まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

野望が男を美しくする

2019-08-23 | 韓国映画
 「ザ・キング」
 ケンカに明け暮れる不良高校生テスは、ある出来事がきっかけで検事になる決心をし一念発起、猛勉強が実って司法試験に合格し晴れて検事となる。野望のために手段を選ばない悪徳検事ガンシクと出会い彼の手先となったテスも、権力に魅せられ人の道を踏み外すことに…
 最近の韓国映画は人気俳優W主演の競演作が多く、この作品もその一本。チョ・インソンVSチョン・ウソン、スター同士のガチンコ演技&男前対決が見ものです。主演はインソンで、ウソンはどちらかといえば助演ですが。

 インパクト強烈といえば、チョ・インソンは韓流俳優随一かもしれません。「バリでの出来事」と「霜花店」の彼は、いまだに忘れがたい。CM演技な日本のイケメン俳優とは違うな~韓流俳優すげえな~と感嘆したものです。イメージダウンを恐れないチャレンジングな演技、ただの美男俳優として安住しない気概、まさに役者魂。白面の美男子な顔はタイプではないのですが、目がテンお口ポカンになってしまうような激しいイカレっぷり、コワレっぷりは大好き。今回も体を張りまくった激動激情で、見ていて疲れてしまうほど。不良高校生、チンピラ口調、スマートな検事、どれも様になって美男!さすがに高校生役は無理があったけど。ズタボロっぷりもハンパなく、得意の美男くずしも冴えてました。

 ルックスだけなら、悪徳検事ガンシク役のチョン・ウソンのほうがタイプ。本当は善い人、何か理由があっての悪行なんて生ぬるさはなく、骨の髄まで冷酷で腐りきった極悪人役だったのが、むしろ痛快でした。優しそうな顔とのギャップが、裏表ありすぎな役を演じるにあたって功を奏してました。こんな検事ありえねー!!な暴力男でもあって、ドロップキックをお見舞いしたりバットで殴ったりと、日本のパワハラモラハラなんかとはレベルが違う犯罪行為を平然とやってるのが怖くて笑えた。クールでカッコつけたカリスマちっくな悪ではなく、セコい言動や必死すぎる姿が滑稽で、かなり笑える演技をしてるウソンが新鮮で可愛かったです。怪しい祈とう師にすがって一心不乱に祈ってるウソンが特に笑えた。

 チョ・インソン&チョン・ウソン、どっちも超小顔でスタイル抜群な高身長!二人の演技合戦は、激烈なんだけど笑えるんです。そう、この映画、エグい内容、エゲツないシーン満載にも関わらず、コメディになってるところが驚異で面白いんですよ。ゲスい笑いがいかにも韓流喜劇。まるでファンタジー、ミュージカルなシーンもあったりして、なかなかユニークです。私が好きなのは、高級クラブでの大統領当選祝いで、はっちゃけまくるインソンとウソンが一緒に踊るシーン。まるでダ・パンプみたいな振付がゴキゲンで愉快でした。テスを支援するヤクザの親友が、もうちょっとイケメンだったら良かったのですが。二人のほぼ愛情な友情が、切なくて胸キュンでした。

 それにしても韓国って、やっぱ変というかヤバい国ですよね~。日本の政界や検察だって決してクリーンではないにせよ、韓国ほど無秩序ではないし腐ってもないです。歴代大統領のほとんどが悲惨な末路を遂げてることとか、国家としてよく成り立ってるな~と映画だけでなく実際の韓国の現状を見てると、すごく不思議な気持ちにかられます。韓国人の暴力的な性質が怖い。反社の人々も、日本のヤクザとは全然違うんですよね~。拷問や始末の方法が、残忍というか汚らしいんですよ。生きたまま飢えた犬に食い殺させるとか、発想自体が非文明的。裏社会だけでなく一般人の相手を痛めつけたり侮蔑したりする行為や発言の語彙も、日本人にはない野卑で下卑た民度の低さで空恐ろしくなります。
 この映画、日本でリメイクするとしたら、理想妄想イルボン版はこうだ!

 テス ・・・ 向井理
 ガンシク ・・・ 竹野内豊

 こんなん出ましたけどぉ~?
 ムカイリーにはテスみたいな役、やってほしいな~。竹野内氏は「孤狼の血」で極道役を好演してたし、ガンジク役もイケると思う!
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忠誠!イケメン警察学校

2019-08-14 | 韓国映画
 「ミッドナイト・ランナー」
 警察大学で出会い親友同士となったギジュンとヒヨルは、外出許可を得て遊びに行った夜の街で、少女が男たちに拉致される現場に遭遇する。まともに取り合ってくれない警察に業を煮やした二人は、自分たちで少女を救おうと追跡に乗りだすが…
 邦題からだとハリウッドのアクションサスペンスみたいな映画を想像してしまいますが、ぜんぜん違います。韓国らしい笑いとエグい犯罪描写がミックスされた青春コメディです。でも劇中、二人は真夜中に疾走してたのであながち間違いではないです。

 主役のギジュンとヒヨルは、どっちもキャラ、見た目ともにカッコカワイいです。一応ギジュンが熱い行動派、ヒヨルがクールな頭脳派という設定にはなってるのですが、どっちもすごいドジでマヌケで性格が善くて、あまりキャラの相違はありません。もうちょっとギジュンが暴れん坊とかヒヨルがひねくれ者とか、バディもののお約束ですが水と油な相棒にしてもよかったのでは。どっちもボケててツッコミなしなコンビでしたし。エリートとは程遠い庶民丸だし、かなりアホな言動や表情が笑いを誘う二人ですが、ズタボロになっても絶対に諦めない不屈さ、強靭な肉体がカッコいい!

 悪人どもと壮絶な死闘をする二人ですが、とても警察官の卵とは思えぬ身体能力と闘争心なのですよ。ドジでトンマだけど、めちゃくちゃ鍛えてる二人。筋トレシーンや吊り下げ緊縛をほどくシーンなど、超人的な筋力に瞠目。韓国ならではの荒々しく生々しくハードな格闘には、いつもながら圧倒されます。若い強い男って最高!と、可愛くてタフな二人に惚れ惚れ。

 でも、日本人からするとありえねー!な内容とシーンの数々。警察学校の生徒が事件を捜査するのも越権な暴走だし、あんな素人が見ても大事件を予想させる現場でも動かない警察とか、相変わらず韓国の警察って無能でいい加減だな~と呆れた。日本でもたまに警察の失態や後手後手の捜査が問題になりますが、さすがに韓国の警察みたいに無秩序じゃないよな~。犯罪の質も日本と比べても卑劣かつ凶悪で、誘拐した少女から卵子を取るという組織犯罪の手口など、コメディ映画にはそぐわない忌まわしさは邦画にはない怖さ。チンピラの因縁のつけ方からして、相手を人間扱いしてない野卑さ下劣さ。ヒステリックで相手の話を全然聞かない国民性など、やっぱ韓国人とは解かり合えないと痛感しました。

 W主演のパク・ソジュンとカン・ハヌルが、とにかく明るく元気でカッコカワいいです!最近人気らしいソジュンくんは初めてお目にかかりましたが、顔は松田翔太を可愛くした感じのイケメン。冷たい役、悪役が似合いそうな顔ですが、おちゃめな演技も上手でした。ヒヨル役は、偶然!こないだ観た「記憶の夜」のカン・ハヌル。顔はやっぱいっちー(カープの一岡竜司)に似てる?二人とも女にモテない役なんてありえんだろ!警察官で、しかもあの顔あのカラダですよ。筋トレシーンやシャワーシーンで、その肉体美をバッチリ披露してます。

 す、すごいカラダ特にパク・ソジュンは、いま韓国随一のモムチャンと評判だけあって、感嘆してしまう肉体です。日本でもイケメン俳優が鍛えた体を見せることがよくありますが、ぜんぜん違うんですよね~。肉のつきかたとか、そもそも骨格からして違うのかな。二人とも小顔で背が高くスタイル抜群で、制服だけでなく何着ても似合うのよ。日本のドラマでも若い警察官ものとかありましたが、貧相でチャラチャラした某事務所タレントやイケメン俳優のインチキっぽさに比べると、この映画の二人は素朴で屈強で身近なお巡りさんっぽくて好感。すごい仲良しでベタベタイチャイチャしてるわりには、ブロマンスな萌えが希薄だったのがちょっと残念。あと、せっかく韓国の警察学校の生徒が主役なのに、犯罪組織との闘いをメインにしてしまったため、学生生活や訓練などを描くのが二の次になってたのも惜しかったです。
 この映画、日本でリメイクされるとしたら、理想妄想イルボン版はこうだ!

 ギジュン ・・・ 新田真剣佑
 ヒヨル ・・・ 金子大地

 こんなん出ましたけどぉ~?
 我ながらなかなか魅力的な顔合わせだと思う!二人の共演で素敵なブロマンス映画、ドラマでもいい、撮ってほしい!
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兄と弟 雨夜の秘密…

2019-08-06 | 韓国映画
 今日は原爆の日、広島が被爆してから74年目の夏…今年も鎮魂の朝を静かに厳かに迎えました。世界のどこかで不穏な空気が流れると、本当に悲しい怖い。広島で生まれ育った者としては、戦争を肯定・扇動するような発言をした某議員とか、狂人としか思えません。不満不平だらけ、自己憐憫に浸れる自分が、どんなに幸せな人間かを8月6日ほど痛感できる日はありません。平和を当たり前のこととせずに、平和のありがたさを噛みしめて今夜は眠ることでしょう。
 でもほんと、昔に比べて夏が過酷になりましたよね~…今日の暑さも殺人的でした。軽い熱中症なのか、すごい頭痛に襲われて死ぬかと思いました。皆さまもくれぐれもご自愛なさって!

 「記憶の夜」
 両親、兄ユソクと共に幸せな毎日を送っていたジンソクは、引っ越し先の新居で起こる奇怪な出来事に戸惑う。そんな中、ジンソクの目の前でユソクが見知らぬ男たちに拉致されてしまう。数日後に戻ってきたユソクを、兄とは別人ではないかとジンソクはしだいに疑い始め…
 国としての民度とは逆に、映画と俳優の質は日本より高い韓国。この作品も、子どもとジジババが観てもOKな邦画にはない悲惨さと暗さ、そしてトリッキーな面白さがありました。

 開かずの部屋、そこから聞こえる不気味な音など、オカルト映画なのかなと思って観てたら、精神不安定なジンソクがコワレていくニューロティックなサイコもの?と思いきや、拉致や家族が偽物かもしれない疑惑、そして十数年前の惨殺事件など、犯罪ドラマの色も濃ゆくなるなど、展開と内容が急展開すぎて困惑しつつも、読めない先や真実が気になってダレることなく観入ってしまいました。
 中盤になって、え!?そんなんアリ?!な家族それぞれの正体が明かされ目がテンに。でも、引っ越し先の新居になぜか見覚えがあるジンソクとか、前の住人に頼まれたからといって部屋を開けずにいるとか、ジンソクがユソクの弟であることを不思議がった引っ越し業者とか、拉致が事件にならずにすむとか、たくさんの謎が解明してなるほど!そういうことだったのか!と感嘆。伏線の張り方が秀逸でした。

 でもでも、オカルトよりもありえない真相と人間関係は、かなり無茶で強引です。記憶を取り戻させるための仕掛けには手間や人材、時間、何より相当なお金がかかったはず。その資金はどーやって?が最大で説明されてなかった謎です。後半は惨殺事件の真相が描かれるのですが、心ならずもで二人も殺しちゃった犯人のバカさ、ドジさにトホホ。犯人、あまりにも不運で不幸すぎる。韓国の底辺社会への転落って、日本では考えられないほどの生き地獄です。

 ジンソクとユソク、前半は兄弟の域を超えた親密さで、ほとんどBLカップル。演じた俳優二人がなかなかの熱演と魅力。ジンソク役のカン・ハヌルは、カープの一岡にちょっと似てる?たまに星野源にも見える顔。優しそうだけど、長身でガタイが良すぎてピチピチ健康的な美肌なので、心身が虚弱な青年には見えないんですよね~。ジンソク役は、病的なまでにデリケートそうな美少年俳優向け。

 ユソク役のキム・ムヨルは、「イルジメ」のシワン!おバカなシワンのイメージが強すぎて、シリアスで怖い演技にちょっと違和感。彼も顔がカープの選手、安部友裕に似てる?時おり大杉連にも。ハヌルもムヨルも、背が高くてスラっとスタイル抜群、脱がなくても判る筋肉質なカラダの持ち主。二人とも正体と擬態を演じ分ける、しんどくて鬼気迫る演技。日本の老けた子どもみたいな某事務所タレントやホストみたいな俳優の学芸会に辟易するたびに、韓国ではルックスも演技も秀でた選ばれし俳優じゃないと映画やドラマの主役になれないんだな~と思い知ります。
 この映画、日本でリメイクされるとしたら、理想妄想イルボンキャスティングはこうだ!
 
 ジンソク … 伊藤健太郎
 ユソク … 向井理

 こんなん出ましたけどぉ~?
 前半はいいけど、後半のジンソクは伊藤くんには無理かな~。若さと演技力を考えると。
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降魔が時

2019-07-28 | 韓国映画
 「サバハ」
 問題ある宗教団体を取材するパク牧師は、鹿野苑という新興宗教を探り始める。そんな中、女子中学生の他殺死体が発見され、容疑者である鹿野苑の信者が自殺する。事件の真相を追うパク牧師はやがて、想像を絶する闇の世界に足を踏み入れることになるが…
 おぞましい出生の悪鬼の子をめぐって、次々と起こる凶事…「オーメン」系のオカルト、鳥や犬、ムカデやヘビ、気象がコントロールされる超現象などスーパーナチュラル、主人公が探偵のように手がかりや聞きこみから犯人にたどりつくミステリー、などいろんな要素をブッ込んだ内容でした。面白かったのですが、どことなくTVドラマっぽいというか、エグい韓流ホラーやサイコものが好きな人には物足りないかも。血まみれ血しぶきとか、メッタ刺しメッタ打ち殺しといった、韓流おなじみのシーンはほとんどありません。

 悪鬼や邪教よりも私が戦慄したのは、韓国といえばのうら寂しい田舎や貧しい地域の暗く狭い路地。何か禍々しいものが潜んでいそうな、日本にはないおどろおどろしい闇深さを感じます。特にひと気のない夜道。街灯とか舗装の具合とか、ぜんぜん安心して歩けません。
 私はミステリー部分がいちばん好きです。意味不明でバラバラだったピースが集約されいく展開に、ああ!なるほど!そういうことか!と膝を打ちました。悪鬼の正体と鹿野苑の教祖の正体、真の悪をめぐる観客へのミスリードとドンデン返しも巧みでした。教典に隠された暗号とか、ちょっと「ダヴィンチ・コード」もどきでしたが。

 キリスト教と仏教の混在など、複雑で奇異な宗教問題も日本ではほとんど感じられない、韓国らしい混沌、異様さです。ヘロデ王の幼児虐殺をモチーフにしていますが、鹿園苑とその教祖のモデルは明らかにオ〇ムと麻▲彰◇です。マインドコントロールされた若い純真な信者が大量殺人を犯すという悲劇は、まんまあの邪教の犯罪。納屋に監禁されてる忌まわしい姿の悪鬼娘が、楳図かずお先生の赤ん坊少女タマミっぽいキャラで、おぞましくも哀れ。
 牧師探偵パク役のイ・ジョンジェが、相変わらずカッコよかった

 スマートで若々しい、けど若作りしてるのではなくて、大人の男の魅力も備えてるジョンジェ。カッコいいけどファッションが悪趣味、というのが韓流男優の定説ですが、ジョンジェは唯一といっていい例外。シンプルな黒いコートが、スラっとした長身に似合って素敵でした。かなり軽妙でコミカルなジョンジェの演技が可愛かったです。尼さん軍団から卵ぶつけられる(韓国人、これよくやってますよね~)ジョンジェが笑えた。でも、ジョンジェじゃなくてもいいような役でした。いっそ邪教側の役のほうが、ジョンジェの演技力とカリスマを活かせたのでは。それにしても。ジャーナリストみたいな仕事をしてる牧師さんっているんですね~。
   
 金髪の若い信者役パク・ジョンミンが、もっとタイプのイケメンだったら言うことなかったのですが。でも、たまにすごいイケメンに見えたり、不思議な顔してる俳優です。教祖の助手役で、中盤にユ・ジテが登場。彼がただの助手役なわけがないと思ってたら、やはり。意外な正体に驚かされます。▲原彰■がカッコよくなったみたいな風貌だったのは、意図的なのでしょうか。

 ↑ジョンジェ久々のTVドラマ「補佐官」観ようかな~。

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殺し方は憶えてる

2019-06-12 | 韓国映画
 「殺人者の記憶法」
 アルツハイマーを発症した獣医のビョンスはかつて、世間にはびこるクズどもを抹殺する殺人鬼という裏の顔があった。新たに連続殺人事件が発生し、その犯人が警察官のテジュであることにビョンスは気づくが…
 認知症の殺人鬼VS新殺人鬼という、かつてないようなユニークな設定でした。記憶を失う主人公の犯罪映画といえば、クリストファー・ノーラン監督の「メメント」を思い出します。韓流ならではの猟奇殺人映画なのですが、陰惨悲惨な中に何かちょっと笑ってしまうユーモアもあったりして、そういうところも面白かったです。娘を狙うテジュを、先手を打って始末しようとするビョンスが、そのつど記憶を失って失敗、の繰り返しがコントみたいで笑えた。老体にムチ打って、殺人鬼との対決に張り切る姿も滑稽。娘とテジュのデート先である映画館に乗り込んだはいいが、目的を忘れていつの間にか席に座って隣の客のポップコーンを食べながら映画観て爆笑してるシーンが特に笑えた。テジュに陥れられ、しだいに過去も現実も?!!?なカオス状態になっていく展開も、先が読めず退屈させません。

 ボイスレコーダーが小道具として巧みに使われていました。ラストの血みどろな死闘とか、殺し方や死体の扱いなどの生々しさ酷さは、まさに韓流猟奇殺人ものならでは。韓流猟奇殺人映画を観て私がいつも怖いな~と戦慄してしまうのは、韓国の貧しい地域の夜道です。とても現代の光景とは思えないほど、深く濃ゆい闇。まさに冥界に引きずりこまれそうな暗さ。あんなところ、独りでは絶対に歩けません。鬼畜すぎる虐待や無能で杜撰な警察など、この国ならフツーのことなんだろうなと思ってしまう韓国、その民度の低さこそ猟奇的です。

 認知症、殺人鬼、どっちかだけでも怖いのに、その二つの合体という前代未聞な役を怪演したのは、「あいつの声」や「監視者たち」などの名優ソル・ギョング。基本、いぶし銀のシブい熟年であるギョング氏ですが、今回は骸骨みたいに痩せ細り涸れ果て、まさに死人のような風貌と雰囲気。

 しぼりだすような苦しげな声は、聞く者の胸ををザワザワさせます。焦点がさだまってない虚ろな目が、テジュへの殺意や殺人衝動でギラギラメラメラと燃える異常さ異様さときたら。大真面目に深刻に演じてる反面、イカレすぎて笑える、それを狙ってもいるギョング氏の名演でした。こんなにも鬼気迫る不吉さ、そして悲しさで観客を圧倒できる俳優、日本には今いません。
 テジュ役は、久々に見たキム・ナムギル。売れっ子になってからはすっかり二枚目路線でしたが、今回はサイコ役で新境地。

 もともと冷酷顔なので、異常者役がなかなかハマってました。役作りでちょっと太った彼、懐かしのドラマ「グッバイ・ソロ」のジアンを思い出させました。キム・ナムギルといえば、私にとっては今も昔もグッバイ・ソロのジアンです。ヌオオ~っと大柄なので、迫力や威圧感があって怖い。日本のイケメン俳優だと私でも戦ったら勝てそうだもんね。テジュが殺人鬼になった理由、そしておぞましい身体的秘密も激ヤバでした。警察署長役で、売れっ子オ・ダルスが出演してます。相変わらずのコメディリリーフ的存在。
 この映画、日本でリメイクしたら、理想妄想イルボンキャストはこうだ!
  ビョンス ・・・ 内野聖陽
  テジュ ・・・ 向井理
 ソル・ギョングとウッチーって、何となくカブるんですよね~。ビョンス役には若すぎるけど、老けメイクで熱演してほしい。優しそう、でも実は冷酷で悪賢い役、は向井理のオハコ。捨て身の狂気演技には期待できないけど…

 


 
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悲しきシングルライダー

2018-09-30 | 韓国映画
 またまた台風来襲!もうほんと、カンベンしてほしいですよね~…日曜日、広島でも恐怖の暴風雨。映画に行く予定だったのに、それどころではなくなってしまいました外はゴーゴー暴風が吹き荒れてるのに、老いた両親が急に肉まんが食べたいと言い始めました。土曜日は飲み会があって車を会社に置いてきてたし、不要不急の外出はダメとわかってはいたのですが、長年パラサイトしてるという負い目、弱みのある私は、これ以上親不孝してはいけないと思い、決死の覚悟で嵐の中、歩いて1分のコンビニへ向かったのでした。雨はそれほどではなかったのですが、風がスゴかった!当然ひとっこ一人歩いておらず、傘なんかまったく役に立たず、隣町まで飛ばされそうになりながら、命からがらの往復。命がけで買った肉まんを、父母は特に美味しそうな様子も見せずペロっと食べました。

 話はガラッと変わって。西武ライオンズ、優勝おめでとうございます!試合には負けての優勝は、ちょっと冴えない感じでしたが、ナニハトモアレめでたいめでたい源田くんがいっぱい見られてすごく嬉しかったです。セ・パのCSファイナルが楽しみですね!チケット抽選、当選しますように☆彡

 「エターナル」
 証券会社の支店長カン・ジェフンは、会社が起こした不良債権事件で全てを失う。事件後、妻子を住まわせていたオーストラリアに、ジェフンは姿を現すが…
 大好きなイ・ビョンホン主演作。別れた妻子への愛執にかられ、狂気のストーカーと化す男の役なのかなと楽しみにしてたら、ぜんぜん違ってましたコワレた人の役も得意なビョン吉さんなので、キモ怖い中年男の役を演じてほしかったです。尾行、のぞき、不法侵入するビョン吉さんですが、キモくはなく静かにそこはかとなくヤバい人、でも深い悲しみをまとっているミステリアスな男、といった感じです。

 台詞が少なく、表情も動きもかなり抑え気味な役なのですが、もし凡百な俳優だったらただ突っ立てるだけか、ぼんやりしてるだけかになってたところを、さすが韓流随一の千両役者ビョン吉さん、あの美しい瞳が1000の言葉よりも饒舌に喜怒哀楽を語ってるのです。観る者を惹きこむ力は、相変わらず強力です。でも、見た目も演技も、ひょっとしたらビョン吉史上もっとも地味かも。いつもの色っぽくて男くさくてカリスマなビョン吉を期待すると、かなりガッカリするのでご注意を。かなり窶れて老けて見えます。人生に疲れた孤独な中年男の役なので、カッコよさを封印してたのは当然だとしても、やっぱ男汁ダダ漏れな男前ビョン吉に会いたいんですよね~。

 なかなかジェフンが妻子と接触せず、妻子もジェフンに気づかず、まるで空気みたいな存在なジェフンに、ん?と思いつつ、よほど鈍い人でないかぎりは、あ!そーいうことか!と早い段階で真相を察知するでしょう。私もすぐに気づきました。最後まで解からないままでいるほうが、映画ファンとしては幸せです。え!うそ!衝撃!でラストを迎えるほうが、断然お得ですもんね~。

 英語を習得させるため、妻子だけ海外に住まわせるって、韓国ではよくあることなのでしょうか?仕事にかまけて、ずっと妻子をほったらかしにしてたジェフンも悪いけど、海外で現地男(寝たきりの妻がいる)といい仲になってる妻もどうなんでしょう。ジェフンと別れて現地男を選ぶのかと思いきや、ジェフンをオーストラリアに呼ぼうと計画してたとか、何か言動と思考回路が意味不明でした。ジェフンにも現地男にも、どう説明するつもりだったの。妻役は、「乾パン先生とこんぺいとう」でコン・ユに、「ありがとうございます」でチャン・ヒョクに、そして今回はイ・ビョンホンかよ!と、いい男たちから愛される分不相応なモテっぷりが納得できない許せない、阿部サダヲ似?の女優(名前忘れた!)でした。
 オーストラリアロケが、あまり活かされてなかったような。コアラもカンガルーも出てきませんでした。あと、韓国といえばのお馴染みの光景である、金を騙し盗られて錯乱する人々の浅ましい姿。まるでイタコ状態。怖い!半狂乱で嘆いてますが、ぜんぜん同情できないんですよね~。貧乏人が楽して儲けようとするからだよ。美味しい話に安易に飛びついたら、ろくなことにならないのです。

 ↑「天命の城」に続くビョン吉さんの日本公開映画は、兄弟愛を描いた「それだけが、僕の世界」です。久々のTVドラマ「ミスター・サンシャイン」の日本放送も楽しみですね
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ヨン様の色情遊戯!

2018-08-19 | 韓国映画
 「スキャンダル」
 18世紀の朝鮮。名うての遊び人である貴族のチョ・ウォンは、従姉のチョ婦人から彼女の夫の側室となる若い娘ソオクの純潔を汚してほしいと頼まれる。チョ・ウォンの標的は目下、貞節を守る未亡人ヒヨンだったが… 
 かつて日本を席捲した空前の韓流ブームも、今となっては懐かしい昔話。当時、おばさまたちを夢中にさせたのが、TVドラマ「冬のソナタ」と、その主演男優であるヨン様ことペ・ヨンジュンでした。“微笑みの貴公子”とも讃えられ、まさに新興宗教の教祖さまのごとくマダムたちから崇め奉られ、ファンミだのグッズだので彼女たちから巻きあげたお布施は、韓国の経済を大いに潤し活性化させたそうです。熱狂的な信徒、じゃない、ファン待望の初主演映画にヨン様が選んだのが、このラクロの「危険な関係」朝鮮版です。セックスどころか、ウンコもシッコもしない清らかで上品なイメージで神格化されていたヨン様が、な、何と!女たちをたぶらかすスケコマシ役で、アンなことコんなことしまくる!蓋を開ければ、ヨン様信徒にはショッキングすぎる映画となっていたのでした。公開当時、私も劇場まで観に行ったのですが(もう14年前のことになるのか~。月日の経つのは早いわ~…)、ヨン様頑張ってるな~と感嘆したのをよく覚えてます。

 冬ソナをさして面白いとは思わず、ヨン様も全然タイプじゃなかったので(知り合いのおばさんにそっくりだったし)興味なしだった私(「美しき日々」のイ・ビョンホンにハマってたので(^^♪)。どうせ初主演映画も、冬ソナのイメージを死守するような甘々お涙ちょうだいものになるんだろうなと鼻で嗤っていたのですが、どうしてどうして。冬ソナとはまさに真逆な役と演技。こんなのヨン様じゃない!とファンは裏切られた思いをしたかもしれませんが、私には彼のチャレンジ精神と気概、そして日本の浮かれた韓流ファンに対して内心ペロっと舌を出してるような茶目っ気を、この映画から何となく感じられました。ヨン様が韓流の教祖さまではなく役者、と思えた最初で最後の出演作です。

 ジェラール・フィリップやコリン・ファースなど、これまで多くの有名俳優が演じてきた希代のプレイボーイ役に挑んだヨン様。時代劇なので、トレードマークであるメガネは当然かけてませんので、え?これ誰?ほんまにヨン様?と、観始めは戸惑うかもしれません。メガネしてないヨン様、ちょっと顔がネプチューンのホリケンと嵐の相葉を足して2で割って優しく福々しくした感じに見えます(わしだけ?)優男のイメージが強いヨン様ですが、やはり彼も韓流男優、体つきがガッチリ逞しく、かなりのゴリマッチョです。冬ソナ?何それ?と言わんばかりのハレンチで調子がよくて軽薄才子な男を、軽やかに楽しそうに演じてます。そして、女のおっぱいを揉んだり、お口で奉仕させたり、濡れ場ではお尻も丸だしなムチムチマッチョ全裸になって、ヒロインと濡れ合っております。当時は、あのヨン様が!と驚いたものですが、今あらためて観ると、韓流人気男優たちの全裸ズコバコに慣れてしまった目には、大したシーンではありません。

 終盤以外は、ヨン様の演技もお話もコミカルタッチな艶笑喜劇調。18世紀の朝鮮貴族の優雅な生活も細やかに描かれていて、料理や衣装、調度品なども目に楽しいです。韓流時代劇ファンは必見です。同じ原作の「危険な関係」や「恋の掟」でも思ったけど、退廃的な有閑生活って憧れるけど、恋愛ゲームにうつつを抜かすより、もっと有意義に時間とお金を使いたいわ~。それと、他人を陥れ傷つけて喜ぶなんて、悪趣味すぎる。そんなことしたら、ろくことにならない。でも、善い人や善行よりも、悪い奴と悪事のほうが面白い、だからこそ、ラクロの原作はいつの時代も人気なのでしょう。

 ヒヨン役は、カンヌ女優賞を受賞するなど今や韓国随一の女優であるチョン・ドヨン。貞節という堅い蕾が、はかなくも艶やかに開いて散っていく過程を、彼女らしく繊細に演じてました。彼女みたいな、大物なのに必要とあらば潔く脱ぐ女優、ほんと貴重ですよね~。日本の女優はほんとつまんない。チョ婦人役は、妖艶な熟女イ・ミスク。毒と険のある美貌が、これまた日本にはいない魅力の女優です。
 日本でもぜひ「危険な関係」を映画化してほしいわ~。理想妄想キャストは、ヨン様⇒新田真剣佑、チョン・ドヨン⇒壇蜜、イ・ミスク⇒鈴木京香、がいいかも(^^♪華やかな鹿鳴館の大正時代を舞台にして。マッケンユー、大正時代の貴族の洋装も和装も似合いそう!
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神をも騙す男前

2018-07-04 | 韓国映画
 「MASTER マスター」
 投資会社のチン会長は、カリスマ的な魅力と巧言で客から巨額の金を集め、権力者に賄賂をばら撒いてビジネスを拡大させていた。知能犯罪捜査班の刑事キム・ジェミョンは、チン会長の部下でハッカーのパク・ジャングンを脅し、捜査への協力を強制するが…
 イ・ビョンホンとカン・ドンウォン、2大スター競演作。ビョン吉さんが悪役、ということも話題に。これまで「グッド、バッド、ウィアード」や「メモリーズ 追憶の剣」など、何度か悪役も演じてるビョン吉さんですが、いずれもイカレ男とか悲しい宿命ゆえにとかで、真の悪人役はこの映画が初かも?貧乏人や国から金を騙しとるだけでなく、裏切者や邪魔者を容赦なく始末する悪魔のような男を、いつものビョン吉らしくカッコよくオチャメに、かつ狂気じみたヤバさで演じてました。

 実はいい人とか、悲しい事情があって、みたいなヌルさはなし、とことんワルなビョン吉さんが、潔く小気味よかったです。とにかく彼、ほんとカッコいいわ~。狡猾で残虐な、早く退治されて!な邪悪野郎役でも、いい男フェロモンとオーラが強烈。強力な磁石みたいな魅力が相変わらずで、ただ見た目がいい、ただ演技が巧い、な俳優にはないカリスマ、スター性に圧倒されます。小柄だけど、すごく大きく見える力強さ、存在感の濃厚さは、まさに韓流随一です。

 低い美声で、口汚く罵ったり脅したりな台詞も、たまらんわ~。やさぐれた役が得意なビョン吉さんですが、こんなにゲスいこと言うビョン吉さんは初かも。冷酷非情だけど、どこかトボけたオチャメな魅力もあって、何か笑えるシーンも多々ありました。金がほしいというより、スケールとリスクの大きいゲームに勝つことを目的にしてるような詐欺師ビョン吉さんが、すごくカッコよかったです。彼を追いつめる警察のほうが、むしろ悪役に見えてしまったほど。銀髪も似合ってて、素敵なおじさまになったな~と惚れ直しました。若い頃より今のビョン吉さんのほうがチョア~年が近いキムタクと違って、年齢にふさわしい熟年の魅力を備えたビョン吉さんです。

 熟年だけどおっさん臭はなく、現役男の色気ダダ漏れ、俊敏で颯爽とした身のこなしなど、ただもう見とれるしかないです。スーツ姿だけでなく、リゾート風アジアンファッションもイケてました。セクシー熟年のビョン吉さん、次は色仕掛けで女を騙す詐欺師を演じてほしいです。カッコいいビョン吉、ヤバいビョン吉よりも、ラストのみじめすぎるビョン吉が衝撃的でインパクトあり。韓流きっての大スターであるビョン吉さんが、まさかあんな末路を迎えるとは。キムタクは絶対やらないでしょう。でも、カッコいい悲劇的な最期なんて陳腐、あのカッコ悪さはまさに役者の腕の見せ所で、主役は俺!最後の最後までおいしいところ全部いただき!なビョン吉さんは、やはり稀有な千両役者!

 キム刑事役のカン・ドンウォンは、相変わらずスラっとスマートで、もう30半ばなのに若い頃と不変なルックスが驚異。あまりにも若く見えるので、捜査を仕切る辣腕エリート役には貫禄不足。若造がエラそうに命令すんじゃねーよ!と、私が部下なら反発するでしょう。劇中、ビョン吉さんとの一緒のシーンはほとんどなく、そのため撮影中に険悪とかライバル意識メラメラとかいった美味しい裏話は、全然ないようです。最近は大物スターの競演が多く、ファンには嬉しい楽しいけど…一枚看板ではなかなか成功しにくい現状なのかな。ジャングン役のキム・ウビンは、反町隆史とカープの九里亜蓮をブサイクにしたような顔。韓国ではイケメン扱いなの?不可解。キム刑事とジャングンの関係は、作りようによってはほのかなBLにできそうだったので、カンちゃんとキム・ウビンが私好みのイケメンでないことが残念。でも二人とも、長身小顔でスタイルは抜群!顔は???でも、韓流男優はほんとキレイな体つきしてますよね~。日本のチビで貧相な某事務所タレントを見慣れた目には、別生物に映る韓流男優の体の美しさです。

 この映画、実際に韓国で起きた事件をモチーフにしてるとか。男前天才詐欺師とイケメン天才捜査官の華麗なる騙し合いコンゲームとか(警察も詐欺師も、演技力がありすぎ!)、ド派手な銃撃戦とかカーチェイスなんて、かなり話を盛ってるとは思いますが、盛り方がエンターテインメントで巧み。日本でリメイクされるとしたら、ビョン吉⇒キムタク、ドンウォン⇒向井理、キム・ウビン⇒新田真剣佑、がmy理想妄想キャスト(^^♪キムタクもそろそろ大人の悪役に挑戦してもいいのでは?

↑ 「孤狼の血」が韓国でリメイクされるとしたら、役所広司の役はビョン吉さんにお願いしたいわ。松坂桃李の役は、キム・スヒョンかイ・ジェフンあたりになるかな?公開中の時代劇「天命の城」に続く新作「それだけが、僕の世界」が、来春イルボン公開決定。久々のTVドラマ「ミスター・サンシャイン」も待機中で、バリバリ働いてる働き盛り、男盛りのビョン吉さんです(^^♪
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呪われた村

2018-01-10 | 韓国映画
 「哭声 コクソン」
 韓国の田舎町で、猟奇的な連続殺人事件が発生。犯人はすべて被害者の身内で、みな奇妙な湿疹と放心状態という共通点があった。村の警察官ジョングは、村に流れつき住みついた謎の日本人が事件に関わっている、という村人の噂を聞き捨てることがきず、捜査に乗り出すが…
 猟奇サスペンス映画の傑作「チェイサー」のナ・ホンジン監督作品。去年の年の瀬になって、ファン・ジョンミン目当てでレンタルしたこの映画、衝撃的すぎて他の映画をふっ飛ばしてしまいました。狂気と驚喜のトンデモ映画でした。やっぱ韓流映画は侮れません。こんな強烈で面白すぎるゲロゲロ(死語)は、もう邦画では望むべくもありません。最近、ヤバい表現を規制するポリティカル・コレクトネスとやらが、映画やドラマをどんどんつまんなくしてますが、そんな偽善や小心にクソ食らえ!この映画は、そんな大胆さと過激さで私を魅了してくれました。

 とにかくエグくてグロいシーンや暴力描写にかけては、今や他国の追随を許さない韓流映画です。この映画も、かなり危険水域に達していました。おなじみの猟奇殺人ものかと思ってたら、しだいにおどろおどろしいオカルトな展開となり、しまいにはもうワヤクチャな阿鼻叫喚キ◯ガイ映画と化していき、もう観てるほうも頭がおかしくなりそうに。2時間半以上ある長さにも気づかせないほど、激流に飲み込むような怒涛のクレイジーワールドでした。

 ホラーやオカルトはどこの国でも作られてますが、韓流には他国にはない独特なドロ臭さ、土着感があります。とても現代の話とは思えない未開の野蛮さが。今でもあんな村、あるんですね~。スマホとかネットが出てこなかったら、60年代の話かと思い込むところでした。古い因習とか、まがまがしい呪術などが似合う閉鎖的な田舎の雰囲気や、そこに住む人々の閉塞感とか鬱屈が、おどろおどろしい惨劇を見事にコーディネートしてます。朝鮮の人々といえばの、狂気じみた錯乱ぶりもヤバすぎ。ギャーギャー大騒ぎ、血まみれ血みどろで、涙やゲロなど体液を搾り出すような、悪いものに憑かれたかのような集団ヒステリー&パニック。まるで岡田あーみん先生の漫画みたいで笑えたわ~。この映画、確実に笑いも狙ってます。祈祷師の除霊の舞とか、ゾンビとケンカ?シーンとか、き◯がいすぎて大笑い。そういうところも好き。地獄絵図の中を楽しく彷徨う、みたいな映画です。オカルトの真相とか、明確な答えは語られぬまま映画は終わるのですが、そんな観客に委ねる謎も余韻を残します。たぶんあーだろうな、きっとこうだ、みたいな想像や推理も一興です。

 ヤバいシーン、ヤバいキャラのテンコ盛りですが、特に怖かったのは、村人の噂や悪夢の中に出てくる、山の食人鬼。あれ、ほんと夢に出てきそうなインパクト。小さい子どもが見たら、確実にトラウマになります。悪魔に憑依された女の子も、「エクソシスト」より激しくて醜悪で壮絶だった。あの子役、すげーわ。芦田マナとか心ちゃんなどには、絶対ムリな演技だった。よく親が許可したな~。あと、オカルトシーンなどで安易なCGを濫用してなかったのも、生々しい怖さを倍増させてました。
 この映画を観たのは、最近お気にのファン・ジョンミン目当て。

 祈祷師役のファン・ジョンミン、中盤になってやっと登場します。めっちゃ胡散臭いけど、めっちゃ男前です。除霊の祈祷シーンでは、圧巻の熱演!踊り狂うファン・ジョンミンに目がクギヅケになります。男の色気もハンパなく、怪しくてカッコいいファン・ジョンミンに惚れ直しました。彼の役も謎に満ちていて、敵なのか味方なのか、それとも…な言動に、主人公だけでなく観客も翻弄されます。

 主人公ジョング役は、ファン・ジョンミンとは「アシュラ」でも共演してたクァク・ドウォン。彼も渾身の熱演でしたが、いちばん美味しい儲け役だったのは、謎の日本人役の國村準。見るからに怪しい、危険な存在感を、毒ガスのようにジワジワと醸していました。日本人が飼ってた犬も、まさに狂犬で怖かった。犬を撲殺するシーンだけでも、もう邦画やハリウッド映画ではポリコレ的にアウトでしょう。日本人=災いをもたらす悪魔、な設定も意味深でした。國村さんの役も謎だらけで、実は?!いや、やっぱり?!なドンデン返しも、映画を面白くしています。
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ワイルド検事とイケメン詐欺師

2017-11-26 | 韓国映画
 韓流イケメン映画祭⑤
 「華麗なるリベンジ」
 破天荒な検事ジェウクは、殺人の濡れ衣を着せられ投獄されてしまう。復讐と真相解明のため、ジェウクは詐欺師のチュオンと手を組むが…
 ファン・ジョンミンとカン・ドンウォン、韓国2大トップスター競演作です。なかなか愉快痛快なコンゲーム+相棒映画でした。刑務所の中から指令、外で実行する復讐計画に、そんなにうまくいくわけない~と苦笑しつつ、ユニークな手法や鮮やかな手口に感心感嘆。小道具の使い方や伏線の張り方など、脚本がよくできてました。コメディとシリアスのバランスも良く、韓流らしい下品な笑いと非道いバイオレンスが、いい塩梅にミックスされていました。バランスの良さといえば、ファン・ジョンミンとカン・ドンウォンも、どっちかが役得!とか出番、見せ場が多い!な偏りがないW主演となってました。

 検事ジェウク役のファン・ジョンミンは、ハードボイルド担当。いい人そうだけど荒ぶる魂を秘めた男、がオハコの俳優。そこに男の愛嬌が加わるのがいつものファン・ジョンミンですが、今回は愛嬌より哀愁、ちょっと抑え気味でシリアス色が強かったです。大げさな熱演ではなく、静かなる怒りと不屈がカッコよかったです。彼も日本にはいないタイプの俳優ですよね~。人一倍荒々しいけど、人一倍優しいところも好き。法律の知識を活用して、囚人や刑務官を手なずけて思い通りに動かしたり、法廷で被告人なのに自分を弁護する演技には、シャープな知性も感じさせて魅力的でした。

 詐欺師チュオン役のカン・ドンウォンは、コメディ担当。おちゃめな軽妙さで、お笑いもイケてることを実証。調子がよすぎる口丁手八丁が笑えた。アメリカ育ちのお坊ちゃまに成りすましてる時の、インチキくさすぎる英語も笑えた。ホスト風やヤクザ風、エリート風など、カンちゃんの七変化も目に楽しいです。選挙のボランティアで踊るシーンが、特におちゃっぴーで可愛かった。女は老いも若きもみんなイチコロ、女の子を誘惑するシーンで珍しくディープキスしてたカンちゃん。でも絶対脱がないのもカンちゃんらしかったです。裸をそんなに見たいと思わない数少ない韓流男優なので、そんなに惜しくはないのだけど。

 主に刑務所内のジェウク、外のチュオン、だったので、ジョンミンとカンちゃんの絡みは、そんなに多くありません。チュオンがイヤイヤながらも言われるままに計画を実行するのが、ちょっとなぜ?と思ってしまった。ジェウクに対して、命を賭けるほどの義理や恩はなかったはず。ジェウクの人柄に惚れて?それならそこのところ、男が男に惚れる絆や情をもっと描いてほしかったかも。いい男ふたりの映画に、まったくBLのかほりがしないのって、すごく惜しい。でも、カンちゃんがジョンミンに甘えたりジャレたりするシーンは、BL感はないけど可愛い弟分と男らしい兄貴って感じで微笑ましかったです。
 復讐のターゲットであるウ氏が、いかにも韓流の悪役。卑劣で残虐!あんな立候補者、絶対イヤです。韓国ではでも当たり前みたいにいそうだけど。ウ氏役は、ヒットドラマ「未生 ミセン」などで知られるベテラン俳優のイ・ソンミン。表は立派な候補者、裏はガラ悪すぎる外道を濃ゆ~く演じてました。検事役で、売れっ子名脇役のパク・ソンウンも出演してます。カッコよくなったミヤネ屋の中山レポーター、みたいで好きなんですよね~。それにしても。政治家→検察→警察→やくざ→チンピラ→小市民、という韓国の薄汚い裏社会のヒエラルキー、自分より下の者はゴミ扱い、も相変わらずでした。人品が下劣すぎる。韓国人の気品とか優雅といった言葉の似合わなさは、アメリカ人以上かも。メッタ刺しにされても死なない、ヤクザの武器はバット、という韓流あるあるがこの映画でも。

 ↑ファン・ジョンミンは、笑顔も素敵カンちゃんのファッションセンスが、ちょっと…

 ↑最近になって大好きになってしまったファン・ジョンミン彼の旧作、もっと観るつもり(^^♪

 韓流イケメン映画祭、これにて終了🈡お目汚し、カムサハムニダ~
コメント (6)
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