まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

エロのから騒ぎ

2009-01-19 | フランス、ベルギー映画
 「恋は足手まとい」
 19世紀のパリ。歌姫リュセットは、無一文の女たらしエドワールに夢中。エドワールは金持ちの令嬢と婚約するため、リュセットに別れを切り出そうとするが...
 お上品に気取ったブルジョア喜劇かと思ったら、あはは。すごくエッチでアホな艶笑コメディでした。さすがフランス人、いつの時代も恋とセックスは切り離せません。
 もとは舞台劇らしく、キャラの登場退場の仕方や絡みは舞台的。観客に向かって台詞を言うように、ときどき俳優たちがカメラ目線になるのも楽しい。衣装や小道具の使われ方や、屋敷や庭園などの美しく趣ある撮られ方などは、映画ならでは。ドレスとか花とか、とりわけ色づかいが鮮やかでエレガント。派手な成金ゴージャスさとは違うんですよねえ。
 話の内容は...小粋な恋の駆け引き?どこが!?エロバカどたばた騒ぎじゃん!必死こいて自分の不誠実さをごまかそうとするエロダメ男エドワールに、これまた下心ある男女が絡んできてテンヤワンヤするのが、なかなか笑えます。スケベでオゲレツな男女の痴態醜態を、上品な映像と流麗な音楽で描いてるのが独特な魅力を醸してます。
 
 出てくる奴らは、何かといえばハァハァ所構わずアヘアヘおっぱじめる色情狂バカップルなエドワールとリュセットを筆頭に、ノーテンキなアホばかり。特にリュセットに自作の歌を売り込もうとする音楽家が、とんだ道化者。バカはとことんバカな目に遭う、という姿は滑稽を通り越して残酷でもあります。
 豪華なキャストも魅力。
 リュセット役のエマニュエル・ベアール、彼女がここまでアホな演技するところ、初めて見ました。なかなかのコメディエンヌぶりでした。カエル顔も可愛いです。
 エドワール役のシャルル・ベルリング、髪は薄いし体ブヨブヨだし、女が夢中になるほど色男には見えませんが、実際のスケコマシってスゴい男前じゃなく、あんな一見人が善さそうな男なんだろうな、というリアルなセコさをよく出してました。色と欲の間でアタフタかけずり回る姿は、浅ましくも愉快。ヤケクソ気味なスッポンポン姿が圧巻。
 ケンカっ早くて無教養な成金青年役は、「イザベル・アジャーニの惑い」のアドルフことスタニスラス・メラール。暗くてスカした美青年、というイメージを打破するアホな演技に好感。笑顔が可愛い!スラッとした長身に、クラシカルな紳士服が似合ってて素敵!
 音楽家役のパトリック・ティムシット、公爵夫人役のドミニク・ブランも好演。リュセットの妹役のジュリー・ドパルデューのアホっぷりも、かなりのものでした。成金青年の秘書役クレマン・シボニー(山崎裕太似)が可愛かった。
 映画の終わり方も、舞台風で小粋な演出でした。意外なカップリング成立も楽しい。それにしても。ヒマを持て余した金持ちたちって、色恋しか楽しみがないのか。他にもっとすることないの!?
 ミシェル・ドヴィル監督は、ミュウミュウ主演の「読書する女」も楽しい作品でしたね。
 

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