まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第16回四国八十八所めぐり~川之江にて

2018年05月05日 | 四国八十八ヶ所
4月29日、日曜日の夕方の川之江駅に降り立つ。駅前のアーケードの商店街には「紙のまち川之江」と書かれているが、日曜日だからか見事に「シャッター商店街」と化している。開いている店はまばらだ。個人商店が多いのだろうが、見た感じ、平日も営業していない店も結構あるのではと心配してしまう。

その商店街の間に、立派な山門の寺が見えたので言ってみる。江戸時代からの古刹である真言宗の吉祥院という。今年はもう見頃を過ぎて花も落ちたようだが、牡丹の名所だという。

少し歩いた川沿いに「紙のまち資料館」というのがある。閉館間際だったので急いでの見学だったが、製紙業で発展した川之江の過去から現在が紹介されている。和紙作りのメカニズムから、最新の工業製品としての紙製品まで触れられている。また予約にて紙すき体験ができるとあり、階上の工房では子どもたちが挑戦の最中だった。

和紙の芸術作品には水引がある。水引といっても祝儀袋のそれに止まらず、立体性を持たせ、龍などをあしらった一つの芸術作品になっている。

展示コーナーの一部は和紙製品の販売コーナーも兼ねている。はがきや便箋などの定番に加えて、四国八十八所や西国三十三所の納経帳が並んでいたのは驚き。川之江の和紙で作った納経帳、ありがたみも増すかな・・?

この日の宿にチェックイン。ホテルセレクトイン四国中央で、コンパクトにまとまったビジネスホテルである。フロントにて「三角寺さんに行かれたんですか?」と訊かれる。それは翌日ということで。シングルだが部屋が意外に広い。元の城下町の中で、ちょうどこの一角は、短命に終わった川之江藩の一柳家の陣屋があったそうで、ホテルの向かいにはその碑が立っている。

さて時刻は17時前、八十八所めぐり定番?の「夜の八十八所」探しである。フロントにはお手製の近隣の店紹介の地図が置いてあり、これを元に物色する。シャッター街に見えた商店街の路地にも居酒屋があるし、無難なチェーン店なら養老乃瀧もある。

ネット検索と合わせて見る中で、四国中央市のローカルフードに「揚げ足鶏」があるのを知る。鶏の足のところ、丸亀をはじめ香川ならこれを焼いた「骨付き鶏」が人気のメニューだが、四国中央市の川之江や伊予三島では素揚げにするのだという。あくまで「揚げ足鶏」で、「揚げ足取り」ではない。

その店の一つが、商店街から踏切を渡ってしばらく歩いた、甲子園にも出場したことのある川之江高校の向かいにあるという。「若鳥大門店」におじゃまする。

小ぶりな店内は17時すぎだがごった返す様子だ。カウンターに座ると、店の大将が次々に鶏の足肉を少し手でほぐして油の中に次々に放り込む様子がよく見える。また他の部位もパン粉をつけて別の油の中に放り込む。奥の座敷にゴルフコンペの打ち上げらしいお父さん方の団体が入ってすでに出来上がっていて、そこからも次々注文が来る。店員も少ないので対応に追われている。

その中で頼んだのが「足」と「手羽」。足は素揚げ、手羽はパン粉つき。中でも手羽は、左右両方の手羽先と手羽元が一緒に揚げられてデンと置かれる。いずれもビールによく合う味付けだ。

店がてんてこまいなのは奥の団体だけのせいではなく、ひっきりなくかかる電話のせいもある。いずれも持ち帰りの注文で、鶏肉と油とパン粉と格闘する大将も手をはたいて受話器を取る。その注文、私が聞く限りでは出来上がりが最初「15分後」「30分後」だったのが、そのうち「1時間後」となり、「足以外はダメ」となり、ついには「今日は売り切れました」として電話注文はお断りとなった。開店は16時で、現在まだ18時すぎだが・・。一方で、電話注文の客が裏口から訪ねてきて、ケーキなど入れる容器に入った揚げ足鶏を持ち帰るのも待たせる状態となった。クリスマスにローストチキンを持ち帰る光景が、ここ川之江では日常的に行われるわけだ。

持ち帰りの客を待たせるのは仕方ないが、まだ18時すぎなのに店の暖簾を外し、普通に店を訪ねてきた客もお断りになった。すでに店の中にいる客はよかったのかもしれないが、そうされると私も追加の注文がしづらくなり、鶏肉でお腹はふくれたが気持ちは消化不良で店を出た。店員も別に申し訳なさそうな様子もなく、この店、いやあるいは川之江では普通なのだろう。

これ、大阪で同じことされたら客は怒って2度と利用しないだろうな。店の方も、オペレーションを何とかして店内、持ち帰りの客両方をうまく回そうとするだろう。どこの居酒屋で、開店から2時間で店を閉めるところがあるか。忙しいのはわかるが、どこかもったいないように思う。元々持ち帰りメインの店だとか、川之江の人たちもクルマ社会なのだろうが、持ち帰りよりも店に食べに来ようとしないのかな・・・?

この後は部屋でゆっくりする。翌日30日は午前中に65番の三角寺にお参り、その後で川之江野球場での四国アイランドリーグ観戦である。忙しい1日になりそうだが、その前にゆっくり休むことにする。ホテルの周りは実に静かだ・・・。
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