まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

帰って来た魔女乳母

2019-02-19 | 北米映画 15~21
 「メリー・ポピンズ リターンズ」
 世界大恐慌時代のロンドン。妻を亡くし3人の子どもと暮らすマイケルは、抵当に入れていた家を銀行に奪われそうになり途方に暮れる。そんな中、マイケルと姉ジェーンの乳母だった魔法使いのメリー・ポピンズが空から再び現れ…
 今年初の劇場鑑賞映画。1964年の名作のリメイクではなく、半世紀を経ての続編。小さい頃にTVで観た前作は、オスカーを受賞したジュリー・アンドリュースの名演と有名な歌、そしてアニメとの合成は印象に残っているものの、内容はうら覚え。設定や人間関係などは、ほとんど予備知識なしで観ました。メリー・ポピンズが帰還したこの新作も、とっても目と耳に楽しいミュージカル映画でした。

 前作に比べると、かなり華美でド派手でダイナミックになってました。まるで夜のショーパブみたいなノリは、同じロブ・マーシャル監督の「シカゴ」を彷彿とさせ、お子さま向けミュージカルはさすがにちょっと…という大人の映画ファンも満足できるのではないでしょうか。ファンタジックシーンの驚異的なCG、ビッグベンやロンドンの街並みを再現したセット、カラフルな衣装など、金かけてるな~と驚嘆。まさに他国の追随を許さぬハリウッド、ディズニーの威信をまざまざと感じさせられました。

 ふんだんに盛り込まれた愉快で独創的な歌や踊り、ファタジックシーンの中でも、私が特に好きなのはバスタブから海中、男たちが踊り狂う夜のロンドン、そしてラストの風船で空、です。夜のロンドンでの男たちのダンス、そしてジャンプ台を使っての自転車のアクロバットなどは、かなりイマドキな演出。
 お話も、ヘンにハートウォーミングじゃなかったのが良かったです。お涙ちょうだいな感動押し売り、ベタベタしい情愛が苦手なので、深刻で湿っぽい家族関係や家族トラブルではなく、家が差し押さえられそうになる程度(まあ、これはこれで大問題ですが)のピンチでドタバタ騒いでるだけ、な話で安堵。マイケルと子どもたちとの親子関係も良好で、子どもたちもみんな賢くて良い子たちばかりなので、メリーいなくても大丈夫だったのでは

 メリーも基本的には、子どもたちにファンタジー体験させるだけで、あーしろこーしろと厳しく躾たりはせず、マイケルにも子育てについて差し出がましい口出しをするわけでもなく、サラリとみんなの自力行動や自力解決を促すスタンスが、これまた理想的なイマドキ保育でした。安易に魔法を使って助けたりしないのも、依頼心ではなく独立心を養わせるためのメリーの教育方針だったのでしょうか。

 バンクス家が再び明るさを取り戻す手助けをするメリーですが。バンクス家はまだ幸せなほうですよ。金に困ってるとは思えぬ恵まれた衣食住でしたし。今度は北朝鮮とかイラクとかアフリカとかの、もっともっと不幸な子どもたちのもとへ飛来してあげてほしい!
 新メリー・ポピンズ役を、「プラダを着た悪魔」以来頭角が著しいエミリー・ブラントが快演。顔だけでなく、柔和で優しそうなジュリー・アンドリューズに比べて性格もめちゃくちゃキツそうなので、とても前作のメリーと同一人物とは思えぬ今作のメリーでしたが、エミリーのクール&シニカルなメリーもなかなかチャーミングでした。メリーを優しいというよりカッコよく演じています。暴風吹きすさぶ曇り空から現れる彼女、まさにダークヒロイン。バックに明るい青空より轟く雷のほうが似合いそうな感じ。あまりにも気が強そう、頭が良さそうなので、常に何か企んでるような、何か腹にイチモツありげな風情でした子どもたちを養育しているというより、彼らを威風堂々と従えてる女王さまって感じでもあった。

 ↑ちょっと悪女っぽい表情が多いのも、新メリー・ポピンズの特徴?
 メリーの相棒?な街灯の点灯夫ジャック役は、ブロードウェイのスターであるリン・マニュエル・ミランダ。所狭しと歌って踊って八面六臂の大活躍!メリーよりも出番も見せ場も多かったような印象。圧巻の歌声は、独特なハスキーアニメ声。ちょっとバイキンマンの声似?顔は特濃になった国分太一?それにしてもジャック、謎すぎるキャラ。彼も魔法使いなの?謎といえば、ほとんど怪奇現象とも言えるファンタジックな魔法を使っても、は?何のこと?と何事もなかったかのようにしらばっくれるメリーに、昔はマイケル姉弟も、今回は子どもたちも、大してツッコミ入れることなくスルーしちゃってる設定。

 マイケル役は、大好きなベン・ウィショー。ベン子さんが、やもめの子持ち役!明るくノーテンキな周囲と違い、ひとりだけ暗くて深刻そうなベン子さん、相変わらず不幸オーラがハンパないです。思ってたより出番も多く、準主役といってもいい扱いなのが嬉しかったです。ラストの風船で空に浮かび歌うベン子さん、舞台で鍛えた美声を披露!ジェーンとジャックがいい感じになるのですが、マイケルにも新しい恋、ベン子さんさんなのでイケメンとの、なんて驚きの展開にしてほしかったかもそれもまたイマドキで、きっと話題と共感を呼んだのでは。
 
 マイケルが勤務する銀行の悪どい頭取役でコリン・ファース、メリーのいとこ役でメリル・ストリープ、といった大物スターがゲスト出演。ファース氏は、高級スーツが世界一似合う男!ハリウッド俳優とはやっぱ全然違うザ・ブリティッシュな魅力です。ラスト、ひとりだけ風船で空を飛べなくてしょんぼり、な姿が可哀想でした。メリルおばさまの、元気に大はしゃぎな妖婆っぷりも強烈。コリン・ファースの伯父で元頭取の爺さん役で、前作のメリー・ポピンズに出てたディック・ヴァン・ダイクも登場。御年90歳!お元気そうで何よりですが、歌って踊るシーンは明らかに顔と体が別人な合成で笑えた。パっとサイデリア~♪のCMの小林亜聖を思い出しました。風船売りの婆さん役で、ジェシカおばさんことアンジェラ・ランズベリーも顔を出してます。

 ↑ ベン子さんの新作は、ディケンズ原作の「デヴィッド・コパフィールド」。主人公のデヴィッド役はデヴ・パテルで、ベン子さんは悪い使用人ユライヤ役!楽しみ!
 
コメント (2)
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