高槻市から一気に高野山への途中にある下古沢に向かうことにする。今回は阪急の梅田から御堂筋線を経由して南海のなんばへ。橋本の向こうにある下古沢、せめて橋本まで特急に乗って行こうかと思ったが、1時間に1本の「こうや」は少し前に出たばかりである。結局はロングシートの急行に揺られる。高野線では2度目となる和歌山県入りである。
橋本からは極楽橋~高野山ケーブル連絡の各駅停車に乗車。普通の通勤電車としても使用している形式が4両である。ちょうど参拝客、行楽客にとって適度な時間だからだろうか。
紀ノ川を渡り、少しずつ高度を上げる。橋本から先は高野山を目指す山岳路線ということで、「こうや花鉄道」という愛称がついている。沿線の展望を楽しむ特別列車「天空」もこの区間での運行。
真田幸村が大坂の陣の前に身を寄せていた九度山を境に山岳路線の風情が高まる。沿線も渓谷ムードがただよってきた。駅名標も観光路線らしいものがかかっており、駅ごとに標高も表示されている。その勾配がいよいよきつくなるなという手前のところが下古沢である。標高177m。
下車したのは私一人。列車が行ってしまうと静寂が広がる。駅舎のすぐ下に集落が広がっており、いわゆる「秘境駅」にはランクしていないそうだが、ミナミの雑踏から1時間あまりでやってきたことを思えば、まるで別世界のようである。
無人駅ということもあり、しばし駅の風情に浸る。この駅舎も近代産業化遺産に認定されているとか。「天空」は通過するらしいが、こういう無人駅風情というのも十分車窓に映える。
駅の下の道はウォーキングのルートにもなっているようだ。何でも九度山のあたりから高野山まで「高野森林鉄道」という、木材運搬をやっていたトロッコがあるとのこと。その軌道跡を利用しているとのことで、少し歩いてみたが、小ぢんまりとしたトンネルといい、適度なカーブといい、なるほどトロッコやなと感心する。
高野山を前にここで引き返すことになるのは残念だが、次に向かうことにする。下古沢の「わ」なので、おっと、これは「サイコロしりとり」終了のチャンス??
1.若江岩田(近鉄奈良線)・・・ちょっと惜しいところ。
2.和歌山港(南海和歌山港線)・・・やはり「わ」といえば和歌山か。
3.和歌山大学前(南海本線)・・・「ふじと台」としてのニュータウン開発も進む。
4.渡辺橋(京阪中之島線)・・・さて出るか、ゴール駅。
5、6・・・振り直し
この中で4が出れば企画終了だが・・・出たのは何と「2」。和歌山市のその先の終点、和歌山港である。
普通に考えれば、下古沢からだと橋本まで戻り、JR和歌山線と紀勢線(紀勢線のダイヤが合わなければ和歌山駅からバス)とで行くのが普通である。しかしこの「サイコロしりとり」は、スルッとKANSAIの使用できないJRに乗ることは、移動手段としても不可というルールになっている。ということは一度高野線で大阪方面に向かい、折り返す形で和歌山まで南下するという、何とも時間のかかる話である。でも仕方ない。
やってきたのは2両のミニ編成。車内は1-2列の転換クロスシート。外国人観光客の姿も見える。箱根や大井川、叡山などと並ぶ山岳路線であることの広告が貼られている。かつてこの勾配をモノともせずに上ったのが「ズームカー」というやつで、現在は大井川鉄道や一畑電鉄で見ることができる。
いずれは極楽橋に行きたいなと名残惜しい中で、下り勾配を走る。途中の学文路では極楽橋に向かう「天空」と行き違う。緑色の車体の展望エリアは結構埋まっているが、その後ろに「自由席」として普通の2両編成の車両が併結されていたのは意外だった。観光客対策だろうか。「天空」の車両には乗れないにせよ、せめて風情を味わったもらおうということか。
橋本まで戻り、ここからどうするか。次になんば方面に向かうのは11時06分発の「りんかん8号」。まずは最速ルートで大阪に戻るが、何もなんばまで行かずとも、例えば堺東で下車して堺まではバスで移動するか、あるいは天下茶屋で折り返すか。ここはバスでの堺市街地横断が時間がかかりそうということで、天下茶屋まで行くことにする・・・。