

三井寺の大門から歩いて2~3分の博物館。エントランスを入ると「企画展のお客様ですね」と声をかけられる。常設展との共通で400円である。




また各駅のレイアウトを絵巻物風に描いた絵図が置いていたり、モニターでは往年の走行風景の映像が流れる。私の産まれる前のことだが、ああいう車両がのんびり走るというのも体験したかった。

ただ、これは「超ローカル線でどうしようもなくなって廃止した」ということでもないようで、その答えは今走っている湖西線にある。近江と若狭だけでなく、関西と北陸を結ぶバイパス線として高規格で建設され、特急も貨物も湖西線を走ることになった。その建設用地を差し出す形になったわけで、今でも湖西線の駅間距離が比較的短いのも江若鉄道の名残と言ってもいい。江若の名前は今はバスで見ることができる。
とまあ、そんな歴史があったわけだが、地元の人たちには愛されていた路線だったのは確かなようだ。今回の企画はジオラマや写真、思い出話のパネルが中心である。


先に挙げた白髭神社だが、私もクルマで初めて通った時に、宮島の厳島神社ほどのスケールはないが湖面に鳥居が浮かぶ姿にうなったものである。今の湖西線はちょうどトンネルに入るので見ることができないが、こうして古きよき鉄道の風情を追体験するのもよい。




かつての駅舎で唯一現存しているのは、終点の近江今津。その駅舎は、西国三十三所巡りで竹生島に渡る前に見た。
その後、いろいろ写真を見るが、特に夏は琵琶湖で泳ごうという家族連れで賑わった様子が伺える。客車の窓も扉も全部開け放って客が鈴なりになっていたり、浜大津での京阪との乗り換え客が交差点にあふれていたり。

その江若鉄道、湖西線の建設と引き換えに姿を消したわけだが、その湖西線も10年後にはどうなるか。
今月、北陸新幹線が金沢まで延伸開業した。今のところ、東京と北陸が近くなったという効果しかないが、北陸新幹線の最終目的地は大阪である。東海道回りだけでなく、北陸経由での幹線ルートを確保する役割がある。現在は敦賀までのルートは決まっているが、その先のことはわからない。
候補は3パターンあるが、その一つが湖西線ルートである。まあそれは自然な発想だが、実際通すとなるとどうなるか。今の高架線を改良するのか、はたまたもう一本線路を通すのか。仮に新たに建設したとして、さすがに湖西線を今の並行在来線のように第三セクター化するということはしないだろうが、かつて江若鉄道を廃止に追いやった湖西線がどうなるかと考えるのも皮肉なものである。
なかなかに楽しんだ企画展示の後は、常設展示を見る。大津市は近江八景を持つ歴史風情あふれるところで、大津、膳所、坂本、堅田といった主要エリアの歴史展示が興味深い。それぞれのジオラマも、(撮影不可なので画像はないが)かなり精巧にできている。案内映像でも「ジオラマを近くで見ると当時の雰囲気に近づける」ようなことを言っていた。先ほどの江若鉄道のジオラマは直接関係ないが、こうした見せ方はなかなかなものと思う。



さて西国三十三所巡り、次は初めての京都編である。暖かくなってきたことだし、これからどんなペースで回ることになるか・・・・。