10月31日に行われた総選挙の結果。自民党は議席を減らしたものの、それでも単独過半数を通り越して絶対安定多数を維持。一方野党は野党共闘で挑んだものの、立憲民主党、共産党が議席を減らすなど伸びなかった。とりあえず、これで岸田政権は最初の関門を抜けたということで、腰を据えて政策実現に向けて取り組んでもらいたいものだ。
今回特徴的だったのが、大物、ベテラン議員の落選で(比例復活もあったが)、有権者もシビアな目で見るようになったのかなと思う。自民の甘利幹事長も小選挙区で落選して辞表を出す羽目になった。
ただその中で日本維新の会が新たな選択肢として勢力を伸ばす形となり、れいわ新選組も新たな議席を確保した。自民、立憲共産以外の受け皿になったといえる。自分の選挙区に候補者がいなくても、比例で意思表示を示すことができる(私も比例は維新に一票・・)。比例の復活当選の仕組みにはさまざまな不満の声もあるが、比例の制度そのものはあってよいと思う。
それにしても、これだけあれこれ言われても、投票率は結局55%くらいということで、伸びませんでしたな。これが今の政治への評価なのだろう。投票しないのなら、その権利を私に譲ってくらいたいものだった(法律上無理だけど)。
で、広島県はというと・・まあ7区とも事前の予想通りの結果になったのではないか。6区はいつも自民と立憲が競るが、今回も立憲が勝利。そして政治とカネの問題で自民が辞職した3区では、その後釜に公明が比例からの鞍替えで立候補した。今年の参議院再選挙では立憲が勝利した後だけにどうなるかとも思ったが、結局は公明の勝利。まあ、個人的にはこれでよかったのかどうかモヤッとするのだが。
・・さて、前置きが長くなったが、広島新四国八十八ヶ所の続きである。訪ねたのは9月23日で、その前に区役所にて期日前投票を行ってのことである。広電で横川まで出て、可部線に乗車。この札所めぐりで初めて安佐南区に入り、横川から2駅目の安芸長束で下車する。
私にとっては広島でもこの辺りは懐かしいところで、以前の広島勤務時だがもう20年以上前のこと、一時この地区にある営業所に勤務していたことがある。安佐南区、安佐北区が主な担当範囲で、昔ながらの狭い町並みと、新たに山の麓に開かれた住宅地も回っていたものだ。
駅から歩いて勤務していたあたりをぶらついてみたが当時の面影は残っておらず、新たにマンションやスーパーが建ち並んでいた。まあ、そうした開発のために営業所が閉鎖され、別のところに異動になったのだが・・。
そんな中、選挙前ということで掲示板が並ぶ(序盤に選挙結果も含めて長々と書いたのがようやくつながる)。県内でもっとも立候補者の顔ぶれがカオスだったのがこの選挙区で、公明、立憲のほかに維新、NHK党、無所属2名である(無所属の2名は、今年の参議院再選挙にも出馬していた)。他の5人の得票数をすべて足しても公明に及ばなかったということで、まあ公明として、現職の国道交通大臣として面目を保ったのではないか。
今回向かうのは、第17番となる長束の大師堂である。大師橋という橋もあるし、町名では長束西だが「大師が丘」という町内会もある。
その入口に建つのが大師堂。見た目は寺にも見えるし、普通の住宅にも見える。
正面の掲示板にはいろいろ掲げられていて、「力だけで生きない、力を使うならば『努力』」、「ありがとう 素直に言える心 『善の心』」などある中で、「8月に短髪小太りTシャツに黒っぽいズボンの中年男性が御供物を盗みました。犯罪です。防犯カメラにて全て撮影されてます」とある。その特徴から一瞬ドキッとするが・・・いや、私はその時間、ここには来ておらんぞ。それにしても、御供物を盗むって一体・・・?
建物の2階が拝観ということで上がり、同じく「御供物を盗みました~」の貼り紙がある扉を開けると、中に住職がいた。何かの片付けの最中だったようだが、どうぞお参りと招かれる。二言三言話をして、お接待か、お下がりのペットボトルのお茶をいただく。では、ということで住職が出た後で、お勤めとする。いや、御供物には手をつけませんよ。
この大師堂の起こりは江戸末期だという。ここ長束の里に常誓という僧が旅の途中に立ち寄った。幕末の混乱の中、作物の不作や疫病で人々が困窮していたところ、常誓は村を回って疫病退散を祈願して回った。人々がその徳を慕ってお堂を建てたのが大師堂である。当時の人たちは常誓にかつての弘法大師を感じたのだろう。
境内は小ぢんまりとしているが、四国八十八ヶ所のお砂踏みもあれば、不動明王も祀られている。ここから先の山の手は新しく住宅地や学校が広がったところだが、昔から長束の地を見守っていたことだろう。
これで第17番を終えて、次も同じ安佐南区である。可部線で行ってもいいのだが、変化をつけるために国道183号線沿い(勤務当時は国道54号線だったなあ)まで歩いて、バスで移動することに・・・。