「ふるえて眠れ」
パーティーの最中に恋人が何者かに惨殺されて以来、富豪令嬢のシャーロットは屋敷から外に出ない生活を続け年老いる。シャーロットは唯一の身寄りである従妹のミリアムを手紙で呼び寄せるが…
ハリウッドのレジェンド女優ベティ・デイヴィスは、そのキャリアといい人柄といい生涯といい、まさに全身映画女優と呼ぶにふさわしい大女優です。若い頃から他の女優がやらないような悪女役や因業な女役を積極的に演じ、強烈な個性と非凡な演技力でハリウッドに君臨したベティは、容色が衰える年齢になると今度はまた他の女優が選ばなかった道、おそろしい妖婆女優として活路を見出し、再び銀幕の第一線に返り咲いたのでした。その記念すべき怪作「ジェーンに何が起こったか?」で大女優としての健在ぶりをアピールしたベティが、二匹目のドジョウ狙いでロバート・アルドリッチ監督と再タッグを組んだ今作でも、ド迫力の怪婆っぷりで映画ファンの度肝を抜き、戦慄せしめたのでした。
ベティが演じたのは、ある忌まわしい事件によって長年屋敷に引きこもり、世間を知らぬまま年老いた令嬢役。乙女な衣装や髪型と、老いさらばえた顔とのギャップの異様さときたら。まるで楳図かずお先生の怪奇漫画から出てきたような怖さです。中身はピュアな乙女言動もだけど、激怒した時の鬼婆顔とダミ声での罵倒など、子どもが見聞きしたらトラウマ必至なホラー。ヒロインを苦しめ追い詰める事件や怪現象よりも、ベティの顔や声のほうがはるかに恐ろしいです。
妖怪のようなヒロインのイカレた風貌や言動、斧でぶった切られる手や首(60年代のモノクロ映画で、もうこんなエグいシーンあったんですね)!など、怪奇映画としてはなかなか見どころは多いのですが。事件の真相とか犯人、ヒロインの精神のバランスが崩れていく描写など、ミステリやニューロティックなサスペンスなどはかなり雑で、大女優出演作でなければB級怪奇映画になってたかもしれません。
シャーロットのもとにやって来る従妹のミリアム役は、これまたハリウッドの大女優オリヴィア・デ・ハヴィランド。優しそうでエレガントな婦人風ですが、なにげない表情や声音などに冷酷さ、狡猾さが見え隠れする一筋縄ではいかない女。全盛期にもそういう役を得意にしていたオリヴィアも、ただ美しいだけのお人形ではなかった大女優です。ベティとは同じような怪演で火花を散らすのではなく、あくまでクールで怪しい女として優雅な胡散臭さを振り巻いていました。毒々しいベティが哀れな被害者で、優しそうなオリヴィアが腹黒い悪女、というキャスティングも面白かったです。冒頭で惨殺される恋人役は、若き日のブルース・ダーン(ローラ・ダーンのパパ)でした。
この映画、日本でリメイクするなら誰がええじゃろ?現在50代半ばの大物女優。シャーロットは鈴木京香、ミリアムは鈴木保奈美のW鈴木とかいいんじゃね?今でもじゅうぶん美しく若さを保ってる二人ですが、ここは女優魂ムキ出しで醜悪な怪演に挑んでほしいな。
パーティーの最中に恋人が何者かに惨殺されて以来、富豪令嬢のシャーロットは屋敷から外に出ない生活を続け年老いる。シャーロットは唯一の身寄りである従妹のミリアムを手紙で呼び寄せるが…
ハリウッドのレジェンド女優ベティ・デイヴィスは、そのキャリアといい人柄といい生涯といい、まさに全身映画女優と呼ぶにふさわしい大女優です。若い頃から他の女優がやらないような悪女役や因業な女役を積極的に演じ、強烈な個性と非凡な演技力でハリウッドに君臨したベティは、容色が衰える年齢になると今度はまた他の女優が選ばなかった道、おそろしい妖婆女優として活路を見出し、再び銀幕の第一線に返り咲いたのでした。その記念すべき怪作「ジェーンに何が起こったか?」で大女優としての健在ぶりをアピールしたベティが、二匹目のドジョウ狙いでロバート・アルドリッチ監督と再タッグを組んだ今作でも、ド迫力の怪婆っぷりで映画ファンの度肝を抜き、戦慄せしめたのでした。
ベティが演じたのは、ある忌まわしい事件によって長年屋敷に引きこもり、世間を知らぬまま年老いた令嬢役。乙女な衣装や髪型と、老いさらばえた顔とのギャップの異様さときたら。まるで楳図かずお先生の怪奇漫画から出てきたような怖さです。中身はピュアな乙女言動もだけど、激怒した時の鬼婆顔とダミ声での罵倒など、子どもが見聞きしたらトラウマ必至なホラー。ヒロインを苦しめ追い詰める事件や怪現象よりも、ベティの顔や声のほうがはるかに恐ろしいです。
妖怪のようなヒロインのイカレた風貌や言動、斧でぶった切られる手や首(60年代のモノクロ映画で、もうこんなエグいシーンあったんですね)!など、怪奇映画としてはなかなか見どころは多いのですが。事件の真相とか犯人、ヒロインの精神のバランスが崩れていく描写など、ミステリやニューロティックなサスペンスなどはかなり雑で、大女優出演作でなければB級怪奇映画になってたかもしれません。
シャーロットのもとにやって来る従妹のミリアム役は、これまたハリウッドの大女優オリヴィア・デ・ハヴィランド。優しそうでエレガントな婦人風ですが、なにげない表情や声音などに冷酷さ、狡猾さが見え隠れする一筋縄ではいかない女。全盛期にもそういう役を得意にしていたオリヴィアも、ただ美しいだけのお人形ではなかった大女優です。ベティとは同じような怪演で火花を散らすのではなく、あくまでクールで怪しい女として優雅な胡散臭さを振り巻いていました。毒々しいベティが哀れな被害者で、優しそうなオリヴィアが腹黒い悪女、というキャスティングも面白かったです。冒頭で惨殺される恋人役は、若き日のブルース・ダーン(ローラ・ダーンのパパ)でした。
この映画、日本でリメイクするなら誰がええじゃろ?現在50代半ばの大物女優。シャーロットは鈴木京香、ミリアムは鈴木保奈美のW鈴木とかいいんじゃね?今でもじゅうぶん美しく若さを保ってる二人ですが、ここは女優魂ムキ出しで醜悪な怪演に挑んでほしいな。