狙ってもなかなか捕まらない状況です。

一方6020系は主に大井町~溝の口間(一部大井町~長津田など)の急行運用専従(急行通過駅は5両かそれ以下の編成のみ停車可)で運行範囲が狭い車両ですので、2020系に比べると割合容易に捕まえられます。

MAKIKYUが先月末に東急線を利用した際には、新型2形式の中でも捕まえやすい6020系の方に乗車機会がありましたが、ステンレス車ながらも平滑な側面などを見ると如何にもsustinaという雰囲気。


ステンレス無塗装の銀色が主体ながら、窓上にカラーテープを配した装いは、ホームドア導入が進む今日の状況を強く反映していると感じ、一昔前の東急線車両では標準的な切妻形状とは一線を画する丸みを帯びた前面形状も騒音対策などの実利面に加え、新車である事を強調するために差別化を図る意図もあるのか…と感じた程です。

車番を斜めに表記している辺りも独特で、6020系や2020系の大きな特徴になっており、運行開始したばかりという事もあってか、MAKIKYUが乗車した6020系の前面窓下には「6020DEBUT」のステッカーも掲出されていました。

   
行先表示は前面・側面共に近年の新型車両では標準的なフルカラーLEDを採用、側面は停車中に次停車駅も表示するのは、近年のJ-TREC製車両ではよくある仕様ですが、小さな表示器に駅番号まで表示する事もあってか、かなり狭苦しい印象を受けたものでした。

6020系の大井町線急行程度ならまだしも、2020系が田園都市線と直通運転を行っている東武線へ直通運転する「区間準急 東武動物公園」行きで運用ともなると…とも感じたもので、側面行先表示はsustinaでも少し前に登場した京王線5000系並の大きさにできなかったのか…とも感じたものでした。


車内に足を踏み入れると、こちらもsustina標準仕様が多数取り入れられており、JR山手線で導入進行中のE235系電車などと類似点も多く見受けられますが、化粧板や床材などは無地ではなく柄入り、一般車両にしては高級感を感じる雰囲気に仕上がっていると感じたものでした。

座席は5000系列後期車などでも採用されたセミハイバック型、座り心地は「硬過ぎず柔らかすぎず」で適度な感触と感じたものです。


同じくセミハイバックシートを採用した先代5000系列後期車では、ドア付近の座席に枕が設置されており、6020系では枕が廃止されていますので、この点は評価が分かれる所だと思いますが、個人的には枕なしでも支障なしと感じています。


客扉のガラス押え形状は、最近JR東日本などでよく見かける窓枠の4隅が角張ったものではなく、東急線車両では一般的な四隅が丸い化粧板仕上げ、車内側のドア隅に小さな注意喚起が複数見受けられる辺りは、最近の関西私鉄車両などを連想したものです。

ドアチャイムは東急独自と言っても過言ではない音色の5000系列とは異なり、JRのE235系などで用いられているチャイムと同等の音色となっており、京王5000系などと同種の扉脇手すり形状なども、標準仕様踏襲が深度化している印象も受けたものです。

走行中の電動車モーター音が静粛化され、6020系と共通で大井町線急行に用いられている6000系と乗り比べても静かと感じたもので、東急の車両らしくないと評する向きもあると思いますが、個人的には評価できる事と感じています。

東急田園都市線や大井町線を運行する古参車両の中には、一部で「爆音」と騒がれている走行音が極めて大きい車両も存在しており、2020系や6020系の導入でこの爆音車両の代替が進行すれば、趣味者の一部は別として一般客からは大いに喜ばれるのでは…とも感じたものです。

   
各客扉上には最近の新型車両らしくLCDモニターによる車内案内表示装置も装備、自動放送による案内は2か国語に留まっている中で、モニターでは4か国語案内を実施しています。


内容的にも韓国語表示における次駅案内で「次は」を彼の地の案内と同様の「이번역은」で表示している辺りなどは、内容的も悪くないのでは…と感じたものでした。

この6020系はまだ運行開始から日が浅いものの、営業運行開始前に早速今冬からロング/クロス可変座席を用いた座席指定車両導入の公式リリースもあり、車両差替実施の可能性が極めて濃厚な状況になっています。

そのため6020系は現在の姿を見れる短く、早くも大変貌を遂げる事になるかと思いますが、座席指定車導入をはじめとする大井町線急行の利便性向上策で、混雑が激しい田園都市線からの旅客シフトにどこまで威力を発揮するのかも気になる所です。

また兄弟車両とも言える田園都市線用の2020系も機会があれば一度試乗してみたいと感じたものですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も6020系や兄弟車両の2020系に乗車機会がありましたら、是非その際の感想コメントなどもどうぞ。