全くもってオーバーホール作業じゃないんだけど、
今日も部品の塗装を剥離っていた。
写真の部品はヘッドのカバー類なんだけど、
タイガーエンジンは独特な凝った作りをしてあるから、
この部品がエンジンに付いてりゃタイガーエンジンだとすぐ分かるね。
それとだが、個人的に好きなカバー類は、
あまり見なくなったけどSPD100のカバー類。
あれもかなり凝ってるから欲しいんだが、
もう作ってないのが非常に残念。
SPDは中華エンジン系と勘違いされるんだが、
あれはれっきとした国産エンジンだからねぇ。
でだ、なんでそんなにエンジンの塗装を剥離したがると言われそうだが、
これもちゃんとした理由があってやってる。
それは塗装を剥離るだけで冷却効果がかなり上がるからだ。
そもそもエンジンがなぜ冷えるかって言うのにも訳があって、
昔の科学で熱量保存の法則って習ったの覚えてるかなぁ?
エンジンから発生した熱は何かに移らなければ冷えることなく蓄積される。
空冷エンジンの場合だとエンジンからの熱が外気に移動する事によって冷却されてるんだけど、
当然だがエンジンの表面がもし100度だったとして扇風機で風をあててみても、
冷却後の空気の温度って100度にはなってない。
つまり熱を空気に移すって効率が良くないし、
熱は何かに移さないとエンジンは冷える事は無い。
だから空冷エンジンの場合はエンジンの表面にフィンを設けることによって、
空気にあたる面積を増やして熱を空気に移しやすくしてて、
フィンがあると無いとじゃエンジンの表面積はかなり違う。
測った事は無いけどたぶん倍以上は違うんでないかなぁ?
エンジンの塗装の剥離もこれと同じで、
塗装されて表面がツルッとした状態よりも、
塗装がないザラザラしてる方が表面積は全く違う。
たぶん倍くらいは表面積が増えてると思う。
だから塗装してある時よりも塗装してない時の方が、
冷却と言う面では遥かに優れているのが分かるんでないかな。
だけどこれは剥離したら2倍冷えるって事でなくて、
効率が約2倍になったって事だから勘違いしないように。
さっきも言ったように熱を空気に移すのには限界があるから、
効率は上げとくのに越した事は無いし、
熱を管理したかったらオイルクーラーの大きさを変えた方が簡単。
大きいの装着しといて冷え過ぎればテープで隠せば良いだけだ。
ちなみに水冷エンジンは熱を一旦水に移して、
それから空気に移してるって事になるけど、
水冷は冷やしたい場所をピンポイントで冷やせるし、
ラジエターって実は表面積は空冷に比べてかなり広いから、
冷却って面では空冷よりは優れていると言えるかな。
剥離後がこれ。
笑っちゃうが地の色と同じ色の塗装してあったみたいで、
だったら塗らくても良かったんでないかと思うわ。
つまり見た目は全く変わらず冷却効果は上がった事になる。
艶は無くなったけどね。
それとチェンジペダルも黒いから剥離しようとしたが、
まるで刃が立たず、たぶんだがこれはブラックアルマイトなんだろう。
剥離剤じゃメッキとアルマイトは剥がせないからな。
今日は塗装の剥離から簡単な科学の話まで出てきちゃったが、
熱量保存の法則の話をもう少しすると、
冷凍したお肉を解凍する時、シンクに伏せて置いておくと早く解凍出来るけど、
あれって熱を空気に移すんでなくシンクに移した方が早く溶ける、
これも熱量保存の法則の応用と言える。
こんな感じで簡単な事だけどわざわざ科学の面からアプローチするってのも、
回りくどいけど面白いよね。