まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第5回九州西国霊場めぐり~三角線・A列車で行こう

2021年11月13日 | 九州西国霊場

阿蘇、札所、熊本城・・と回ったこの2日(10月30日~31日)、往路の新幹線の中でプランを変えたことで時間ができ、久しぶりの路線に乗ることにした。タイトルにある三角線である。

熊本発14時47分発の三角行きに何とか間に合う。単に三角線に乗るだけならもう1本後の列車でもいいのだが、今回はせっかくなので三角線を走る特急「A列車で行こう」に乗ってみる。三角発16時19分の6号の指定席を取ったのだが、それに乗るのは熊本をこの列車で出発する必要があった。

キハ140系の2両編成、車端のボックス席に座る。この日は雲巌寺から本妙寺まで歩き、また広い熊本城内を歩いたこともあって、ボックス席で前のシートに足を伸ばす。やっと落ち着いた感じだ。

九州新幹線の高架に沿って走る。この新幹線でもっと南にも行きたいのだが、九州西国霊場の南の端は熊本で、ここからは福岡に戻り、そして佐賀、長崎と続く。

宇土から三角線に入る。今度は国道57号線に沿う。この国道は九州を横断しており、大分から豊後竹田、阿蘇、熊本を経てこの先三角まで行く。さらに海を越えて島原に渡り、長崎が終点だ。かつては三角と島原を結ぶフェリーが国道の一部をなしていたが廃止されている。

右手に立派な山が見える。午前中、その山麓を歩いた金峰山である。その時は近くにいたがからその高さがわからなかったが、結構遠くからでも見えるものだ。

住吉を過ぎると島原湾が広がる。最初は干潟が広がり、その後で何かの養殖いかだも見える。

その島原湾を挟んで、先ほどの金峰山よりも雄大な山の姿が現れる。雲仙岳だ。阿蘇は先日噴火したが、雲仙が噴火したのは1990年代の前半。そのうち1991年6月の大噴火では火砕流で大きな被害を与えた。その痕跡も昔訪ねたことがあるが、あれからもう30年も経つのか。

赤瀬で島原湾と別れ、半島を横切る。最後は反対側にモタレノ瀬戸が広がり、15時41分、終点三角に到着。終着駅だが、その線路の先に「A列車で行こう」の車両が待機している。今来た列車が折り返しの熊本行きで発車した後に入ってくるようだ。

それまで、目の前の港に行く。この先は天草である。クルマでも行くことができるが、天草松島をめぐる「天草宝島ライン」という定期船も出ている。島原、天草というところもいずれ再訪したいところだが、この日は港で釣りを楽しむ人たちを眺める。

駅に戻るとちょうど「A列車で行こう」が入って来た。「A列車で行こう」と聞くとシミュレーションゲームを連想するが、この列車の「A」とは、大人(アダルト)や天草から取られたもので、「16世紀の天草に伝わった南蛮列車」をテーマとしたデザインである。これもキハ185系からの改造で、デザインしたのはもちろんあの方である。もっとも、前日乗った「あそぼーい!」が子ども連れを意識したデザインなのに対して、こちらは大人の雰囲気である。

当時の南蛮文化ということで、教会をイメージしたステンドグラスやマリア像などがあしらわれている。そして楽しみなのがカウンターバー。乗車時間が短いためか早速行列ができる。ここで飲み鉄を発動して、「Aハイボール」を注文。天草名産のデコポンをアレンジしたものだ。

そして車内にはジャズが流れる。そのナンバーも「A列車で行こう」。さまざまなものがつながっているように思う。他にも「イン・ザ・ムード」などのおなじみの曲が繰り返される。あ、ジャズといえば吉本新喜劇のテーマ曲も入れてもらわんと・・・(ちなみにこの曲はキダ・タロー作曲ではなく、「Somebody Stone My Gal(恋人を取られて)」というジャズナンバーだ)。

ジャズを聴きながら再び島原湾に出て雲仙を眺めると、また別の景色に見える。

御輿来(おこしき)海岸を通る。日本の夕陽百選の一つで、特に冬から春にかけての季節だと夕陽と干潟の景色が美しいという。その昔、景行天皇が九州遠征の折にこの景色に見とれて御輿を停めたことから名前がついた。ここでしばらく徐行運転する。

網田(おうだ)でしばらく停車する。外に出ることはできないが、熊本県最古の木造駅舎を見ることができる。来た時は気づかなかったのだが、発車時に力士のポスターのようなものが見えた。大関・正代である。宇土市の中でもこの辺りの出身なのかな。11月14日からは十一月場所が2年ぶりに九州場所として開催される。正代も地元で多少は意地を見せることができるか。

車内では乗客向けの記念撮影のサービスもあり、私も撮っていただく。

再び島原湾越しに金峰山を見て、陸地に入る。宇土で鹿児島線に入ってからはかつての特急車両らしい快走を見せる。17時01分、熊本に到着。三角からは40分ほどの乗車だったが、こうしたジャズバーの車両にもう少し乗っていたいなと思わせた。また機会があればと思う。

さて、これから広島に戻るのだが、予約していた新幹線まで2時間半ほど時間がある。通常のきっぷなら早い列車に変更するのだが、「スーパー早特きっぷ」のため変更不可、他の列車の自由席にも乗ることができない。

まあ、仕方ないな・・・というよりは、熊本県が最後ということで熊本駅で一献やる時間を見込んでいたのだ。前夜の中心部のように店が並ぶわけではないが、新幹線も停まる駅周辺には何かあるだろう。そう思って駅前に出る・・・。

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