細倉金属鉱業の見学を終え、映画『東京タワー』のロケ地ともなった細倉鉱山の旧佐野社宅に現れる。
『東京タワー』とか『三丁目の夕日』とか、昭和30~40年代を背景にした映画が一時ブームを見せていたことがあったが(それらを映画館やレンタルで観たりということはないのだが)。先ほど話した細倉金属鉱業の総務課の方も、『東京タワー』が公開された時は「ロケ地めぐり」で町が賑わったり、実は細倉金属鉱業の敷地や建物そのものも、映画の舞台となった「炭鉱」のイメージやら、その当時の面影を残すということでセットで使われたとかいう話をしていた。
よく映画のロケ地めぐりも「旅」の要素として使われるが、こういうのって、先にロケ地となった場所を観ておいたほうが「この場面って、あそこで撮影したんだよね」と親しみを持って作品に入れるのか、鑑賞後に「この場面って、ここで撮影されたんだ~!」と、手品の種明かしを見るように訪問したほうがよいのか、どちらなんだろう・・・?
それはさておき、旧佐野社宅の敷地内は、当時の建物がそのまま残されていたり、往年の商店の店先のレイアウトが微妙に再現されており、訪れる者の目を楽しませてくれる。屋内に入って見学できる建物は限られているが、ロケ時の写真が展示されていたり、看板も当時のものを再現したりと、作品を観ていない初めての者でも十分楽しめるつくりになっている。作品の舞台は筑豊の炭田らしいが、産物は違えど当時の「鉱山の町」の風情を伝えるにはうってつけの場所だったのだろう。
『東京タワー』はまたレンタルでもして鑑賞するとして、この先どのようなコースをたどるかである。細倉から南下すれば、伊達政宗の居城があった岩出山(当時の甲冑が町のあちこちで展示されているとか)にも出られるのだが、細倉鉱山ということを考えれば、旧くりでんの遺跡を観るのもいいかなと、当時の車両などが現在も展示されているという旧若柳駅を目指す。カーナビには廃止後の路線もまだ表示されており、道には迷わずにすむ。
ちょうどこの日はイベントがあり、旧若柳駅では車両の展示だけではなく物品の販売も行われていた。中には踏切の遮断機や警報機の入札なんてのもある(やはり入手する人がいるんでしょうな)。どこから来るのか、その筋の人やら、ボランティアの人の姿も目立つ。先の地震で亡くなった方もくりでんの再生と地域活性化の活動をされていた方で、それだけ視線が寄せられているということ。
暖かくなってきたので、しばし日向ぼっことする・・・。