まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第22回四国八十八所めぐり~高松への船旅

2018年11月27日 | 四国八十八ヶ所
神戸港を出航したジャンボフェリーの「りつりん2号」。風は吹くが天候もよいのでしばらく最上階の展望デッキで過ごす。ベンチがあればよいなというところだが、床には人工芝のマットが敷かれている。夏の多客期など、暑くても潮風を楽しみにここに寝転がって過ごす客もいるのではないだろうか。

三菱重工や三菱電機の拠点がある和田岬から外海に出る。この日は天候がよく、東の大阪方面から紀伊水道方面までも望むことができる。梅田のビル群や南港の咲洲庁舎もうっすらと見える。日本時間でこの日の未明、2025年の万博が大阪・夢洲で開催されることが決定した。そのアクセスはこれから整備されることになるが、その一つに、神戸港またはポートアイランドからの船便というのも検討されているそうだ。

船上から須磨の海岸を見るのも新鮮な感じである。そんな中、飛行機も何機か飛んで来る。神戸空港を離着陸するスカイマークの便。

出航から1時間、明石海峡大橋に近づく。このタイミングで大勢の乗客が展望デッキに上がって来た。この時間の便の見どころで、橋が近づくに連れてカメラやスマホが向けられていく。ちょうど橋の下をくぐる時には歓声があがった。

この後は播磨灘に出るが、車窓の見どころがまず一区切りついたし、1時間風に吹かれるとさすがに寒くなってきたので船内に戻る。

船内には売店があり、小豆島や香川の土産物も買うことができる。今回上陸できないが、小豆島の醤油や森國酒造の地酒を購入する。さらにジャンボフェリーの「売り」の一つが立ち食いうどんコーナー。「うどん県」をPRする香川らしい(うどんそのものは冷凍品のようだったが)。注文したのは小豆島の醤油あげ煎餅を乗せた「しまうどん」という一品。フェリーのオリジナルメニューか、小豆島では一般的なトッピングなのかはわからないが、うどんの食感と出汁を浸して軟らかくなった煎餅の独特の食感を楽しむ。

この後はしばらくカーペット桟敷に横になる。普通の四国行きの旅行ならば、潮風に吹かれながらビール、あるいは小豆島の地酒(1合枡がついていた)を一杯やるところだろう。一瞬頭によぎったが、今回はこれから1ヶ所とはいえお参りがあるので我慢だ(帰りにフェリーに乗るのであれば間違いなく桟敷で酒盛りになるのだろうが)。少しウトウトしたり、スマホを触ったり、手持ちの文庫本を広げたりする。

出航から3時間、窓の外に大きな島影が見えたので展望デッキに上がる。小豆島である。東側から見ると険しい地形が見える。小豆島は海底火山が隆起して形成された島で、陸地のほとんどが山だという。フェリーはこれから島東部の坂手港に寄港する。

小豆島にはまだ上陸したことがない。紅葉の名所としても知られる寒霞渓、二十四の瞳、醤油、そうめんというキーワードが頭に浮かぶ(古いか)。一度は行ってみなければと思うのだが、最近、「小豆島に行くならただこれらの観光に行くだけでは済まなくなるのでは?」とも思うのである。

実は小豆島には「小豆島八十八ヶ所霊場」というのがあり、知多、篠栗と合わせて「日本三大新四国霊場」の一つとされている。この小豆島八十八ヶ所は弘法大師が讃岐と都との行き来の合間に山岳修行をして開いたとされており、江戸時代には四国に習うように八十八霊場のコースが出来上がったという。土庄を起終点として島を時計回りに一周するのだが、島へのアクセスも限られる上、公共交通機関もほとんどなく、山道の上り下りが繰り返されるハードなコースだという。小豆島に行くのならいずれはこの札所めぐり(奥の院を含めて94ある)もやることになるのかな、素通りとはいかないのかなとぼんやりと考える。

島の南側に回ると前方に坂手の集落が見えてきた。風が穏やかになってきた。周囲を山や岬に囲まれている分、港に適した地形なのだろう。少しずつ接近して接岸。ここで4分の3ほどの客が下船する。高松より小豆島が目的地という客が多かったのは意外だったが、ジャンボフェリーの実態は関西~小豆島がメインなのかもしれない。特にこの日は翌日の25日に土庄で「瀬戸内海タートルマラソン」というイベントがあり、それにエントリーするため前日に小豆島に渡った人も多かったのではないか。

坂手港を出航して船内に戻ると、桟敷席も椅子席もガラガラになっていた。高松までは1時間あまり、左手に四国本土の姿が少しずつ大きくなってきた。合わせて小さな島々が現れて瀬戸内らしい多島海の景色が広がる。

左手に現れる五剣山や屋島にはそれぞれ85番の八栗寺、84番の屋島寺がある。これらは次回に訪ねることになる。

独特の形をした屋島をぐるりと回り込むように進み、高松東港に近づく。4時間あまりの船旅は列車やバスにはない開放感があり、また桟敷で横になることもでき、なかなか快適な時間だった。小豆島八十八所は置いとくとして、四国行きの公共交通機関の一つとしてまた機会があれば乗りたい。

高松東港から高松駅までは無料のシャトルバスが出ている。10人ほどが乗り込み、10分ほどで駅前のバス乗り場に到着した。時刻は13時前、今回は日帰りのため、この時間から訪ねるとしても1ヶ所が精一杯である。

その前に昼食ということで向かったのはJR高松駅構内の「連絡船うどん」。かつての宇野~高松ルートではないが、フェリーで来たということもあってかつての雰囲気をしのぶのもよいだろう。この店はホーム側、駅の外側両方から注文することができる。もっとも店内の外側のスペースは限られているので、駅の外側からの客は外のテーブルに丼を持ち出してすすることになる。

さて・・・相変わらず札所までのアクセス記事が長いのだが、午後になってようやく本題である。ようやくこれから83番の一宮寺に向けてことでんで出発する・・・。
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