まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

盗まれた寿命!

2024-07-21 | ドイツ、オーストリア映画
 ドイツイケメン映画祭②
 「パラダイス 人生の値段」
 近未来のドイツ。寿命移植の成功で発展を遂げたAEON社で、貧困層や移民からドナーをスカウトしていたマックスは、突然の火事で手に入れたばかりの豪華マンションを失ってしまう。マックスの妻エリーは自分の寿命をローンの担保にしていたため、強制的に寿命移植手術を施されてしまい…
 医学や科学が進歩しすぎて、ありがたいというより怖いと思うことのほうが多い現代。移植手術に関しても問題があるけど、優先されるのはお金や権力がある上級国民、貧乏人は後回し、あるいは臓器を売る…みたいな格差も今後ますます深刻化するのではないでしょうか。この映画は、その警鐘的な内容でした。臓器ではなく若さ、寿命、というのがSFでしたが、ありえない!と嗤えまぜん。ありえないと思ってたことが、どんどん実現していってますし。倫理や人権は踏みにじられ、貧乏人は金持ちの家畜と化してしまう世の中に、確実になっていってるような気がします。

 こんな考えは間違っているのですが…世界をよくするために必要な人には、志半ばで死んでほしくない、だから生きていてもそんなに有益でもない私の寿命でよかったら、その人たちに差し上げたい…と思わないでもないのだけど、貧しさや家族の問題に付け込んで若者に寿命を提供させて、金持ちの高齢者が若返ったりするのは卑劣で非道すぎる。もしAEON社がほんとにあったら、金正恩やプーチン、習近平みたいな独裁者は絶対利用するでしょう。日本の老害政治家たちもきっと。若者たちを犠牲にして。想像しただけでもおぞましく、腹が立ちますね。

 寿命移植なんて、どうやって?手術が謎すぎる。移植後、ドナーが老化していく姿がホラーでした。世界中で戦争が起こっても不思議ではないほど神の域な科学力なのに、国内で反対デモやテロが起きてる程度でスケール小さっ!騙されて寿命を奪われるマックス夫妻に、まったく同情できませんでした。二人とも寿命手術のおかげで恵まれた生活をしていたのに、いざ奪われる側のほうに追いやられると犠牲者、被害者ヅラして、取り返すために何の関係もない人たちに危害を加えることも躊躇しないという身勝手さ。安易に寿命を担保にしてたのも愚かすぎる。寿命移植なんてやっぱり間違っている!と正義に目覚めて戦う、なんて凡庸な設定、展開にならなかったのはよかったです。

 マックス役のコスティア・ウルマン、大好きなドイツイケメン俳優のひとりです。可愛かった彼ももう40歳、さすがにおじさんにはなったけど、今も可愛いです。アップになった時とか、すごい美男!瞳がきれい。インド人とドイツ人のハーフである彼、若い頃より顔がインド寄りになってきてるような。小柄だけどゴツくて男らしく、ガチムチな裸がエロい。コスティアってコメディのイメージが強いので、シリアス演技は珍しくて新鮮でした。老婆になったエリーとのセックスシーンがちょっと衝撃的。おばあさんにディープキス、ク〇ニまで!姿が変わっても愛せる、という感動的なシーンのはずが、すごく異様に見えてホラーでした

 ↑ コスティアがゲイのカリスマ美容師を演じた旧作“Coming in”が観たいんですよね~
コメント
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