まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

魔性の嫁!

2012-08-27 | イタリア映画
 夏が逝きますね…道端に転がってた蝉の死骸に、寂寞と無常を感じました。
 皆様は、素敵な夏をお過ごしになられたことでしょか?
 短かった夏休み、私はガラにもなくアチコチ出かけました。三次にドライブ。安佐動物園。江田島で海と温泉。暑かった…疲れた…外に出て10分足らずで後悔、早く帰りたいと思ってしまったところが、私らしいというか。海や動物園は、ぶっちゃけどうでもヨシ子さんだったんです。ただもう、車を運転したかっただけなのです♪
 でも。気力労力よりも、ガソリン代がもったいないので、もう必要以上に車は使うまい、と心に誓ったケチな私なのでした♪

 「沈黙の官能」
 スティーヴン・セガールの沈黙シリーズではありません。イタリアの名匠マウロ・ボロニーニ監督の文芸ドラマです。
 19世紀のローマ。貧しい金物屋の娘イレーヌは、大富豪フェルラモンティ家の次男と結婚するが、彼女の野望はそれだけにとどまることはなかった…
 美しさは罪、微笑みさえ罪…ドミニク・サンダの、近寄りがたいほど神秘的で清冽な美しさは、まさに関わる人々の運命を狂わせる魔性の香りを常にただよわせています。今はもうほとんど絶滅したといっていい“美貌の女優”ドミニク・サンダは、この作品で男たちを虜にし、全てを手中に収めようとする女を妖しく演じ、カンヌ映画祭で女優賞を獲得しました。
 
 ドミニク・サンダ扮するヒロインが、玉の輿を狙って金持ちの息子に近づき結婚にこぎつけた上、その美貌と肉体でもって夫の兄や老いた舅までをも誘惑・骨抜きにし、財産を我が物にしようとする、といった昼ドラによくありそうな内容のエロティック悪女もの。その悪女をフツーのセクシー女優が演じていたら、ホントに陳腐この上ない映画になっていたでしょう。でも、演じたのは、まるで我々と同じ人間とは思えぬ神々しい美しさに輝くドミニク・サンダ。彼女の美貌が、ストーリーを完全に凌駕しているのです。
 親しみやすさなど微塵も感じさせない、氷のような玲瓏さ。そこからほのかに匂いたつ、妖気的色香。何を考えているのかわからない謎めく微笑。そして、まさに白磁のようなすべらかな全裸...官能的だけど下品さとは程遠い、男たちを操り翻弄し破滅へと導く彼女独特の“優雅な魔性”と“高貴な美貌”は、庶民的なルックスやスタイルがチャームポイントな現在の人気女優たちが、何百回整形しようとも、どんなに頑張って演技しても、決して得られるものではありません。
 
 「暗殺の森」「悲しみの青春」「1900年」etc.フランス女優でありながら、主にイタリアの名作の中でその魅力を発揮したドミニク・サンダ。神様が与え賜うた天性の美貌も永遠ではないということを、老いの翳りが否めぬ近作の彼女に見て取れて、その残酷さ哀しさがまたドラマな女優です。
 19世紀ローマのブルジョアの生活様式やファッションの趣深さ、美しく撮られたローマの街並みも楽しめます。
コメント (4)
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