まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

アンナチュラルな美熟女!

2019-02-13 | 北米映画 80s~90s
 寒いけど、春の近づく足音もそこかしこで聞こえてくる今日この頃ですね。私の家の庭も、花はまだ少ないけど葉っぱは元気で蕾もたくさんつき、春の訪れを待っています。玄関や寝室では、ボケや水栽培のヒヤシンスが可愛く花開いてくれて、心あたためてくてます。
 
 でも、ほんとは春が苦手なんです。毎年あたたかくなると体がダルくなるし肌も荒れるし、今年こそ花粉症になったらどうしようという恐怖にも襲われるし、心身ともにダメージシーズン。先日も、早朝に突然謎の腹痛で死ぬかと思ったし…皆さまも、季節の変わり目なのでくれぐれも体調管理にご留意あそばして!

 「永遠に美しく…」
 落ち目の女優マデリーンは、旧友のヘレンから婚約者の美容外科医アーネストを奪って結婚する。ショックと恨みでヘレンは激太りし、精神病院送りとなる。数年後、アーネストはマデリーンとの破綻した結婚生活に疲弊し、葬儀社の死体修復人に落ちぶれアル中に。容色の衰えに悩み、美と若さに固執するマデリーンの前に、美しく変貌したヘレンが現れ…

 ロバート・ゼメキス監督の作品の中では、大ヒットした「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズよりも、オスカーを受賞した「フォレスト・ガンプ」よりも、この映画がいちばん好きです。とにかく明るくノーテンキでパワフルで強欲なアメリカ人!この映画のマデリーンとヘレンも自分のことしか考えておらず、他人の我慢や犠牲は当たり前、自分の利益追及や欲望を満たすためには手段選ばずな冷酷さ残忍さで暴走するイカレ女どもなのですが、暗さや湿っぽさが全然なく、その恐れ知らず疲れ知らずなバイタリティは痛快爽快でさえあります。トランプ大統領もだけど、とんでもなさに裏表がなく明快でノーテンキなおかげで、何か憎めない、笑ってしまう。それこそアメリカ人の美質でしょうか。

 げに恐ろしきは女の虚栄とプライド、そして執念。若さと美への執着、私のほうが上!というマウンティングにデスパレートな女の醜悪さ、愚かさが滑稽に描かれてます。真面目に描くと気持ち悪いけど、コメディだと良い素材になりますね。マデリーンもヘレンも中途半端に善い人、可哀想な女ではなく、徹底して性悪なところが返って爽やかで好感。特にマデリーンの底意地の悪いビッチぶりが最高。アーネストへの仕打ちとか、ほとんど精神的DVです。あの威風堂々なまでに人もなげな態度、非道すぎて笑えます。階段での言い争いシーンには爆笑。マデリーンのアーネストへの罵詈雑言、インポだのフニャチンだのとバカにしまくってる時の表情とか、すごい破壊力です。キレたアーネストに突き飛ばされて階段ゴロゴロ転落、ベチャっとありえないポーズで倒れてるマデリーンの悲惨な姿とかも、腹が痛くなるほど笑えたわ~。ラストの階段ゴロゴロ&バラバラも、コーヒー飲んでる時に思い出すと吹いちゃうので注意してます。

 今の高度なCGに慣れてる目には稚拙に映るけれども、首が伸びたり腹に穴が開いたりと、当時の特殊技術や特殊メイクが懐かしくもユニークで目に楽しかったです。下ネタや大人の醜い事情満載な内容が、オコチャマ向けファンタジーが苦手な映画ファンのお口にも合います。
 3大スターの楽しそうな怪演、珍演も大きな見どころとなってます。マデリーン役のメリル・ストリープは、世界一の大女優なのにノリが良すぎる。こんな下品で性悪な年増ビッチ役、吉永小百合には絶対ムリですし。ラスト近くにはゾンビと化してましたし、オスカー受賞やノミネートの演技同様、悪ふざけを楽しんでいるかのようなバカ演技にも、大女優の風格と余裕が感じられます。数あるメリルおばさまの作品の中でも、私はこの映画が1、2を争うほど好きです。

 ヘレン役のゴールディ・ホーンも、ノリノリで大暴れ。まさに妖怪。不老不死の薬で美しく変身した姿のスタイルのよさは、当時の年齢を考えると驚異的。アーネスト役のブルース・ウィリスも、「ダイ・ハード」シリーズの彼とは別人のようなヘボさと情けなさで、怪女二人に虐げられてメソメソイジイジな姿が可哀想で可愛いです。3人の中ではいちばん年下なのに、そうは見えないおっさんな風貌も微笑ましいです。不老不死の薬を女ふたりに売る謎の美女リスル役のイザベラ・ロッセリーニは、ママのイングリッド・バーグマンに顔も声もそっくり。バーグマンを濃ゆく退廃的にした、腐りかけの果物みたいな臭気ある面妖さが独特。リスルの正体や薬の秘密など、明かされなかった謎が気になる。
コメント (2)
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