まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

巴里迷宮案内

2015-01-23 | 北米映画 60s~70s
 最近読み終えた小説、桜木紫乃の「硝子の葦」の、登場人物のひとりの恐ろしい台詞に衝撃、そして嫌な共感を覚えてしまいました。
 『身軽って怖いんですよ。縛りのない生活の怖さ、分かりますか。拠り所も束縛もなくなった人間って、明日も要らなくなっちゃうんだ』
 あううこれ、ズバリ私のことを言ってるし痛いところを衝かれたとは、まさにこのこと。自由の果てに待ち受けてるのは、孤独死…という事実に戦慄しつつ、自由に狎れすぎて今さらもう拠り所も束縛も受け入れられない。明日も要らないという感覚がすごく分かる私って、やっぱ不幸な人なのでしょうか…

 「シャレード」
 富豪の夫が殺され、未亡人となったレジーナ。彼女の前に、次々と怪しい男たちが現れる。彼らと亡夫は戦時中に政府から大金を盗み、それを亡夫がどこかに隠したのだった。金を渡すよう男たちから脅迫されるレジーナは、謎の紳士ピーターに助けられるが…
 私の初オードリー・ヘプバーン映画は、このロマンティックサスペンスなのです。小さい頃TVで放送されてたのを観て、その子どもが観ても大丈夫な、かつ理解できる内容と、美しくオチャメな素敵マダムに魅せられたのをよく覚えてます。たま~に再観したくなる、楽しくて洗練された佳作です。
 「ローマの休日」での輝くばかりの美しさ、清純さと可憐さで、世界中の映画ファン(特に日本の)を魅了したオードリー。私も大好きな女優で、出演作はほとんど観てます。ありえないほど美しく高貴な最高級の女優だけど、近づきがたい特異さとかお高さがなく、とても親しみやすいところが彼女の魅力でしょうか。そのオードリーが御年34歳の時に出演したこの映画。見た目の美しさ以上に、匂い立つような気品や優雅さに憧れてしまいます。どんなに美しくても若くても演技が巧くても、他の女優には持ち得ない天性の美質って、まさに世界にひとつだけの宝石なんだな~と、オードリーを見てると感嘆してしまいます。

 恐ろしい連続殺人事件が起き、数々の危機がヒロインに襲いかかるサスペンスなのですが、ぜんぜん陰惨さとか殺伐さとかはなく、かなりコメディ色が強い内容。もちろん、日本の2時間ドラマのようなチープさ、やっつけ感などもなく、ロマンティックで洒脱なムードとか、ヒロインと男たちが交わす小粋な台詞など、往年の古き佳きハリウッド喜劇調なのが嬉しい楽しい。
 ヒロインを演じてるオードリーも、おちゃめでイキイキとした絶妙なコメディエンヌぶり。これが日本の熟女女優だと、キモいブリババになってたかもしれないヒロインだけど、下品さとか安っぽさなど微塵もない、エレガントで気品あるオードリーの一挙手一投足にうっとり魅入ってしまいます。オードリー、本当に唯一無二な女優だったんだな~と、あらためて彼女への憧れが募ります。劇中オードリーが着こなしてる、ジパンシーの衣装も素敵です。ファッションは人を選ぶというか、ジパンシーもオードリーが着るからオシャレで高雅なのであって、ピン子とかあき竹城だと芸人の舞台衣装になってしまいます。

 共演者もシブくて豪華。相手役は往年の大スター、ケーリー・グラント。あの役にはちょっとおじいさん過ぎるかな、とも思いましたが、彼もオードリーに負けないほど、おちゃっぴーでエレガントでリッチな魅力。青くさい若造や、男ざかりの脂ぎった熟年男とは違う、すっきりさっぱり枯れた男の爽やかさが。老体にムチ打って、アクションも頑張ってます。
 その他、レジーナを付け狙う悪人役に、ジェームズ・コバーンとジョージ・ケネディといった元祖ハリウッド悪役商会なメンツ。コメディの名優ウォルター・マッソーも好演してます。
 冒頭の列車での殺人でツカミはOK、ヘンリー・マンシーニの流麗かつポップなメインテーマが流れるオープニングクレジットもオシャレ。皆が血眼になって追い求める大金のありかとか、伏線や小道具の使い方が巧みです。特に上手だな~そうきたか~と感嘆したのは、レジーナの友人の幼い息子の使い方。無駄キャラどころか超重要キャラになるので要注意。あと、ノートルダム寺院やセーヌ川、オペラ座など、ちょっとしたパリ観光気分も味わえます。
コメント (2)
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ファイター・イン・ザ・ダーク!

2015-01-20 | 北米映画 60s~70s
 最近読書してないな~と思い、こないだ図書館で本を借りてきました
 借りたのは、桜木紫乃の「硝子の葦」と、吉田修一の「怒り」です。どちらも犯罪小説。桜木紫乃の小説は初めて読みましたが、なかなか読み応えある内容でした。ダークなヒロインが良かった。この小説、ドラマ化されるそうですが、ヒロイン役がなぜか相武サキ。ええ~?!何か違う…ていうか、相武ちゃんにダークで複雑な女の役なんて、できるのかしらん?不倫相手役は、小澤征悦。オザユキは大好きだけど…官能的なシーンが重要になる作品なので、アイブちゃんとオザユキの中途半端なヌルい演技が、トホホな原作レイプにならないよう願ってます。
 「怒り」は、明らかにあの整形逃亡犯、市橋達也をモデルにした話。吉田修一といえばのゲイゲイしいBL色が、いつもに増して強い濃いところが素敵な小説です。これもいつか、映像化されるのかな。池松くんやムカイリーを理想妄想脳内キャスティングしながら読んでます♪

 「暗くなるまで待って」
 カメラマンのサムは、空港で見知らぬ女から人形を預かり、そのまま自宅に持ち帰る。人形の中に隠された麻薬を狙う男たちは、サムを外におびき出し留守の家に侵入しようとするが、そこには夫の帰りを待つ盲目の妻スージーがいた…
 「ローマの休日」や「麗しのサブリナ」など、可憐で清純なアイドルスターというイメージが強いオードリー・ヘプバーンですが、確かな演技力も備えた女優でもあります。オードリーが女優としての力量を遺憾なく発揮してる作品としては、「尼僧物語」とこのスリラー映画が思い浮かびます。
 絶体絶命に陥るヒロインを、繊細かつ力強く演じているオードリー。その不安と恐怖に揺れる大きな瞳、表情に引き込まれます。抱けば折れそうなほど華奢ではかなげな肢体も、ヒロインの弱い立場やピンチを際立たせていて、誰か早く助けてあげて~!と、観客をハラハラさせてくれます。オードリーはこの映画での熱演で、オスカーにノミネートされました。

 スージー役を、もし今のハリウッドの人気女優が演じたら、すごい違和感、ミスキャストだろうなあ。スカ子とかジェニファー・ローレンスとかだと、すぐに逆襲して悪者なんかズッタズタのボッコボコにしそうだし。今の女優は、みんな外見も中身もタフすぎる。オードリーのような、守ってあげたいと思わせる女優も、今は絶滅状態ですよね。
 はかなげだけど、決してナヨナヨはしてないオードリー。細いけど、ちょっとやそっとじゃ折れないなよ竹のようなしなやかさも素敵。当時38歳のオードリー、中年になっても美しさは不変です。「ローマの休日」の頃に比べると、確かに重ねた年齢を感じさせますが、可憐さ、清らかさは失っていません。外見の若さや美しさはうつろいますが、気品とか知性とか内なる天性の美質は保てる。それを体現してたオードリーは、やはり傑出した稀有な女優です。

 恐怖に怯え、うろたえながらも、決死の闘いを挑むスージーの、ハンディであるはずの闇を味方につけての逆襲が、鮮やかで面白いです。ほぼスージーの部屋の中だけで展開する緊迫感に満ちた物語、余計なシーンや人物を排除したシンプルで緻密な構成は、まるで良質の舞台劇みたいです(舞台劇の映画化と知り、なるほど納得)。
 まどろっこしい小芝居を打って、はじめは何とか穏便に麻薬をゲットしようとする悪人たち、かなり紳士的で微笑ましくもあった。あれが中国人とか韓国人の裏組織なら、問答無用に荒っぽく簡単に強殺するだろうし。
 人形を狙う悪人グループを仕切るロート役のアラン・アーキンの、不気味な存在感とサイコな怪演が強烈です。

 見るからにヤバい人なロート。かなり狂気的な男なのですが、いかにもキ○ガイなオーバーアクションは皆無で、あくまでクールで淡々としてるところが返って怖い。邪魔者を躊躇なく始末していく冷酷無残さにゾゾッ。ラスト、スージーをいたぶるように追い詰めるロートのドSっぷりは、キモ怖いながらも何か素敵でした。「リトル・ミス・サンシャイン」でオスカーを受賞し、「アルゴ」での好演も記憶に新しいアーキン氏、じじい俳優として重宝されてる現在ですが、新進気鋭の俳優だった当時33歳の彼、かなりイケメンです!スージーに近づくため老人とその息子に変装するロートですが、同一人物とは思えないほど見事な化けっぷりで、アーキン氏の役者っぷりに感嘆せずにはいられません。
 
 
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エアポート2014

2014-01-09 | 北米映画 60s~70s
 川崎の凶悪逃亡犯・杉本裕太が、やっと捕獲されましたね!広島に来たらどうしよう!と戦々恐々だったので、ホっと安堵しました♪
 強盗強姦だなんて、ほんと最低の鬼畜野郎ですよねえ。しかもトンズラして世間を騒がせて、すごい数の警察官を動員させて税金の無駄づかい。女の敵どころか国民の敵ですよ。これがアメリカだったら、即射殺だよ。

 それにしても杉本容疑者、さすがに若いだけあって元気だよなあ。この極寒の中、雑木林に隠れてたり川に飛び込んだりしたんでしょ?私だったら肺炎になって瀕死ですよ。警察や検察の失態もですが、驚きなのはこんなケダモノ男に嫁も子どももいること。こんなお父さん、ぜったいイヤー!!子どもが可哀想!それはそうと…杉本容疑者の写真を見た日本国民の多くが、同じことを思ったはず。ダルビッシュに似てるなあ、ダルビッシュの弟かと最初思ったし。ダルビッシュにとっても、予期せぬ大迷惑な事件でしょう。ナニハトモアレ、あんな狂犬を二度と自由の身にしないでほしいです!なんて言うと、人権派の人たちに怒られちゃうでしょうか。
 広島の看護師殺人事件も、早く解決しますように!

 「大空港」
 後にシリーズ化もされた名作を、久々に観ました。「タワーリング・インフェルノ」や「ポセンドン・アドベンチャー」など、絶対絶命の危機の中で展開される人間模様をオールスターキャストで描く、いわゆるグランドホテル形式のパニック大作の先駆けとなった作品です。
 1970年の作品なので、今の驚異的なCGやVFXに見慣れてる目には、ちょっとショボく見えるシーンも多々ありますが(爆破された飛行機機内がハリボテっぽかったり)、そんな古めかしささえ味わいがあります、むしろ最近の、俳優要らんじゃん!なアニメみたいなCGだらけ映画や、派手なだけでチープな大味ブロックバスター映画よりも、はるかにクオリティの高い内容です。脚本が丁寧で洗練されていて、人間ドラマ重視なのが上質さの要因。台詞とかも小粋で、古き佳き時代のハリウッドクラシック映画の優雅さを醸しています。ド派手で展開のスピーディな映画が好きな人には、ちょっとカッタルイかもしれませんが。
 旅客機内で起こる戦慄のアクシデントが、スリリングに描かれています。あんな事件に巻き込まれたらと思うと、恐怖で戦慄。私なら、錯乱するかも。同時多発テロが起こった恐ろしい現代、映画だから!と軽く受け取れないリアルな恐怖を感じずにはいられません。子どもも含めておおむね冷静だった乗客乗員の、危機に瀕しても勇気と希望をもって助け合う支えあう姿に感嘆。ああいう時に、人間性って試されます。愚かさと弱さが露見してしまう人のほうが多いだろうけど。なので、あの要らんことばっかして状況を悪化させるクレーマー男にイラっとしつつ、イヤな共感も。あれがフツーなのかも、と。
 豪華キャストも、映画ファンには嬉しい楽しい。空港長役のバート・ランカスターは、見るからに頼もしい偉丈夫なおじさまで素敵。チョイチャラ男なパイロット役のディーン・マーティンも、軽妙でいい味だしてます。パニック大作ではおなじみなジョージ・ケネディのガテンなキャラと見た目も好き。犯人(何か哀れで切ないんです)の妻役、モーリン・ステイプルトンの痛々しい演技も印象的です。この映画でオスカーにノミネートされたのも納得の名演です。

 パイロットと不倫して妊娠中のCA役、ジャクリーン・ビセットが美しい!美貌が最盛期の頃の彼女、スッチー姿がまぶしすぎる!70年代のスッチーの制服が可愛い。空港長の部下役、ジーン・セバーグも美しい。大人のいい女の見本みたいなキャラもカッコよかった。
 オールスターの中でひときわ輝いていたのは、タダ乗り常習犯のおばあちゃん役、ヘレン・ヘイズです。

 周囲を煙に巻く大ボケぶりが、とにかく上品で可愛い!緊迫したドラマの中、愉快で爽やかな笑いを誘う彼女のコミカル演技は、まさにコメディリリーフの見本です。完全に他の出演者を食ってしまってるヘレン・ヘイズは、この映画でアカデミー助演女優賞を受賞してます。ヘレン・ヘイズは、アメリカではブロードウェイのファーストレディと崇敬されていた大女優で、おちゃめな愛らしさの中にも、何となく威厳みたいなものが。小柄だけど、背筋がピーンとしてて毅然とした気品が素敵。ジャクリーン・ビセットが彼女をビンタするシーンがあるのですが、あまりにも畏れ多いとビビったビセットは、カンベンしてください私にはできませんと泣いて拒否したそうです。日本でいうと、杉村春子や北林谷江級の神に近い名女優なのでしょう。ヘイズおばあちゃま、そのオチャメなタダ乗りテクニックが笑えます。かなり演技力と度胸が必要なので、私にはマネできないのが残念(笑)。それにしても、アメリカ人ってお年寄りに優しいんだなあ。
 飛行機に乗るのが怖くなる映画ですが、劇中でヘイズおばあちゃまが言ってたように、本当は路上を歩くよりも安全なんですよね。飛行機事故やテロで死ぬのは、信じられないほどの不運なんだなあ。
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愛と悲しみの猛毒妻

2013-02-26 | 北米映画 60s~70s
 特選!恐怖の大女優映画祭②
 「バージニア・ウルフなんかこわくない」
 歴史学者のジョージとその妻マーサは、夫婦喧嘩の最中に若いカップルを客として家に迎える。はじめは愛想よくもてなしていたジョージとマーサだったが、やがてカップルを巻き込み激しい罵倒合戦を勃発させるのだった…
 夫婦喧嘩は犬も食わない、といいます。この作品の夫婦のそれには、犬どころか狼もシッポをまいて逃げ出すに違いありません。演じるのは、結婚・離婚を繰り返した世紀のぷっつんカップル、エリザベス・テイラー&リチャード・バートン。彼らが繰り広げる、まさに生死を賭けた壮絶な夫婦喧嘩!

 手や武器を使う暴力はいっさいなし。ただひたすら、どっちがより相手の心を痛めつけ、傷つけるかを競い合うように、罵詈雑言を浴びせ続ける。その様子と内容の、エゲツなさときたら!特にリズ扮する妻の毒舌が圧巻。よくもまあ、今まで殺されずにいたことよ、と呆れおののいてしまうほど、憎々しく痛烈な言いたい放題ぶり。これでもか!と、完膚なきまでに、夫の人間性やプライドをズタズタに辱め、ボロクソに貶める。夫も負けじと、ネチネチと陰険な皮肉で応酬するものの、しょせんは小技。妻の猛毒口撃に、もう瀕死状態。でも、たったひとつだけ、一人息子に関する秘密という、一撃で怪獣妻を倒せるリーサル・ウェポンを隠し持つ彼が、今か今かとそれを出す機を狙う様子も狂気じみていて、毒妻に負けず劣らず恐ろしい。このイカレ熟年夫婦の死闘?に、もう一組若いカップルも参戦し、事態はますますヒートアップしていく過程が、元は舞台劇らしく、ほぼ4人の登場人物だけで展開され、最後まで緊張から解き放ってくれません。

 とにもかくにも、猛女リズのド迫力!かつては映画史上最高の美女と謳われた彼女が、最強のオバタリアン(死語?)に変貌!ずんぐり体型でアル中気味、怒涛の勢いで毒を撒き散らす、他人も自分自身をも傷つけずにはいられない、愚かで悲しい女を大熱演。激流のように吐き出す膨大な台詞、内面に抱えた愛への渇望や虚しさがうかがえる表情。アカデミー主演女優賞受賞も納得のインパクトです。演技とはいえ、その下品で卑猥で凶暴な態度は、あまりにも非道すぎて笑えるほどです。自分の夫や恋人を苦しめたい時には、大いに参考になります。絞め殺されるのがオチですが…
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修羅場家の人々

2013-02-25 | 北米映画 60s~70s
 アカデミー賞が発表されましたね!
 
作品賞 「アルゴ」
監督賞 アン・リー
主演男優賞 ダニエル・デイ・ルイス
主演女優賞 ジェニファー・ローレンス
助演男優賞 クリストフ・ヴァルツ
助演女優賞 アン・ハサウェイ
外国語映画賞 「愛、アムール」

 大方の下馬評通りの結果でしょうか?アン・リー監督が、ちょっと意外だった?
 主演男優賞のDDLは、史上初の3回目!すごいぞDDL!若い頃からタダ者じゃなかった彼、もう映画界では神のような存在になってしまいました。
 主演女優賞は、22歳で頂点に立ったジェニファー・ローレンス。希望としては、この先何度もチャンスがある彼女よりも、「愛、アムール」のエマニュエル・リヴァが獲ってほしかったのですが。ジェニファーには、ますます調子ぶっこいた生意気娘になって快進撃を続けてほしいものです。
 助演男優賞は、タラちゃん作品で2度目!のヴァルツおぢさん。助演女優賞は、大本命だったアン子がゲット。アン子さんも、ついにオスカー女優かあ。隔世…
 外国語映画賞は、DDL以上に鉄板だった「愛、アムール」。ハネケ先生の次回作も、そろそろ気になります。チリ代表作に主演してたガエルっちも出席してたとか?
 今年のセレモニーは、なかなか見どころ満載だったみたいで、来月のダイジェスト放送が楽しみです。
 受賞作、早く観たいですね!「ジャンゴ」「世界にひとつのプレイブック」「愛、アムール」が特に待ち遠しいです。
 
 オスカーといえば。数々の名作、そして名演技の宝庫。中でも私が好きなのが、伝説的なオスカー大女優の作品。その観る者を恐怖にさえ陥れてしまうほどの強烈な存在感と、何かに憑かれたような神がかり的な演技で、永遠に忘れられないレジェンドと化した大女優たちが好きです。最近の、単に美しい、演技が巧いだけな凡百女優に物足りなさを感じている方々にはぜひ観ていただきたい、魅惑のホラー大女優祭りだ!
 
 特選!恐怖の大女優映画祭①
 「夜への長い旅路」
 ニューイングランドの港町にある別荘。吝嗇な父、麻薬中毒の母、アル中の長男、結核の次男が、それぞれ激しく責め苛み合う凄絶な愛憎の一日を描いた、劇作家ユージン・オニールの戯曲を映画化した作品。
 アメリカ映画、というより世界一の名・大女優と謳われたキャサリン・ヘプバーンは、同じ苗字のオードリーのように可憐でも、他のクラッシック女優のように端麗でも妖艶な美人でもなく、どちらかといえばギスギスした感じの不美人なのですが、その圧倒的な演技力は、どんな絶世の美女も吹き飛ばしてしまうパワーと、固唾をのんで見入ってしまう磁力を備えていて、常に強烈なのです。「旅情」「去年の夏、突然に」「冬のライオン」etc.数々の名作の中での彼女は、女の内面の醜さや悲哀を、決してネチっこくは演じず、あくまでシャープに毅然と演じきっていて圧巻。アカデミー主演女優賞を4度受賞という、いまだ破られていない輝かしい記録保持者であるキャサリン・ヘプバーンは、この「夜への長い旅路」ではカンヌ映画祭女優賞を受賞しています。

 平和で穏やかなムードで始まる家族物語は、しだいにじわじわ暗雲がたちこめ、雷のごとく剥き出しの感情がぶつかり合い、やがて土砂降りの修羅場になっていき唖然とさせられます。この映画の面白いところは、母親も父親もその息子たちも、平和を装いながらもどこか変で、何かある、と思わせながらも、なかなか彼らの秘密をわからせない謎めいた展開になっているところ。家族全員が心身ともに病んでいて、些細なことで必死に保っていた平和がつき崩れると、もうどうにも止まらない、とばかりに傷つけ合ってしまう姿が実に痛々しい。お互いに愛し合っているのに、あまりにも脆く弱い心は、事態をどうしようもないほどネガティヴな方向へ追いやる、その繰り返しは、見ていて滑稽でもあります。

 神経過敏で情緒不安定な母親を演じるキャサリン・ヘプバーンの、こまやかでありながら迫力ある演技と存在感は、本当に怖くて驚嘆ものです。人間の心にも許容の限度があって、あまりにも悲しみや苦しみが深く大きいと、心からあふれてこぼれ落ちてしまう…狂気に蝕まれたキャサリン・ヘプバーンの独白と、それを聞く家族の静かすぎるラストシーンこそ、その瞬間ではないかと、粛然とした気持ちにかられてしまいました。他人に解答や助言を求められるうちは、まだマシなんだ、と。この世には、救いようのない悲しみや苦悩もあるのだ、と…
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噂の熟女

2013-02-14 | 北米映画 60s~70s
 ハッピーバレンタイン
 皆さまも大事な殿方に甘い甘いチョコレートを差し上げたことでしょうか。
 私は逆にいっぱいもらいました最近は、どうでもいい男にもあげる義理チョコだけでなく、友だちにも配るトモチョコという風習も始まって、ほんと日本人らしいよなあと苦笑するばかりです。
 ピーターは甘いものが苦手なので、ラーメンをおごってやりました。最近は、楽しいというより何だか気まずい居心地の悪さを覚えてしまう、けど、いっしょにいることが多い私たちです。経験上、これはヤバい兆候、進むな立ち止まれの黄信号が点滅しています…

 「さよならをもう一度」
 パリに住むインテリアデザイナーのポーラは、不実な恋人ロジェとの関係に悩んでいた。そんなポーラの前に、フィリップという若い男が現れる。フィリップの情熱的な求愛に、ポーラは戸惑いながらも抵抗できなくなり…
 フランソワーズ・サガンの小説「ブラームスはお好き?」の映画化。パリを舞台に、大人のビターな恋愛が優雅に切なく展開されます。別に濃厚でセクシュアルなラブシーンがなくても、魅惑的な大人の映画は作れるんだよなあと、この映画を観てあらためて思いました。アラフォーアラフィフ女性にとっては、かなり羨ましくもあり共感もでき、同時に身につまされる熟女ポーラの恋愛事情です。
 社会的ステイタスのある同世代のダンディ紳士と、若くて可愛いくて金持ちの坊ちゃんの両方から愛されて、身も心もよろめきまくるポーラ。いいご身分じゃのお!勝手にやっとれや!と、フツーなら鼻で笑いたくなるシチュエーションなのですが、ポーラの苦悩が結構リアルで、ああ分かる分かるその気持ち、その行動、と見ていて胸が痛くなり、もの悲しくなりました。こんなに美しく知的で優しい才能もある女性が、老いや衰えの残酷さ、失うことへの恐怖に怯えなきゃいけないなんて。なまじ恵まれすぎてるからこそ、わしみたいなナッシング人間には想像もできないような苦しみを味わわなきゃいけないんだろうなあと、彼女を羨望するより気の毒になりました。若いフィリップに熱愛されても、すぐに浮き彫りにされてしまう肉体的・精神的な年齢差に、ときめいてた心も冷まされ、不安と自己嫌悪に陥るポーラの複雑で悲しい心の機微、すごく理解できて私まで暗澹となりました。若い男にホイホイされて有頂天になり、ひょっとしたらイケるかも?と明るい期待を一瞬もったりするけど、それを盲信して溺れきるほど愚かではなく、いずれは傷つけ憎み合うようになり、失望と絶望しか待ち受けていないことを知っているからこそ、結局は現実を見据えて生きることを選んだポーラ、その年齢を重ねた女の世間知、思慮深さが悲しくイタかったです。年の差恋愛は、やっぱ希望や歓喜よりも不信や痛みのほうが大きい、だからこそ甘美なのでしょうか。熟女と若い男がラブラブな光景は、滑稽で醜悪ですよね。ほんと、私も肝に銘じます。年の差恋愛って、本気にならず、熱く短く終えるのがベストなのだ、と。
 それにしても。ストーカーなイケメン男子と、不実な女たらし熟年おやじを愛するポーラ。彼女を幸せにしてくれそうな男性は、いっぱいいそうなのに。彼女みたいな不幸な恋しかできない体質の女って、いますよねえ。穏やかな平凡な愛では満足できない女。フツーの男からは愛されない女。可哀想、だけど、ちょっと憧れます。
 あと、ほどよくリッチなムードが大人のラブストーリーに合ってて素敵でした。韓ドラやハリウッドのウソ臭い非現実的で悪趣味な成金ではなく、辛気臭くリアルすぎる庶民でもない、理想的な豊かさ。通いのお手伝いさんのいるポーラの瀟洒なアパルトマン、外食先の落ちついたレストラン、上品なホームパーティなど、私もこんな生活してみたいと感嘆してしまいました。
 主役3人を演じるスターたちが、それぞれの魅力と個性を活かして好演しています。

 ヒロインのポーラ役は、大女優イングリッド・バーグマン。彼女は当時45歳ぐらい?美しいです。まさに理想の熟女。気品があって理知的で優しそうで、それでいてなまめかしい女の色香があって。明らかにフツーの男にとっては高嶺の花なんですけど、そんな女王さま然とした高慢さがなく、聖母のような柔らかな神々しさが。おんな、なんだけど、まだまだ現役なの!とガツガツ必死な、上がったものも無理やり下ろそうとしてるような、ハリウッド映画界や日本の芸能界で跋扈してる不気味でイタい熟女とは、ぜんぜん違うんですよねえ。清らかで優雅だけど、大柄で逞しいせいか、はかなげな手弱女には見えない。その力強さも好きです。でも、歩き方がちょっとノシノシオドオドしてたのが気になった。そういうところでも、本当は臆病で不安に苛まれているポーラの心象が表れていましたが。バーグマンの衣装もエレガントでした。

 ロジェ役は、フランスの国民的歌手で名優だったイヴ・モンタン。シブい!パリが似合う粋なダンディだけど、軽薄さがなく男くさい素敵おぢさま。熟女も若いおねーちゃんも大好き、ヴァイアグラ不要な元気さもスゴいです。ちょっとケーシー高峰に似て見えたのは、私だけの目の錯覚?モテモテなロジェですが、誰にも独占できない、誰のものにもなれないのも孤独で虚しい…と、ロジェを見ていて思ってしまいました。
 フィリップ役のアンソニー・パーキンスは、この映画でカンヌ映画祭男優賞を受賞しました。

 ひょろっとした長身、繊細で神経質そうな顔は、体だけ大人で心は苦労知らずでワガママで独占欲の強い、傷つきやすい少年のまま、な青年役に適していました。フィリップの猛アタックって、ほとんどストーカー。あれって、金持ちのイケメンだからこそ許される行為です。あんなに可愛らしく執拗に迫られたら、よほど狭量でないかぎり女心はほだされるけど、あれがもしブサイク貧乏男だったら、おまわりさ~ん!と即通報ものです。母親のような女に甘え執着し思いつめる姿は、演じてるのがアンソニー・パーキンスなので、「サイコ」のマザコン男ノーマン・ベイツと重なって怖いです(笑)。
 こういう大人の恋愛ドラマ、日本でもTVドラマ化すればいいのに。年下男にハマる熟女って、いまブームじゃん。
 ポーラ → 若貴兄弟の母 or 五月みどり
 フィリップ → ピースの綾部
 ロジェ → 火野正平
 って、これじゃあバラエティの再現ドラマですよね(汗)。じゃあ、こんなんどうでせう?
 ポーラ → 鈴木京香
 フィリップ → 向井理
 ロジェ → 佐藤浩市
 カッコカワいくストークするムカイリー、萌え~♪って、最近、向井理が好きって口にすると、若い子らの反応が冷たい…のは気のせい?
 


 
 
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ジェフの笑顔は1万ボルト♪

2010-11-03 | 北米映画 60s~70s
 風邪を引いてしまいました
 今日いちにち仕事を休んで療養したのですが...上司からの仕事の進捗状況を問うメールが来ただけで、誰からも心配のメールも電話もなかったのが悲しいです私、どんだけどうでもいい人間なんだよ、とあらためて痛感♪
 私と違って、誰かにとって大切な人である皆様は、風邪など召しませぬようtake good care of yourself

 「サンダーボルト」
 クリント・イーストウッド主演のマイケル・チミノ監督作品。
 金庫を大砲でブチ破る銀行強盗サンダーボルトことジョンは、逃走中ライトフットという陽気な若者と出会う。ジョンはライトフットと組んで、再び銀行強盗を決行することになるが...
 1974年製作、つまり36年前の映画。イーストウッド、さすがに若い!まだ髪がフサフサしてます。シブくて屈強そうでカッコいいし。サンダーボルトのキャラも、寡黙だけどどこか乾いた優しさがあって、草食男子とも肉食男子とも違う男の魅力があって素敵でした。
 イーストウッドもイケてましたが、この映画はやはり何といってもライトフットを演じた、当時25歳!のジェフ・ブリッジス!

 ジェフ、か、か、可愛い~明るくて元気で人なつっこくてヤンチャなライトフットを可愛く演じていて、見てる間ずっと胸ぽわわ~ん状態でした。あの陰りなど一片もない無邪気な天然笑顔ときたら!逞しい大柄な体も、いかにもジムでバキバキに鍛えてます!な人工的感じがなく、すごく自然で健康的。今の俳優って演技も見た目も作ってる感が強いので、当時のジェフの飾らない素朴な男らしさは、返って新鮮な感銘を与えてくれます。
 ライトフットがねえ、これまた超可愛いキャラなんですよ。底抜けに明るくアホっぽい表情&言動でジョンにまとわりつく姿は、まるでデカい子犬。ジョンじゃなくても、心がほだされます。時おり見せる寂しげな様子が、これまた胸キュン!ラストシーンは、切なすぎて...
 ジェフ・ブリッジスの衝撃的(笑撃的?)な女装も見所。ケツ丸出しピッチピチのワンピース姿、キモ可愛いです。スケベおやじを誘惑?するのですが、何であれを女と思うかなあ?と笑えます。

 笑いと涙を誘うライトフットを好演したジェフは、この映画でオスカー(助演男優賞)にノミネートされました。36年後の今年、「クレイジーハート」で遂にオスカーを受賞したのは、本当に快挙でしたね。挫折はあったかもしれないけど、みじめに落ちぶれることもなく、おかしなスキャンダルや悪評もなく、地道で堅実な息の長い俳優人生を歩んでいるジェフは、ハリウッドスターとしては理想的な存在なのではないでしょうか。
 サンダーボルト&ライトフットの友情(というより、兄と弟みたいな絆)も、なかなか微笑ましく描かれています。イーストウッドもジェフも男らしすぎて退廃的なところは微塵もないので、YAOIムードは皆無ですが。
 この映画、ちょっとコミカルなところもいい感じです。サンダーボルト&ライトフットがヒッチハイクした気ち○い男とか、強盗決行日まで食いつなぐためアルバイトしたりとか、大砲で金庫爆破とか、クスっと笑えるシーンも多いです。
 あと、アメリカってほんと広大だなあ~と、果てしなく続く道路や大地に感嘆させられました。流れてくるカントリー音楽も、哀感があってしみじみ。

 ↑ジェフおぢさま、オスカーおめでとおん年61、ぜんぜんイケてます
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女郎蜘蛛の館!

2008-11-19 | 北米映画 60s~70s
 「白い肌の異常な夜」
 クリント・イーストウッドが「ダーティハリー」の第1作と同じ頃に主演した、戦慄のサイコドラマ。
 南北戦争末期。森の奥深くにある女学校では、戦火を避けて女たちだけで自給自足の生活を送っていた。ある日、負傷した敵軍の兵士を見つけた彼女たちは、彼を屋敷に担ぎ込み介護する。回復した兵士に、女たちは歪んだ欲望を抱き始め...
 いや~これ、めっちゃ怖くて面白かったです!く、狂ってる~!女って、ほんとヤバい生き物ですよねえ。
 上はボスの校長から、下は幼い女の子まで、それぞれが男に血迷う女の醜さ怖さを、マザマザとオドロオドロしく見せてつけてくれます。嫉妬や怒りに狂った女は、まさに鬼にも蛇にもなるって感じ。しかも、半狂乱になりつつも、いざとなると自分たちの身を守ろうとする冷徹な理性を失わないところも、まさに女。
 出てくる女たちが、みんな怖いです。その筆頭は、何といってもボスの校長。厳格な淑女ぶってますが、実は兄と淫らな近親相姦に溺れていたり。黒人のメイドや女生徒にも手を出していたらしいその兄が、行方不明になってるってのも、ひょっとして校長が何か怖いことを?と想像させてゾゾゾ。負傷した兵士に舌なめずり、彼をペットのように屋敷に縛りつけておこうという目論見から、手術とか何とか言って彼の片足を切断!「ミザリー」より酷い!だって動機が不純で悪辣すぎるもん!
 
 ↑ガーン勝手に足をチョン切っちゃう女たち
 若い女教師も、カマトト清純ぶってるけど兵士にハアハア。彼を誘惑する女生徒に、この淫売!とヒステリー起こしたり、彼と女生徒のエッチの場に乗り込んできて、とても教育者とは思えない下品な罵詈雑言で錯乱。早熟で挑発的な女生徒も、ほんと色情狂っぽくて病的。
 いちばん怖かったのは、最年少の女の子かなあ。兵士を慕ってる姿も、フツーの小さい少女のソレじゃない感じで怖い。いろいろあって修羅場になってるのに、見て見てっ亀(可愛がってるペット)がエサ食べないのぉ~!と、異常なKY行動に。うるさい!と亀を投げ殺した兵士に(当然の行為です)、よくもやりやがったな!!と阿修羅に変貌。だんだん生かしておくのに都合が悪くなった兵士を始末したい校長とは、あ・うんの呼吸で連携、グルになって兵士を騙して毒きのこを...女って、男がらみで争うより、憎悪で団結するほうが怖い!
 男には性的に興味がなく、敵を助けるのは反逆罪!殺したほうがいい!なんてことばかり言ってる女の子たちも、違う意味で異常かつ怖い。脅威になりつつ男を、飢え死にさせる?いっそ縛り首?なんて、そんなこと楽しそうに相談するなー!
 とにかく、コレデモカ!な体裁屋で嘘つきで偏狭で淫乱で残酷という女の醜悪さは、もはや笑いを狙ってるとしか思えないほどです。
 ちやほやされるのも束の間、すぐに地獄を見ることになる兵士。女たちに寄ってたかってナブリ殺しにされちゃって、ほんと哀れ。誰にでもいい顔をする、調子のいい女たらしな性格が仇になってしまったけど、それにしてもあんな目に遭うなんて、最悪の災難以外のナニモノでもありません。
 クリント・イーストウッドが、わ、若い!まだ髪の毛もフサフサで、シワも少ない。ちょっとヒュー・ジャックマン似?タフガイの代名詞であるイーストウッドが、女たちに散々いたぶられちゃう姿は、なかなかの珍味です。
 校長役を名女優、故ジェラルディン・ペイジが怪演。こ、怖い...女の中に棲む邪悪さと淫蕩さ、まさに鬼女のごとく...
 イケメンならパラダイスですが、抑圧された欲求不満な女だと地獄...
 
 
 
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dehumanization

2006-11-01 | 北米映画 60s~70s
 早いもので、今日で11月。また、あっちゅー間に、年末&お正月だなあ。
 劇場映画鑑賞、下半期になってペースがガタ落ち。年間目標30本(こころざし低っ)には、遠く及ばず...
 今月の自室DVD鑑賞は、テーマを決めて楽しもうかな、と計画してます。
 ①独りフランス映画祭 「マドモアゼル」など予定
 ②独り呉彦祖映画祭 「潜入黒社会」など予定
 ③独りハリウッド名画祭 キャサリン・ヘプバーン作品など予定
 ④独りキム・キドク監督映画祭 「悪い男」など予定
 ぜんぶ独りっちゅーのが、悲しいポイントです...

 「冷血」
 「カポーティ」を観る前に、予習がてらの鑑賞。
 トルーマン・カポーティ渾身のノンフィクションの映画化。実際にアメリカで起きた一家皆殺し事件の経緯と、犯人たちの人物像とは...
 こんなことで無残に命が奪われなければいけないなんて...死んでも死にきれないよなあ。短絡&行き当たりばったり的な動機と、残酷冷酷な殺人のコントラストが、やりきれない思いにさせます。白黒映像が、虚無的で荒涼感があって、寒気がします。
 犯人の若者二人。あまりにも子供っぽすぎる。あれで捕まらないと本気で信じてたなんて、やっぱ頭がおかしいとしか思えない。何か奥深い怨恨でも被害者一家にあるのならいざしらず、ぜんぜん面識もない赤の他人を、あんな風に惨殺できるなんて、異常です。本人たちにも理解できてないような殺人の動機。その不可解さに、戦慄せざるをえません。何が人間性を失わせて、ここまでの凶行に駆り立てたのか。それは誰にも分からないし、それはこうだ!と勝手な憶測で描くべきではない。大した理由もなく、人間でなくなることができる者が、ひょっとしたら周囲にいるかもしれない、いや、もしかしたら自分も...?
 恵まれない不幸な生い立ちのせいで、こうなった!というのは、永山則夫など死刑囚たちの常套句だけど...そんなの、何の罪もない人たちを、虫けらのように惨殺したことの言い訳になるでしょうか。
  現在、全国の拘置所には、100人近い死刑確定囚がいるとか。その何人かが、死刑反対を訴えています。殺しちゃったことは悪いけど、私らまで死んでも何の解決にならない。死にたくない!という生への執着にも、犯した罪同様、彼らの“冷血”を感じてしまいます。
 一家皆殺しの再現や、ラストの死刑執行シーンが、リアルで怖いです。ああ~寝る前には、絶対戸締りを厳重に!
 この事件の犯人&犯行って、上野消火器商一家殺人事件を思い出させます。こっちのほうが、より陰惨地獄絵図って感じですが...
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愛があるから大丈夫なの

2006-07-08 | 北米映画 60s~70s
 台風が、西日本に接近中。いま、暗黒の空に、いかずちの妖光と轟きが。怖い...
 独りの部屋で、ビクビクしながら読んでいる週刊誌。
 『オリエンタルラジオ 赤坂御用地に不時着!』
 厳重注意で済んだらしいけど、世が世なら、不敬罪で銃殺刑ものだよなあ。でも、あっちゃん好き...TV局が悪い!
 『鈴香容疑者 彩香ちゃんに掛けられていた3000万円の保険金“事件後、彼女は突然太った”』
 最近は、鬼母か狂ガキのニュースばかり。すさんでる...
 『月9 亀梨くんを、おじゃま撮』
 最近のmy最大の謎・亀無し。近くのコンビニやゲーセンに、こんな子いっぱいいるぜ。うちのダミアンのほうが、100倍イケメンよ!
 ひえっまたカミナリが!きゃ、こわい♪とか言って、すがる胸もない...とめて そのショパン 彼にはもう逢えないの...Haah...小林麻美を気取って、アンニュイに溜息。ショパンじゃなくて、外から騒音ちっくなオレンジレンジの歌が。うるせえんだよ!
 Mステ録画したのを観て、寝ます...

「招かれざる客」
 最愛の娘が連れてきた恋人は、黒人だった...両親は、果たして彼を受け入れることができるか?
 往年の名作を、やっと観ることができました。
 今でも有色人種への差別・偏見は根強いのに、60年代のアメリカ社会で白人と黒人が結婚することは、まさに天変地異の異常事態だったことが、両親の狼狽&苦悩ぶりに見てとれます。
 両親が手放しで賛成できず、動揺するのも理解できる。彼らの葛藤も、とても人間的で、共感できます。
 人種間の問題よりも、浮き彫りになる父親と母親、男と女、親と子供の考え方のギャップが、興味深かったです。
 重苦しく深刻な調子ではなく、デリケートで深いテーマを、軽やかに優しく描いているところが、素晴らしい。アカデミー脚本賞を受賞したのも納得。
 ただ、みんな超いい人だったのが、やっぱ理想的すぎるかな、という感じも否めません。この映画の両親と子供のように、教養と理性と生活の余裕と思いやりがあればこそ、成就できる愛。世の中、そんな立派な人は稀だから、うまく行かないことのほうが圧倒的に多いんだろうなあ。
 公私ともに名コンビだったスペンサー・トレイシー&キャサリン・ヘプバーン最後の共演作。トレイシーは、これが遺作に。ヘプバーンは、2度目のアカデミー主演女優賞を受賞。彼女のシャープだけど、感情の機微を細やかに表現する演技は、ほんと見事です。
 娘の恋人役は、黒人スターの先駆け的存在、シドニー・ポアティエ。知的で誠実そうで、どこからどう見ても善人。ちょっと優等生すぎるかも。ケチのつけようがないキャラです。
 my motherいわく。もし自分の娘が、デンゼル・ワシントンやウィル・スミスみたいなルックスの、いや、サンコンさんやニカウさんみたいでもいい、黒人の超エリート医者を連れて帰ったら、どうぞ結婚してやってください!と、諸手を挙げて&平身低頭で大歓迎するとか。逆に、キムタクや赤西みたいなイケメンの無職プー太郎は、絶対イヤ!だとか。

 
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