日本橋の三井記念美術館で”大名茶人/松平不昧”展をみてきました。松平不昧、没後200年の記念展ということで、お宝満載の素晴らしい展覧会でしたよ。さて、不昧とはどんな人?
松江藩松平家第7代藩主で17歳で藩主となった松平治郷は、藩財政を立て直した名君として知られ、また茶の湯を好み不昧と号し大名茶人のひとりに挙げられる。石州流茶道に学んだ不昧は、江戸後期の遊芸化した茶道に対して利休の茶に帰ることを唱え、生涯にわたって禅学を修め茶禅一味の茶の湯を極めた(サイトより)。
不昧は名物茶器を蒐集するだけではなく、名物を絵入で記録した”古今名物類聚”の出版したり、自分の蒐集した茶道具を品質によって等級分けし、手に入れた日時,相手,金額を記載した雲州蔵帳を残した。これらも展示されている。やはり最上位にランクされたものは、現代でも国宝や重文に指定されている。そうでないのもあるが、それは不昧と現代の審査員の審美眼の差か(笑)。
まずは自己紹介、わたしが不昧です。不昧画像(江戸時代・19世紀 月照寺)
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さて、展示室1に入ると、いきなり重文の油滴天目(南宋・12世紀、九博蔵)。そして、国宝の玳玻盞・梅花天目(南宋時代・12 世紀、相国寺蔵)、同じく国宝の片輪車螺鈿手箱(鎌倉時代13世紀、東博蔵)と大物が並ぶ。
国宝・玳玻盞(たいひさん)・梅花天目
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国宝・片輪車螺鈿手箱
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さらに、国宝、重文ではなくても、斗々屋茶碗/疵斗々屋(朝鮮時代16世紀)や奥高麗茶碗/銘深山路(桃山時代17世紀)など名品が並ぶ。
奥高麗茶碗/銘深山路
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信楽水指 銘 三夕(桃山時代・16~17世紀)
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そして、メインステージ、展示室2には一点のみ。国宝・大井戸茶碗/喜左衛門井戸(朝鮮時代・16世紀/京都・孤篷庵蔵)。古典落語”井戸の茶碗”のモデルにもなった。
国宝・大井戸茶碗/喜左衛門井戸
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そして、第三展示室は国宝茶室・如庵の写し。茶室の中央には、重文・赤楽茶碗/銘無一物(長次郎作、兵庫・頴川美術館蔵)。根津美術館で、見たことがある。書「喝」は、松平不昧筆江。
重文・赤楽茶碗/銘無一物
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さらに、展示室4以降にも、本阿弥光悦作の重文・赤楽茶碗/加賀光悦などの茶道具の名品がいくつも。
さらに、展示室5では、前述の古今名物類聚(松平不昧編)も。
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晩年は、品川大崎の下屋敷に茶室11棟を備えた茶苑を作り茶の湯に興じ、”茶の湯は稲葉に置ける朝露のごとく、枯れ野に咲けるなでしこのようにありたく候(茶楚)”と、到達した境地を述べている。プロデューサーとしての不昧というコーナーでは、不昧お好みの茶道具が並んでいる。
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とてもすばらしい展覧会でした。目の保養をたくさんしてきました。畠山美術館でも松平不昧展をやっているようなので、そのうち。
。。。。。
大相撲夏場所も今日が三日目。松江藩のお抱え力士は、なんと、史上最強力士、雷電為右衛門だった。松平不昧は、茶道具だけではなく、お相撲さんを見る目も高かったようだ。
勝川春英・喜多川歌麿 雷電と扇屋花扇
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