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楽しめる映画ですが、決して佳作とは言えません。
ハクソーリッジとは、沖縄の激戦地浦添市の前田高地の崖をアメリカが「鋸状の絶壁」と言うような
意味のHacksaw Ridegeと名付けたそうです。
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映画前半は、主人公の青年エズモンド・ドスの生い立ちと青春時代をしっとりと描き、
後半はこれでもかこれでもかと戦争シーンが続きます。
ものすごい音と死体やけが人の悲惨なシーンが延々と続き、映画の最後は取り憑かれたように
傷ついた兵士を助けるこの映画の主人公の「英雄的」活躍が描かれます。
彼は、キリスト教の厳格な一派の信者で、菜食主義と武器を手にしないという良心的兵役拒否者です。
その彼が、衛生兵であっても軍隊に志願した理由や根拠の説明はほとんど無く説得性はありません。
彼は当然、軍隊内で猛烈ないじめを受けますが、紆余曲折を経て、沖縄戦に派遣されます。
アメリカでは、このような「非国民」が兵士として許容されることは私には、一種の驚きです。
彼は、命令に従わないと言うことで軍法会議にかけられるのですが、「縁故」事情で無罪となります。
ギブソンのこの映画の良いところは、アメリカ的英雄主義や愛国主義という「絶対精神のアメリカ」や、
戦争は残酷で反対だと言うことを主張するのでは全くありません。
「臆病者」が「一番の勇者」だったと言うことです。
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メル・ギブソンは、昔から私生活でかなり問題があったようで、特にキリストの最後を描いた
『パッション』(2004年)以後、私生活のゴシップでハリウッドで干されていたようですが、
彼の故郷のオーストラリア(生まれはアメリカですが、家族の移住でこの地でし育った)との
合併のこの映画で復活したようです。
しゃれたヨーロッパ映画なら過激な戦争シーンなど皆無に描けると思うのですが、アメリカ映画ですから、
戦闘シーンの「リアルさ」をウリにするのですが、かえって逆に全くリアリティーがないのです。
手足が吹き飛んだり、内臓が飛び散ったり、人肉をネズミが食べる多くのシーンは一見すると
リアリズムのようですが、わざとらしい演出が延々と続くと、リアリティーなくなるから不思議です。
彼の作品、スコットランドの独立のために戦った実在の人物ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた
『ブレイブハート』(映画)も全くそうでした。
おそらく彼の意図はリアリズムなのでしょうが、現実離れしたあまりにも無敵で強すぎる英雄や
過激な戦闘は前述したとおり、滑稽なほどで全く作り物・想像の世界となってしまうのです。
逆説的に言えば、グロテスクでホラー的過激な映像は、これはリアリティではなくあくまで作り物なんだよ、
と言っているように私にへ思えるのです。
ギブソンのこの映画のもう一つの優れているのは日本兵だけを悪者や残虐者にすること無く、
アメリカも火炎放射器を使って、日本兵を焼き尽くすなどの残虐性をかなり平等に表していることです。
つくづく時代の流れを感じます。
多くのアメリカ映画では、日本と日本軍は悪者だけで、残虐性この上なく、馬鹿者がほとんどでしたから。
この映画はエンターテイメントとしてはおもしろいけど決して佳作とは言えません。
この風変わりの青年の生い立ちや内面をしっとりと静かに穏やかに描くヨーロッパ風の映画だったら
どれだけ良いのになぁと思いました。
でも、それだとハリウッドでは全く、無視されてしまうかもしれませんが……。
何より、139分は長すぎです。 【10.16】