京都府の南部~和歌山~そして明石と、関西をまたにかけて移動するこの企画。「スルッとKANSAI3dayチケット」の価格は5200円であるが、この分だと1日の移動だけで元を取ってしまうのではないかというくらいである。それだけこのチケットはお得だし、対象エリアの広さをも感じる。和歌山大学前から山陽電車の江井ヶ島に向かうが、今回阪神梅田経由で行った場合、通常運賃は2110円もする。
阪神梅田まで出たのは、山陽電車への直通特急に始発から乗るためである。先日、近鉄・阪神・山陽横断ツアーなるものに参加したのだが、その時は阪神のロングシート車両。車内をうろついたり写真を撮ったりするのには適していたが、やはり転換クロスシートの特急車両が山陽電車らしいなと思った。「軍師官兵衛」ラッピング車両は無理としても、明石までいくのだからそういうのに乗ってみたい。
と思って梅田のホームで待ち構えていると、やってきたのは・・・阪神のロングシート。急ぐわけではないので1本見送ってもいいのだが、座れるのに1本見送ることもないかなと思い、そちらに乗車。阪神区間、神戸の地下区間、そして須磨の海に明石海峡大橋と、シート越しに車窓を見る。
明石で各駅停車に乗車して江井ヶ島に到着。対面式ホーム2面に平屋の駅舎がある。これまで山陽電車のいくつかの駅に降りているが、いわゆる無人駅というのが多い。自動改札もあるしICカードなどで対応できるからさほど支障はないのだろうが。まあ、私が通勤で利用する阪神の某駅も朝と夜は駅員がいない(大阪市内の駅なのに・・・)から、そんなものかもしれない。
例によって駅近辺のどこかに行くことにする。いつも次の駅に向かう途中でウィキペディアで駅の検索を行うのだが、江井ヶ島について特に目を引く記述はなかった。ただ駅前に「ふるさとの道あんない」というイラスト看板がある。「江井島港」というのがある。どのくらい距離があるのかイラスト図なのでわかりにくいが、海でも見えるかとそちらに向かうことにする。その時は気づかなかったが、日本史で習うところの「明石原人」というのは、この辺りで発掘されたことによる。
古い民家も並ぶ静かな一角を歩く。7~8分もすると前方に水平線が見えた。案外近い。
するとどうだろう、小ぶりではあるが海水浴場が広がっている。もっとも、海の家や監視員もいる入場料を取るような公的海水浴場ではなく、利用する人が自己責任で勝手に泳いで楽しんでいるところである。子ども会だろうか、スイカ割りを楽しむ子どもたちもいる。男の子が見事にスイカを真っ二つに割り、歓声が上がる。
江井ヶ島の由来が書かれた石碑があったのでそれを読む。それによれば、かつてこの一帯は「嶋」と呼ばれており、奈良時代の行基によって港が開かれたという。行基が海上安全の祈祷をしていると、畳2枚ほどのある大きなエイが入ってきた。人々はエイを追い払おうとするが逃げない。そこで行基がエイに酒を飲ませてやると、エイは満足して沖に去った。そこから、「エイが向かってくる嶋」ということで、「江井ヶ島」となったとか。江井というのは当て字だろう。
また石碑では別の説として、この辺りは昔から「西灘の寺水」と呼ばれる良い水が出ることから、「ええ水が出る井戸のある嶋」ということで「江井ヶ島」となったとしている。うーん、行基伝説に水の伝説。行基は確かに摂津から播磨にかけての港の整備に力を尽くしたから、それにあやかるのはありかな。ただ、「ええ水」を地名にするということのはちょっと無理があるだろう。これは後付で、「江井ヶ島の水はええで」というPR用ではないか。
こちらの水がええのは確かなようである。今回は気づかなかったが、このブログでもたびたび登場する「実年齢+3歳」という酒歴を持つ鈍な支障さんによれば、江井ヶ島には「江井ヶ嶋酒造」という酒蔵があり、「神鷹」という清酒や「福寿天泉」という麦焼酎などを扱っているとか。知っていたら、エイヒレを肴に神鷹のワンカップ(を出しているのか知らないが)・・・もありかな?
その海岸を見下ろすのが住吉神社。海の神らしいところである。社殿から鳥居越しに海を見るのもいい眺めである。もっとも、お賽銭は社殿の扉の脇に小窓があり、「ここから入れてください」というもので・・・。今後の交通安全を祈願する。
サイコロの目が出た時は「何と中途半端な」と思ったが、訪れてみると歴史あり、地元の人たちが楽しんでいる海水浴場、きれいな海を見ることもできた。普段は特急で通過してしまうところだが、自分の見聞が一つ増える面白さがある。
で、次のサイコロだが、江井ヶ島の「ま」となるといよいよ選択肢が少なくなってきた。
1、2、3.松ノ馬場(京阪石山坂本線)・・・京都~和歌山~明石ときて今度は大津!
4、5、6.牧野(京阪本線)・・・こちらも普段は通過駅。
ゲームとすればここで松ノ馬場が出た方が面白いのだが、時間も夕方近くなり、さすがに移動で疲れたので、この日は3駅しか訪れていないが繰り越しにする。さて、江井ヶ島の海岸でのサイコロは・・・またしても「4」。次は牧野から再開である。実はあまりよろしくない展開なのだが、その理由は次回のお出かけにて・・・・。