まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ぬかるみの女

2015-01-16 | フランス、ベルギー映画
 アカデミー賞のノミネーションが発表されましたね!
 人種差別、女性差別が露骨と批判されてるみたいですが…ナンダカンダ言っても、オスカーはやっぱ映画ファンをワクワクさせるお祭り、今年の映画鑑賞の指針になるビッグイベントではあります。
 主演女優賞、助演男優女優賞はほぼ鉄板みたい?名女優のジュリアン・ムーアが、ついに初受賞でしょうか。今回もハズしたら、可哀想すぎます。助演男優賞、エドワード・ノートンとイーサン・ホークの復活が嬉しい。
 主演男優賞は、例年通り激戦区。ベテランのマイケル・キートン、今や世界的人気スターとなったベネディクト・カンバーバッチ、「レ・ミゼラブル」で脚光を浴びたエディ・レッドメインという英国男優二人に、人気コメディアンのスティーヴ・カレル、そして「アメリカン・スナイパー」で3年連続ノミネートとなったブラッドリー・クーパー。ファンよりも、ブラパご本人のほうが驚いてるのではないでしょうか。今年はキートンVSレッドメインの一騎打ちみたいで、さすがにブラパの受賞はないと思うけど、3年連続は快挙です。
 ぜんぜん当たらないでしょうけど、わしのオスカー予想!
作品賞「6才のボクが、大人になるまで。」
監督賞 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
主演男優賞 マイケル・キートン
主演女優賞 ジュリアン・ムーア
助演男優賞 J・K・シモンズ
助演女優賞 パトリシア・アークェット

 「ある過去の行方」
 パリの郊外で娘二人と暮らすマリーのもとに、離婚手続きのためテヘランから元夫のアーマドがやって来る。マリーは現在の恋人サミールの子どもを妊娠していたが、サミールには自殺未遂をして植物状態となっている妻がいた…
 「別離」でアカデミー賞外国語映画賞を受賞した、イランのアスガー・ファルハディ監督作品。フランス、パリの郊外を舞台にした、シビアでビターな人間ドラマです。
 登場人物全員が、愛や人生にドンづまり。何ひとつうまくいかない、歯車が合わない状態に、イライラさせられっぱなしでした。
 まずヒロインのマリーが、どうしようもない女なんですよ。決して悪い女じゃない、むしろ善人なのですが、男運が悪いというか、男にだらしなさすぎ!常に男がいないとダメな女、でもどんな男ともうまくいかない、その悪循環。美人だけど、あれじゃあ男は逃げるよなあ。自分本位、自分勝手、精神不安定すぎる。自分の思うとおりにならないと、鬼のようにイライラカリカリ&ヒステリー。マリーひとりだけなら、どうぞご自由に!だけど、彼女には二人も娘がいる。娘たちを愛してはいるけど、それよりもまず自分の気持ちに正直になろうとする、立場を優先しようとするマリー。うう~ん、マリーみたいな女、いますよね実際。マリーみたいな女は、結婚したり子どもを作ったりしちゃいけないんですよ。新しい彼氏の子どもを妊娠したマリーに、どこまで身勝手で思慮がないの?どんだけ事態を複雑にする気?と呆れた。どう考えても、子ども産めるシチュエーションじゃないでしょ。自分さえ納得すりゃ、それでいいの?相手の男や娘たちのこと、ぜんぜん考えてないし。あまりにも行き当たりばったりすぎる。子どもを巻き込むなよ!子どもたちを傷つけ、苦しめる最低最悪のバカ母です。

 大人の不幸は自業自得ですが、彼らのせいで不幸になる子どもたちが可哀想!特にマリーの長女が気の毒でした。思春期の多感な年頃で、あんな家庭環境は酷です。あんな母ちゃん、イヤ!私なら家出しますよ。ある過ちを犯してしまう長女ですが、彼女を責めることはできません。あれぐらいやってもいいとさえ思った。激昂して娘につかみかかり、罵詈雑言を浴びせるマリーはまさに鬼母!そこは怒るよりも、娘に謝るのが人間として、親として正しい道だろ。まさに虐待に近い仕打ち。通報ものですよ。バカ母、鬼母なマリーですが、人間って、特に女って、聖人にはなかなかなれない。自分には弱いけど、他人には強くなってしまいがちなのも女の悪いところ。マリーの生々しい女の業は、痛ましくもあります。
 マリーの元夫アーマドは、優しくて善良な男なのですが、その善意が空回りして、やることなすこと裏目に出たり、要らんことせんでいいのに!になってしまい、返って事態を悪化させてしまう。中途半端なことせずに、さっさと帰国すればいいのに、とイライラ!
 マリーの新しい彼氏サミールが、これまた何だかなあ~な男なんですよ。こいつがしっかりしてたら、女たちはあそこまで苦しんだり傷ついたりしなかったはず。いろいろあって、マリーと別れようとするサミールの言葉や態度は、まさにゲスのきわみ!です。最低!自殺未遂して植物人間になってる彼の妻も、周囲への配慮や思いやりに欠けてる自分勝手で迷惑な女、としか思えませんでした。みんな自分勝手すぎる。
 マリーを熱演したのは、「アーティスト」での好演も記憶に新しいベレニス・ベジョ。溌剌と温かみのある前作とは打って変わり、イライラカリカリ神経症ちっくな今回。コメディもシリアスもイケる、オールマイティな女優ですね。彼女はこの映画での熱演で、カンヌ映画祭女優賞を受賞しました。
 アーマド役のアリ・モッサファは、アラブの男前って感じ。優しそうで哀愁あるところが魅力的でした。
 サミール役は、「預言者」で一躍人気俳優となったタハール・ラヒム。

 イライラさせる役ながら、見た目はやっぱカッコカワイいラヒムくん。濃いけど、胸焼けしそうなほどの濃さではない、ほどよい濃さ。年齢的には、劇中のように小さな子どもがいてもおかしくないけど、若く見えるせいか年の離れた兄ちゃんにも見えたり、マリーより年下にしか見えなかったり。
 暗く切羽詰った人間関係に影を落とす、サミールの妻を自殺未遂に追い込んだメール。いったい誰が、どういった経緯で…という謎が、ミステリーとなってるのも出色。意外な犯人と動機で驚きましたが、そんなメールぐらいで死ぬなよ!と犯人より自殺妻のほうに腹が立ちました。

 ↑「最強のふたり」の監督の新作「サンバ!」が公開中のラヒムくん。コメディの彼って珍しい?ので、早く観たいです。
コメント (2)
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