マサチャンから
「おばちゃん、山のあなた?観に行くんでしょ。」と聞かれた。勿論よね。もちろん!
「ね、ツヨシ君のどこがいいの?気持ち悪くね?はっきりいってさあ、演技も下手だしさあ。山のあなたもきもちわりーいい。」
ふーーん?そうかい?気持ち悪いはしょっちゅう言われるけれど、どこがか私には分からないのよ。ちいーっとも気持ち悪くない。ま、演技そのものはうまいとは言い切れない部分もあるかとは思っているけれど、ひいき目で見ているからそれは問題ない。
で、父に、娘に送らせた山ほどの雑誌を見せて、
「誰だか分かる?」と強引に聞く。「クサナギだ!」と言うから、おっ分かってるじゃん。
どこで分かるの、とさらにしつこく聞くと、目鼻口を指さして、英樹(高橋英樹のこと)見たいに美男子じゃないけれど独特な顔してるからすぐ分かる、との返答。そうか、そうくるか。
昨日、床屋に白髪染めに行って、なんかそういう話になった。
「徳さん、観たいですね。」と、いじってくれている30代の奥さん。「徳さん」だって!私が言う前にだから本物だ。「あんまりいないよ、そういう人」と嬉しさ堪えている私。
「いや、とっても興味あるわ。」珍しい、私の周りでそんな人。うん、いい人だ。
そんなわけで、6月に横浜に帰って観るのを待ちきれずに、今日新潟で観てきた。
草なぎ剛 加瀬亮 堤真一 の俳優諸氏 子役の広田亮平クン。
イヤーその並びのいいこと、様子のいいこと。昭和の時代にぴったりなお方たちだ。
いわゆる濃くない、どんな色にも染まり、それでいてゆるくなくどこか芯のある俳優たちが画面に登場するだけで、私はもう満足する。
石井監督の配役の妙。よくぞこんなにピタッと合う人たちを集めたものだと思う。
「くさなぎさんが、徳大寺伸さんに似ていたから。」と公言しているけれど、絶対それだけではないはず。
パンフレットで、堤さんが「徳市をくさなぎ剛君が演じると聞いて興味が沸いた。」
と言っているところが、これまたすごくうれしい。
映画は、山の温泉場の3,4日間の日常、非日常のお話。淡々とした話というわけでもないのだけれど。
特に感動するわけでもなく、自分に照らし合わせて来し方行く末を考えるというようなわけでもなく、涙するわけでもなく(あっ、しそうになったところが1か所)、面白くてたまらんわけでもなく。
なんにもない、なあーんもない、なあーんもないけれど・・・
徳市や福市や真太郎や研一クンや美千穂。それぞれの内に持っている激しさや秘めているものが見えてきて。
今でも私の頭の中で
ないしょないしょ なーいしょとまとわりついて離れない。いい映画だった。