朝早くから、どぶ掃除をしたのよ、どぶ掃除。今時どぶ掃除なんてしたことあります?
「どぶ」という言葉すら、聞いたことないかもね。
ここ佐渡では、どぶさらいを自分たちでやらなくてはいけない!!
私一人が税金はどこに使ってる?!と騒ぎ立てていて、地元友人知人は皆そんなものよって聞いてもくれないわけ。っったく!ほんとに!
女年寄りだけの家はどうすりゃあいいんだ、ね。
落としたお金がコロコロ入り込みそうな、カギもストンと落ちそうな、あの隙間が微妙に空いているどぶの蓋をエイヤアって持ち上げなくちゃならないのよ。
びくとも動かないあの重さ。蹴飛ばすこともできやしない。泣きそうになったね。
94歳と相応のおばさんでようやく一つどけたわ。
お隣さんにさらったゴミを入れる袋をもらいに行ったら、「やってあげるから」と言われてやれうれしや。遠慮も何もありゃあしない、ありがたく蓋を全部どけてもらって。
大の男のお隣さんだって、ハアハア言いながら蓋を一つ一つどけているもんね。
どけたらまたかぶせなくてはいけないんだよ。ほんとに!
せめてもと、生まれて初めて、長靴はいてスコップでどぶ掃除をしました、はい。
結構な泥があって臭くて閉口しました。袋に入れるだけでも大変でした。腰が痛くなりました。寝込むかもしれません。非常に弱っています。
市役所に抗議しようと思っています。投書するかもしれません。お隣さんにやっていただいたから、泣き寝入りするかもしれません。
ああああ、いやだいやだ!こんな田舎の行政は嫌だ!また雪かきのことを思い出したじゃないの。
追)
94歳になった父は、退院したばかりの父は、散髪のことしか頭にありません。
私とお隣さんが奮闘しているのを尻目に、さっさと床屋に行ってしまいました。
私の自分勝手は、父の遺伝子を受け継いでいることがはっきり解明されました。
全部終わって台所に行ってみると、父は自分が食べた食器もそのままにして、床屋に急いだことが分かりました。3倍増しで弱りました。
どぶの臭いが鼻につくといけませんので、美しい花をお届けします。
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朴の花
シャクナゲ