



ただ、行き交う人、上る人を見ても、ほとんどの人が両手がフリーである。たまに登山用・トレッキング用のポールを手にしている人はいるが、金剛杖という人はいない。さすがに遍路といえども、石鎚山にまでやって来る人は少ないのだろうか。逆に私はしんどいが「プチ修行」で上っているという感覚である。

石鎚山には4本の鎖場がある。最初が試しの鎖(74m)、続いて一の鎖(33m)、二の鎖(65m)、そして最後に三の鎖(67m)とある。石鎚山が修行の場であることの名残で、18世紀には「鎖が切れたので架け替えた」という記録があるので少なくともその時代には存在していたが、最初にいつ架けられたのかはわからないそうだ。かつて使われていた鎖の一部は、麓の石鎚神社の石段の手すりとしても使われている。
石鎚登山のブログなど見ると、一連の鎖場にチャレンジしたという記事が結構載っている。鎖場を上らなければ修行したことにならないというものまである。私も、せっかくの機会なので全部とは言わないまでも1本くらいは上ってもいいのかな、いや、上らなければならないのかな・・と考えていた。ただこういう「高所」はどちらかと言えば苦手だし、また手には金剛杖がある。先達さんや連れがいるわけでもないので、この杖を持ってもらうわけにもいかない。

































せっかくなので昼食にしようと、適当な岩場にスペースを確保してから山頂小屋に向かう。小屋は食堂になっており、カレーライスやおでんなどのメニューもある。私は昼食を持って来ていたのでこれをいただくとして、買ったのは缶ビール。缶ビールが売られているとは意外だった。350mlが1本580円。まあ、それくらいするだろう。「缶は必ず下まで持って帰ってね」と言われる。標高2000m近くでビールとは酔いそうだが、一段落した後の一杯である。

