まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ディナイアルの女!

2019-09-08 | イギリス、アイルランド映画
 「否定と肯定」
 アメリカのホロコースト研究者リップシュタット教授は、ナチス研究者のアーヴィングから名誉を棄損されたとイギリスで告訴される。リップシュタット教授と彼女の弁護団は、アーヴィングの著書や主張が誤っていることを法廷で立証しようとするが…
 ナチスを断罪する世紀の大裁判かと思いきや、荒唐無稽なトンデモ思想おじさんに因縁つけられたプライドの高い女教授が、自分こそが正しい!と必死になっておじさんを叩き潰そうとするだけの小さい話でした。そもそもホロコーストなどなかった!ユダヤ人虐殺などナンセンス!という説がトンデモすぎて、よく一笑に付されなかったなあ、こんなのが大真面目に扱われるなんて、と驚かされました。日本人に向かって広島に原爆は落とされなかった!と言ってるようなもんですし。とはいえ、ユダヤ人にとってはタワゴトとして笑って無視できない、被害者を愚弄し軽視するにもほどがある暴言・暴挙。理性的に論破するというより、怒りにかられての反撃みたいな裁判でした。

 最初っから相手は頭のおかしい危険なネオナチで、こんな説が認められるわけがないと分かっているので、裁判の行方や勝敗がどうなるかハラハラ、なスリリングさが全然なくて予想通りすぎる展開と結末は、映画としてはちょっと物足りませんでした。え?ほんとはホロコーストはなかった?!と、少しは観客に疑念を抱かせ胸がザワつく内容にしてほしかったかも。ネオナチなんてまったくもって理解不可能で、キ〇ガイとしか思えない連中ですが、この映画は正しいはずの女教授と弁護士団のほうが、歴史を歪曲してるアーヴィング氏よりも何だか感じが悪くて不快でした。

 アーヴィング氏はもうトンデモすぎて、UFOやUMAがいると大真面目に唱えてる変人みたいで失笑するだけでしたが、女教授と弁護士はインテリ特有の上から目線な自信と高慢さが鼻もちならなかった。法廷でのアーヴィング氏へ向ける冷ややかな蔑み、嫌悪の目線や素振りが感じ悪かった。氏への攻撃も、トンデモ説よりもだんだん氏自身の人格否定になっていって、氏のほうが名誉を棄損されまくって哀れだった。もしアーヴィング氏が文在寅みたいな見た目とキャラだったら、ざまあ!と少しは溜飲がさがったかもしれません。おかしなネオナチ発言してる時以外のアーヴィング氏は、トボけた感じの人の善さげなおじさんだったし、法廷では弁護士もおらず孤軍奮闘、孤立無援だったので、何だか弱い者いじめに見えてしまった。
 この映画を観たのは、最近気になる英国イケメン、ジャック・ロウデンが出演してるからです(^^♪

 若手弁護士役のロウデンくん、メガネ男子で可愛い!誰といても頭ひとつ高いスラっとした長身にスーツやコートがよく似合って、ブリティッシュの香り高い優しさと品のよさ。画面にはよく映るのですが、台詞はほとんどなくモブに近い役です。でも可愛いので目立ってます。小さくて地味な役でも目を惹く、役者はやっぱこれが大事です。

 ヒロインのリップシュタット教授役は、「ナイロビの蜂」でオスカーを受賞し、今年は「女王陛下のお気に入り」でも強い印象を残したレイチェル・ワイズ。精神力と行動力がある気が強いインテリ女の役が似合う女優ですね~。ギスギスカリカリした役でもそんな感じを与えず、颯爽としつつフェミニンな魅力も備えたハンサムウーマン(死語)なカッコよさが、さすが英国女優です。その英国女優の彼女が、イギリスの司法や国民性に当惑したりイラついたりするアメリカ人女性の役とか、何で?アメリカ女優じゃダメだったのかしらん?

 アーヴィング氏役は、英国の名バイプレイヤーのティモシー・スポール。大真面目にトボけた感じで何か憎めない不思議おじさんを珍演してます。狂気的な信条の持ち主というより、お騒がせキャラ、注目され目立つことが目的なのかなと、うっすら思わせるセコさもなかなか珍妙。そういう演技ができる俳優も貴重ですよね~。弁護士役のトム・ウィルキンソンも味わいあるいぶし銀の存在感。英国のいい役者たちのいい演技、そしてロンドンの街並み、いかめしくも美しい裁判所の外観と内装も、英国映画ファンの目を楽しませてくれます。

 ↑ 「ファイティング・ファミリー」(プロデューサーはドウェイン・ジョンソン!)が11月日本公開のロウデンくん。何とレスラー役!似合わねぇ~!けど、きっとそれがまた可愛いに違いないので早く観たい!
コメント (4)
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