最近読み終えた小説、桜木紫乃の「硝子の葦」の、登場人物のひとりの恐ろしい台詞に衝撃、そして嫌な共感を覚えてしまいました。
『身軽って怖いんですよ。縛りのない生活の怖さ、分かりますか。拠り所も束縛もなくなった人間って、明日も要らなくなっちゃうんだ』
あううこれ、ズバリ私のことを言ってるし痛いところを衝かれたとは、まさにこのこと。自由の果てに待ち受けてるのは、孤独死…という事実に戦慄しつつ、自由に狎れすぎて今さらもう拠り所も束縛も受け入れられない。明日も要らないという感覚がすごく分かる私って、やっぱ不幸な人なのでしょうか…
「シャレード」
富豪の夫が殺され、未亡人となったレジーナ。彼女の前に、次々と怪しい男たちが現れる。彼らと亡夫は戦時中に政府から大金を盗み、それを亡夫がどこかに隠したのだった。金を渡すよう男たちから脅迫されるレジーナは、謎の紳士ピーターに助けられるが…
私の初オードリー・ヘプバーン映画は、このロマンティックサスペンスなのです。小さい頃TVで放送されてたのを観て、その子どもが観ても大丈夫な、かつ理解できる内容と、美しくオチャメな素敵マダムに魅せられたのをよく覚えてます。たま~に再観したくなる、楽しくて洗練された佳作です。
「ローマの休日」での輝くばかりの美しさ、清純さと可憐さで、世界中の映画ファン(特に日本の)を魅了したオードリー。私も大好きな女優で、出演作はほとんど観てます。ありえないほど美しく高貴な最高級の女優だけど、近づきがたい特異さとかお高さがなく、とても親しみやすいところが彼女の魅力でしょうか。そのオードリーが御年34歳の時に出演したこの映画。見た目の美しさ以上に、匂い立つような気品や優雅さに憧れてしまいます。どんなに美しくても若くても演技が巧くても、他の女優には持ち得ない天性の美質って、まさに世界にひとつだけの宝石なんだな~と、オードリーを見てると感嘆してしまいます。
恐ろしい連続殺人事件が起き、数々の危機がヒロインに襲いかかるサスペンスなのですが、ぜんぜん陰惨さとか殺伐さとかはなく、かなりコメディ色が強い内容。もちろん、日本の2時間ドラマのようなチープさ、やっつけ感などもなく、ロマンティックで洒脱なムードとか、ヒロインと男たちが交わす小粋な台詞など、往年の古き佳きハリウッド喜劇調なのが嬉しい楽しい。
ヒロインを演じてるオードリーも、おちゃめでイキイキとした絶妙なコメディエンヌぶり。これが日本の熟女女優だと、キモいブリババになってたかもしれないヒロインだけど、下品さとか安っぽさなど微塵もない、エレガントで気品あるオードリーの一挙手一投足にうっとり魅入ってしまいます。オードリー、本当に唯一無二な女優だったんだな~と、あらためて彼女への憧れが募ります。劇中オードリーが着こなしてる、ジパンシーの衣装も素敵です。ファッションは人を選ぶというか、ジパンシーもオードリーが着るからオシャレで高雅なのであって、ピン子とかあき竹城だと芸人の舞台衣装になってしまいます。
共演者もシブくて豪華。相手役は往年の大スター、ケーリー・グラント。あの役にはちょっとおじいさん過ぎるかな、とも思いましたが、彼もオードリーに負けないほど、おちゃっぴーでエレガントでリッチな魅力。青くさい若造や、男ざかりの脂ぎった熟年男とは違う、すっきりさっぱり枯れた男の爽やかさが。老体にムチ打って、アクションも頑張ってます。
その他、レジーナを付け狙う悪人役に、ジェームズ・コバーンとジョージ・ケネディといった元祖ハリウッド悪役商会なメンツ。コメディの名優ウォルター・マッソーも好演してます。
冒頭の列車での殺人でツカミはOK、ヘンリー・マンシーニの流麗かつポップなメインテーマが流れるオープニングクレジットもオシャレ。皆が血眼になって追い求める大金のありかとか、伏線や小道具の使い方が巧みです。特に上手だな~そうきたか~と感嘆したのは、レジーナの友人の幼い息子の使い方。無駄キャラどころか超重要キャラになるので要注意。あと、ノートルダム寺院やセーヌ川、オペラ座など、ちょっとしたパリ観光気分も味わえます。
『身軽って怖いんですよ。縛りのない生活の怖さ、分かりますか。拠り所も束縛もなくなった人間って、明日も要らなくなっちゃうんだ』
あううこれ、ズバリ私のことを言ってるし痛いところを衝かれたとは、まさにこのこと。自由の果てに待ち受けてるのは、孤独死…という事実に戦慄しつつ、自由に狎れすぎて今さらもう拠り所も束縛も受け入れられない。明日も要らないという感覚がすごく分かる私って、やっぱ不幸な人なのでしょうか…
「シャレード」
富豪の夫が殺され、未亡人となったレジーナ。彼女の前に、次々と怪しい男たちが現れる。彼らと亡夫は戦時中に政府から大金を盗み、それを亡夫がどこかに隠したのだった。金を渡すよう男たちから脅迫されるレジーナは、謎の紳士ピーターに助けられるが…
私の初オードリー・ヘプバーン映画は、このロマンティックサスペンスなのです。小さい頃TVで放送されてたのを観て、その子どもが観ても大丈夫な、かつ理解できる内容と、美しくオチャメな素敵マダムに魅せられたのをよく覚えてます。たま~に再観したくなる、楽しくて洗練された佳作です。
「ローマの休日」での輝くばかりの美しさ、清純さと可憐さで、世界中の映画ファン(特に日本の)を魅了したオードリー。私も大好きな女優で、出演作はほとんど観てます。ありえないほど美しく高貴な最高級の女優だけど、近づきがたい特異さとかお高さがなく、とても親しみやすいところが彼女の魅力でしょうか。そのオードリーが御年34歳の時に出演したこの映画。見た目の美しさ以上に、匂い立つような気品や優雅さに憧れてしまいます。どんなに美しくても若くても演技が巧くても、他の女優には持ち得ない天性の美質って、まさに世界にひとつだけの宝石なんだな~と、オードリーを見てると感嘆してしまいます。
恐ろしい連続殺人事件が起き、数々の危機がヒロインに襲いかかるサスペンスなのですが、ぜんぜん陰惨さとか殺伐さとかはなく、かなりコメディ色が強い内容。もちろん、日本の2時間ドラマのようなチープさ、やっつけ感などもなく、ロマンティックで洒脱なムードとか、ヒロインと男たちが交わす小粋な台詞など、往年の古き佳きハリウッド喜劇調なのが嬉しい楽しい。
ヒロインを演じてるオードリーも、おちゃめでイキイキとした絶妙なコメディエンヌぶり。これが日本の熟女女優だと、キモいブリババになってたかもしれないヒロインだけど、下品さとか安っぽさなど微塵もない、エレガントで気品あるオードリーの一挙手一投足にうっとり魅入ってしまいます。オードリー、本当に唯一無二な女優だったんだな~と、あらためて彼女への憧れが募ります。劇中オードリーが着こなしてる、ジパンシーの衣装も素敵です。ファッションは人を選ぶというか、ジパンシーもオードリーが着るからオシャレで高雅なのであって、ピン子とかあき竹城だと芸人の舞台衣装になってしまいます。
共演者もシブくて豪華。相手役は往年の大スター、ケーリー・グラント。あの役にはちょっとおじいさん過ぎるかな、とも思いましたが、彼もオードリーに負けないほど、おちゃっぴーでエレガントでリッチな魅力。青くさい若造や、男ざかりの脂ぎった熟年男とは違う、すっきりさっぱり枯れた男の爽やかさが。老体にムチ打って、アクションも頑張ってます。
その他、レジーナを付け狙う悪人役に、ジェームズ・コバーンとジョージ・ケネディといった元祖ハリウッド悪役商会なメンツ。コメディの名優ウォルター・マッソーも好演してます。
冒頭の列車での殺人でツカミはOK、ヘンリー・マンシーニの流麗かつポップなメインテーマが流れるオープニングクレジットもオシャレ。皆が血眼になって追い求める大金のありかとか、伏線や小道具の使い方が巧みです。特に上手だな~そうきたか~と感嘆したのは、レジーナの友人の幼い息子の使い方。無駄キャラどころか超重要キャラになるので要注意。あと、ノートルダム寺院やセーヌ川、オペラ座など、ちょっとしたパリ観光気分も味わえます。