夏のBL映画祭①
「WEEKEND ウィークエンド」
ラッセルはゲイバーでグレンと出会い、一夜を共にする。週末を一緒に過ごすうちに、二人の関係は体だけのもの以上になっていくが…
秀作「さざなみ」のアンドリュー・ヘイ監督作。カミングアウトしてるヘイ監督のパーソナルなエッセンスを感じさせる、小粒ながらも珠玉のBL映画でした。近年すっかり市民権を得て人気ジャンルとなってるBLですが、そのほとんどは妄想好きの腐女子やイケメン好きの女性受けを狙った、非現実的なファンタジーっぽいものばかり。監督や脚本家など作り手がノンケ男性や女性だと、やはり味付けやデコレートが過剰なケーキみたいになってしまいます。その点、ゲイであるヘイ監督が描くBLは、変にドラマティックでもスウィートでもないゲイの日常生活や会話で成り立っていて、ああゲイの人たちってこんな風に関係を築いたり失ったりしてるんだな~と、その自然さ奇をてらわなさが腐には返って新鮮に映ります。リアルだけど決して生々しくはなく、フツーの男女の恋愛と変わらぬときめきや駆け引き、戸惑いもあるけど、やはり堂々ともスムーズにも進展させない葛藤や壁もある。そんなところも女性受けを狙った作り物めいたBLとは違う。きっとゲイの方々の共感も得られる映画です。
同性愛を特別視しない人たちも増えてきてるけど、昔ながらの偏見や嫌悪を抱く人もまだ多い。そんな社会の中で絶望したり嘆いたりもしないけど、肩肘はって声高に反発したり抗ったりもしない、開き直りでも虚勢でもない、コソコソもしないけど堂々ともしない、ラッセルとグレンはイマドキの若いゲイって感じでした。ほぼ二人だけの会話劇で、特に小粋だったり心に刺さる映画的な台詞があるわけではないのですが、淡々と静かながらも二人の距離が近くなったり、価値観の違いで嚙み合わなくなったりする会話は、微笑ましくさりげなくも奥深かかったです。
主演の俳優二人も魅力的でした。地味だけど腐にもゲイにも受けそうなイケメン。ラッセル役のトム・カレンは、キット・ハリントン主演の「ガンパウダー」では野性的で猛々しい感じでしたが、今回はすごく優しそうで可愛い!クマさんみたい!濃ゆく男らしい風貌だけど、一緒にいたら癒されそうなぬくもりが。シャイで無垢な笑顔、そしてヒゲ面だけど童顔、ツルツルな肌が若者らしかったです。グレン役のクリス・ニューは、カミングアウトしてるオープンゲイ俳優で、たまにポール・ウォーカー+ライアン・ゴスリングを地味にした顔に見えた。
男性同士のラブシーンも、それでセックスしたことに?!な稚拙で雑な手抜きではなく、かつヘンに煽情的で生々しいものでもなく、全裸で絡み合うこともキスすることも性欲や愛があるならフツーでしょ?な自然さで好感。日本の俳優もBLやるならせめて、この作品の二人ぐらいはチャレンジしてほしいものです。ラッセルの住んでる団地?の生活感、質素だけどインテリアや食器がおしゃれなラッセルの部屋、ゲイバーでのナンパ、異性愛者の人たちとのやりとりなど、イギリスの庶民ゲイの生活風景も興味深かったです。
「WEEKEND ウィークエンド」
ラッセルはゲイバーでグレンと出会い、一夜を共にする。週末を一緒に過ごすうちに、二人の関係は体だけのもの以上になっていくが…
秀作「さざなみ」のアンドリュー・ヘイ監督作。カミングアウトしてるヘイ監督のパーソナルなエッセンスを感じさせる、小粒ながらも珠玉のBL映画でした。近年すっかり市民権を得て人気ジャンルとなってるBLですが、そのほとんどは妄想好きの腐女子やイケメン好きの女性受けを狙った、非現実的なファンタジーっぽいものばかり。監督や脚本家など作り手がノンケ男性や女性だと、やはり味付けやデコレートが過剰なケーキみたいになってしまいます。その点、ゲイであるヘイ監督が描くBLは、変にドラマティックでもスウィートでもないゲイの日常生活や会話で成り立っていて、ああゲイの人たちってこんな風に関係を築いたり失ったりしてるんだな~と、その自然さ奇をてらわなさが腐には返って新鮮に映ります。リアルだけど決して生々しくはなく、フツーの男女の恋愛と変わらぬときめきや駆け引き、戸惑いもあるけど、やはり堂々ともスムーズにも進展させない葛藤や壁もある。そんなところも女性受けを狙った作り物めいたBLとは違う。きっとゲイの方々の共感も得られる映画です。
同性愛を特別視しない人たちも増えてきてるけど、昔ながらの偏見や嫌悪を抱く人もまだ多い。そんな社会の中で絶望したり嘆いたりもしないけど、肩肘はって声高に反発したり抗ったりもしない、開き直りでも虚勢でもない、コソコソもしないけど堂々ともしない、ラッセルとグレンはイマドキの若いゲイって感じでした。ほぼ二人だけの会話劇で、特に小粋だったり心に刺さる映画的な台詞があるわけではないのですが、淡々と静かながらも二人の距離が近くなったり、価値観の違いで嚙み合わなくなったりする会話は、微笑ましくさりげなくも奥深かかったです。
主演の俳優二人も魅力的でした。地味だけど腐にもゲイにも受けそうなイケメン。ラッセル役のトム・カレンは、キット・ハリントン主演の「ガンパウダー」では野性的で猛々しい感じでしたが、今回はすごく優しそうで可愛い!クマさんみたい!濃ゆく男らしい風貌だけど、一緒にいたら癒されそうなぬくもりが。シャイで無垢な笑顔、そしてヒゲ面だけど童顔、ツルツルな肌が若者らしかったです。グレン役のクリス・ニューは、カミングアウトしてるオープンゲイ俳優で、たまにポール・ウォーカー+ライアン・ゴスリングを地味にした顔に見えた。
男性同士のラブシーンも、それでセックスしたことに?!な稚拙で雑な手抜きではなく、かつヘンに煽情的で生々しいものでもなく、全裸で絡み合うこともキスすることも性欲や愛があるならフツーでしょ?な自然さで好感。日本の俳優もBLやるならせめて、この作品の二人ぐらいはチャレンジしてほしいものです。ラッセルの住んでる団地?の生活感、質素だけどインテリアや食器がおしゃれなラッセルの部屋、ゲイバーでのナンパ、異性愛者の人たちとのやりとりなど、イギリスの庶民ゲイの生活風景も興味深かったです。