まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

でもこの国が好きよ生まれた国だから

2022-04-05 | イギリス、アイルランド映画
 「ベルファスト」
 1969年の北アイルランド、ベルファスト。9才の少年バディの家族は、貧しいながらも愛と絆で結ばれていた。だが、宗教の対立による紛争が激化の一途をたどり、子どもたちの命も危うい状況に。バディの父は移住を決意するが…
 ケネス・ブラナ監督、アカデミー賞脚本賞受賞おめでとうございます!受賞も納得の佳作です!ケネス・ブラナは俳優としては大好きなのですが、彼の監督作って正直そんなにスゴいとか面白いとか思ったことない「マイティ・ソー」は好きだけど。この半自伝的だという新作が、マイ・ベスト・オブ・ケネス・ブラナ監督作かも。すごい感動!とか、何という衝撃!とか、かつてない斬新さ!とかいった映画ではないけど、奇をてらわない真摯な演出、の中にもなにげにブラナ監督らならではの舞台的なシーンが独特でもあったり、何より憤怒と憎悪に満ちた内容になりがちな北アイルランド紛争ものを、不穏な緊張感を漂わせつつも心温まる優しい家族ドラマに仕立てていたのが秀逸でした。全然お涙ちょうだいじゃない、明るくユーモアあふれる爽やかな、干し草のぬくもり的な人情が心地よかったです。

 モノクロ映像、政治不安で物騒な社会状況の中で明るく逞しく生きる人々、監督の半自伝的な物語など「ROMAローマ」とカブるところがあります。ローマもでしたが、いつどこでテロや暴動が起こるかわからないなんて怖すぎる。私には到底、あんな危険な日常茶飯事に慣れて生きる自信はありません。愛する家族が毎日命の危険に晒されてるのに、頑なにベルファストから出ることを拒むママにイラっとしました。郷土愛や、知らない土地で暮らす不安は理解できる。私だって広島が大好きだし、できれば広島にずっといたいし、今さら県外で暮らすのはしんどい。でも、自分だけならともかく愛する子どものことを考えると、あんな状態のベルファストで陽気に気丈に生きるなんて無理。北アイルランド紛争といい、ロシアVSウクライナといい、日本に生まれてよかったと心の底から思ってしまいます。

 登場人物たちも、それらを演じた俳優たちも、みんな好感度が高くてチャーミング。主役のバディが無邪気で元気!いい子!演じたジュード・ヒルくんも、美少年ではなくフツーっぽいところがよかった。いかにも天才子役です!な鼻につく演技ではなく、すごく自然だったのが返って恐るべし。走り方が独特すぎて可愛かった!バディを子分扱いする年上のツインテール娘(バディの従姉?)もいい味だしてました。

 バディの両親役、ジェイミー・ドーナンとカトリーナ・バルフは、オスカー候補にならなかったのが不思議なほどの好演。失礼ながらジェイミーが、いい男だとは知ってたけどこんなにいい役者だとは思わなかった。超庶民のパパママ役にしては、ジェイミーはイケメンすぎ、カトリーナは美人&スタイルよすぎ、だけど、どんなシーンも絵になって素敵なカップルでした。ラスト近くの歌ってダンスする二人、若い美しい恋人同士のようなアツアツスウィートさ。見とれてしまいました。

 バディの祖父ちゃん祖母ちゃん役は、バイプレイヤーのキアラン・ハインズと泣く子も黙る大女優ジュディ・デンチ。オスカー候補になったのは、こっちのジジババのほうでした。二人とも怖らしい厳めしい見た目だけど、それとギャップのある明るく優しい演技。デンチ女史のアップと台詞で映画は終わるのですが、厳しくも哀切な表情が深い強い余韻を残します。上映時間が1時間半ぐらいなのも、長い映画が苦手な私にはありがたかったです。当時のベルファストの再現もお見事でした。ブラナ監督のポアロシリーズはCGだらけですが、こっちはリアルな生活感、ノスタルジー漂わせるセットが素晴らしいです。

 ↑ ケネブラ氏とジェイミーは同じベルファスト出身だとか。ケネブラ氏がもしポアロ第3弾を作るなら、ジェイミーも起用してほしいです。役者として一皮抜けたジェイミーですが、だからって演技派ぶった仕事せず、セクシー路線は今後も続けてほしいものです
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ちいさい騎士みつけた

2022-03-06 | イギリス、アイルランド映画
 「シラノ」
 17世紀のフランス。騎士で詩人のシラノは、幼なじみのロクサーヌに恋をしていた。しかしロクサーヌは、新兵の青年クリスチャンと恋に落ちる。口下手なクリスチャンの代わりに、シラノはロクサーヌへの恋文を書くが…
 「ウエスト・サイド・ストーリー」「チック、チック…ブーン!」そしてこの作品と、ミュージカル映画が流行りな昨今。苦手を克服し、今では好きになってきているミュージカルを観るにつけ、つくづく思うようになりました。どんなに圧倒的で驚異的な歌や踊りを盛り込んでも、好きなイケメンや男前が出てないと感動できない、と。私にとってイケメンは、もはや映画にはエッセンシャルなんです。素晴らしい演出、素晴らしい歌とダンスなのに、男優が非イケメンすぎて味気無さ、物足りなさを否めなかったウエストサイドとは真逆で、この何度も映像化されてきた有名戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」の映画最新版は、歌と踊りは大したことはないんだけど、俳優が極めて魅力的だったので、私の満足度は高いものとなりました。

 オリジナルのシラノは醜い巨鼻が特徴ですが、今作のシラノはドワーフ(こ〇と、と呼ぶのは今はNG?)に設定チェンジされています。その新シラノを、人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」や、「ペネロピ」「スリー・ビルボード」など数々の映画で知られるドワーフ名優のピーター・ディンクレイジが名演!惜しくもオスカーノミネーションは成りませんでしたが、それに値する素晴らしいパフォーマンスと存在感でした。ドワーフという肉体や宿命の悲しさ重さをにじませながらも、ハンディキャップをお涙ちょうだいにするような卑屈さや小狡さなど全然なくて、したたかで誇り高い文武両道なディンクレイジ氏が、とにかくカッコいい!酸いも甘いも嚙み分けた大人の男の渋さと哀愁も素敵。俳優としてだけではなく。男性としても魅力的。佐〇健や亀〇とかより、私は断然ディンクレイジおじさんに抱かれたいです。

 凡人や偏狭な者たちを屈服させる威厳と詩才を備えた英傑であると同時に、強烈で悲愴なコンプレックスが切ないディンクレイジasシラノでした。ドMなのかな?と訝しんでしまうほど、どんなに傷ついてもロクサーヌの言いなりなところも、悲しい忠犬みたいで愛おしかったです。剣術やケンカなどでの敏捷な身のこなしもカッコよかった。
 そしてこの映画、早くも今年MY best イケメンかもしれぬ男子が最近お気にの黒人イケメン、ケルヴィン・ハリソン・ジュニアがクリスチャン役

 あいやー!ケルヴィンくん、めっちゃイケメン!ロクサーヌが一目ぼれするのも当然!キラキラすぎて、老人の目にはまぶしすぎる!颯爽と軽やかな動きといい、ピチピチチョコレート肌といい、これぞ若さ!な輝きです。周囲の男たちをみんな掃きだめにしてしまう黒い鶴のような男子。顔が、スタイルが、ぜんぜん違いますもん。「ルース・エドガー」の時よりもちょっとだけ大人っぽくなってたケルヴィンくん、容姿端麗なのはルースと同じだけど、オツムは正反対なアホの子で、気のきかない朴念仁なクリスチャンを、イキイキと可愛く演じてました。

 アホな表情や言動も可愛い!でもあのルックスだし、性格も明るく優しいクリスチャン、あの程度のアホさなんか何の問題にも障害にもなりません。シラノとはお互い無いものを補い合うような、割れ鍋に綴じ蓋な関係が微笑ましかった。けど、あんな替え玉作戦なんか後ですぐにバレるでしょ。どうごまかすつもりだったの。二人とも完璧ではないけど、美しいハートの持ち主だった。それだけで十分だったのに。美貌や才能にこだわりすぎた愚かさが悲しい。ロクサーヌが二人を美しくない、詩才がないと拒絶するような女なら、所詮その程度の女と願い下げすればいい!

 ロクサーヌがねえ、まさにそんな感じのヤな女だったのがちょっと…男に美貌も文才も求める欲張り女で、おまえナニサマ?!とムカつく言動が多くて困りました。封建的な時代でも自由で強い女、みたいなヒロインにしたかったんだろうけど、金持ちのおじさん貴族に気をもたせるようなことをするところなども、私にはかなり狡猾な性悪女に思えました。あの悲劇的なラストは、ロクサーヌのバチ当たりな男もてあそびのせいです!

 ダイナミックで華麗なミュージカルって感じではなく、かなりライトで今風なテイストが気軽かつちょっと物足りなくもあった。歌と踊り、演出は、何だか今どきの人気シンガーのMVっぽかったような。淡いパステル調の優しく軽やかな衣装が美しく目に楽しかったです。でもでも。ウエストもシラノも結末が悲しすぎるわ。こんなご時世なので、楽しい映画が観たいです。

 ↑次世代黒人俳優ナンバーワン候補のケルヴィンくん。バズ・ラーマン監督久々の新作“Elvis”では、伝説のミュージシャンであるBBキング役を演じてるとか。トム・ハンクスやコディ・スミット・マクフィーなど共演者も異色。楽しみ(^^♪
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ヤニヴのイケメンエスピオナージ

2022-02-16 | イギリス、アイルランド映画
 「ミュンヘン 戦火燃ゆる前に」
 オックスフォード大学で出会い親友となったイギリス人のヒューとドイツ人のポールは、イデオロギーの違いから決裂し疎遠となる。数年後、ナチスドイツの脅威という暗雲がヨーロッパ中にたちこめる中、イギリスの首相チェンバレンはヒトラーとの会談のためミュンヘンに赴くことになる。外交官として同行するヒューは、ある密命を帯びていたが…
 愛しのMein liebhaber ヤニス・ニーヴナー目当てで観ました~(^^♪この作品出演のニュースを知った時、てっきり「コリーニ事件」に続いてまたナチス役かと思い込んでしまったのですが、ナチスと戦う役だったので驚喜。それにしてもヤニヴったら、ほんと死角なしのイケメンきれいな顔だけど、メイクばっちりな女よりきれい系ではなく、おしゃれ系のナヨっちい優男でもなく、男らしい素朴さ精悍さでいい感じに無骨で地味なところが好きなんです。今回のヤニヴは、反ナチになる前は明るく爽やかな大学生風、反ナチになってからはどこか思いつめた疲れたリーマン風、と雰囲気も風貌も変えて演じ分けてるけど、どっちもイケメンであることは言うまでもない。メガネも可愛い!

 冒頭の、オックスフォード大学時代のヤニヴ、酔っ払ってはっちゃけてる姿が可愛い!庭で寝転がってヒューに腕枕してもらってるヤニヴに、早く本格的なBL映画に出ろよ(「Jonathan」はBL映画だけど、ヤニヴはBLしなかったし!)!と、じれったくなりました。ヒューとパブで口論になるシーンの、激高して声も表情も険しく荒々しくなるヤニヴ、なかなか気迫に満ちた熱演でしたが、イケメンは怒っても可愛い薄くなった髪の毛、窶れた顔などで、命がけの反ナチ運動や愛する人を襲った悲劇などからの心労をよく出してたヤニヴです。台詞は英語とドイツ語が半々で、ヤニヴの流暢な英語(聞き取りやすくて好き!)がまた聞けて嬉しかったです。自然に自在に2か国語を操って、すごくカッコよかった。

 脱ぎ男なヤニヴですが、この作品では無駄脱ぎなし!着替えシーンでもラブシーンでも上半身裸は見せなかった。はい減点!ラブシーンの相手は、秀作「ありがとう、トニ・エルドマン」での名演が忘れがたいザンドラ・ヒュラーって!おばはん、じゃない、熟女じゃん!?母子じゃん!?羨ましいにもほどがあるわ。ザンドラさんもそんな年じゃないと思うけど、ヤニヴが若く見えるせいかすごい違和感あり。情交はあるけど、恋人というより同志な関係性のほうが強かったのが、見ていて物足りなくもあり安心でもあったり。

 ヒュー役は、「1917 命をかけた伝令」で主人公を演じたジョージ・マッケイ。彼、すごい面白い顔してますよね~。マチュー・アマルリック+ハリーポッターのロン、みたいな顔?イケメンじゃないけど、彼みたいなユニークな俳優も映画界には必要。必死になって東奔西走する姿には、若い俳優にしかない颯爽としたエネルギッシュさが。長身で体格がよく、スーツがよく似合ってました。マッケイくん、いい役者なのですが、英国俳優ならあってしかるべき“ゲイ役も似合いそう”なところがなく、ヤニヴとのブロマンスにも腐を喜ばせるBLのかほりがしなかったのが残念。

 英国首相ネヴィル・チェンバレン役は、「ハウス・オブ・グッチ」で会ったばかりのジェレミー・アイアンズ。美老人!気さくで茶目っ気があって剛毅な役だけど、すごいエレガントなところがさすがアイアンズおじさま。雰囲気が貴族的。スーツだろうが寝間着だろうが、たぶんジャージだってステテコだって優雅です。ポールの元学友のナチス将校役は、最近はすっかり国際的バイプレイヤーなアウグスト・ディール。ヤニヴと同級生役にはちょっと無理があったような。見るからに裏表がある、性悪で非情な役はステレオタイプなナチス役ですが、そんな役にピッタリな顔してるのは彼にとって幸か不幸か。

 ミュンヘン会談の舞台裏、ヒトラーの侵攻を阻止するためのイギリスとドイツの諜報活動は、派手で荒唐無稽なスパイ映画を観狎れてしまってるせいか、かなり地味でハラハラドキドキはあまりなかった。奔走したわりには大した成果は得られず、むしろ失敗に終わったのがトホホ。普段は冷静で紳士的だけど、やはり不穏で気味が悪い今作のヒトラーでした。ポールを気に入り、何かと絡んでくるヒトラーが薄気味悪くも微笑ましかったです。ポールがブサイクだったら、絶対ああはならなかったはず。諜報って、やっぱ美男美女向きの仕事ですね。それにしても当時のドイツ、狂ってるとしか思えぬ国情ですよね~。かなり製作費を費やしてそうな衣装やセットなど、当時の再現が見事でした。ヒューとポール、あの時代でなければイギリスとドイツを自由に行き来して、生涯友人のままでいられただろうに。二人が動乱を生き抜いて、戦後に再会できますようにと願わずにはいられないラストでした。ヒューはともかく、ポールは性格といい立場といい、かなりその望みは薄いが…

 ↑ 若い二人はほとんど一般人、爺さまはおしゃれな貴族

 ヤニヴ~働き者なヤニヴ、出演作は多いけどなかなか日本で公開されないのが悲しい😢最新作はドイツ版ワイルド・スピード?早く観たい!
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スパイボーイ、スパイジェントルマン ビギニング

2022-01-17 | イギリス、アイルランド映画
 「キングスマン ファースト・エージェント」
 謎の組織の暗躍により、イギリスとドイツ、ロシアが反目し第一次世界大戦が勃発しようとしていた。イギリスの名門貴族オックスフォード卿は、国家に頼らない諜報網で世界の混乱を防ごうとする。オックスフォード卿の息子コンラッドは、愛国心から戦争に従軍しようとするが…
 待望のシリーズ最新作。延期を繰り返し、ようやく日本でも公開されました。楽しみにしてたとはいえ、第3弾は続編ではなく前日譚。キングスマン誕生秘話ということなので、もちろんエグジーもハリーも出てきません。二人がいないキングスマンなんて!大好きなタロン・エガートンとコリン・ファースあってのキングスマンって感じなので、正直がっかり。前2作ほどには楽しめないかも…と一抹の不安を抱きながら観に行ったのですが、面白かった!けど、やはり何というか、物足りなさは否めず。キングスマンの魅力であるスタイリッシュアクションのハチャメチャ感も、ちょっとトーンダウンしてたような気が。シリアスで悲しい戦争ドラマが盛り込まれていたのが想定外でした。コンラッドが第一次世界大戦の戦場で戦うパートは、ほとんど「1941」で既視感ハンパなかったわ。それにしても。多くの若い命が無残に散らされた事実には、あらためて暗澹となります。悲痛な反戦メッセージには胸を衝かれますが、違ーう!違うだろー!by 豊田まゆこ と叫びたくなりました。そんなの期待して観に来たんじゃないの!ゴキゲンなブリティッシュスパイコメディを観に来たの!

 ヘンに真面目な部分の増加には戸惑いましたが、もちろんキングスマンの魅力である過激なアクションや、英国風味のコメディも健在で安心。特にロシアでの怪僧ラスプーチンとの死闘が楽しかったです。胡乱で面妖な見た目といいいい凶暴で下品なキャラといい、キャラが立ち過ぎたラスプーチンがとにかく強烈。美男子好きのラスプーチンに、イケメンのコンラッドがハニートラップを仕掛ける計画だったのに、ラスプーチンご本人はコンラッドよりもシブい熟年のオックスフォード卿のほうがタイプだった、のが笑えた。ラスプーチンをはじめ、各国の実在した歴史上悪名高い人物たちが謎の組織に属していて、ラスボスの命令で王室や政府を牛耳って暗躍するという設定が奇想天外で面白かったです。

 前2作から一新、でも今回も英国の秀でた俳優や国際的な俳優を集めているキャスト。オックスフォード卿役は、名優レイフ・ファインズ。若い頃は翳りや狂気を感じさせる二枚目だった彼も、すっかり枯れたおじさんに。ちょっとフツーのおじさん風で、貴族っぽくないというか。コリン・ファースみたいに、おおこれぞ英国紳士!な感じが希薄というか。たまに小日向文世に見えたり。老体にムチ打つような終盤の怒涛のアクション、ムチャブリしよんな監督。レイフが可哀想になった。お年寄りいじめみたいで、大暴れ!な愉快痛快さに欠けてました。

 オックスフォード卿の愛息コンラッド役に抜擢されたのは、注目のイギリス若手俳優ハリス・ディキンソン。ちょっとカープの森下くん似?同じ童顔でも、エグジー役のタロン・エガートンとは別種な童顔。タロンは下町のやんちゃ坊主系ですが、ハリスは良家のおっとり系おぼっちゃん系。イケメンなんだけど、すごい薄口。きょとんとした顔が可愛い。小顔で長身でスタイル抜群!何着ても似合って、グラビアのモデルみたいに品よくファッショナブル。細マッチョな肉体美も披露してます。

 執事役のジャイモン・フンスーもカッコいい。ラスプーチン役は怪優リス・エヴァンズ。バイプレイヤーのトム・ホランダーが、イギリス王、ロシア皇帝、ドイツ皇帝(この3人、いとこ同士だったんですね!)を驚異の&遊び心あふれる1人3役。軍人役でアーロン・テイラー・ジョンソンとマシュー・グードも登場。ドイツからは、ハヌッセン役でダニエル・ブリュール、レーニン役でアウグスト・ディールが。この二人って懐かしの「青い棘」じゃん!あの歴史上最悪な人物が、ラストに若かりし頃の姿で登場するのですが、その役を演じてたのが「愛を読むひと」のデヴィッド・クロスで驚きました。しばらく見ない間に成長したね~。
 イギリス、やっぱいいですね~。イギリスといえばの貴族の邸宅やインテリア、調度品、紅茶セットやウィスキーグラスなど、ほんと素敵で憧れる。それにしてもイギリス人って、ほんとアメリカを小ばかにしたネタが好きですね。アメリカ大統領がなかなか大戦参戦にGOサインを出さなかった理由が笑えます。


 
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悪夢の誕生日

2021-12-03 | イギリス、アイルランド映画
 「Unhappy Birthday」
 セイディは誕生日に恋人のリック、友人ジョニーとアーメン島を訪れる。世間から隔絶されたアーメン島では、島民たちが独自の文化と生活を営んでいた。島の女性コニーが行方不明になっている妹を探していることをネットで知ったリックは、セイディをその妹としてコニーのもとに連れてきたのだったが…
 これ、なかなか掘り出し物な珍作でした。あまりにもB級(C級かも)すぎて、日本ではまず劇場公開されないでしょう。そのチープかつ過激なエログロは、無害だけど味も栄養もないポリコレ映画にうんざりしてる私には、新鮮な珍味のゲテモノ料理みたいでした。都会人が閉鎖的な村落や孤島にやって来て、異常な因習や歪んだモラルに支配された狂気の住民から酷い目に遭うといった“恐怖の田舎もの”は、ホラーでは定番のジャンル。島民の狂いっぷりや残虐行為、トンデモ展開などは、やはり珍作の「変態村」を思い出させました。笑いを狙ってるとしか思えぬイカレた内容が共通してます。

 き〇がい島民もですが、この映画では主人公側もかなりアブノーマル。女ひとり、男ふたりのドリカム体制(死語)なのですが、セイディとリックがカップルなだけでなく、何とリックとジョニーもデキているという、何とも不埒でイビツなトリオなんです。はじめは、セイディに隠れて男色に耽ってるのかなと思ってたのですが、どうやらセイディ公認の関係な上に、セイディはジョニーともヤってて、3Pまで楽しんでるという淫らで乱れた3人組。ラブシーンとか濡れ場なんてキレイな表現はしがたいほど、ただヤってるだけの猥雑さ汚さで、エロもいかにもB級C級でした。リックとジョニーの関係、男色シーンもBLというよりヤリ友って感じの軽さ汚さでした。

 謎のおじさん教祖を聖父として崇めるコニーら島民たちは、まるでオ〇ムみたいなヤバいカルト集団みたいでした。よそ者や自分たちの価値観を受け入れず否定する連中はみんな斃すべき敵、な考え方と行動に行き着くところがカルトの怖さです。はりつけ、男根潰し、砂浜に生き埋めなど、処刑方法が悲惨無残すぎて笑えます。リック役の俳優はわりと可愛いイケメン。ジョニーは広島の湯崎知事をブサイクにした感じ?ジョニーもわりとイケメンにしてほしかった。二人ともフルチンになって頑張ってたけど、眼福な肉体美じゃなかったのもマイナスポイント。セイディはおばさん!ギャルファッションは何かのジョークとしか思えなかった。リックとはカップルに見えない!コニーの見た目とキャラは、ちょっと「ミザリー」のキャシー・ベイツっぽいかも。

 はじめ、リックが金目的か何かでセイディをコニーの妹に仕立て上げようとしているのかと思ってたけど、どうやらそうではなく、身寄りのないセイディの肉親を捜しているうちにコニーをネットで知って、という経緯だったみたいだったので、あんな酷い末路が可哀想すぎ。悪い目的で近づいて逆に…みたいな設定のほうがスッキリしたのに。よそ者を島に呼び寄せるコニーの目的がよく解らなかった。
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BLの宿殺人事件!

2021-11-29 | イギリス、アイルランド映画
 「B&B」
 同性婚をしているマークとフレッドは以前、ゲイのカップルであることを理由に宿泊を拒んだB&Bの経営者ジョシュを訴え勝訴。二人は再びB&Bを訪れ、苦々しげに受け入れるジョシュに溜飲を下げる。ジョシュの息子ポールもゲイだったが、敬虔なクリスチャンでゲイ嫌いの父親には隠し通していた。マークとフレッド、ポールはそれぞれ、ロシア人の客アレクシに不審と好奇心を抱くが…
 イギリスとアイルランドでは、B&Bに泊まりました。当地の家庭の様子や雰囲気を楽しめ、美味しい朝食がいただけるB&Bでの滞在は、何よりの旅の思い出になります。この映画のB&Bも、こじんまりと簡素だけど内装などにイギリスらしい落ち着きと風雅さがあり、海外旅行者が来そうにないポツンと静かな環境も素敵でした。そんなB&Bで、男たちが繰り広げる愛憎と欲望、そして殺意のサスペンス!お話はほぼB&Bだけで進行、登場人物も5人だけ。ちょっと舞台劇っぽかったです。怪しく不穏な人物、予期せぬ凶事と展開、そして結末など、面白くなりそうな要素はいくつもあったのですが、うう~ん、何か足りないというか…

 ゲイとB&B、イギリス映画好きには美味しい組み合わせなんですが、いまいちその魅力的な設定やキャラが活かされてなかったような。ゲイ映画としては、ゲイ濃度がフツーというか。ゲイならではの葛藤とか苦悩があまり描かれてなかったのが惜しい。マークとフレッドはラブラブのカップルで、ゲイであることを何ら恥じてなく堂々としていて、すごく幸せそうなんです。素敵な関係性だけど、幸せで満ち足りてるゲイって面白くないゲイはやっぱ不幸で悲痛でいてほしい、なんて腐の身勝手な妄願。マークとフレッドはキスはするけど、それ以上のシーンはなし。あまりにもゲイ映画に狎れたせいで、ドキドキするような男同士の性愛シーンは最近とんと出会えてません。

 5人にあまり魅力がなかったのも残念でした。マークとフレッド、B&Bに来た理由も性格悪いし、英語が喋れないロシア人のアレクシを見た目だけで勝手にゲイのネオナチだと思い込んで、彼の部屋に侵入して所持品をチェックしたり、外出した彼を尾行したり、余計なことをして事態を悪くしたり、その迷惑なヒマ人ぶりに呆れた。隠れゲイのポールは、父親への憎悪や抑圧した欲望のせいで暴走するんだけど、ただもう迷惑なだけでイラっとしました。ブサイクじゃないけど非イケメンだったのも減点ポイント。アレクシはマッチョなイケメンでした。アレクシの正体に苦笑。軍が使うような赤外線カメラをいったい何のために?と思ってたら、そんなことに使ってたのかよとトホホ!

 マーク役は新「オリエント急行殺人事件」でポアロの友人役、来年公開のシリーズ第2作「ナイル殺人事件」にも出てるトム・ベイトマン。コリン・ファースにちょっと似た感じがする風貌で、英国人らしく自信たっぷりでシニカルな役が似合う俳優。フレッド役のショーン・ティールはTVシリーズの「クイーン・メアリー」に出てた、ちょっと濃い目の中東系イケメン。「ブリジャートン家」のフィービー・ディネヴァーの元カレだって!決して女っぽくはないけど、何げなく奥さん側(ゲイのウケ側)な感じを上手に出してました。もう一つの事件現場、教会がある夜の森は、男たちが相手を求めて集い蠢くハッテン場。昼とはまったく違う世界となる暗い森が、隠微に神秘的で妖しかったです。
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秋深し少年の恋

2021-11-10 | イギリス、アイルランド映画
 「Departure」
 イギリス人の母子、ベアトリスと15歳のエリオットは、南フランスの田舎に所有しているサマーハウスにやって来る。ベアトリスは夫との破綻した結婚生活に疲れ、サマーハウスを売却しようとしていた。エリオットはフランス人の青年クレモンと親しくなるが…
 掘り出しものな佳作でした!家族関係や性の目覚め、初恋に悩みながら成長する少年の思春期、というテーマはありきたりなのですが、恋は恋でも少年の恋の相手は青年というBL思春期が、心が洗われるような美しい風景の中、瑞々しく清らかな愁いで描かれているところが出色でした。

 ご存知の通り、わしは三度のメシよりBLが好きな筋金入りの腐ですが、年齢が低くて見た目が幼いBL、いわゆるショタ系は苦手。この映画のエリオットもあどけない顔の可愛い少年なのですが、メンタルが不安定なママへの優しさと冷ややかさに、あまりコドモコドモしてない大人じみた落ち着きがありつつ、決して大人ぶってるわけではなく、おっとり上品で感受性と想像力が豊かで、静かにふわふわしてるところが可愛い子でした。詩人であるエリオットの空想世界も、静かに幻想的で印象的でした。

 エリオットが外出時に着るジャケットが、イギリスの男の子って感じでおしゃれ!簡素だけどトラッドな服装は、田舎でも悪目立ちしないセンスのよさでした。ファッションセンスも、ゲイであるエリオットをどこか周囲とは違う存在にしていたように思われました。
 おとなしそう、内気そうなエリオットですが、クレモンを初めて会った瞬間にロックオン、尾行したり偶然を装って近づいて友だちになったり、なかなかやり手なところが微笑ましかったです。クレモンも、そっけなくてぶっきらぼうだけど、エリオットが期待しちゃうような親密な振る舞いをしたり、二人が友だち以上恋人未満な関係になるプロセスが微笑ましく、かつもどかしくホロ苦くもありました。

 エリオットとクレモンの会話は、英語とフランス語のちゃんぽん。どっちも日常会話は問題なく相手の母国語を喋れるところがスゴいと思った。わしなんか長いこと勉強しても英語ぜんぜん喋れんもんね。エリオットの想いを拒みはしないけど、受け入れることもないクレモン。彼のイライラした様子は、ノンケの葛藤だったのでしょうか。湖に浮かばせたボートの上での二人の行為は、甘い痛みと悲しみ、虚しさに包まれていました。

 エリオットのママも主役なのですが、ぶっちゃけ彼女の話は不要と思った。ママはどーでもいいので、もっとエリオットとクレモンのBLを深く濃ゆく描いてほしかったです。両親がなぜうまくいかなくなったのか、その理由は興味深かったけど。パパもかよ!と、ちょっと笑ってしまったが。ママにとっては笑いごとではなく、確かに神経も傷んで衰弱もするよな~と同情。人間関係や愛情に安心、安定なんてありえないんだよな~…
 エリオット役のアレックス・ロウザーが、可愛い!

 美少年ではなく、フツーっぽいけど優しそう聡明そうな可愛い優等生って感じの風貌。決してキャマキャマしくはないけど、なにげない仕草とか表情、目つきが男の子のものではない、そんな細やかなニュアンスを上手に表現してました。橋の上から川に飛び込むシーンでは、大胆な全裸も披露。プロフィールをチェキってみたら、ビツクリ!「イミテーション・ゲーム」で主人公の少年時代、そしてこないだ観た「最後の決闘裁判」では王さま役を演じてた!ぜんぜん気づかんかったわ。今後もいい作品に出て、いい役者に成長してほしい!クレモン役の俳優が、もうちょっとイケメンだったらな~。伊藤英明をチョイブサにした感じの顔?無骨でちょっと屈折した、つかみどころのないミステリアスなクレモンのキャラは、すごく魅力的でした。

 BL以上に感銘を受けたのは、サマーハウス周辺の美しい自然!深まる秋に色づく森、川の流れのささめき、静かな湖の水面、時おり姿を現す野性動物ののどかさ…清明で神秘的な空気感をよく出していた映像も秀逸でした。サマーハウスも居心地がよさそうだった。あんなところに住んでみたいな~。
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さよなら愛しのスパイ

2021-10-08 | イギリス、アイルランド映画
 「ノー・タイム・トゥ・ダイ」
 MI6を辞め恋人のマドレーヌと静かに暮らしていたジェームズ・ボンドは、引退前に戦った組織スペクターからと思われる襲撃を受ける。マドレーヌの関与を疑い、ボンドは彼女と決別するが…
 待望のシリーズ最新作にして、ダニエル・クレイグのボンド卒業作。「カジノ・ロワイヤル」から15年、5作でボンドを演じたダニクレさん、お疲れさまでした!歴代ボンドの中ではいちばん好き。軽くて派手という007のイメージを覆した、クール&ハードなダニクレボンドでした。ストイックでシブいけど、ブリティッシュな魅力にもあふれていたところも好きです。007以外のダニクレ氏もそうですが、ファッションがハイセンスなんですよね~。地味なセーターやジャンパーも、ハリウッドスターにはない趣味の高さ。スーツとタキシードの着こなしは、映画界屈指です。

 最後のボンドも、スパイというより戦士のような武闘っぷりで、あまり秘密兵器とかに頼らない生身の肉弾戦は、激しく迫力があって圧巻。日本版スパイ映画「太陽は動かない」とか、ほんとお遊戯に思えてしまいます。ダニクレ氏、50過ぎであの動き、そして肉体美は驚異の一言ですが、さすがに昔日に比べると加齢感は否めず、肌とかも脂気がなくカサカサ。もともと老け顔なので、今回など顔だけだともうお爺さん。老体にムチ打つようなアクションシーンなど、無茶してるな~と痛ましくもあって。今回のボンド卒業は賢明な判断。ハリソン・フォードがンディ・ジョーンズを再演とか、想像しただけでイタくてヤメテー!と声を大にして言いたいもん。

 最後の戦いの決着、ボンドが選んだ漢(おとこ)の道は凄絶で悲劇的でしたが、同時に何だかスッキリサッパリした爽快感もありました。中途半端なことをせず、きっちり終わらせた潔さに拍手です。
 お話よりも私が感銘を受けたのは、世界各地でのロケーションの素晴らしさです。どこも旅心をくすぐる美しさ、珍しさでした。マドレーヌの実家がある湖畔の冬景色、あんなとこで絶対暮らせない!けど暮らしてみたい!ボンドとマドレーヌが滞在するイタリアの世界遺産マルーテ、常夏のジャマイカ、ラテンムードのキューバ、スコットランドの森etc.最も心惹かれたのは、やはりロンドン!007といえば、やはり大英帝国の首都ですよね~。ボンドにはロンドンがいちばんしっくりきます。

 ↑ この道路もすごく印象的でした。どうやらノルウェーにあるらしいです
 ボンドに関わる人々もみんな個性的で魅力的。マドレーヌ役のレア・セドゥは、前作に続いてのボンドガール、というよりヒロイン。007シリーズに連続して登場するヒロインって、かなり異色です。ボンドガールとは任務中だけのラブアフェア、が007のお約束、鉄則みたいだったので。ボンドとマドレーヌとの愛も、今までの007にはなかったドラマ重視。レアはまだ若いけど大人の女性に成熟して、きれいになりましたね~。シンプルなファッションもフランス女優らしくて素敵でした。
 ダニエル007の悪役は、インターナショナルな大物ベテラン俳優が起用され作品のクオリティを上げていましたが、今回は「ボヘミアン・ラプソディ」でオスカーを受賞したばかりのラミ・マレックというのが新鮮、かつ人気も実力もある俳優が悪役、というこれまでの路線を踏襲していました。

 オスカー受賞直後の最旬の人気俳優を悪役に起用できたところも、制作側の気合を感じます。ラミちゃん、ついこないだまでは博物館のエジプトの王さま役やってたのに、ずいぶん出世しましたね~。彼は個性的で魅力的な俳優ですが、今までの濃ゆい熟年ぞろいの悪役の面々に比べると、まだ若いせいか貫禄不足というか、強烈さに欠けてたというのが正直な感想。中盤になってやっと本格的に登場するので、出演シーンはそんなに多くなく、いかにも極悪人な言動もほとんどせず、マドレーヌや彼女の幼い娘にも優しいので、悪役って感じが希薄でした。もっとハジけたヤバい演技してほしかったかも。小柄なラミちゃん、和服?着てるのが珍妙かつ可愛かったです。ラミちゃんの服や能面、毒草島の庭園など、なぜか日本テイストなのが意味不明だけど面白かったです。ラミがボンドの銃撃をよけて逃げるシーン、その忍者屋敷のような仕掛けがドリフのコントみたいで笑えた。

 引退していたボンドに代わって007になった女性エージェントも大活躍。ボンドと張り合うのがコミカル調で楽しかった。新007が黒人の女性で、男より強くて優秀、という設定が時流に沿ってます。Qことベン・ウィショーの出番が、今までで一番多かったので嬉しかったです。Qちゃんといえば、ワタシ的にはオバケでも高橋でもなく007。Qちゃん、今回サラっとカミングアウトしてましたね!彼氏が来るのをお料理しながら部屋で待ってたQちゃんが可愛かったです。Qちゃんのフラットの内装がおしゃれでした。

 Mことレイフ・ファインズが出てくるたびに、キングスマン新作もったいぶってないで早く公開しろよ!とイライラ。公開延期はレイフのせいではありませんが。ターナー役のローリー・キニアも好きな俳優。ベン子さんとは「ホロウ・クラウン」でも共演してましたね。「スペクター」の悪役、クリストフ・ヴァルツの登場には驚きました。監獄でのレクター博士みたいな扱いが笑えた。ダニクレとは「ナイブズ・アウト」でも共演してたアナ・デ・アルマスが、ボンドガール役で登場。ルーキーなのでテンパってる様子が可愛く、でもいざとなったら凄腕なカッコよさで、セクシーキュートな魅力を振りまいてました。ボンドガールなのにボンドと色っぽい関係にならないのも、古い007との違いです。
 気になるのはやはり、次にジェームズ・ボンドを演じるのは誰になるか。何人もの有名英国スターが候補にあがってるみたいですが、個人的にはリチャード・マッデンとかドミニク・クーパー、チャーリー・ハナム、テオ・ジェームズとかに演じてほしいわ~。センセーショナル狙いなら、レジ・ジーン・ペイジ。007が若い黒人のイケメン、なんてのも革新的でいいんじゃないでしょうか
 
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妖精、愛人になる

2021-09-22 | イギリス、アイルランド映画
 「カルテット」
 20年代のパリ。夫のステファンが盗品売買で投獄され、路頭に迷いそうになったマイヤは、裕福なイギリス人ハイドラー夫妻に救いの手を差し伸べられる。ハイドラーには美しいマイヤに対して下心があり、妻のロイスはそれを黙認していたが…
 今も昔も素晴らしい女優はあまたいますが、私にとって不動の世界最高女優はイザベル・アジャーニです。その清冽な美貌と神がかり的な演技は、魅力というよりもはや魔力です。他の女優には絶対に演じられないヒロインを演じてきたイザベルですが、中でも80年代の彼女はまさに女優として神ってる(死語)最盛期で、代表作のほとんどはこの頃。最狂映画、最狂ヒロインとして伝説となった「ポゼッション」と合わせてカンヌ映画祭の女優賞を受賞したこのジェームズ・アイヴォリー監督作のイザベルは、全出演作品中屈指の美しさと言っても過言ではありません。当時25、6歳、まさに匂いたつような美しさ。すごい美人、すごい美女って、映画界では珍しくもなく結構ありきたりな人たち。スクリーンの向こうの美しさを見狎れた目でさえ、イザベルの美しさは今なお鮮烈。間違えてこの世に迷い込んでしまった異郷の妖精…この映画のイザベルは、まさにそんな美しさと風情なのです。

 肌が美しい女優はたくさんいますが、イザベル・アジャーニほどきめ細かく透き通るような肌をもつ女優、私は知りません。若さでピチピチ!輝いている!水も弾く!という類の美肌ではないんですよね~。すごいデリケートというかフラジールというか、触れたら破れそうな和紙のような繊細さ。ほのかな蝋燭の火を思わせるはかなさ。淡雪のような白い肌が激情でみるみると紅潮する、その美しさときたら!黒髪と青い瞳のエキゾティックさ、愛らしくも蠱惑的な唇も異邦人的で、他の女優にはない彼女の魅力です。

 少女のように可憐であどけなく、ふわふわと頼りなくはかなげな、思わず手折ってしまいたくなる花のよう。でも、触れると傷ついてしまう小さな棘と毒を秘めている。そんなヒロインも、イザベル・アジャーニにしか演じられません。最近の女優はみんな地に足がついてるというか、現実的で賢くて強いじゃないですか。幻想の中で彷徨う妖精のようなヒロインが似合う女優はもう絶滅してるし、演じたいと思う女優もいないでしょう。

 愛する夫が投獄されてる間に、年の離れた既婚の金持ち男の愛人になるマイヤは、常識的な人たちからすると不埒で不道徳な女。誰かの庇護なしでは生きられない、プライドも自立心もない弱い女。夫と愛人どちらを愛してるのかはっきりせず、どちらにも愛してると言いながら童女のように甘えたり鬼女と化してヒステリックに憎悪をぶつけ罵倒する、その曖昧さと不可解さにも善き女性たちは眉をひそめてしまうかもしれません。でも、イザベル・アジャーニがとても自分たちと同じ人間の女とは思えず、マイヤの言動は囚われた妖精の美しく悲しいもがき、抵抗に見えて哀れみを覚えてしまう。愚かさや狂気でさえ美しく魅惑的になる。それこそイザベル・アジャーニの魔力です。誰からも好かれる理解されるヒロインなんて、つまんない!謎と神秘と狂気を秘めたヒロイン、そしてそれを美しく演じられる女優が好き。そんな女優、イザベル・アジャーニ以外思いつかないのだけど。

 20年代アールデコのパリが、まさに異郷の雰囲気なアンニュイさと退廃で、妖精アジャーニが愛に彷徨う舞台にぴったり。アジャーニのファッションも目に楽しかったです。歌って踊るシーンもちょっとヘタなのが可愛かった。フランス語なまりの英語も可愛く聞こえた。まさに柔肌!なヌードも美しかった。イザベル・アジャーニといえばのドン引きするほどの発狂演技はないのですが、焦点が定まってない瞳や激情ほとばしる絶叫など、じゅうぶん狂ってました。石畳の路地、カフェやキャバレー、ジャズetc.当時のムーディなパリの再現も見所です。

 偽善と欺瞞に満ちた大人の関係は、清く正しくないからこそ深くて面白い。ハイドラー夫妻役は、イギリスの名優アラン・ベイツとマギー・スミス。ハイドラー氏、一見立派な紳士だけど実は卑劣で残酷で破廉恥なゲス男!奥さんにも愛人にも支配的で、二人を翻弄し傷つける自分勝手な言動にムカつきました。見た目は威風堂々だけど中身はズルいセコい、というイギリスの上流社会の男性らしい複雑な裏表を、故アラン・ベイツはよく出してました。ハイドラーの妻ロイスは、この映画のもうひとりのヒロイン。まだおばあさんになってない熟女時代のマギー・スミスが、クールかつ哀愁ある好演。夫とのディープキスシーンとかあったり、今では絶対見られない“おんな”なマギーおばさまです。

 夫をつなぎとめておきたいがためにマイヤを利用する妻のダークサイドも、かなりいやらしいし怖いけど、失った愛にしがみつく姿は痛ましくて哀れでもあります。イギリス人らしく、冷ややかに毅然とロイスを演じてるマギーおばさまがカッコよかったです。マギー・スミスとイザベル・アジャーニ、英仏の超大物女優のツーショットはかなりレアで貴重。マイヤの夫ステファン役のアンソニー・ヒギンズは、地味だけどなかなかのイケメンでした。ホテルの女将役で、アジャーニとは「殺意の夏」でも共演してた名女優シュザンヌ・フロンも顔を見せてます。ハイドラー夫妻ら裕福なイギリス人たちの、パリでの暮らしぶりが優雅でした。

 アメリカ人なのにイギリスのハイソサエティを美しく格調高く描けるジェームズ・アイヴォリー監督は、ほんと稀有な才人!カメラが回ってない時のイザベル・アジャーニのわがままな不思議ちゃんぶりに辟易しながらも、本番では天才ぶりを発揮する彼女に感嘆するばかりだった、と何かの雑誌のインタビューでのアイヴォリー監督の撮影話が興味深かったです。「君の名前で僕を呼んで」で最高齢でオスカーを受賞したアイヴォリー監督、もう新作はさすがに無理でしょうか。訃報じゃなくて新作ニュースを聞きたいですね。
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妊婦監禁!“死んだ彼氏の実家で…”

2021-08-18 | イギリス、アイルランド映画
 イケメンオリンピック 4位 イギリス
 「Kindred」
 恋人のベンが事故で急死し、妊娠中のシャーロットはベンの実家で養生することに。ベンの母マーガレットと弟トーマスから手厚い庇護を受けるシャーロットだったが、しだいに彼らによって外部との接触を遮断され、屋敷に閉じ込められるようになり…
 お気にの英国イケメン、ジャック・ロウデン出演作です。トーマス役のロウデンくん、いや~彼もほんまカッコカワイイですね~可愛い童顔にうっすら無精ひげがあるのがギャプ萌え。彼の魅力は何といっても、イギリスの名家子息な雰囲気。賢そうだけど控えめで品があって、明るさ優しさの中にもどこかメランコリックさがあって。そういった魅力は、どんなに演技力があってもハリウッド俳優には会得できません。スタイル抜群な長身も素敵。全身が映ってるシーン、その足の長さ!顔の小ささときたら!そして何を着ても優雅で上品に見えるファッションの趣味の高さ!韓国やアメリカの成金とは大違い。

 そんなロウデンくんが、何と!妊娠中の兄の恋人を母親と共謀して監禁する役!やってることは異常で非道で卑劣なのですが、全然そんな風に見えないんですよ。最初から最後まで優しく時に悲しげな青年にしか見えず、異常さとか狂気などは微塵も感じさせない。それが返って怖かったです。凡百な俳優なら、いかにもサイコパスな感じで演じてたでしょう。気持ち悪さゼロなマザコン監禁男だなんて前代未聞です。

 はじめっから何かヤバそうで、シャーロットが屋敷に来てからはハッキリき〇がい女と化すマーガレットとは真逆で、トーマスは一貫して優しい善い子。狂った母に服従はしてるけど、常にシャーロットの心身を気づかって、何とか助けてあげたいと思ってそう、だけど断固として逃がさない。これみよがしな狂った演技はせず、見えない狂気を静かに優しく演じたロウデンくんでした。

 異常な状況に陥り、助けを求めてもただの情緒不安定扱いされてしまい、じわじわと追い詰められる妊娠中のヒロイン、狙われた赤ん坊、オカルトっぽいシーン…ポランスキー監督の名作「ローズマリーの赤ちゃん」を思い出させる設定です。それにしても。いくら妊娠で情緒不安でも、助かるために何かできたはずなのではとも。シャーロット、気が強くて自立した現代女性で、見た目も強靭そうなのに、やすやすと罠に落ちすぎでしょ。ベンと結婚してたわけじゃないので、法律的には彼の実家にとやかく言われて従う義務もないし、毅然と冷静に振る舞えばあんなことにはならなかったはず。

 ↑ ロウデンくんのスタイルのよさ、ファッションの上品さときたら!
 とにかくヒロインのシャーロットがバカすぎ、性格も悪すぎて共感できなかった。冒頭、マーガレットと初めて会った時の態度の悪さや、ベンの死に取り乱して自分を詰るマーガレットに掴みかかり突き倒す暴力とか、イヤな女だなと不愉快に。なので酷い目に遭ってもあまり同情できませんでした。おとなしすぎ、言いなりな嫁もイヤですが、シャーロットみたいな女が息子の嫁になるのもイヤです。
 ベン役は、これまた最近お気にの売れっ子バイプレイヤー、エドワード・ホルクロフト。

 彼もイケメン!優しそうで男らしい。髭もじゃだと、何だか歴史の偉人っぽい。シャーロットへの優しさ、愛情深さがso sweet!でも始まって10分ぐらいで死亡その死に方、死に顔がホラーでした。ロウデン&ホルクロフトのツーショットや絡みがほとんどなかったのも、この映画のダメな点です。シャーロット役の黒人女優タマラ・ローレンスも美人なので、エドワードとお似合いのカップルでした。「アンモナイトの目覚め」にも出てたマーガレット役のフィオナ・ショーは、ぜんぜん上流婦人に見えない!下町のおばさん、いや、おじさんにも見えることが。マーガレット役はもっとハイソな感じ、かつヤバい役が得意な英国マダム女優、たとえばミランダ・リチャードソンとかクリスティン・スコット・トーマスとかレスリー・マンヴィルとかがよかったかも。まさにイギリス貴族の住まう家!な監禁屋敷が美しかったです。あんなに広大でいろんなものがあると、掃除が大変そう!

 ↑ 可愛い!こう見えてももう30過ぎてます。トム・ハーディ主演の「カポネ」にも出てるので早く観ねば(^^♪
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