まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

大相撲総社場所を観戦・1

2018年11月01日 | 旅行記F・中国
ここまでの記事が長くなったが、10月20日、今回のメインである大相撲の秋巡業・総社場所である。これを書いている時点では11月の九州場所の番付も発表され、力士たちも福岡入りしているわけだが、その前に行っていたのが秋巡業。東京から始まり関東、中部、関西、中国、四国と連日巡るが、そのルートをたどってみると、旅好きの私でもうんざりするような移動の毎日だ。そんな中での総社場所で、前日19日は倉吉、翌日の21日は高松へと向かう。

さて、倉敷で宿泊した翌朝、6時54分発の伯備線新見行きに乗車する。10分あまりで総社に到着すると大勢の客が下車した。この中にも巡業観戦の客がいるはずだ。会場である総社市スポーツセンター「きびじアリーナ」へは駅から徒歩20分だという。開場が8時からなのでこの列車にしたわけだが、駅の外に出ると観戦らしい人は10数人が歩いていた。

15分ほどできびじアリーナに到着する。やはりクルマで来る客が多いようで駐車場の誘導に追われていた。その中で観光バスもやって来るが、これは団体客ではなく、会場から離れた高梁川の河川敷に設けられた臨時駐車場からのシャトルバスだそうだ。

アリーナの外には幟が並ぶ。秋巡業を途中休場した横綱白鵬や、鶴竜、稀勢の里の両横綱、最近注目を集めた千賀ノ浦部屋などさまざまで、これをバックに記念撮影する人もいる。到着した時は入場口に200人ほど並んでいたが、みるみるうちに列が長くなる。その中で、力士も交えて警察からの特殊詐欺防止を呼び掛けるグッズの配布が行われると列がぐちゃぐちゃになった。まあ、全席指定だからいいか・・。

8時に開場。屋内の体育館ということで土足禁止で、靴はビニール袋に入れる。スリッパの持参を促されていたので前日100円ショップにて購入しておいたのに履き替える。早速グッズ売り場にも大勢の人が向かい、力士の色紙やグッズ、お菓子などが次々に売れて行く。

別のコーナーでは力士の握手会が行われており、何人かの力士が入れ替わりで登場する。私が行った時は若隆景、炎鵬がいて、少し間を開けて行くと隠岐の海、明生がいた。

会場は1階が桟敷席、椅子席、そして2階が椅子席である。チケットを購入した時点ではまだどの席種も空席があったのだが、選んだのは2階の椅子席である。桟敷席は値段が高いのもあるが、一人当たりのスペースが狭いように思う。また1階のイス席は体育館にパイプ椅子を並べたもので本場所の桝席のような傾斜がないため、観にくいのではないかという先入観があった。2階なら体育館の元々の椅子のため、全体を見渡せるかなと思いこちらを入手。指定されたのは正面だが通路側ではなく中の席。前後や横の間隔が非常に狭く、入場した早い時間ならいいが埋まると身動きが取れなさそうだ。事実、時間が経つとこのエリアは全部埋まり、席で弁当を食べるのにも苦労したし、途中でトイレに立つのもはばかられる感じだった。これなら、1階のパイプ椅子のほうがまだゆったりしているように見えた。また桟敷席の座布団は記念に持ち帰ることができるほか、座椅子の貸し出し(追加料金で持ち帰りも可)もあり、本場所とは違った楽しみ方がありそうだ。

本場所と違うといえば、1階であれば花道や控えにいる力士たちにサインを貰えたり記念撮影ができたりする。さすがに横綱や大関、三役クラスの力士は無理としても、稽古前の幕内や十両は気軽に応じる力士が多い。うーん、もう少しお金を出して1階席にすればよかったなあ。会場によって違うのだろうが、きびじアリーナでは構造上、2階席の客が1階エリアに入ることができず、2階からその様子を見るばかりだが、見る限りでは一番ペンを走らせていたのは北勝富士だった。

それを残念がっても仕方ないので土俵をしっかり観よう。開場前から下位の力士の公開稽古は行われており、土俵上では三段目の力士たちが申し合いを行っているところだった。20人くらいの力士が土俵を囲むように縁に立っていて、中で取組の勝負がつくとそのたびに大声が起こってもみくちゃになる。ご存知の方も多いと思うが、申し合い稽古は勝ち抜き戦で、勝った力士が次に対戦する力士を指名する。そのため、待っている力士が「次はオレだ!」とアピールするのである。これを繰り返す。自分から積極的に行かないと土俵に上がることも難しく、番数もこなすことができない。ならば土俵の数を増やせばいいのではと思うが、見取り稽古といって他人の稽古を観察するのも重要なのだという。

それにしては力士たちは正面、東西に固まっていて向正面が開いているなと見ると、行司溜には春日野親方や振分親方など親方衆が稽古を見守っている。巡業ともなると部屋や一門の枠を超えてアドバイスすることもあるのだろう。

そうするうちに関取たちも少しずつ土俵の下に集まってくる。早くも鶴竜や、栃ノ心、豪栄道の2大関の姿も見える。

三段目、幕下の稽古が終わり、関取たちの稽古が始まった。こちらは大勢での申し合いではなく、4人一グループで代わる代わる組んでいく。どちらかと言えば三番稽古に近い。後で知ったが、この秋巡業から新しく取り入れたスタイルだそうだ。力士会からの要望で始まったそうで、「番数がこなせる」と好評もあれば、「お客さんは申し合いを楽しみにしているのでは」との声もあるようだ。

力士一人当たりで5~6番ずつ取った後はぶつかり稽古。土俵の端から端まで押し込むのを2往復して、最後は突き落としで終わることもある。だいたい、格上や先輩の力士が胸を出した最後に相手を転がしているように見える。

場内が沸いたのは稀勢の里の入場。東の土俵下に立って力士の様子を見ている。若手の関取たちが柄杓に水を汲んで挨拶に行く。一種の作法なのだろう。

土俵下の関取も全員が土俵に上がるわけでもないようで、そのうち大関、横綱の稽古となった。こちらはほぼ特定の相手との三番稽古のようで、栃ノ心は松鳳山と取り続ける。付き人もつくのが大関、横綱の権利のようで、仕切りの合間にタオルや水をもらっている。一方の力士はタオルを土俵の縁に置いてセルフサービスである。

豪栄道は魁聖との三番稽古。

横綱でも鶴竜はこの日は土俵に上がらず、土俵下でのトレーニングに終始した。一方の稀勢の里が土俵に上がる。この辺りは横綱の調整のペースもあるのだろう。

稀勢の里の稽古相手に指名されたのは豊山。豊山の激しい当たりを稀勢の里が受けつつも、最後は得意の左から寄り切る取組が多かった。1番だけ豊山が押し出したり、激しい当たりで稀勢の里が額を切って手当てを受ける場面もあったが、秋場所での引退の危機を乗りきった横綱はこの日見た限りでは、巡業を通して復活の手応えを感じているのではないかと思えた。

プログラムに書かれていた予定の時間を30分以上オーバーする形で公開稽古は終了した。相撲の稽古をナマで観るのは初めてだったが、やはりいいものだと思った。チケット購入云々があったとしても、ここまで観た時点で来てよかったと思う。何かと言われる相撲協会だが、現場の力士たちはひたすら相撲を取っている。稽古をするのが仕事と言ってもいいのかなとも感じた。

午前の公開稽古の後は巡業ならではのプログラムがいろいろあるが、毎度のように記事が長くなったのでここで中入り・・・。
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