まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第16回四国八十八所めぐり~第65番「三角寺」

2018年05月07日 | 四国八十八ヶ所
三角寺口のバス停から歩いて三角寺の山門下の石段に着く。これを一気に上ると山門に着く。ここは山門の真ん中に鐘が吊り下げられていて、山門で一礼した後に続いて鐘を撞く形になる。

三角寺は奈良時代、聖武天皇の勅願で行基が開いたとされている。その後、弘法大師が本尊の十一面観音と不動明王の像を安置し、三角形の護摩壇を設けて秘法を施したという。護摩壇の形が三角というので三角寺とはベタな命名だとは思うが・・。往時は多くの寺領を有していたそうだが、長宗我部元親の兵火で焼失し、江戸末期に再興したとある。

なお、こちらの十一面観音は子安観音として信仰されている。子どもを祈願する夫婦は寺で杓子をいただき、無事安産すると新しい杓子を奉納するのだという。その杓子を使って夫婦仲良く食事をすることが子宝に恵まれることにつながるそうだ。

境内に入ると周りは青々とした木々に囲まれている。また今は花はないが、巨大な山桜の木もある。かつては小林一茶もこの山桜を愛でたそうだ。

本堂はその奥まったところにある。少し息を整えて、ここでまずはお勤めである。クルマで来たとおぼしき人たちの中に、歩きで来たらしい出で立ちの人もいる。朝方のバスには乗っていなかったから、朝から伊予三島、あるいは川之江からここまで歩いて来た人たちだろうか。ちなみに次の札所である雲辺寺へは、歩きだと1泊2日のコースだという。途中、県境に近い民宿に泊まるのが定番だそうだ。

緑もみじといった感もある境内。大師堂も緑に囲まれた中にたたずんでいる。

納経所で朱印をいただき、しばらく境内で休憩。真新しいトイレも設置されている。時刻は9時を回っており、川之江まで歩いて2時間かかると見ても野球には十分間に合うはずだ。歩きの人はこのまま雲辺寺を目指すのだろうが、私だけ逆に今来た坂道を下ることにする。

結構勾配が急だ。そんな中、クルマは引き続き上って来るし、歩きという人ともすれ違う。もっと驚いたのはマウンテンバイクを押して上がる人。こういう場合、手で押さなければならないから最もキツいのではないかと思う。

先ほどの集落との分岐道を今度は直進し、川之江の中心に直接向かう車道を歩く。少し行くと、伊予三島からの遍路道との交差点に出るが、そのまま下る。こちらも高台に住宅もあればみかん畑、さらには牛舎や鶏小屋の横を過ぎる。鶏を見ると、前夜にいただいた揚げ足鶏の足や手羽の部分を思い出す。ああいう店で出す鶏というのはどこで育てられたものかなと思いを致す。

ひたすら下る。寺から30分ほど歩いたところで松山自動車道の下をくぐる。この場所のちょうど横が上分(かみぶん)のパーキングエリアだ。三島川之江インターの東に位置しており、これまで何回か松山自動車道を通る中で、こういう名前のパーキングエリアがあったのを思い出す。その場所に出るのかと地図を見て納得する。

松山自動車道をくぐってさらに5分ほど行くと、「天道たいま山退魔堂ご案内」という看板がある。もちろん八十八所とは関係ないが、弥勒や観音、地蔵もいるそうだから仏教系の何かの新興宗教だろうか。

この辺りから人家も増えてきて、ようやく平地に戻った感じがする。そんな中ふと道端に「新四国第七十九番 高照院」の立札がある石仏に出会う。新四国?と思いながら通り過ぎると、すぐ近くにも近い番号の同じような立札がある石仏がある。その番号と札所の名前が一致している。こちらは四国八十八所に何か関係あるのかなと調べてみると、川之江の新四国めぐりなのだという。四国全土に行くのはなかなか難しいから、川之江の町の中に八十八のいわばお砂踏みを設けた形のものである。気づかなかったのだが、この川之江新四国を設けたのが前日訪ねた川之江駅前の吉祥院だそうで、吉祥院が1番だという。川之江の集落をぐるりと回る八十八所というわけだ。

上分の町から川之江の集落に入る。この辺りは昔ながらの町並みがあるかと思うと、遠くには製紙工場の煙突も見える。ここは淡々と歩く形になる。

11時前、川之江の駅前に戻ってきた。振り返っても三角寺の境内は山の中で見えないが、あの中からよく歩いて来たものだと思う。そういえば前日泊まったホテルの向かいがフジ系列のスーパーである。野球場の食事情がよくわからないので、ここで昼食と飲み物を仕入れることにする。地酒の梅錦のワンカップもしっかり仕入れる。

こちらも旧陣屋のエリア。川之江といえば模造天守のある川之江城があるが、また丘まで上がることになることもあり、ここは丘の下を過ぎるのみにする。

その城の下に入江があり、細い路地の集落の中を抜けると浜公園に出た。ちょうどレフトスタンドの後方で、正面入口へはもう少し歩く。三角寺から歩くこと2時間あまり、これからいよいよ今回楽しみにしていたアイランドリーグ観戦である・・・。
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