まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

クーガー女

2019-01-27 | 北米映画 15~21
 「セリーナ 炎の女」
 20世紀初頭のノースカロライナ州の森林地帯。製材業を営むジョージは、火事で家族を失ったセリーナと恋に落ち結婚する。やがてセリーナは妊娠するが、流産し二度と子どもを望めない体になってしまう。ジョージはセリーナと結婚する前に手をつけた女給に産ませた息子を気にかけ始め、それに気づいたセリーナは激しい憎しみに駆り立てられ恐るべき行動に出るが…
 「アリー スター誕生」が絶賛公開中のブラッドリー・クーパー主演作。日本では劇場公開されず、DVDスルーとなりました。そんなに昔の作品ではないのですが、ブラパが若く見えて相変わらずカッコよかったです若く見えるけど大人の男で、男らしいけど優しそうなところが好き。日向と土のにおいがするけど都会的な雰囲気もあって、20世紀初頭のファッションも小粋なんですよね~。当時のスーツも、ぜんぜん古めかしくなくオサレに着こなしてます。アメリカ男にしては趣味がいいのもブラパの魅力。ブラパってすごくカッコいいのに、全然カッコつけてないんですよね~。ブラパの足元にも及ばないくせに、ナルシーにカッコつけてる中途半端イケメン俳優、いっぱいいて片腹痛いわ。

 見た目や性格、頭が良いパーフェクトな男はもちろん素敵ですが、弱い部分、悪い部分も魅力になるのが真の男前。今回のブラパも、男としてのスペックは最高に見えて、実はとんでもない致命的欠陥のあるダメ男の役なんですよ。いい人、いい男なんだけど、心が弱すぎ。性欲処理で抱いた女給が孕んでも知らん顔、生まれた息子も無視、でも妻が流産して精神不安定になって結婚生活が破綻すると、今までシカトしてた母子に慰めを求める始めるとか、身勝手すぎる!身も心も傷ついてるセリーナにとっても、不誠実で薄情な仕打ち。世間を騒がせたあのゲス不倫議員も真っ青のゲスっぷりに、女性なら誰でも不快になるジョージなのですが、ダメ男ゲス男もブラパが演じると憎めない。悲しそうにオロオロしたり、追い詰められてキレたりするブラパを見手ると、悪いのは女のほう!なんて思えてくるんです。ジョージみたいな役は、顔はフツーもしくはブサイクでも演技力抜群な俳優がやっても、演技力は学芸会以下だけどルックスはいい俳優がやっても、ただもう最低な男になるだけ。ゲスもダメも魅力にしてしまうブラパは、やはり卓越した俳優と言えるでしょう。

 ブラパご自身はスマートな男性と存じますが、ちょっとアホみたいな顔してるせいか、悲惨な物語なのにあまり深刻にも暗くもならないのがちょっと…ブラパにはやっぱ、シリアスな悲劇は似合いません。大物俳優になり、監督としても高く評価さるようになった最近のブラパは、すっかり本格派志向なご様子。たまにはまた、昔取った杵柄的にコメディ映画にも出てほしいものです。

 セリーナ役は、ブラパとの共演作が多いジェニファー・ローレンス。すでに大ベテラン女優の貫禄で、とても20代とは思えません。おばさん娘って感じ。それにしても彼女、ほんと気が強そう。かわいこブリっこ女優も苦手ですが、ジェニファーみたいな性格のキツさ、悪さを隠さない女優も、好感と共感を抱きにくい。ふてぶてしく意地悪そうな顔、雰囲気が怖い。同じクラスにいたらいじめられそう。本来ならセリーナは、狂気に蝕まれる悲劇のヒロインなはずなのに、ジェニファーだと単なる凶暴なイカレ女にしか見えん。美貌のヒロインという設定にも疑問符。山奥暮らしなのに、いつも髪型もメイクも衣装もスタイリストがばっちり!みたいなのも変だった。マクベス夫人みたいに夫に悪事をけしかけるセリーナの毒妻ぶりとか、夫の心が離れてしまうほどのセリーナの心の闇を、もっと丹念に描いてほしかったです。
 その他のキャストでは、予知能力のあるサイコっぽい山男役にリス・エバンズ、保安官役にトビー・ジョーンズと、英国の個性派俳優が助演。作業員役のオーストラリア俳優サム・リードが、チョイ役ながらなかなか目立つイケメンでした。

 ↑ 先日発表されたアカデミー賞のノミネーション。ブラパ、監督賞からはまさかの候補漏れ!残念でも、主演男優賞にはめでたくノミネートされましたクリント・イーストウッド主演&監督作の「運び屋」が、近日日本公開のブラパです
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