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まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

キム部長はいったい、なぜ?

2021-01-24 | 韓国映画
 お松の韓流いい男映画祭①
 「KCIA 南山の部長たち」
 軍事政権下の韓国。中央情報局(KCIA)の元部長パク・ヨンガクはアメリカに亡命し、聴聞会でパク・チョンヒ大統領の腐敗を訴える。激怒したパク大統領の命令で、ヨンガクの友人でもある新部長のキム・ギュピョンは渡米し、事態を収拾するため画策するが…

 今年初の映画館鑑賞映画。そういえば去年も映画始めは「パラサイト 半地下の家族」で韓国映画でした。大好きなイ・ビョンホン主演作ということで、ウキウキで観に行きました(^^♪ああ~ビョン吉さん、やっぱチョアチョア~チョンマルいい役者、いい男!彼みたいな俳優、日本にもいればな~と毎回思ってしまいます。今回の彼が演じた役、そして演技も、日本の俳優には無理です。自分がどんだけカッコイイか、演技が上手いかをアピールするだけの俳優とは違うんですよね~。今回のビョン吉さん、カリスマな雰囲気とか男の色気とかいったいつもの魅力を消していて、権力者に絶対服従な犬のような官僚を地味に冷徹に、かつ鬱屈が内面でマグマのように煮え立ってるような、静かなる熱演を披露してます。とにかくどんな理不尽で無茶な命令や超絶パワハラ、人権無視な屈辱侮辱にも、耐えて耐えて耐えまくるビョン吉さんのロボットのような無表情、なのに伝わってくる押し殺せない切羽詰まった感情に、見てるほうも胸がザワつき苦しくなります。ビョン吉史上最も抑圧された緊張感に満ちた演技かもしれません。

 いい男な風貌やオーラは消してるビョン吉さんですが、やっぱカッコよさは隠せません。スーツやトレンチコート、軍服がパリっとビシっと一分の隙もなく、元軍人という設定に適した強靭そうな体つきなど、コスプレにしか見えない日本人俳優による軍人とは大違いです。大統領のためだけに生きてる厳しいストイックさ、あれも生半可な俳優には出せません。心が乱れた時に前髪を触る仕草、あれも細やかで複雑な心情をさりげなく表しているようで印象的でした。決してオーバーなアクションはしないけど、一挙手一投足、表情に目がクギづけになってしまいます。最初から最後まで胃痛的な抑圧演技をしてるビョン吉さんですが、警護室長に激高するシーンの取り乱す彼も強烈でした。あの低い美声だと、罵りさえ甘美に聞こえます。

 イ・ビョンホンが稀有な俳優であることだけではなく、韓国という国のヤバさも再確認できる映画になってます。韓国って、今でこそ韓流人気で馴染み深い国だけど、ちょっと前までは隣国なのに誰も知らない、興味もない謎の国でしたよね。70年代まで軍事政権だったというのも異様。今でも民主主義国家とは思えぬほど不穏で混沌としてる韓国政府ですが、この映画で描かれた軍事政権下の青瓦台は、まさに血で血を洗う伏魔殿。権力をめぐる暗闘暗躍!渦巻く野心と私利私欲!生き残りを賭けた仁義なき抗争と陰謀!ダーティ&ダークなヤクザ映画みたいな面白さでした。拷問、暗殺、拉致監禁はまさに韓国のお家芸。すぐに戦車だの戒厳令だの、物騒でアナーキーすぎる。笑いとかチャラさ、スウィーツさなど微塵もない、重苦しくシビアで骨太な内容は、梨泰院クラスとか愛の不時着とかいった系統の韓流が好きな人向けではありません。エグいゲスい系韓流がチョアな私は、とっても楽しめました。パク・ヨンガクの生殺与奪をめぐってのパリでの大統領側とキム部長側との攻防とか、キム部長の盗聴とか、ラストの血みどろ修羅場とか、なかなかスリリングかつ意外性もあって、サスペンスとしても面白かったです。

 日本にかぎらずどこの国の政治も政治家も、決してきれいじゃないとは思うけど、韓国の場合は国民性もあってか格別に下劣で卑劣。大統領や警護室長の、人前でも非理性的で暴力的、自分より下の者は人間扱いしない言動は、野蛮で下卑てて怖いです。キム部長も普段は寡黙な紳士だけど、激したら相手を虫けら呼ばわりの口汚い罵詈雑言。韓国人の気性ってほんと荒いですよね。パク・チョンヒ大統領の非道で非情な暴君ぶりときたら。悪人というより狂人みたいだった。因果応報的に非業の死を遂げる閣下でしたが、年月を経て彼の娘もまた。獄中にいる彼女の、この映画の感想を聞いてみたい。大統領がこぞって悲惨な末路を迎えてしまう韓国、その病巣は深刻です。

 シブい韓流バイプレイヤーたちも、ビョン吉さんに勝るとも劣らぬ好演、怪演。パク・チョンヒ大統領役は、「華麗なるリベンジ」でも悪辣な鬼畜だったイ・ソンミン。ああいうドス黒い迫力が出せる役者も日本にはいないですよね~。警護室長役のイ・ジュンヒも、ほんま腹立つー!早う死ね!と本気で憎悪させるほどのゲス野郎っぷりが見事でした。「哭声 コクソン」などのクァク・ドウォンがパク・ヨンガク役で、流転の売国奴をひょうひょうと悲しく演じてました。パク大統領とキム部長がちょこっと日本語で会話したり、暴露記事を載せてたのがサンデー毎日だったり、薄く日本が登場してたけど、実際のパク大統領は日本とは縁の深い人だったみたいですね。
 それにしても。実際のキム・ギュピョンは絞首刑に処せられ、新たなる軍事政権が始まったりとか、虚しすぎる現実ですね。キム部長はこの映画のように憂国ゆえに暗殺を決行したのか、それとも失脚した不満や怒りにかられての暴走だったのか。真実は本人と神さまのみぞ知る、です。

 ↑ やっぱビョン吉さんがチェゴヤ!夏に「白頭山大噴火」が日本公開!その他にも、映画ではソン・ガンホやチョン・ドヨン共演作、パク・ソジュン共演作、ユ・アイン共演作、TVドラマではナム・ジュヒョク共演作と、馬車馬のように働いてるビョン吉さん。どれも楽しみすぎるけど、延期とか感染とかイヤなニュースが伝わってきませんように…
コメント (2)
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欺瞞警察

2020-07-29 | 韓国映画
 「悪のクロニクル」
 昇進を目前にしていた刑事のチェは、利用したタクシーの運転手に襲われ彼を殺してしまう。証拠を隠滅してその場を去ったチェ刑事だったが、翌朝クレーン車に吊るされた死体が警察署の前で発見され…
 出世や保身のために殺人を隠蔽したり証拠を隠滅したり、他人に罪をなすりつけようとしたり、挙句の果ては邪魔者を殺したり。フツーならこんな刑事いるわけがない!と嗤うところですが、韓国ならありえそうなところが怖いです。韓流映画&ドラマの警察って、暴力団、財閥と並ぶ3大悪の巣窟。正義の味方どころか庶民の敵なクズ刑事ばっかですもんね。今までいろんな腐った刑事、極悪刑事を見てきてるので、この映画の主人公には特に衝撃は感じませんでした。悪い刑事や凶悪犯罪よりも、捜査における警察の無能さのほうが怖いです。過去の青酸カリ大量殺人事件の捜査も杜撰すぎ。あんな乱暴かつ安易な犯人でっち上げ、証拠捏造、冤罪とか、昭和の日本ならたくさんあったかもしれませんが、現代ではありえない。でも韓国なら今でも。この映画もそんな韓国社会の粗さ、非道さを感じさせてくれました。

 復讐のために刑事になる、というのも韓流映画・ドラマではよくある設定ですが。あんな凶悪重大犯罪に関わる人物が、警察官になれるなんて驚き。身元調査とか厳しそうだけど、そういうところも韓国ってユルいのかな。真犯人が殺人を犯すシーンがないので、いったいどうやって周囲の目をごまかして、死体を警察署前の工事現場のクレーンで吊るすとか手間暇かけた大胆なことができたのか、はしょりすぎ、手抜きすぎでトホホ。チェももっとダーティでダークな刑事にしたほうがよかったのでは。あんな正義感ある善人までもが人の道に外れてしまうには、動機がちょっと薄かったような気がします。私も外道になってしまうほどの悪魔的な甘い汁、吸ってみたいものです。

 ↑ 梨泰院クラスではありません
 さらに残念だったのは、真犯人の共犯者が同性愛者で、真犯人への愛のために犯罪に手を貸す、というジューシーな設定も活かされていなかったこと。真犯人との絡みもほとんどないし、いったい何のためのゲイキャラなんだよ。描きようによっては、危険で破滅的な愛のドラマになり得たのに。ライトでもいいので腐のためにBLシーンがほしかった。
 主人公のチェ刑事役のソン・ヒョンジュ、「梨泰院クラス」のセロイ父じゃん!「キツネちゃん、何しているの?」とか彼も韓流ドラマでよくお見かけするベテラン俳優です。主演作を観たのは初。ちょっと柄本明似?おっさんだけど背が高くてメタボ感がない体型はさすが韓流男優。
 この映画を観たのは、はい、もちろん彼、梨泰院のセロイことパク・ソジュン目当てですよ~

 チェ刑事の部下ドンジェ役、ブレイク直前のソジュンくん。今よりちょっとだけ初々しく素朴でおぼこく見える顔が可愛いほんと顔が極小で、手足が長くてスラっとした抜群のスタイル。脱ぎシーンは皆無ですが、筋肉質そうな細マッチョなのが着衣でも判ります。今は若き兄貴キャラを確立してるソジュンくんですが、この映画では末っ子な弟キャラで、上司や先輩にイジられて恐縮したり、可愛がられて照れたり嬉しそうだったりする表情や笑顔がキュートでした。小学生みたいな髪型も可愛い。

 ソジュンくんの先輩刑事役は、肉体派俳優として今をときめくスター、マ・ドンソク。プロレスラーみたいな魁夷さ。日本のドラマの刑事にはまったくリアリティがないけど、マ・ドンソクみたいな風貌の刑事は実際にも多そう。ゴツすぎる迫力の肉体、怖すぎるコワモテですが、チェ刑事を兄貴と慕う様子が微笑ましく可愛かったです。

 ↑ 今や新作が最も待たれる韓流スターに成長したソジュンくん。日本のタレントでもできるような無難な役や演技ではなく、あっと驚くような挑戦を期待したいです。まずは若くてきれいなうちに全裸濡れ場冷酷な役も似合いそうなので、魅力的な悪役とかもぜひ

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BL暴力教室

2020-07-21 | 韓国映画
 「夜間飛行」
 ソウル大学進学を目指す優等生のヨンジュは、同性愛者であることに苦悩していた。同じ高校に通うギウンは、中学生の頃はヨンジュの親友だったが、いつしか心を閉ざし暴力的な不良となっていた。ギウンに恋する気持ちを抑えられないヨンジュだったが…
 「後悔なんてしない」「White Night」のイソン・ヒイル監督作。うう~ん…この映画もいろんな意味で重い、つらい映画でした。ゲイであることって、あそこまで蔑まれ虐げられなきゃならないの?LGBTに対して狭量で不寛容な、ヨンジュをあそこまで不安にさせ恐怖に陥れる韓国社会にあらためて戦慄。そして、韓国人の異常なまでの暴力性にも。韓国人の自分より弱い者への悪質で下劣なパワハラやモラハラは、実際のニュースでもよく見聞きしますが。暴力にも民度があると思います。韓国人の暴力は世界でも類を見ないほど民度が低い。日本にも思いやりのかけらもないクズはたくさんいますが、韓国に比べればまだ甘い。この映画での弱者いじめは、本当に心肝を寒からしめるものがあります。こんな高校生が将来、社会を動かす大人になる韓国って。真の先進国になれない理由が、この映画で描かれていたように思われます。

 生徒もだけど、教師も異常でした。韓国がシビアな学歴社会であることはよく知られていますが、『今は友人は必要ない』とか『フライドチキンを食べるのは上流、配るのが中流、作るのが下流』なんてことを平然と生徒にのたまう教師たち、日本にもいるのかな?!ギウンへの教師の言動とか、日本ではありえない。あんなことしたら、日本だと一発でアウトですよ。韓国では本当にあんなのがフツーみたいですね。今の韓国を見て、さもありなんと納得もします。

 甘く切ないハイスクールBLを期待して観ると、とんでもないショックと失望を味わうことになるので要注意。とにかく男子校でのいじめ描写が容赦なくエグい。肉体的精神的に人間性全否定。人によっては観るに耐えないかも。暗く複雑な家族の問題があるにせよ、そこまで暴力的になる?!なギウンの荒んだ心が不可解。彼のような社会的には底辺弱者にとっては暴力こそが処世術、暴力で立ち向かわないと生き延びられない、という現実にも暗澹とさせられます。そんなギウンを想い、どんなに冷たくされても酷い仕打ちを受けても、ストーカーのようにつきまとうヨンジュも理解できなかったのは、私が彼のように誰かを深く強く愛したこともなく、死と隣り合わせのような絶望にも沈んだことがないからでしょうか。ギウンが頑なな心をヨンジュに開きそうで開かないのが、もどかしくも痛ましかったです。

 苦悶と葛藤の末に、やっとヨンジュへの愛に目覚めたギウンがとった行動が、衝撃的なカタルシス。やっちまったな…という苦々しさと同時に、縛り付けられていた世界と決別できたような開放感もありました。ラストのギウンとヨンジュが辿り着いた愛は、同性愛というより精神的な友愛のようでした。二人がハッピーなゲイカップルになるとは思えませんが、孤独な人生を歩むことはないだろう、というほのかな希望の余韻を残して終わったので安堵しました。

 ヨンジュ役、ギウン役を演じた俳優は、この映画に出るまでは演技経験がないモデルだったとか。自然かつエモーショナルで、ほとんど素人とは思えぬ好演。長年映画やドラマに出てるのに、大根なままの日本の自称俳優たちよりは断然上です。二人とも高校生に見えない(特にギウン)のがちょっとアレですが。ギウン役の子は日本の昭和のにおいがする色気ある男でした。キスやセックスといったBLシーンはほとんどなし。ヨンジュとギウンが結ばれるシーンとかあってもよかったのでは。

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夜明けまでのBL

2020-07-12 | 韓国映画
 「White Night」
 数年ぶりにソウルに降り立った客室乗務員のウォンギュは、テジュンという男娼を買うがセックスはできず、テジュンに冷たい仕打ちをしてしまう。テジュンはそんなウォンギュに憤りながらも、どこか翳りのある彼を放っておず、朝まで一緒にいることに。やがてテジュンは、ウォンギュに起きたある悲痛な事件と、彼の深い心の傷に気づくが…

 ゲイのリアルで痛ましくもメロウな愛を描いた「後悔なんてしない」のイソン・ヒイル監督の作品。同性愛に厳しく不寛容ってイメージがある韓国ですが、同性愛を題材にした映画製作は活発で、なかなかの衝撃作や秀作も少なくありません。この映画のBLは「後悔なんてしない」ほど濃ゆいイタい激愛ではなく、一夜限りの刹那の関係。出会ったばかりの若者二人が、朝までというタイムリミットを設けて一緒に行動し、やがて離れがたくなっていく…といった内容は、どこか名作「恋人までの距離」を思い出させます。

 「恋人までの距離」の男女と違い、この映画の男二人は寡黙で、本音とか心情などはほとんど口にせず、その沈黙がイタくて重い心の裡を饒舌に語ってるみたいでした。二人のバックグラウンドとか、説明らしい説明はほとんどなく、若いゲイの男二人が寒い夜の街を彷徨う様子を追うシンプルな内容には、男同士のアンなことコンなことや、キラキラドキドキなBLが好きな腐にはかなり物足りない、退屈かもしれない映画。凍えるような夜を通して浮かび上がってくるウォンギュの過去も暗くて重い。いくら昔よりもLGBTへの理解が深まり社会的権利も認められているとはいえ、まだまだ嫌悪や軽蔑も根強いのが現実なんですね。二人が彷徨う寒い夜の街が、ゲイが宿命づけられている孤独や悲しみ、虚無感とカブりました。

 ウォンギュの閉ざされた心や屈折した言動よりも、傷つけられても冷たくされてもウォンギュを許して寄り添うテジュンのけなげさ優しさ、ていうか人の善さ、いや、ドMさ?にほうが理解に苦しんだ。あんなにイケメンで心優しいのに、底辺生活から這いあがれず男娼をせざるを得ないテジュンに、やっぱ韓国の格差社会って険しく深刻だな~と暗澹となりました。

 ウォンギュ役のウォン・テヒは、ちょっと若い頃の近藤芳正似でイケメンではないけど、韓流俳優らしく長身でスタイルがいい。スチュワードの制服姿もカッコよかったです。テジュン役のイ・イギョンが、ワイルドスウィートなイケメン。エグザイルにいそうな風貌。彼も背が高くてスタイル抜群。ホテルでのセックス未遂シーンでは、二人とも大胆な全裸になって絡んでます。イ・イギョンの浅黒い艶肌と乳首、パンツを脱がされるシーンがエロかった。BLシーンはもうひとつ、公園のトイレでのファックシーンがラスト近くにあります。公衆便所での行為って、某タレントもヤッてたみたいですがありえんわ~。汚いし、他の人に迷惑でしょうが!公衆トイレでエッチはダメ!ぜったい!
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兄と弟 優しい不協和音

2020-02-04 | 韓国映画
 「それだけが、僕の世界」
 落ちぶれたボクサーのジョハは、幼い自分を捨てて家を出た母と再会。自閉症の異父弟ジンテの存在を知り戸惑うジョハだったが…
 言うまでもなくイ・ビョンホン目当てで観ました~。いい男いい役者は映画界にはあまたいますが、私にとってビョン吉さんは今も昔も格別な男優です。この作品でも、彼の魅力と演技力に感嘆。すべてが私の理想形なんです。まずは、見た目。

 小柄だけどガッチリムッチリしたカラダがたまりません。ボクサー役なのに脱ぎシーンはなしでしたが、太い腕、厚い胸板、引き締まった尻、脱がなくても判るセクシイ肉体美!男くさい風貌、ダダ漏れな♂フェロモン。日本の俳優にはない濃密な男性美を備えたビョン吉さんに惚れ惚れ。色っぽい役じゃないのがもったいなさすぎる。劇中、大家であるホストクラブの女社長にスカウトされるのですが、ご慧眼だわ。ワイルドな男前ホストとかって、けっこう希少なので売れっ子になりそう。私もビョン吉みたいなホストがいたら行くわ。

 演技も卓越してるビョン吉さん。男前だけど、うらぶれた中年男の悲哀もたっぷり。現実に打ちのめされてショボくれる様子がイタくて切ない。あんな情けない風情、キムタクとかには絶対出せない。カッコいいビョン吉さんはもちろん素敵ですが、私はちょっとトンマでアホな彼も好きなんですよね~。元々コメディ演技も得意なビョン吉さん、今作でも笑える表情や言動いっぱいしてくれてます。ジンテに振り回されてアタフタしたりプンプンしたりするビョン吉さん、チョンマル可愛い特にファミレスで母弟と写真を撮ってもらうシーンと、母にせがまれてダンス(変!だけど巧い!)するシーンが滑稽かつ微笑ましくて好き!

 そしてビョン吉さんといえばの、悲しみでウルウルした美しい瞳!母ちゃんへ屈折した揺れる想いが伝わってきて、痛いほど胸がしめつけられました。瞳同様に美しいのが声。アホなこと情けないこと言ってもうっとりと聞いてしまう美声、甘い台詞だったらヤバいですよ。
 コミカルでほのぼのしたエピソードはいい感じでしたが、ラストは韓流らしいお涙ちょうだい展開になってしまい、泣ける人なら号泣間違いなしかもしれませんが、私はそういうのが苦手な冷血人間なので、ちょっと興ざめしてしましました。ジョハを車で轢いたのが大金持ちのピアニスト、というのも韓流らしいありえなさすぎる運命の出会い。さらに韓流といえばのシビアな格差社会。「パラサイト 半地下の家族」のキム一家ほどの底辺生活ではないにせよ、ジョハ一家の貧しい暮らしも見ていて切ない。お嬢様ピアニストのママが、絵に描いたような韓国の金持ち。あんな風に露骨に貧乏人を人もなげに扱うなんて、日本では考えられません。

 ジンテは自閉症だけど、ちっとも不幸でも可哀想でもない。天才的な才能、愛する家族、世話をしてくれる人たち、さらに輝かしい未来に導いてくれる人にも出会えて、むしろ幸せすぎると思った。それに比べて、孤独な少年時代を送ったジョハ、そして辛酸をなめつくして生きてきた母ちゃんが、あまりにも不幸すぎ。見ていて辛くなりました。母ちゃんが罪悪感から、一生懸命ジョハに気を使ってるのが痛々しかったです。母ちゃんがジョハよりもジンテを強く深く愛していることを露見してしまうシーンも悲しすぎ。

 ジンテ役は「サバハ」や「ザ・キング」にも出ていたパク・ジョンミン。ちょっと菅田将暉を素朴にした感じの顔に見えた。オモニ役は売れっ子のベテラン女優ユン・ヨジョン。義足のお嬢様ピアニスト役は、「屋根部屋のプリンス」の元気はつらつなヒロイン役や、ヒョンビン主演の「王の涙」では悪女役を演じたハン・ジミン。ぜんぜん彼女だと気づかなかった。なかなかの女優ですね。ジンテのピアノ演奏が迫力満点で圧巻。指がもはや早送り状態。ピアニストってやっぱ超人やわ~。ジンテはショパンなど有名な曲をたくさん弾くのですが、どれも耳馴染みがあるけど曲名がわからない自分の無教養さに自己嫌悪!でもピアノ弾いてみたい、習いたいと思いました。

 ↑マット・デーモンと同い年なので、彼ももう50歳!最高のイケオジですね~。若々しいけど成熟した大人の男。無残すぎる若作り、老朽化が見るも痛ましい元ス○ップとかと大違い。「南山の部長たち」に続いて「白頭山」も本国で大ヒット、ソン・ガンホ共演の最新作や連ドラ出演も確定など、相変わらず下降線無縁な大活躍、働き者ぶり!
 
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釜山のヤクザ飯

2020-01-24 | 韓国映画
 「青い塩」
 裏社会から足を洗ったドゥサンは、母の故郷であるプサンでレストランを開くため料理教室に通う。そこで出会った少女セビンと親しくなるドゥサンだったが、セビンは闇組織の一員であり、ドゥサンの動向を探るため彼に近づいたのだった。ドゥサンを抹殺する指令を受けたセビンは…

 裏社会の男たちのせめぎ合いと、ピュアでスウィートな純愛。韓流の十八番を混ぜ合わせた映画。まるでキムチにホイップクリームをかけたような内容でした。どっちかだけにしてほしかったかも。どっちかといえば、私はエグい暴力描写満載なバイオレンス、冷酷無比なハードボイルドのほうがチョア。この映画、どちかかといえば純愛重視だったのが残念。男と女のインポな純愛は苦手。でもこの映画のドゥサンとセビンは、年の差があったせいか男と女というより父と娘、みたいな愛情。疑似父娘みたいな関係になっていく過程が、あたたかく優しく描かれていました。料理を通して仲良くなるのも微笑ましかったです。

 ターゲットを殺さなければならないのに殺せない、という設定は結構ありきたり。絶体絶命なハラハラ感が希薄だったのは、二人を追い詰める裏社会と闇組織が何かショボかったからでしょうか。もっと残虐で非情じゃないと。ラストもツメが甘すぎ。ビツクリするようなノーテンキなハッピーエンド。ラストの真相に気づかない、あるいは見逃すほど裏社会って甘くないでしょ~。

 内容はともかく、キャストは特筆に値します。ドゥサン役のソン・ガンホ、やっぱいい役者!「パラサイト 半地下の家族」観たばっかだったので、めちゃ若く見えた。金持ちのヤーさん役で、衣装もこざっぱりしてたのもパラサイトとは真逆。底抜けのお人よし、というキャラは不変。何でそんなに優しいのにヤクザなんかに?下心など微塵もない、命がけでセビンを守る無償の愛が崇高すぎる。ガンホおじさんの仏さまのような笑顔、とても演技とは思えない。どんなに媚びた笑顔しても目は笑ってないビジネススマイルな日本の某事務所タレントとは大違い。嘘や裏切りに気づいていても、黙っておおらかに包み込む温かい包容力も、ただのカッコつけた見た目だけいい俳優には出せないガンホおじさんの役者としての大きさ。いい人、だけど怖い本性や深い業も秘めている、という面をもっと見たかったけど。

 セビン役のシン・セギョンは、キスマイの北山宏光そっくり?時代劇ドラマ「根の深い木」ではそうは見えなかったけど。ヒロインを演じてもいまいち印象に残らない。若い韓流女優は男優と違って、ほとんどが似たような顔、演技の没個性。脇のキャストはなかなか豪華で、韓国映画を観たらかなりの確率で会える名バイプレイヤー、オ・ダルスがセビンの射撃の先生役、ベテラン女優ユン・ヨジョンが闇組織の女ボス役で出演してます。闇組織の冷酷なスナイパー役で、キム・ミンジュンも登場。ゲゲゲの鬼太郎みたいな髪型が笑えますが(隠密な殺し屋がそんな髪型してたら目立つやろ~)、長身スタイル抜群でやっぱ男前です。
 私がこの映画を観たのは言うまでもなく、my韓流3王子のひとりであるチョン・ジョンミョンに会いたかったからニダ!

 ドゥサンに忠実な弟分やくざ役のミョン太、やっぱ好きやわ~仔犬系童顔が可愛い!可愛いんだけど、すごく男らしいところがミョン太の魅力。頼りたい、甘えたいと思わせる年下男です。超小顔、そしてスラっとしつつもガッチリしてる長身も素敵。モノトーンのシンプルなスーツやYシャツも、スタイルがいいので似合うんですよね~。格闘シーンも、長い脚がシャっと伸びてカッコよかったわ~。兄貴への義理人情な献身がけなげでしたが、相手がガンホおじさんではなくもうちょっと若い男前俳優だったら、かなりBLのかほりがしたかもしれない関係でした。
 プサンの海やソウルの夜の風景など、美しくも哀愁漂う映像美も印象的。名作「イルマーレ」と同じ監督と知り納得。ドゥサンとセビンがセルフでクッキングする海沿いの食堂が味わい深かったです。ああいう観光客が絶対知らない行かない店とかで、その土地ならではの料理を食べてみたいものです。

 ↑ミョン太、新作映画ではまたまたヤクザ役を演じてます。ミョン太も早いものでもうアラフォー。そろそろ成熟した大人の男の魅力を発揮する役に挑んでほしいものです。全裸濡れ場もプタケヨ~!
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僕の彼氏は殺し屋だった

2020-01-22 | 韓国映画
 ウグイス嬢問題が発覚後、適応障害を理由に長いことバックレてた河井克行&案里夫妻が、堂々と通常国会に出席!説明拒否の記者会見とか、適応障害が聞いて呆れる強靭メンタル。記者会見が終わって建物に入った案里が油断して見せた不敵な笑顔も、こいつ国民なめてるな~と憤りを覚えました。広島の恥!ウグイス嬢問題はともかく、働きもせず高額ボーナスを二人して受け取ってたことが承服しがたい。まさに血税のドブ捨て。いま全国の小学校で、給食がどんどん貧しくなっていってることが問題になってますが、河井夫婦みたいな連中にあげるお金があったら、子どもたちの健全な育成のために回してほしいと切に願います。今日もちゃんとした食事ができなかった子どもたちがいると思うと、アンリはアンリでも悲しみが止まらないby杏里
 バックレ&ボーナス泥棒国会議員もですが、今夜も世の中おかしい、狂ってると戦慄してしまったことが。某バラエティ番組で、世界各国で誰が今もっともイケメンとされているかというクイズコーナーやってたのですが、フランスはピエール・ニネかな?と思ったら大正解!ピエール・ニネだった!納得!と思った直後、耳を疑う発言が。ピエール・ニネと千原ジュニアが似てる!という信じがたい暴言。しかも千原ジュニア、まんざらでもなさそうな顔してるんですよ。笑止千万すぎる!前から思ってたけど、千原ジュニアってTVではいい男扱いされてるっぽいのが謎!異常!って思う私のほうが異常なのかしらん?バラエティ番組、やっぱあんまし観ないほうがいいと心底思いました。

 「LONG TIME NO SEE」
 殺し屋のチスには、ネット作家というもうひとつの顔があった。熱心なファンである青年ギテと恋に落ちるチスだったが、二人には過酷な運命が待ち受けていた…
 孤独な男前の殺し屋と天真爛漫なイケメンが恋に落ちる…なんて、ハリポタやスターウォーズ以上のファンタジー設定。BL漫画の映画化?な内容でしたが、残念ながら全然萌えませんでした~。主人公二人の見た目が美しくない!ブサメンではないけど、かなりフツメン。現実的なゲイの話ならいいけど、非現実的な話なんだからBLカップルも非現実的なイケメンにしないと!

 運命的な出会い(ありえない出会いともいう)、胸キュンな惹かれ合いと急接近、キス→セックス、そして悲しい試練とハッピーエンド、というBL漫画の王道なのですが、二人がタイプじゃないという身もフタもない理由で何やっても何が起きても、全然ときめかないんですよね~。BLものはやっぱ、ウソくさくも美しくないとね~。主人公二人のキャラ、そして話の展開も何か変というかブレすぎ。胸キュンラブとハードなフィルムノアールを強引に雑にゴチャマゼしてる感じ。暗い過去と秘密を抱き、闇世界で殺し屋として生きるチスが、なぜかネットでBL小説を書いてて、まるで出会い系のようにファンと気軽に会ったりとか、意味不明すぎる。ギテも中盤になって実は…な正体とか唐突すぎ無理やりすぎ。何の伏線もなかったし、は?と苦笑するしかなかった。チスのネット作家設定もギテの正体も、その後の展開に全然活かされてなかったし、とにかく脚本が酷いです。BLラブシーンもソフトすぎ、フツーすぎ。あれぐらいなら日本の某事務所タレントやCMレベル俳優でもできます。

 チス役のタク・ウソクは、坂口健太郎が老けて地味になった感じの顔?たま~に堤真一にも似て見えました。腹筋はちゃんと割れた細マッチョな上半身裸は、さすが韓流男優。ギテ役のヨン・スンホは、私が苦手なメイクのキツい韓国顔。裸も生白くてプヨプヨ。もっと可愛い顔+キレイなカラダのイケメンにしてほしかったです。イルボンリメイクの際は、それこそチス役は最近マッチョ化したらしい坂口健太郎、ギテ役は伊藤健太郎のW健太郎主演で胸キュン&ハードなBLをお願いしたい!

 
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愉怪な寄生家族

2020-01-16 | 韓国映画
 「パラサイト 半地下の家族」
 家族全員が無職のキム一家は、極貧の半地下で暮らしていた。そんな中、長男が留学する友人に代わって金持ちの家の家庭教師をすることになり…
 昨年のカンヌ映画祭パルムドールを皮切りに賞レースを席捲、来たるアカデミー賞でも外国語映画賞のみならず作品賞、監督賞にもノミネートされ、韓国映画初のオスカー受賞はほぼ確実、という快挙を遂げようとしている話題作を、ついに観ることができました~(^^♪いやはや、予想以上、期待以上の面白さでした!早くも2020年my best 映画な予感!国家も国民も、どうかしてるとしか思えないほど民度が低い韓国ですが、こと映画に関してだけ言えば、ずいぶん前から完全に邦画を凌駕してます。こんな傑作を観てしまったら、毒にも薬にもならん邦画なんてますます観てられなくなるわ。「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」など、その独創性とエンタメ性で韓国社会の暗部を描き、日本でも人気が高いポン・ジュノ監督の手腕は、さならる高みに到達したようです。

 この映画、とにかく最初から最後まで爆笑と戦慄のつるべ打ちなんですよ~。まず、底辺ファミリーのキム一家の仲良しぶりが、トボケたユーモアいっぱい。貧乏だけど明るく元気に寄り添って生きてる様子は、何だか干し草のぬくもり的なほのぼのささえ感じさせます。金持ち一家に寄生する計画を実行するキム一家ですが、その手際のよさ、完璧な一致団結は、ラグビー日本代表も真っ青なONE TEAMぶり。トム・クルーズも舌を巻く、スパイのようなミッション遂行が笑えます。先任の運転手や家政婦に罠を仕掛けて陥れ、クビに追いこんで後釜に自分たちがおさまる一家、やってることはかなり卑劣なのですが、すごいノリノリで悪びれず楽しそうにやってるので、つい彼らを応援する気持ちに。同じくカンヌ受賞作、底辺家族を描いた某邦画は、辛気くさい上に感動の涙狙いが露骨で拒否反応が出てしまったけど、この作品は警抜な喜劇として社会の歪みを炙りだしているところが出色、ひたすら驚嘆感嘆あるのみでした。

 それにしてもキム一家、みんなすごい能力と頭の良さ、バイタリティと度胸の持ち主。それを活かさないのではなく活かせない韓国の格差社会は、本当に心胆を寒からしめます。働かずにぐうたらしてる怠け者一家ではなく、みんな労働意欲旺盛なのにチャンスがないだけ。能力があっても努力をしても決して這い上がれない、便所コオロギに生まれついた者は死ぬまで便所コオロギ、という絶望的な宿命。詐欺なんかしないでまっとうに職を探せとか正論をのたまう人は、便所コオロギ人生がどんなものか知るよしもない幸せな人です。
 金持ち一家も底抜けのお人好しで、いくら何でも騙されやすすぎやろ~と呆れて笑えます。親切で気さくだけど、決してキム一家を自分たちと対等とは見なさない金持ち一家。ちょっと「沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇」のブルジョア一家とカブりました。キム一家への悪意のない無神経な言動が、やがて悲劇を招くであろうと不安を煽り、笑わせながらも胸をザワつかせます。

 卑劣な手段で職を得るキム一家ですが、仕事には一生懸命で真摯、金持ち一家にも誠意と感謝の気持ちをもって尽くして、決して悪いこと(留守中に勝手に酒盛りしたり風呂に入る程度)はしないし、陥れた相手のことを心配したり、基本的には善人なところが致命的な失態、破局を招くのですが、そこからはまさに笑いと恐怖が混じった濁流のような怒涛の展開で、観客も一気に流される感覚を味わうことに。

 ↑ こいつら、ほんま大暴れしてくれましたね~
 爆笑シーン満載、登場人物はみんなキャラ立ち過ぎ。特にツボだったのが、緊迫のジャージャー麺パニック、家政婦の親北ギャグ(将軍さまをマンセーする北朝鮮の女性アナウンサーのモノマネ)、おかんの家政婦撃退の蹴り、など思い出し笑いヤバい。中盤からのキム一家VS家政婦夫婦の必死すぎる阿鼻叫喚バトルは、ほとんど岡田あーみんのスラップスティックな狂笑世界です。強烈キャラの中では、やっぱ家政婦が最強インパクトでした。あの夫妻、ほんとビックリすぎる豹変と登場でしたわ~。意表を突きまくる展開、そうきたか!と唸らせる伏線の張り方や小道具の使い方など、脚本が本当に秀逸です。

 役者たちの好演、激演もインパクト強烈です。代表して、おとん役のソン・ガンホ。気のいいおっさんだけど、何かやらかすに違いないという危険な不穏さをチラチラ見せながらのコメディ演技、ほんとお見事でした。彼みたいな役者、日本にも欲しいですね~。金持ち一家の主人がなかなかの男前(すごい美声!)で、クビになる若い運転手もイケメン!そして、冒頭にキム一家を訪ねてくる長男の友人役で、パク・ソジュンが登場!

 すぐに退場するチョイ役でしたが、キム一家を金持ち一家へと導く重要な役でした。奥様やお嬢様の心をすぐに掴む設定の長男は、イケメンのソジュンくんがやればよかったのではとも思った。それにしても。金持ち一家を騙しても、ソジュンくんが戻ってきたらいったいどうごまかすつもりだったんだろ。
 演出、脚本、演技だけでなく、半地下と豪邸という二つの別世界を創りだした美術も偉業。あれ、全部セットなんですよね~。そして、豪邸に隠されていたもうひとつの…おっと、これ以上は!ネタばれ、危ない危ないby福田和子!希望なのか絶望なのか、観る者に判断を委ねるラストは、何とも言えぬ余韻を残します。
 
 
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ガラスのBL仮面

2019-12-19 | 韓国映画
 「メソッド」
 舞台俳優のジェハは、新作の相手役であるアイドルのヨンウのやる気のなさに苛立つ。役にのめりこむジェハの影響を受け、しだいにヨンウも真剣に取り組むように。破滅的な男同士の愛に溺れる役を演じる二人は稽古以外でも親密な関係となり、やがて激しく求め合うようになるが…
 役者さんって、ほんと大変な仕事なんですね!役にのめり込み過ぎると、身も心も私生活も性生活も影響を受けて、しっちゃかめっちゃかになってしまうんですね~。まあ、CMレベルのタレント男優女優だとそんなことにはならないのでしょうけど。天才型の役者って、どこか破綻していて不幸な人が多いけど、さもありなんって感じです。でも、恐ろしいまでの才能ゆえの不幸って、凡人からすると輝かしく羨ましいです。

 この映画の主人公であるジェハは、本当にヨンウのことを愛してしまったのか、それとも入魂演技ゆえの錯覚だったのか。もちろん腐としては前者のほうが萌える設定ですが、ジェハの様子やラストからして、どうやら後者のほう。恋人同士を演じているうちに本当に愛し合う仲になることってよくあるみたいですが、さすがにノンケの妻帯者が同性愛の役だからといって男に恋したり、セックスしたりはしないと思うので、ジェハの役になりきってしまうメソッド演技ってスゴすぎます。夫が若い男と密会したり逃避行したり、ジェハの奥さん可哀想!自分自身だけでなく、演技のためなら愛する人をも傷つけることさえ厭わない、役者の業の深さにも畏怖。

 ヨンウのほうは逆に、本気になってしまってたのが哀れで痛ましかったです。ストーカー化したり、舞台の本番中に自殺未遂とか、狂気の命がけLOVEがヤバすぎです。思い込みにしても本気にしても、現実と虚構の区別がつかなくなる危険な心理が演技を研ぎ澄ませ、舞台を大成功に導くという結末は、悲劇であると同時にハッピーエンドでもあったのではないでしょうか。
 ジェハ役は、韓流映画やドラマの売れっ子バイプレイヤーであるパク・ソンウン。主演作を観たのはこれが初めてかも。決して美男ではない、どちらかといえばブサイクなのですが、すごくいい男に見える不思議な俳優。大柄でたくましい体躯も、男らしくてカッコいいです。ヨンウ役のオ・スンフンが、ちょっと個人的には残念だったかも。ぜんぜんアイドルに見えんし、美青年じゃないし。たまにKABA.ちゃんに似て見える時も。メイクばっちりな肌も何か汚かったし、ヨンウはもっと可愛いイケメンか、魔性っぽい美男に演じてほしかったかも。若い頃のレスリー・チャンならドンピシャ。ヨンウが何かキモいので、ラブシーンや破滅的な展開にもドキドキしませんでした。ラブシーンもキスどまりで物足りません。それはそうと。この作品、日本でリメイクされるとしたら、ジェハは堤真一、ヨンウは山崎賢人がいいかも(^^♪
コメント (2)
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王子さまと俺

2019-12-15 | 韓国映画
 「代立軍 ウォリアーズ・オブ・ドーン」
 16世紀末、壬辰倭乱(豊臣秀吉による文禄の役、慶長の役)により混乱に陥った朝鮮。王は世子(皇太子)の光海君に国政を押し付け、明に逃亡してしまう。兵士の代わりに軍役を担う農民のグループ“代立軍”が光海君の護衛に就くことになるが、彼らは脆弱な光海君や非情な高官たちに反感を募らせる。過酷な旅を共にするうちに、代立軍のリーダーであるトウは孤独な光海君と信頼し合うようになるが…
 イ・ジョンジェ主演ということで観ました~トウ役のジョンジェ、相変わらずカッコいいですね~ソフト&スウィートなジョンジェも素敵ですが、ハード&ワイルドなジョンジェもチョベリグ(死語)彼も40代半ばになりましたが、老化劣化がほとんどなくて若々しいのが驚異的。若く見えるけど、年が近いキムタクみたいにイタい若作りや精神年齢の低い役・演技で強引に若く見せてるのではなく、大人の男の落ち着きと成熟を備えているところがジョンジェの魅力です。この作品では身分の低い野武士役なのですが、卑しさや下品さなど微塵もなく、ストイックで誇り高い清廉なオーラが。クールで勇猛な中にある情の厚さ、悲しみにも胸を打たれました。男は強くなければ生きていけない、優しくなければ生きる価値はない、を地でいくような役。日本のアイドルタレント、CMレベル俳優にはないジョンジェの漢(おとこ)っぷりに惚れ惚れ。

 髭モジャで泥まみれな男くさい風貌になっても、どことなく爽やかで優雅ささえ感じられるところもジョンジェならでは。そして、ジョンジェといえばの肉体美。川で血を洗い流すシーンでちょっとだけ脱いでますが、40半ばとは思えぬ筋肉。日本のアイドルや男優もよく鍛えてます自慢してますが、ジョンジェの筋肉ってそれとは全然違うんですよね~。ジョンジェのカッコいいけどカッコつけてないところが好き。不幸が似合うところも好き。ジョンジェみたいな、逆境や悲運の中でこそいい男っぷりが際立つ俳優が好きです。

 過酷な旅を共にしているうちに、身分を超えた男同士の親愛を培うトウと世子さま。守り守られる二人、描きようによってはBLに成りえるやりとりと絡み方でしたが、世子さまがBL向けのルックスではなく、私好みのイケメンではなかったので、萌え妄想できなかったのが残念。光海君役のヨ・ジング、東南アジア系顔なので、時代劇の王族や貴族役が似合わない。でも、苦悩と疲労で青ざめ窶れて虚ろな表情など、なかなか鬼気迫るものがありました。演技は秀逸。ヘタレ、役立たず、お荷物な王子さまが、艱難辛苦と悲劇を経て成長する物語でもありました。

 トウの弟分のテソク役は、しばらく気づかなかったけど、キム・ムヨルだった!「イルジメ」のアホ坊ちゃん役とは違う、野性的で無骨な弓の名手役でカッコよかった!髭生やすと男前!彼も長身で体格がいいので、ほんと強そう。戦うシーンが絵になります。
 食い扶持を稼ぐために、が身分の高い武士の身代わりになって兵士になる、なんてシステムがあったのですね。どこの国にも理不尽で不公平な身分制度がありましたが、韓国のそれはイギリスとかとはまた違った露骨さ非道さ。とにかく人間扱いしてないんですよね~。口汚い罵倒や、いきなり背中や胸を足蹴にするとか、日本ではあまり見ない侮蔑的な精神的肉体的暴力。この映画でも、悲惨な出来事に身も世もなく泣き叫び狂乱する人々がよく出てきましたが、あれって実際の現代のニュースでもよく見る光景。朝鮮半島独特の異様さです。

 「暗殺」の日本軍人も酷かったけど、倭軍の日本人武将が喋る超絶ヘタクソな日本語が笑えた。明らかに韓国人俳優じゃん日本公開に配慮も忖度もなし。いっそのこと、中世のフランス貴族もナチスドイツも英語を喋ってるハリウッド映画方式にすればよかったのに。
 血しぶき、血まみれ、容赦なき阿鼻叫喚の残虐、残酷な荒っぽい殺戮シーンもまた、韓流映画ならでは。日本の時代劇といえば、おんな子ども向けの漫画時代劇、本格もどきのポリコレ時代劇、お花畑大河ドラマ。過激で生々しい演技、演出ができる俳優や監督がいないのが残念です。

 ↑ ジョンジェ久々のTVドラマ「補佐官」も観たいな~
 
 
 
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