まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

The Romanoffs ①~④

2019-05-19 | 欧米のドラマ
 amazonのドラマ「ロマノフ家の末裔 それぞれの人生」第1話から4話まで観ました~。全8話。長々しい連ドラは苦手ですが、これは1話完結のオムニバスだったので、集中力と持続力がない私でも観ることができました~(^^♪
 ロシア革命で処刑された皇帝ニコライ2世一家を描く大河ドラマかと思ってたのですが、ぜんぜん違ってました。ロマノフ家の子孫だと信じてる人々を通して、現代的な人間関係や社会問題を炙りだす悲喜劇、ブラックコメディ調のドラマでした。
 第1話「ヴァイオレット・アワー」
 パリで暮らすアメリカ人のグレッグは、ロマノフ家の末裔だと称している金持ちの伯母マヌシュカの気難しさに辟易しながらも、彼女の遺産相続人になるために機嫌をとっていた。そんな中、新しい家政婦として派遣された若く美しいイスラム系の女性アジャルに、アヌシュカは難色を示すが…
 パリの意地悪ばあさんなアヌシュカの、イヤミや毒舌、あてこすりが笑えた。イスラム人はみんなテロリスト、女は多産で男はみんな複数の妻がいると本気で信じてる差別偏見が、トランプさんを支持してるアメリカ人とカブって皮肉な笑い。フツーの人なら速攻で辞めるか殴るかだけど、何を言われてもクールにスルーし、自分のペースでテキパキ仕事をこなすアジャルの忍耐強さ、賢さが素敵でした。二人の女性が、世代も人種も階級も超えて親密になってゆく姿が、ユーモア&ペーソスでもって描かれていました。

 アヌシュカがアジャルに遺産を遺さぬようにするため、アジャルを誘惑するグレッグが最低なゲス男なんだけど、ラストの痛快で優しいドンデン返しのおかげで後味は良かったです。
 アヌシュカ役はスイス出身のベテラン女優マルト・ケラー。デヴィ夫人をクール&エレガントにした感じの美老女。シャキっとした姿勢の良さ、ほっそりしたスタイルの良さ、趣味の高いファッションで、老いさらばえ感ゼロでした。グレッグは美男子という設定だったので、ブサイクじゃないけど地味なアーロン・エッカートはミスキャストだったのでは。アーミー・ハマーとかならピッタリな役。でも、素朴でおおらかなアメリカ人らしい風貌は、返ってパリの街ではカッコよく見えました。アジャル役のイネス・メラブが、すごい美人で可愛かった。パリの街並みも、観光プロモーションフィルムみたいに美しく撮られていました。

 第2話「空しい望み」
 陪審員に選ばれたマイケルは、美しい人妻ミシェルに心を奪われ、彼女に近づくためわざと裁判を長引かせる。マイケルの妻シェリーは、仕方なく独りでロマノフ家の末裔クルーズツアーに参加するが…
 中年ハゲおやじの下心丸だしな浮かれた言動が不快!ミシェルへの執着もほとんどストーカーでキモかった。陪審員裁判って、あんな風に簡単に一人のメンバーの身勝手な都合で左右されちゃうのもありえるんだよな~と、日本の裁判員制度について考えさせられました。悲劇で喜劇な結末が皮肉でした。ゴージャスなクルーズ船に感嘆。私もあんなリッチな船旅がしてみたい。船内の催し物が、楽しいけどバカバカしくもあって、これもすごい皮肉だった。

 第3話「栄華の果てに」
 ロマノフ家の最期を描くドラマの撮影に参加するため、アメリカ人女優のオリヴィアはオーストリアの田舎にやって来る。元女優のフランス人監督ジャクリーンやスタッフの、どこか不可解な態度に戸惑うオリヴィアだったが…
 イザベル・ユペールが大暴れ!ヤバいイカレ女を毒々しくエキセントリックかつ、のんしゃらんとスットボケ怪演。しらじらしい表面的すぎる親切や物分かりのよさで油断させといて、いきなり別人のように意地悪で冷酷な鬼女の正体を現す二重人格なユペりんが笑えた。俳優たちへのモラハラパワハラ演出シーンとか、レストランでの怨霊にとり憑かれた?イタコ演技とか、楽しそうでノリノリ。正気なのかコワレてるのか判らない言動は、オリヴィアだけでなく視聴者をも惑わします。小柄で華奢だけど、ものすごい存在感。アメリカのテレビ俳優が、同じ土俵に立って互角に渡り合える相手ではありません。

 テレビドラマの撮影風景が、興味深く描かれていました。役者さんもスタッフさんも大変そう!オリヴィアやジャクリーンに起きる怪奇現象?霊体験?は本物?それとも幻覚妄想?オカルト?ニューロティックもの?と思わせて、実は…なオチと皮肉な結末も楽しいです。
 第4話「秘密の重さ」
 ニューヨークの裕福な人妻ジュリアは、娘のエラの出産を間近にし悩んでいた。エラの実父は夫ではなく、元恋人の作家ダニエルだという秘密を、長年ジュリアは抱えていたが…
 ジュリアを筆頭に、みんなギスギス刺々しくて不愉快でした。アメリカ人を含め西洋人って、他人に対して無神経で意地悪なところが、東洋人よりも露骨ですよね~。ジュリアの、夫や娘の舅姑、お医者さんに対するものの言い方とか、カフェでのジュリアをバカにしたような若者たちの態度とか、イヤな人たちだな~と思った。ジュリアの思いやりのない、自分本位な生き方と性格に不快になるだけの話でした。ニューヨークの街並みや高級デパートなどは目に楽しかったです。
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イギリスおっさんずゲス不倫!

2018-11-15 | 欧米のドラマ
 イギリスのTVドラマ「英国スキャンダル セックスと陰謀のソープ事件」を観ました~。
 60年代のイギリス。議員のジェレミー・ソープは、厩舎で出会った青年ノーマンを愛人として囲う。情緒不安定が悪化し、それに辟易したソープに捨てられたノーマンは、ソープの母親や警察に二人の同性愛関係を暴露しようとするが…
 ヒュー・グラントとベン・ウィショー共演のイギリス版おっさんずラブです。同じおっさん同士の同性愛でも、ピュアな日本のオリジナルと違い、こっちはゲス不倫。男たちが繰り広げる欲望、打算、保身、恨みつらみ、といった人間の醜さが、イギリスらしいブラックでシニカルな笑いで描かれてました。

 日本でもちょっと前に、政界でゲス不倫が流行?しましたが、こっちは男女ではなく男同士ですからね~。スキャンダル度は格段に上です。実話というのにも驚かされます。殺人計画や裁判沙汰など、みんなまるでネタを提供するために騒いでるとしか思えませんでした。みんな大真面目で必死なところが、皮肉な笑いを誘います。ソープとノーマンのキャラ立ちした強烈な個性と言動が、とにかく驚異で愉快です。とにかく二人が、まるで競ってるかのようなゲスっぷり!どっちもゲスなんだけど、塩と砂糖ぐらい種類が違うゲス、というのが面白かったです。

 まずは塩ゲスのソープ。これぞ英国のエリート!な、スノッブで裏表がありすぎる政治家。常に他人をなめくさってる不遜な言動と思考回路、何でも自分の思う通りになって当然、自分に従うのは当然と思ってる傲慢さや、邪魔者や必要でなくなった者は虫けら同然扱いな薄情さ非情さなど、まさに人でなしの鬼畜。こんな政治家ぜったいイヤ!なんだけど、不思議と不愉快さとか怒りはほとんど感じません。常にひょうひょうとしてて軽やかなので、悪人には全然見えません。それはもう、ソープ役のヒュー・グラントがいつも通りの演技をしてるからでしょう。

 ズルくてスケベで軽薄なんだけど憎めない男役、はグラント氏の専売特許ですもんね。アメリカ人俳優だと演技が巧くても不快になるだろう役を、こんなにも笑える楽しいヒールにしてしまうなんて、グラント氏にしかできない芸当かも。困惑顔で毒を吐く、というグラント氏ならではの演技が今回も冴えてました。軽薄だけど教養ある育ちの良さそうな雰囲気、慇懃無礼な物腰も、ハリウッドのコメディスターにはないグラント氏の武器でしょうか。でもグラント氏も、すっかり爺さんになったな~。顔はもうシワクチャ。「モーリス」の美青年が、年月を経て再びBL、でもおっさんずゲス不倫なんて。自己軽視なセルフパロディ演技で、往年のファンをおちょくってるかのようなグラント氏の皮肉な人柄が、これまた極めてイギリス的ですね。

 そして、砂糖ゲスのノーマン。こいつがね~。ほんまソープじゃなくても始末したくなりますよ。底抜けのアホ?いや、実はズル賢い?どっちの面もクルクル見せて、ソープも視聴者も翻弄、困惑させまくり。悪人ではないけど、悪人よりもっとタチが悪いんです。ピュアすぎて融通がきかず、自意識が過剰で常に悲観的で精神不安定。虚言と被害妄想がはなはだしく、自分が不運で不幸なのは全部ソープや社会のせい、と思い込んでウジウジメソメソ、だけならいいけど、イヤ~な方法で意趣返しをしてくる攻撃性も発揮しまくるなど、弱々しい見た目に猛毒を秘めた害虫みたいな男なんですよ。多くの人に嫌われる反面、愛してくれる人も同じぐらいたくさん現れて、彼らの親切や情につけこみながら迷惑やトラブルを撒き散らして生きてる調子のよさに呆れます。

 そんなノーマンを、ゲイ役をやらせれば世界一のベン・ウィショーが大熱演!これほどまでにガラス細工でギザギザハートなオカマ心を表現できる役者、ベン子さんしかいません。ナヨナヨとクネクネしたキャマキャマしい仕草や歩き方が、堂に入りすぎ。目つきや喋り方がメンヘラすぎて怖い、けど、かなり笑えます。ビクビクおびえてるくせに、自分の身だしなみやいい男の目を常に意識してるところとか、国民カードへの固執など、かなりズレてて滑稽。ラストの法廷シーンでの、赤裸々すぎるセックス暴露や、女優かよ!なドヤ顔&ポーズも、ノリノリなベン子さんに喝采!少年のような肢体のベン子さんが着こなす、60年代の英国ファッションも目に楽しいです。とにもかくにも、メンヘラのオカマほどヤバい生物はないと思わせるベン子さんの怪演に瞠目!ヤバいメンヘラおかま役ながらも、その可愛らしく痛々しい風情で、ユーミンじゃないけど守ってあげたい~♪なベン子さん、魔性っぷりもハンパじゃないです。
 
 グラント氏とベン子は、冒頭に濃厚なイチャイチャシーン(ソープがノーマンをウサギちゃん♡と呼んで可愛がるのがキモ笑!)はあるものの、すぐに決裂しちゃうので一緒のシーンは少ないです。これが実話だということ以上に、これをテレビで放送できるイギリスという国に驚嘆です。露骨なゲイセックスシーンこそないものの、内容がエグすぎる。日本では絶対に制作不可能。同性愛が法律で禁じられていた、というのも今となっては信じがたい史実です。LGBTが犯罪か病気扱いされていた当時のイギリスでのゲイの生き辛さは深刻で、ゲスであると同時に哀れでもあったソープとノーマンです。

 あと、ゲス恋愛中にラブレター(現代だとメールや写メ)を送るのは軽率で危険。そして、恋愛後のアフターケアも怠ってはいけません。ソープがノーマンの国民カードを何とかしてあげてたら、あんな面倒なことにならなかったでしょうし。きれいに別れるのが肝要、でも難しい、とソープの不注意や手ぬかりを見ていて痛感しました。

 ↑ベン子さんの新作は、名作の続編「メリー・ポピンズ リターンズ」です
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ホロウ・クラウン2 薔薇戦争

2016-10-14 | 欧米のドラマ
 「ホロウ・クラウン 嘆きの王冠」シーズン2を観ました~。ヘンリー5世亡き後に勃発し、数十年にわたって繰り広げられた内乱“薔薇戦争”を描いています。全8話。
 前半は、ヘンリー6世編。父王ヘンリー5世が他界し、生後間もなく即位したヘンリー6世ですが…彼がシーズン1・2通して最も悲惨、可哀想な王さまだったかも。地獄の鬼嫁や佞臣奸臣たちに散々振り回され利用されまくり、挙句の果てにはゴミのように見捨てられ、荒野を彷徨う裸の原人となり果てて…リチャード2世も悲惨でしたが、ヘンリー6世はさらに無残。気が狂うのも当然な目に遭うヘンリー6世を、デリケートに悲しく演じたトム・スタージェスは、イケメンではないけど若いのになかなか魅せる役者っぷり。
 それにしても…薔薇戦争、もうハチャメチャすぎて笑えます。ちょっとは仲良くしようよ~信じ合おうよ~分け合おうよ~と言いたくなるほど、王族も貴族もおのれの権勢欲、野望にとり憑かれてて、ほぼ10分ごとに殺し合いしてますもん。罠や裏切り、陰謀や奸計のオンパレードで油断すると一寸先は闇、一瞬も安心して暮らせない百鬼夜行の王宮は、東京都庁どころじゃない伏魔殿。そこに愛や信頼など微塵もありません。

 ↑可哀想なヘンリー6世。荒野の原人姿がとにかく強烈!
 権力の移り変わりが目まぐるしすぎて、さっきまで天下獲ったでぇ~!!と意気揚々だった人が、5分後にはさらし首になってたり。もうその繰り返しなんですよ。諸行無常な急転直下の展開は、ジェットコースタードラマみたいで飽きさせません。権力って手に入れたら必ず滅びると分かっていながら、みんな血眼になって争奪し合わずにはいられぬ甘い毒リンゴみたいなものなのでしょうか。でもほんと、当時の英国の権力争いって、荒っぽいですよね~。敵の陥れ方が、強引すぎで短絡的すぎ。日本の戦国時代のほうがまだ、公明正大さとか様式美を大事にしてたような。英国の王族貴族、権力のためには手段選ばず、情けも無用、ですもん。卑劣な鬼畜が多すぎ。国民のことなんて、これっぽっちも考えてないし。当時の平民、ほんといい迷惑だっただろうな~。
 シーズン2で最も強烈なキャラだったのは、ヘンリー6世の王妃マーガレット。こいつ、ほんと非道いんですよ!見た目も性格も言動も、野蛮で峻烈。権力掌握のために、猛然と屍を重ねていくマーガレットを激演してるのは、「ホテル・ルワンダ」などでの好演も忘れがたい黒人女優のソフィー・オコネドー。黒人女性がフランス王室出身の英国王妃?!と、意表を突きすぎ。どこかの蛮族の女酋長にしか見えません。周囲が次々と非業な死を遂げて消えていくのに、ボロボロになってもしぶとく生き延びて最後まで毒を撒き散らすマーガレットは、そのあまりの猛烈キャラっぷりゆえにだんだん笑えてくるキャラに。リチャード3世の時代になっても、どこからともなく現れて狂態を見せるマーガレットは、見せ場も多く最初から最後まで出てくる唯一の人物で、いちばん美味しい役だったかも。女優なら一度はやってみたい役なのでは。
 後半は、悪名高いリチャード3世編。この時代が、いちばん陰惨な地獄絵図かも。邪悪な野望のために、肉親や近臣を次々と容赦なく葬り王位に就くリチャード3世は、その極悪非道なモンスターキャラ同様、見た目も怪異な化け物となってます。

 昔でいう、せむし?身体障害が不気味で、これいいのかな~日本では絶対ムリだよな~な役。演じてるのが、今や日本で最も人気がある英国スター、ベネディクト・カンバーバッチ。渾身の大熱演です。彼もまた、舞台俳優としての実力を遺憾なく発揮してます。
 動きが大変そうな身体障害演技も壮絶ですが、こんな卑劣でズルくて冷酷な人間いるのか~とゾっとするような、世の中や人を不幸にするために生まれてきたような、善いところなど一切ない非情無情な悪鬼野郎を、唾がこっちにまで飛んできそうなほど圧巻の大熱演をしつつ、非道すぎて何だか笑えてくる、ちょっとドぎついユーモアをこめて楽しそうにも演じてるバッチさんに、役者やのお~と感嘆することしきりでした。

 劇中、もう非道いことズルいことしかしないバッチさん。カメラ目線になって邪悪な本音を視聴者に告白したり、邪悪なことを考えたりしたりしてる時の顔芸が、ヤバすぎて笑えます。どんどんエスカレートしていく邪悪さが、何だかワクワク感にあふれていたり。

 最低最悪な役をチャーミングに見せなければならないリチャード3世役は、生半可な俳優には演じられない難役でしょう。極悪凶悪な役でも、大真面目だけどどこか浮世離れしててヘンなところが可愛い、というバッチさんならではの魅力も十分に活かされてました。

 ↑可憐で可哀想なリトル・プリンスふたり
 権力争いに敗れて非業な死を遂げる人たちは、因果応報というか自業自得なのですが、巻き込まれただけの無垢な人たち、ヘンリー6世とか、特にリチャード3世に始末されてしまう幼い兄弟ふたり、エドワード5世とその弟が哀れすぎて涙。あの子たち、リチャード3世のコンプレックスを刺激するほど可愛くて賢すぎたのが仇になっちゃいました。ブサイクで頭が悪いガキんちょだったら、死なずにすんだはず…演じてる二人の男の子が、ほんと賢そうで可愛かったから、その悲運に胸が痛くなりました…
 リチャード3世の母役、泣く子も黙る大女優ジュディ・デンチが、貫禄と哀感たっぷりの存在感。その他も、「ダウントン・アビー」など人気英国ドラマに出てる、どっかで見たことあるな~な俳優も、たくさん出演してます。

 上質の舞台を観てるような演技と演出、美しいロケ地の映像や建築物、衣装も、時代劇の素晴らしさを堪能させてくれます。台詞が詩的で格調高く、日常生活でも使いたいほど(笑)。こんな大人が楽しめる日本の時代劇も観たいな~。
 リチャード3世を斃して即位するヘンリー7世は、The Tudorsのヘンリー8世の父。薔薇戦争は終わったけど、王室の内紛はどんどん複雑に血生臭くなっていくんですね~…

 ↑どんな役してもイヤミがなく、ユニークで可愛いバッチさん。彼主演のコテコテおばかコメディが観たい!そんなバッチさんの最新作は、話題のアメコミ映画「ドクター・ストレンジ」です。楽しみ♪
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僕の彼氏はスパイだった

2016-10-11 | 欧米のドラマ
 前から観たくて観たくて仕方がなかった英国のドラマ「ロンドン・スパイ」を、ようやく観ることができました~(^^♪全5話。
 ロンドンで暮らすゲイの青年ダニーは、アレクッスという若い男と出会い、恋に落ちる。ダニーは寡黙で謎めいたアレックスを本気で愛するようになるが、突然アレックスは失踪してしまう。アレックスの変死体を彼の部屋で発見したダニーは、すでに恐るべき陰謀に巻き込まれていた…
 イギリスといえば、スパイとBLですが。このドラマ、その二つが合体した美味しすぎる内容なんですよ。スパイもBLも私には無縁な世界なので、まさにファンタジー感覚で楽しむことができました。
 まず、スパイの部分…

 ほとんど姿や実態を現さず、邪魔者や不要な者たちを抹殺したり、証拠隠滅したり、罠にハメたり、警察や郵便など公的機関も操作するのが、不気味で怖かったです。特に、ダニーをHIVに感染させるとか、ひ、非道い!アレックスの死も、非道すぎる。なぜアレックスがあんな非業の死を遂げなければならなかったのか、ラストに判明するのですが。いくら何でも、末路が無残すぎ。もっと他に方法なかったのかな~。アレックスの死は、彼らにとってもすごい損失だったでしょうに。現実にもあんな風に、国家権力って非力な市民を虫けら同然に踏み潰すのでしょうか。いきなり事故で死んだあの人も、政府の陰謀だー!と騒いでイタい人扱いされてるあの人も、ひょっとしたら…?

 007でおなじみのMI6が、非情で気味の悪い組織として描かれてました。ほんとにあんなことやってるのなら、恐るべき犯罪集団ですよ。ジェームズ・ボンドを見る目も変わるわ~。
 そして、BLの部分は…

 男同士の愛は、やっぱ切ない悲劇が似合います。ダニーとアレックス、悲しい運命の恋でした。出会ってしまったせいで、お互いに不幸になってしまったけど、短くも激しく深い愛に生きることができた二人が、すごく羨ましかったです。二人が共有する、痛みをともなった幸福。彼らの傷つきやすくも静かで優しい時間が、胸にしみました。
 主人公のダニー役は、今やゲイ役を演じたら世界一のベン・ウィショー。

 ベン子さん、今回もリアルでナイーブなゲイゲイしさでした。少女のようなガラス細工の繊細さだけど、不屈で毅然とした強い男でもあって。男でも女でもない、男と女どっちの強さ弱さを持ってる複雑さや多面性は、他の俳優にはないベン子の魅力です。小柄で華奢な彼、ほとんど少年の風貌と雰囲気。裸もBL漫画の男の子みたい。美しく力のある瞳も、彼の武器ですよね~。役者は瞳が大事。
 ラブシーンは、これをTVで!?お茶の間レベルをかなり超えてます。「怒り」のブッキーには、これぐらい頑張ってほしかったかも男ふたりが、ケツ丸だしの全裸になってガッツリネットリ絡んでます。そういうのが苦手な方には、かなりキツいかも。

 濡れ場は第1話に1回あるだけですが、かなり濃密でインパクトあり。私が衝撃を受けたのは、ベン子が上になってたこと!ベン子がタチ!ってのが意外でしたLGBTに対する差別や偏見が、今もかなり厳しいイギリスの現実も興味深かったです。

 007でMI6職員のQ役を演じてるベンがダニー役、というのがなかなか小粋なキャスティグです。ベンのファッションが、フツーっぽく庶民的ながらもトラッドなところが、さすが英国。

 アレックス役は、「キングスマン」ではスパイ候補生役だったエドワード・ホルクロフト。マティアス・スーナールツを優しくした感じの顔?天才は孤独で不幸、他人とうまく付き合えないコミュ障さを、静かに悲痛に演じてました。スーツが似合う彼も、さすが英国人です。

 ダニーの親友で元スパイのスコッティ役は、「アイリス」でオスカーを受賞した名優、ジム・ブロードベント。スコッティの、年の離れたダニーへの父親のような愛とせめぎあう、ダニーへの男としての恋心が切なかった。老いたゲイの悲哀をにじませながら、開ききった丸い大きな眼球が何だか狂気じみていて怖かったです。
 アレックスの母役は、「さざなみ」での名演も記憶に新しい大女優シャーロット・ランプリング。

 冷徹で謎めいた上流階級のマダムを、いぶし銀のシブさでクールに演じてるランプリングおばさま。出演シーンは多くはないのですが、さすがの存在感です。彼女のエレガントにマニッシュなファッションも、やはりハリウッドの女優とは違うハイセンスさで素敵でした。
 あと、ダニーの前に現れる謎の男役で、イタリアの人気スターであるリッカルド・スカマルチョも出演してます。久々に見たリッカルド、めっちゃ濃ゆくなった巨人の高橋由伸監督に見えた…ダニーとかつて爛れた関係だったらしいゲイの男役、シャーロックの兄マイクロフト役で有名なマーク・ゲイティスが、危ないキモい怪演。

 ロンドンの街並み、テムズ川や公園、郊外にある貴族の屋敷など、イギリスだ~と感嘆。ロンドン、また行きたいな~。いや、ちょっとだけ住んでみたいな~…

 ベン子さんの出演作は、日本では早春に「未来を花束にして」が公開されます。主演のキャリー・マリガンの夫役みたいです。ゲイ役じゃないのか~。ちょっとガッカリ
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ホロウ・クラウン⑨~⑪ ヘンリー5世

2016-09-30 | 欧米のドラマ
 「ホロウ・クラウン 嘆きの王冠」第9話から最終回の11話、ヘンリー5世編を観ました。
 ヘンリー4世亡き後、ハル王子は王位を継いでヘンリー5世となる。フランスとの戦争が激化し、ヘンリー5世は自ら兵を率いて戦地に乗り込むが…
 おバカな放蕩プリンスだったハル王子が、別人のような凛々しく英邁な王さまに変貌。トム・ヒドルストンが、堂々の出ずっぱりな一枚看板主演です。いや~王さまになったトムヒも、めっちゃカッコよかったです!王者らしい威風堂々さ、勇猛さ峻厳さは、まさに漢(おとこ)!甘い二枚目っぽさを封印した剛毅な演技が、やっぱトムヒも元々は舞台で鍛えた役者なんだよな~と思い知らせてくれます。劣勢の中、戦場でイギリス兵や臣下を鼓舞する演技は神々しくもあり、圧巻の迫力とカリスマ的魅力です。

 王の気高さ、威厳がありつつ、ハル王子時代と変わらない気さくさ、親しみやすさもヘンリー5世の魅力です。トムヒの明るい人なつっこい笑顔、まさに魔性に近い人たらしな武器ですよね~。俺たちもう友だち?と勘違いさせてしまうような、名もなき兵士や下民に対する磊落さが、ヘンリー5世の人間の大きさを表してるようでした。戦場では鬼神のごとく、敵のフランス王には厳しいヘンリー5世。結婚相手となるフランス王女には、オチャメで優しい。王女にプロポーズするシーンのヘンリー5世が、めっちゃ可愛いんですよ。グイグイ押しまくると同時に甘く紳士的で。王女じゃなくても惚れるわ~。ルックスには自信ないけど、みたいなことを王女に言うヘンリー5世ですが。はぁ!?本気で言ってるの?鏡、見たことないの?と驚かされます。史実ではヘンリー5世って、ブサイクな王だったのかな?なら、トムヒは超ミスキャストあんなイケメン王に求愛される王女が羨ましかった。王女、はじめっから全然イヤそうじゃなかったもんね。そりゃそうでしょうよ。あれがブサイクな爺の王だったら、絶対イヤー!!だったでしょうから、ほんとあんな男前王で良かったね!

 ヘンリー5世と、英語が解らないフランス王女とのやりとりが、トンチンカンだけどロマンティック。王女役のフランス女優、メラニー・ティエリーが美女ではなく好感のもてるブスカワ女優だったのが良かった。侍女役のジェラルディン・チャップリンとのトボけたやりとりも笑えます。
 フランス王族役のフランス男優たちも、なかなかイケてました!

 フランス王シャルル6世役は、英語圏の作品でも活躍している国際派、ランベール・ウィルソン。かつての美青年も、すっかりシブい熟年に。今でも麗しい!理想的な美熟年。気品と優雅さは、英国男優にも負けてません。王太子ルイ役のエドワード・アクロートも、なかなかのイケメンでした。ルイの弟オルレアン公役は、前からちょっと気になってたスタンリー・ウェバー。出番も台詞も少なく残念、でもやっぱいい男!3人とも英語ペラペラで、フランス人同士でもずっと流暢な英語を喋ってました王女だけ英語ダメで、ほぼフランス語オンリーだったのはなぜ?

 ↑イメケンブラザーズの王太子ルイと弟オルレアン公。エドワード・アクロートとスタンリー・ウェバーは、「バトルフィールド」という映画でも共演してるので観ねば!
 日本の戦国ものも同じですが、戦争に駆り出される下民も悲惨ですよね~。ぜったいあの時代の兵士にはなりたくないです。このヘンリー5世編では名優のジョン・ハートがナレーションをしてるのですが、最後に登場する彼の正体が意外かつ、なるほど~な筋立ての巧さでした。
 シーズン2には、ベネディクト・カンバーバッチが登場♪

↑スタンリー・ウェバー、1985年生まれの現在31歳!シ、シブすぎ!嵐の二宮とか相葉と同じ年頃だなんて、信じられん。英語が得意なスタンリーは、「アウトランダー」など英米のTVドラマでも活躍中
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ホロウ・クラウン④~⑧ ヘンリー4世

2016-09-25 | 欧米のドラマ
 「ホロウ・クラウン 嘆きの王冠」第4話から8話、ヘンリー4世編を観ました~。
 リチャード2世を退け即位したヘンリー4世は、息子であるハル王子の放蕩を苦々しく思っていた。そんな中、王に不満を抱くパーシーが一族と共に謀反を起こす。ヘンリー4世はハル王子に内乱鎮圧を命じるが…
 ヘンリー4世役は、名優ジェレミー・アイアンズ。あまたいる英国俳優の中にあって、とりわけ身分の高い役が似合う人。ホームレス役でも高貴に見えてしまうほどです。英国王らしい気高さと威厳は、やはりハリウッドのスターとは違います。そして、相変わらずの美しさ!まさに美老人。美しく老いるには、やはり内面の美徳、知性と強さを保たなければならないんだろうな~。アイアンズおじさま、まさに高齢者の理想形です。

 若かりしヘンリー・ボリングブルックが、年齢を重ねてヘンリー4世になったのですが。ローリー・キニアがジェレミー・アイアンズになるってのは、ちょっと???です。様変わりしすぎ!
 ヘンリー4世の悩みの種である、ドラ息子ハル王子を演じてるのは…

 「マイティ・ソー」シリーズのロキ役で人気、今や日本ではベネディクト・カンバーバッチと双璧の英国スターであるトム・ヒドルストン。私には正直、そんなに惹かれる存在ではなかったのですが、このドラマのトムヒには惚れた!今まで観た出演作の中では、断トツのカッコよさ、可愛さ、そして役者っぷりです。まず、スタイルが良すぎ~!超小顔、スラ~っとした長身、長~い手足。モデルも真っ青。現代で着てもオシャレな赤いレザーの衣装とか、スタイリッシュに着こなしてたり。颯爽と躍動感ある身のこなしとか、若々しいエネルギッシュさとか、気取らない気さくで親しみやすい笑顔とか、こりゃあ何しても誰にも憎まれない、愛されるよな~と納得できるトムヒの魅力が炸裂してます。

 うつけのフリをしているハル王子は、さしずめ織田信長的キャラ?おバカな遊び人を演じて韜晦してるハル王子ですが、本当は爪を隠しているという本性の部分が、あまり描かれてなかったような。ハル王子の二面性が、もうちょっと見たかったかも。あと、ヘンリー4世との親子の葛藤や衝突も、あまりなかったのが物足りませんでした。父王が死んだと思ったハル王子が、王冠をかぶって泣きながら王座に座ったら、このヤロー王冠返せー!と死んだはずのヘンリー4世がベッドから起き上がって突進してくるシーン、コントみたいで笑えた。

 ヘンリー4世とよりも、下々の者たちとハル王子が仲良くバカ騒ぎしてるシーンが多く、中でも百貫デブ老人フォルスタッフとの友情に重点が置かれてました。シェイクスピア劇のキャラの中でも人気が高いというフォルスタッフ、滑稽で悲しいキャラで笑わせ泣かせてくれます。ラスト、王座に就いたハル王子とフォルスタッフの別れは、苦くて切ないです。ハル王子と悪友ポインズとのサウナ?シーンが、ちょっと妖しくて腐はニヤリ。トムヒの肉体美も楽しめます。
 トムヒも素敵でしたが、MYイケメンレーダーをビビビ!と反応させたのが、反乱を起こすパーシー役のジョー・アームストロング。

 カッコカワイい!猛々しく激情的で反骨偏屈なパーシーのキャラ、言動、女房に対するスウィートなドSさも、男らしくてチャーミングでした。猛き者もつひには滅びぬ…なパーシーを熱演したジョー・アームストロングも、要チェキな英国イケメンの一人となりました。TVドラマ中心みたいなので、映画にもっと出てほしい!パーシーの父ノーザンバランド公役の俳優さんが、ジョーにそっくりなのでホントの父子みたいだな~と思って調べたら、アラン・アームストロングさんというベテラン俳優さん。実の父子共演でした。
 
 ↑若くてカッコカワいいパーシーに比べると、嫁がおばさんすぎ~
 詩的で機知に富んだ台詞も美しく、あんな言葉を言ってみたい言われてみたいものです。戦場シーンでも見事な映像美で、こんなんに慣れたら日本や韓国の時代劇が、ほんとチャチく思えてしまいます。
 ヘンリー5世編に、話は続きます…

 ↑ジョー・アームストロング、1978年生まれ(ガエル・ガルシア・ベルナルやリィウ・イエ、ドミニク・クーパーやジェームズ・フランコ、日本だと小泉孝太郎と同い年)、現在38歳。TVシリーズの「ロビン・フッド」の彼も超イケてます!観ねば!


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ホロウ・クラウン①~③ リチャード2世

2016-09-21 | 欧米のドラマ
 シェイクスピアの戯曲を基に、イギリス王室の愛憎と権力闘争を描いた歴史ドラマ、「ホロウ・クラウン 嘆きの王冠」シーズン1を観ることができました~。大好きな英国王室もの、そして英国映画・ドラマファンにはお馴染みの名優や人気スター、注目の気鋭俳優がたくさん出演しているので、前から気になってたTVシリーズ。まずは、第1話から3話までのリチャード2世編。

 若く美しい王リチャード2世は、いとこであるヘンリー・ボリングブルックを宮廷から追放。さらに、アイルランドの反乱を鎮圧するための軍資金を捻出するため、ヘンリーの父ランカスター公の財産を没収する。ひそかにイギリスに戻ったヘンリーは、蜂起してリチャードを退位へと追いやるが…
 英国王室もの大好き!なんて言いつつ、いまだにチンプンカンプンな私です。王さまも貴族も、同じような名前が多いですよね~。The Tudorsなんて、いったい何人の“トマス”がいたことか。人間関係も入り組んでて複雑すぎる。そこが面白くもあるのですが。血で血を洗う骨肉相食む政争、詐術陰謀、愛憎と欲望渦巻く宮廷ドラマには、毎度ワクワクさせられます。日本の宮廷陰謀劇と違って、かなり野蛮で荒っぽいところが怖くて好きです。

 で、リチャード2世…って、ゲイ、だったのですか?いちおう王妃はいるけど、いつも一緒で親密そうなのは、イケメンや美少年の取り巻きたち…やっぱイギリスは腐ツボを突いてきますわ。リチャード2世を演じてるのが、今やゲイを演じさせたら世界一、英国の輝けるBLスター、ベン・ウィショーなのだから、これほどの適役もない。ベン子さん、今回も水を得た魚のごときゲイゲイしさで、リアルかつチャーミングでした。

 もう仕草や表情、目つきからしてノンケの男とは違います。座ってる時の足が、ほとんど乙女。でも、ぜんぜん気持ち悪くなくて、可愛いくてカッコよくもあるんですよね~。そこがベン子の魅力&実力です。臣下への優雅な驕慢さが、まさに生まれながらの王者って感じ。ベン子の気品と威厳に魅せられました。臣下同士が争ってるのを面白がってるようだったり、優しくしたり冷たくしたり、楽しそうに悪だくみしたり、ちょっとイケズな小悪魔オネエさんなベン子が可愛かった。大柄な男たちに囲まれた小柄で華奢なベン子さんは、まさにヒロインのような可憐さ。

 白玉のような無邪気すぎる自由すぎる心ゆえに、臣下にも民にも憎まれ恨まれ、破滅してしまうリチャード2世。暴政を敷いた身勝手で冷酷な王、というより、浮き世離れした不思議ちゃんっぽく演じてたベン子さん。王位を奪われてからが、舞台俳優としての本領発揮。感情豊かな長い台詞まわしは圧巻。特に印象的だったのは、リチャード2世がヘンリーになかなか王冠を渡さないシーン。当てこすりしまくりな悲劇のヒロイン愁嘆場。イヤよ!やっぱりイヤイヤ~!と文字通りひっくり返ってダダこねるリチャード2世の往生際の悪さに、ヘンリーだけでなく視聴者も唖然。すごい緊迫感かつ滑稽さを醸すベン子の演技に圧倒されました。

 牢獄のリチャード2世が悲惨すぎ。まるで洞窟の原始人ついさっきまで金枝玉葉、栄耀栄華だったのに。まさに一寸先は闇。リチャード2世もですが、王さまなんてちっとも羨ましくない身分です。特に英国王室は、無事生きながらえるほうが稀で、だいたいは断頭台行きだもん。リチャード2世は首チョン切られ末路ではなかったけど、ある意味もっと無残で哀れな最期でした。衣装や風貌など、リチャード2世をどこかキリストっぽく演じてたベン子さんです。

 ベン子の役者っぷりを堪能できる作品でしたが、べン子に負けない存在感と魅力で私を瞠目させたのが、ヘンリー役のローリー・キニア。ダニエル・クレイグの007シリーズで、ボンドの仲間ビル・タナーを演じてる英国俳優です。007ではフツーのおじさんって感じですが、このドラマの彼はすごくカッコいいです!美男とかイケメンとかではないけど、男らしくて勇壮で優しそうで哀愁もあって、いい男!

 ちょっと不揃いな前歯が、何か可愛かった。ヘンリーのキャラが、男らしく誠実かつ何かお人よしでもあって好感。リチャード2世や親族に振り回されるヘンリーの悩める姿に胸キュンでした。

 ↑Qとビル・タナー、ではなく、リチャード2世とヘンリー。二人のやりとり・関係は、かなりBLっぽい♡
 その他のキャストも、ヘンリーの父ランカスター公役にXメンシリーズのプロフェッサーXことパトリック・スチュワート、その弟ヨーク公役に名探偵ポアロ役ことデヴィッド・スーシェ(後で知ってビックリ!ぜんぜん気づかんかった!別人!激シブでカッコいい!役者ってスゴい!)と、日本でもお馴染みの名優が。リチャード2世の寵臣のひとり、ヨーク公の息子オーマール役のトム・ヒューズは、ちょっと山下智久似?あと、争ったヘンリーともども追放になる貴族トマス・モウブレー役のジェームズ・ピュアフォイも男前!

 キューティブロンド主演の「悪女」でも男前だったピュアフォイさん。出番少なくて残念!また出てくるのかしらん?あれで出番終わりなら、男前の無駄づかいだわ~。
 舞台を観ているような演劇的な演出と、ロケ地の美しさも活かした映像の巧みな融合も秀逸。当時の英国王室の、華美ではないシンプルな衣装や堅牢な城なども目に楽しかったです。セットも、お金かかけてるな~と感嘆。日本や韓国の時代劇のチャチいセットとは大違い。
 物語はヘンリー4世編へと続く…

 ↑ベンちゃんみたいな奥さんがいて、ダンナさんが羨ましい

 ↑そのダンナさん、マーク・ブラッドショウ氏はオーストラリア人の音楽家。陽気でオチャメな人柄っぽい彼は、ベンより2歳年下の夫。「ブライト・スター」のサウンドトラックを担当、主演のベンと恋に落ちたんだとか。いい感じのカップルですよね~。末永く幸せに(^^♪
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バッチさんのイッテQ航海日誌

2016-07-10 | 欧米のドラマ
 ベネディクト・カンバーバッチ主演のTVドラマ「新世界 航海の果てに」全3話を観ました~。
 19世紀初頭。英国貴族の青年エドマンドは、要職に就くためにオーストラリアへと向かう旅客船に乗る。そこには、さまざまな身分の人々がいた。世間知らずなエドマンドは、あることで船長と衝突してしまうが…
 今をときめくバッチ主演。当時30歳ぐらい?若い!まだお肌つやつや。シワひとつないです。若い頃のバッチさんも、イケメンとか男前とかいった感じではなく、良く言えば個性的、悪く言えばヘンな顔、なのですが、抵抗感を覚えるほどの灰汁の強さとか、演技派気取りのイヤミがまったくなくて、どんな役でもユニークかつ可愛い。なんでこんな男が人気あるの?と出演作を観る前までは不思議に思ってたけど、今ではその世界的人気は当然だと思ってるし、すっかりファンにもなってしまってる私です。

 このドラマのバッチも、いつものバッチらしさ全開でファンは楽しめます。ちょっと傲慢不遜だけどホントは優しく、悪気はないけどかなりKYで、頭脳明晰だけどコミュ障、いつも大真面目だけど何かズレてる…出世作の「シャーロック」やオスカー候補になった「イミテーション・ゲーム」と同じですね。バッチ扮する貴族のエドマンドが、船上でも特権を当然のように甘受し、気取ってエラソーにしてる姿も、全然イヤミがなくて笑えます。威張ってるのではなく、あれが貴族としてフツーだったんですよね。エドマンドより身分が低い人たちも、別に反発や反感を抱くことなく当たり前みたいにエドマンドに従う様子も、当時のイギリス社会の縮図みたいで興味深かったです。

 イギリス正統派男優と見なされてるみたいなバッチですが、ワタシ的にはバッチって、どっちかっつーたらコメディ向けなのかな?と思ってしまったり。どの出演作でも、何か笑えることが多いし、そういう演技が巧い。このドラマでも、クスっと笑えるシーンがいっぱいあります。基本的に、このドラマじたいが喜劇調でしたし。船内で勃発するトラブルや人間関係のもつれ、海上での非常事態に、バッチたちがドタバタ、アタフタ大騒ぎする姿が笑いを誘います。第一話で、神父さんが無残に狂死するエピソードは、でもヤバかったです。むくつけき船乗りの男たちに輪姦されて…?おぞましい疑惑を臭わすだけで、そういうシーンはありませんでしたが。

 長い船旅、若いエドマンドなので性欲を抑えきれず、乗客の中にいたヤリマンっぽい娘と狭い船室でせわしなくズコバコシーンは、かなり滑稽です。一発ヤってスッキリしたら、もうヤリマン娘は用なしとばかりにガン無視(可哀想!)するくせに、一目惚れした清純な令嬢には超紳士的でウブなアプローチ。落差ありすぎで笑えます。別の俳優だとゲス男になってしまうところ、バッチマジックなのか笑える天然キャラになってて不快感ゼロ。船室ファックシーンと行水シーンでは、すっぽんぽんになってファンサービス。TVドラマであそこまで脱げるって、スゴいわ~。

 全体的にコメディ仕立てでしたが、当時の船旅の大変さは笑いごとではなかった。まさに命がけ。相当な覚悟、高いモチベーションがないと、あの旅はできないです。特に女性。すごい勇気、捨て身だわ。安全面もですが、衛生面でもう私はダメです。あんな生活、1日でも無理。艱難辛苦の中でも、態度や服装は取り澄ましててキチンとしてるエドマンドたち、さすが誇り高いイギリス人!

 バッチさん、貴族の衣装もよく似合ってて素敵でした。結構とっかえひっかえでしたが、どんだけ衣装を船に持ち込んだんだよ(笑)。船内のセットとか、TVドラマにしては予算かけてるな~と感嘆。
 
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せびられて

2016-02-03 | 欧米のドラマ
 フランスのTVドラマ「ゴリオ爺さん」を観ました。文豪バルザック原作の映像化です。
 王政復古直後のパリ。下宿屋で暮らす元資産家の老人ゴリオには、金を無心する時にだけ会いにくる二人の娘がいた。そんな中、没落貴族の子息ラスティニャックが新しい下宿人としてやって来るが…
 引き続き大好きなボーギャルソン、マリク・ジディ出演作♪マリくん、この作品でもカッコカワイかった~

 ラスティニャック役のマリくん。最初のほうでは、フワフワしたウェーブのかかった長髪。マリくんの出世作、オゾン監督の「焼け石に水」の彼を思い出させました。カツラだと思うけど、ベルばらみたいな少女漫画に出てくる美青年っぽくてトレビアンやっぱマリくん、ええわ~。知的で優しそうで上品で透明感があって。抱かれたい系ではなく、こんな感じの男子になってみたいかも、と思わせる系。フェロモン男子もいいけど、マリくんみたいな清涼系も好きなんですよね~。

 髪をこざっぱりしたら、いつものマリくんに。爽やかで清潔感があって、短髪がやっぱ似合うかな。このドラマの時には29歳だった彼ですが、全然そんな年には見えません。少年みたい。理知的な童顔。つっても、ガキっぽいのではない。大人の男の落ち着きがある。チャラチャラした老けた中学生みたいな嵐とかとは違うのです。フランス男にしてはスカしてないし、滅多に風呂に入ってなさげな不潔感もなくて、とにかく優しそう清潔そう。ご本人も性格よさそうだもんね。ファンレターの返事くれたし。いい人に決まってます!
 そんなマリくんの優しさが、このドラマでも活かされてました。ラスティニャックも、お人よしに近いほど優しいんです。赤の他人のゴリオ爺さんにも親切で、そんな義理などないのに、ゴリオ爺さんの娘の借金まで肩代わりするとか、ありえない!やめときなよ!関わるな!と説教したくなるほど。

 貧乏貴族の役なので、きらびやかな衣装は着ないのですが、地味ながらも上品なファッションが、これまた似合ってて。マリくんって、オサレなんですよね~。現代のパリの青年役(「Les Amitiés maléfiques」とか)だろうが、時代劇の歴史的人物役(「クララ・シューマン 愛の協奏曲」とか)だろうが、彼が着ると何でも趣味が良く見えます。このドラマでも、マフラーとかベスト、コートとか、いま着ても全然オサレな品よい着こなしぶり。特に目を見張るような演技とかはしませんが、マリくんの上品な可愛さ、知的な優しさは、なかなか他の男優では味わえない稀有な魅力ではなかろうか。

 でも、ドラマじたいはイヤ~な話なんですよ。とにかく世知辛い。脚本、橋田スガコ?かと思うほど渡鬼っぽいです。ゴリオ爺さんの娘二人にイラっ&ムカッ。キャラ的には、赤木春恵にたかる美人になった沢田雅美&東てる美です。最低最悪なバカ娘・鬼娘どもで、殺したくなります。とにかく、老父に金をせびる、たかる!吸血蛭みたいな娘ども。娘の贅沢三昧生活、結婚の持参金で老父はスッカラカン、ショボい下宿屋に放り込んで会いにも来ない。金くれ!な時にだけ、お父様~と猫なで声で現れる。生活に困って、というのではなく、自分たちの見栄を維持するための金ほしさ、というところが卑しくて醜い。もう絞りとるだけの金がないと判明したら、パパが病に倒れ瀕死になっても枕辺に駆けつけることもなく無視!ひ、非道い!

 でも、実際にも、現代でもよくある光景、親子関係ですよね。金の切れ目は縁の切れ目、は家族にもあり得る。娘どもの言いなりで、甘やかし放題だったゴリオ爺さんも、いかがなものか。甘さは毒なんだな~と、つくづく思いました。にしてもゴリオ爺さん、可哀想すぎる。愛情深さの結果が、あの仕打ち。あの親不孝な薄情娘ども、ろくな死に方しないですよ。私もまあ、人のことトヤカク言えるほど親孝行じゃないけど
 ゴリオ爺さん役は、シャンソン歌手で俳優としても活躍してるシャルル・アズナブール。怪しい下宿人役のチャッキー・カリョも好演。金持ちの男爵夫人役で、懐かしの美人女優マルーシュカ・デートメルスが。はじめ誰か判らなかったけど、美熟女になってました。
 
 ↑オサレなパリジャン、マリくん

 ↑大女優ナタリー・バイと共演の新作“La Volante”が、なかなか面白そう!誤って若い男性を車で轢いて死なせてしまったエリートのマリくん、数年後彼の前に秘書として現れる被害者の母ナタリーおばさま、という内容みたいです。日本でも公開されてほしいですね♪
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ニュースの男

2016-01-25 | 欧米のドラマ
 イギリスのTVドラマ「THE HOUR 裏切りのニュース」を観ました。全6話。
 1956年のロンドン。BBCが新たに制作するニュース番組「THE HOUR」のプロデューサーに抜擢されたベルは、親友の政治記者フレディやキャスターのヘクターらとチームを組む。目下、イギリスはエジプトとスエズ運河をめぐって不穏な関係に陥っていた。そんな中、大学の教授が殺される事件が起き、続いて貴族議員の娘でフレディの幼馴染であるルースが謎の死を遂げる。真相を究明するため捜査を開始したフレディは、やがて恐ろしい陰謀の渦に巻き込まれて…
 最近ますます人気の英国イケメン男優軍団ですが。中でも出演作目白押しの売れっ子なのが、007のQ役でおなじみのベン・ウィショー。この陽春だけでも、「白鯨との闘い」「ロブスター」「リリーのすべて」が日本で公開される、ちょっとしたベン祭なのです。そんなベンに熱い注目と期待を寄せるファンは、他の英国男優のファンとはちょっと毛色が違います。彼のファンは、たいてい腐ってるのですゲイ役が多く、私生活でも同性婚をしているベンを、腐った女子が支持するのは当然の成り行きと言えましょう。そこがベンを、独特で異色のイギリス男優にしています。
 今や腐女子の星ベンが、社会の暗部に鋭く切り込む政治記者役、しかも!ゲイ役じゃない!

 ベンがフツーのストレート役だなんて。何だか意外…いや、違和感さえ感じてしまいました。これまでは、ゲイの役しかオファーが来ないのか?はたまた彼ご自身がゲイ役を好んで選んでるのか?と憶測してしまうほど、ほぼゲイ役専門俳優みたいだったベンなので、彼が女とロマンスとか情事とかしてる姿には、居心地の悪さを覚えてしまいました。え~こんなのベンじゃない~…みたいな。

 もちろん、決してストレート役を演じてるベンを否定しているわけでもなく、ゲイ役じゃないとダメ!なんて勝手なことを望んでるわけでもありません。むしろ、ゲイじゃないベンはすごく新鮮でした。ゲイ役じゃないけど、決して男らしくはないんですよ。女より華奢だし。なにげない表情とか歩き方に、そこはかとなくあだっぽいシナがあったり。そこにちょっと安堵でも、カマっぽくもないんです。男でも女でもないというか。そこがベン独自の魅力、個性でしょうか。
 政治記者フレディは、007のQにちょっと近いキャラ?こだわりが強い仕事オタク、皮肉屋で自信家、みんなと仲良くよりも個人プレーが好きなところとか、Qに似てます。ボンドにツンデレなQちゃんのように、フレディも好きな女やライバル男に意地悪だったり傲慢だったりしつつ、気になって仕方がないのでついちょっかい出したり助けたりする、素直じゃない男子で可愛かったです。才気煥発で勝気、信念と正義のためには巨大な力の圧力や脅しにも屈しない反骨精神がカッコいい、でも感受性が強すぎてガラス細工の脆さと繊細さが危なっかしいフレディと、堂々と同性婚を公表はしても決して私生活の切り売りはしないデリケート&ミステリアスなベンが、どことなくカブります。

 フレディとベルの、恋人未満友だち以上な関係の心地よさ、じれったさは、大人の理性と臆病さ、ズルさがないまぜになってて共感。フレディとベルは、どちらかといえば仲良し姉弟みたいでしたが。わがままでマイペースで偏屈なフレディに振り回されながらも、キーキー怒ったりせず好きなようにやらせてあげるベルの大人の女の包容力、寛容さがカッコよかったです。イチャイチャしても同じベッドで寝ても、決して色っぽいムードや展開にならない二人が微笑ましい。生々しくない男女の愛って、何か素敵。複雑な感情や思惑、事情が交錯するけど、決してキーキーキャーキャーと小娘やガキみたいに騒いだりせず、他人にも自分にも抑えを求める。これが大人の恋愛ですよね。いい年したおばさんがウジウジメソメキャーキャー言ってるオトナ女子とか、気持ち悪いだけです。

 ベルと妻帯者のヘクターの不倫ロマンスは、よくあるシチュエーションでしたが。ヘクターって、決してゲスの極みではないけど…男ってほんと勝手だな~ズルいな~。つくづく女って損!と噴飯。現在でも決して働く女性の立場や地位は向上、改善しているとは言えませんが、当時のキャリアウーマンはほんと大変だったんだろうな~と、ベルの奮闘苦闘を見ていて思いました。でも、恋も仕事もバリバリなベルは、幸せな女性だな~と羨ましくもなりました。ベル役は、「エンジェル」や「つぐない」のロモーラ・ガライ。久々に見ましたが、ケイト・ウィンスレットをソフトに優しそうにした感じの美人になってました。ムチムチした体つきは、すでに熟女のエロさが。ヘクター役のドミニク・ウェストも、シブいダンディでカッコよかったです。番組制作チームの姐御的存在の熟女特派員役の女優さんは、どっかで見たことあるな~と思ったら、ドミ公の「フレミング」でも気風のいい熟女MI6職員を演じてた人でした。ベン、彼女と酔った勢いでヤっちゃうシーンがあるのですが、女らしい美女よりも男みたいな風貌の熟女が相手で、やっぱベン的にはやりやすかったことでしょうか

 当時のスエズ運河をめぐる英国の外交問題や、緊迫の国際情勢に関わる連続殺人事件の謎。真相を追うフレディたちに迫る危険。サスペンス・ミステリーとしても面白かったです。スパイがらみなところが、いかにもイギリス。当時のTVニュースの制作過程、制作風景も興味深かったです。イギリスといえばの貴族の館、優雅な上流社会の晩餐会とか正装も目に楽しかったです。

 THE HOURチーム再結成のシーズン2も楽しみ。それ以上に、ベンの最新主演ドラマ「LONDON SPY」が待ちきれない~!こっちはガチゲイ役だもんね。やっぱベンはそうでなくっちゃね
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