鶴ヶ城の「元旦登閣」から循環バス「あかべぇ」に乗って会津武家屋敷に着く。「あかべぇ」はこの先東山温泉まで運行するのだが、昼の時間帯は東山温泉まで行かずここで折り返す。
会津武家屋敷は確か以前にも入ったことがあるスポットで、武家屋敷だけではなく資料館や体験工房も備えた「会津の感動歴史ミュージアム」という。元日も開いているので入ればよいのだが、なぜか見送る。この時の気持ちを振り返るに、ちょっと工房や土産物販売が前面に出ているように感じられ、ならば別にいいかとなったようである。
東山温泉までは歩いてもそれほど遠くないが、だらだらした上り坂が続く。おまけに、これから向かう場所への分かれ道から先はさらに上りとなる。今からこれでいい「準備運動」か。
着いたところには「羽黒山」と大きく書かれた額が掛けられた鳥居がある。その奥には樹齢も長そうなもみの木がご神木のように伸びている。ここは羽黒山湯上神社。2020年の初詣は出羽三山の一つ、羽黒山ということになった。
もちろん、会津と出羽は離れていて、ここにあるのは出羽三山そのものではないが、密接なつながりはあるそうだ。歴史を見てみると、羽黒山湯上神社は奈良時代に行基により開かれたとある。三本足の烏に導かれたのがこの地だそうで、その由来も出羽三山の羽黒山と似たものがあるそうだ。長く修験道の拠点として神仏習合の歴史があったが、明治以降は堂宇は廃されて現在の神社となった。
東山温泉じたい来るのが初めてだが、目的地が羽黒山湯上神社というのはなぜか。会津若松の観光サイトで見つけてしまったのだから仕方がない。会津若松で元日でも回れるところというので検索したら、まず先ほどの鶴ヶ城の「元旦登閣」があった。会津盆地の眺めも見られたし、縁起物もいただいたのでよかった。
そこに出てきたのが、「東山羽黒山元朝まいり」というものである。福島県の観光情報サイトの記事には、「みちのく独特の白い雪の中、1225段の階段の参道を登り元朝参りする会津の伝統行事。善男・善女で賑わいを見せる。天平元年(729年)建立で会津地方で最も古くから参拝者で賑わう寺社の一つです」とある。今は昼を回っているが、夜から朝にかけては地元の人や東山温泉の宿泊客が初詣に多く訪ねたのだろう。
そこにある「1225段」に目が止まった。札所めぐりをする者に対する何か挑発のような、誘惑のようなものを感じた。ただ冬のことである。雪に覆われていたらいくら伝統行事といえども無理な話だろう。そこは天候を見て決めようと思っていた。それが見ての通り、雪など全くない市内である。これは行かなければならないだろう。
階段の登り口の両側に小屋があり、両側に座る巫女さんから「おめでとうございます」と声がかかる。1200段か・・西国や四国を見て、遍路道ではなく境内の参道でこの数の階段を上らせるところがあったかなと振り返る。
階段の脇には「◯番」と刻まれた石の観音像がある。これは1丁ごとと間隔が決まっているわけではなく、いわゆるお砂踏み霊場なのだが、これが三十三番まで数えられると到着なのだろう。歩く時の目安になる。
もっとも、観音像も長年の風雪のためか崩れているものも多い。そうした脇には地元の人が改めて奉納した像も並ぶが、観音像とは限らず、大日如来や不動明王も多い。阿弥陀如来もあったかな。そこは神社だからこだわりはないのだろう。それにしても、神社の参道に今でも三十三観音が並ぶというのも貴重なケシキだと思う。










