まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ディスティニーな男たち!

2013-06-04 | 北米映画 08~14
 「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」
 バイクライダーのルークは、昔の恋人が自分の子どもを産んでいたことを知り、彼らのため大金を手にいれようと銀行強盗となるが、逃走中に新人警官のエイヴリーに追い詰められ命を落としてしまう。エイヴリーは汚職警官を告発し出世、やがて政治家へと転身するが…
 「ブルーバレンタイン」のデレク・ シアンフランス監督作品。
 全米で抱かれたいセクシー男No.1の座を争ったライアン・ゴスリングとブラッドリー・クーパーが、まさに宿命の競演を果たした話題作。旬な二人がどんなガチンコファイトで火花を?!と期待してたのですが…あれれれ?!出会った瞬間、ライアンは死亡。まったくと言っていいほど二人の絡みはなしで、がっかり。競演なんて、JAROに報告ものな誇大広告ですよ!
 しかしながら、二人の魅力と演技力は十分堪能できる映画ではあります。

 映画は3部構成になってて、第1部の主役がライアン・ゴスリング。冒頭、スゴい肉体美を披露し、セクシー男の面目躍如です。ほぼ無表情、寡黙で冷酷そうだけど実は超純情で一途、愛のために間違った方向に突き進む命知らずな男ルークは、ライアンが前作「ドライヴ」で演じてたのと同じような役。車がオートバイになっただけ、みたいな。ルークのほうが、ちょっとヤバい男かな。女と子どもへの思い込みの激しすぎる言動は、ほとんどストーカーだし。頼んでもないのに別れた男にあんなことされたら、迷惑&恐怖ですよ。でも、女も女だったよなあ。優しい今カレがいるのに、ルークとヨリ戻して両天秤かけるなんて、バチ当たりなビッチだよ。あの今カレ、本当に善い人だったなあ。あんな目に遭っても、女と子どもを大事にし続けた彼、できた人すぎます。
 バイクも愛も文字通りに暴走な男ルークを、クールに激情的に演じたライアン・ゴスリング。

 彼って、エドワード・ノートンとブラッド・ピットを足して2で割った感じの俳優?ちょっと暗いけど優しそうで、理性的に見えて静かな狂気が潜在してる。肉体は強靭で美しい。ふいに見せる笑顔が、超可愛い。赤ちゃんをあやしてる、見つめてるシーンのライアンは、ほんと胸キュンでした。
 エイヴリー役のブラパことブラッドリー・クーパーとは、「世界にひとつのプレイブック」から時間を置かず嬉しい早期再会。

 ゴツい体に警官の制服が似合ってて、ちょべりぐ(死語)。今作の彼は、ちょっと太目な感じで、肉体美対決ではライアンに軍配が上がりますが、私はブラパみたいなムッチリした体、嫌いじゃない。抱かれ心地がよさそう。犯人を殺してしまったり、警官仲間の悪徳行為に加担したりで動揺苦悩しつつ、いろんなことを踏み台にして出世するブラパ、野心で冷酷化するんだけど、ぜんぜんブラック感がない。どこからどう見ても、善人にしか見えないブラパです。彼、今後も悪役は無理かも。でも、彼も笑顔が素敵な男。男はやっぱ、笑顔がきれいでないとね。
 最終章は、ルークとエイヴリーの息子編。親の因果が子に的な、悲劇的な宿命が子どもたちに!?と期待させられたのですが、あれれれ?ちょっとトラブルが起こるぐらいで、大したことにならずガッカリ。少年二人があんましイケメンじゃなかったのも残念。シチュエーション的には、素敵なBL物語になり得たのになあ。ルークの息子役のデイン・ハーンは、ちょっと昔のレオナルド・ディカプリオ似かも。
 エイヴリーの先輩警官役、レイ・リオッタが怖い!顔が怖い!あんな極悪顔のお巡りさん、ありえねー!あんな警官が近づいてきたら、110番しますよ!

 ↑ハリウッドを担う存在な二人に不仲説、は残念ながらないみたいです♪
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破滅に魅入られた女

2013-06-02 | フランス、ベルギー映画
 フランスの名匠&大女優映画祭⑦
 「ボヴァリー夫人」
 フランスの文豪フローベルの小説の映画化。
 厳格な修道院で育ち、地主の父と二人で暮らすエマは、ロマンスに憧れ年の離れた医師シャルルと結婚する。しかし結婚生活は死ぬほど退屈で、エマは気鬱となる。そんな中、遊び人のロドルフと出会ったエマは、彼との情事に溺れるが…
 美人女優、演技派女優、個性派女優…女優にもいろいろありますが、世界には数人だけ、名女優というきれいな言葉では片付けられぬ、その上をいく“怪”女優が存在しています。普通の女優だと二の足を踏むキワモノ女役を、嬉々として演じ、見る者を圧倒する怪女優たち。現在の横綱級怪女優といえば、やはりイザベル・ユペールに他なりません。同じ名前で同世代であるイザベル・アジャーニに比べると、華やかさのない地味で暗い容貌のユペールが、フランスのみならず世界中の才ある監督たちから、オファーが絶えず引く手あまたなのはなぜか。ユペールが他の女優の追随を許さないのは、その異様なまでの無表情から滲み出る、不気味なほど静かで冷たく虚無的な狂気の面白さだと思います。アジャーニが動の狂気なら、ユペールは静の狂気。花火のように夜空で華やかに美しく狂い咲いて散るアジャーニと違い、ユペールの狂気はユラユラとジリジリと消えない暗い部屋の中の怪しい(妖しい、ではない)ロウソクの火のような狂気。だから怖い、でも怖いもの見たさで誘われてしまい、危険な世界に連れていかれてしまう、そんな女優なのです。
 ユペールはほとんどの作品の中で、その冷ややかで陰鬱な無表情を崩しません。頑なまでに感情を表しません。だからこそ、この女何考えてる?!何企んでる?!と、観客も不安に陥り、ユペールに無関心ではいられなくなる。ユペールの静かな罠にかかる。それこそ彼女の専売特許になってます。
 閑話休題。故クロード・シャブロル監督とのゴールデンコンビ作の一つであるこのコスチュームプレイでも、ユペールな魅力的で怖い謎となって観客を翻弄します。

 ストーリーは、大雑把に言えば、虚栄を追い求めて破滅してしまうバカ妻、バカ母の話こんな欲望に忠実な女を女房にもった男は、たまったものではありません。この亭主がまた、イライラするほどお人よしで、どんなに冷たくされても踏みつけにされても、女房の言いなり。うつ病になって困らすわ、男つくって逃げようとするわ、あげくに浪費癖、借金まみれになるわで、もうほんと最悪妻。こんな愚かで迷惑な女、現代にも腐るほどいますが…今だと単なるバカ女と嘲笑われるだけですが、昔だと文学のヒロインになれちゃうんですねえ。今だとさしずめ、“こんな女と絶対結婚するな!”というタイトルでSPA!あたりの特集記事になりそうです。

 何か救いのないラストも、後味が悪い。残された娘、いったいどうなるんだろう。ぜったい不幸になりそう。パチンコ依存症やセックス依存症になって、子どもを死なせる鬼バカ母とかが、ボヴァリー夫人とカブります。でも、彼女が悪女ではなかったのは、その生き方に計算が皆無だったからでしょう。ピュアすぎるのも、いかがなものかですよねえ。
 肌が蒼白で小柄なユペールは、時代劇も似合います。ハリウッド映画の仮装もどきとは違い、実際にもこうだったんだろうなと納得する衣装やインテリアが、趣があって美しく、目に楽しいです。エマと関わる男たちが、もっとイケメン、男前だったらなあ…

 韓国映画「3人のアンヌ」に続いて、フィリピン映画「囚われ人」も夏に日本公開のユペりんは、久々にアメリカ映画にも出演。コリン・ファレル主演の犯罪ドラマ“Dead Man Down”(↑画像)では、ヒロインのノオミ・ラパスの母親役を演じてます。ノオミさんのインタビューによると、彼女と監督(オリジナルのスウェーデン版ドラゴン・タトゥーの女シリーズの)に熱望されての出演だったとか。大女優なのにフットワークが軽いところも、ユペりんの魅力ですね
コメント (4)
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