ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

オバマ大統領へ

2011年05月03日 | 世界とわたし
テロとの闘いの内容を、ノーベル平和賞をとったほどの大統領ならきっと、馬鹿げた暴力によるものから、もっと違う形の、人間の尊厳と本質に迫るものに変えてくれるに違いないと、
わたしはどうも、かなり過信していたようです。残念ながら。

遺体を海に遺棄したこと。
後で白い布で包み、静かに海に沈めた。水葬した。などと言っているけれど、それも本当のところはどうだか……。
抱えきれないほどの武器を持って部屋に突入した時、ビンラディンは武器を持っていなかったそうです。
いわゆる丸腰の人間を、しかも彼を助けたいがために盾になって立ちはだかっていた妻の足を撃ち倒し、そして後ろに居た本人に何発もの銃弾をぶち込んで殺した……そういうことでしょう?

まずは拘束、という方法は考えられなかったのでしょうか?
こんな殺し方をして、そのどこに『正義』というものが存在するのでしょうか?
自分達の信じる『正義』のためなら、どこに爆弾を落としてもいいし、誰を殺してもいい。本気でそんなことを信じているのでしょうか?
それならこのアメリカこそが、世界一のテロ国家です。

わたしはウサマ・ビン・ラディンの肩を持つつもりも、彼のテロ行為を肯定するつもりも全くありません。
どんな事情があったにせよ、彼のアイディアは歪んでいたし、行為は間違っていました。
けれども、こののぼせ上がって善悪の境がわからなくなった大国を相手に、なにか行動を起こそうとするなら、よほどのインパクトを与えるようなことをするしかありません。

アメリカはもっと大人の国だと思っていました。
陽気で大雑把な気質があるにせよ、こんなに大勢の移民を迎え、抱え、広大な国土をそれなりに統治できている、懐の広い国だと思っていました。
でも、今回のこのプロパガンダは恐ろしい。
これからまた、テロは増えるでしょう。
方法はさらに惨たらしいものになるでしょう。

つい最近、マンハッタンから家に戻るリンカーントンネルが、めちゃくちゃ混んでいた時がありました。
いつもだと混む時間帯ではないのに、おかしいなあ……と思いながら、丁度トンネルが一番下がった所付近で、二台の車が非常灯を点滅させて止まっていました。
あ~あ、事故だったんだ~と旦那と文句を言いながら通り過ぎざまに車の中の様子を見ると、

え?誰もいない……。

急に、旦那がアクセルを踏み込んで、すごいスピードでトンネルの上り坂を走り出しました。
他の車もすごいスピードです。
すっかりトンネル(ハドソン河の水中)から抜け出た時、旦那もわたしも同時にため息をつきました。
どちらも黙っていたけれど、あの無人の二台の車に、テロの爆弾が仕掛けられていたら……とすぐに考えたのでした。

結局、事故に遭った人達がどこかに知らせに行っただけだったのに、それをすぐに爆弾と結びつけてしまう。そんな世の中に生きているのです。
これからきっと、小さなテロがあちこちで起こるでしょう。
あんなに何度も何度も、まるで自国のチームが世界大会で勝ったかのように、腕を振り上げて「USA!USA!」と歓喜する集団の姿を公共に流したのですから。
あれほどかっこ悪く、気味の悪い映像はありませんでした。

テロの撲滅は暴力では絶対に叶いません。
あなた方の暴力によって生まれた怒りの矛先で、我々市民がまたひとり、またひとりと殺されていくだけです。
オバマ氏なら、そのことをちゃんと理解していると思っていました。残念でなりません。
今度はどこに攻めに行くんですか?今度は誰を殺す予定ですか?
なんにせよ、ノーベル平和賞を返還してからにしていただきたいと願っています。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天に向かって咲く春

2011年05月03日 | ひとりごと
今週から高校の伴奏バイトの仕事が毎日入っている。
毎日といっても、わたしがそこで伴奏をするのはものの50分なのだが、なぜだか一日が急にせかせかした感じになる。
高校別の演奏コンクールは来週の金曜日。
三曲とも、まだ仕上がっていない。
今年のメンバーの中には、際立ってうまいスターっ子はいないけれど、4つのパートがうまく溶け合って、とてもきれいなハーモニーを作ることができる。
今年もいい成績が取れそうな気がする。楽しみ楽しみ!

いったん伴奏に出かけると、YMCAのエクササイズのクラスや仕事が微妙~につながっていて、家に戻るのはnot make senseなので、結局は夜までずっと外出が続く。
そんなふうにバタバタしているわたしの周りでは、春がそろそろ終わりを迎えている。
ミモザから始まって、水仙、チューリップ、マグノリア、桜、そしてこの、天に向かって咲く花水木の花と一緒に春が終わる。




毎年楽しみにしている、息子達が4年間通った高校の正面玄関に咲く花水木。


これはご近所。


花水木は各家に一本植わっていると言っても過言ではないほどたくさんある。
この木を見るといつも、胸の中が清々しくなる。凛とした立ち姿は、どんな小さな木でも同じ。
うちにもいつか、この木を植えられたらいいなあ……。


家に戻ると、旦那が後ろの庭で、おっきなツルハシを振り下ろしているではないか?!
写真を撮ろうとしたら逃げた?!
いったいいつの間に、こんなもんまで揃えたんだろ?


この夏、彼はこの『伝書鳩小屋』の跡地の基礎をぶっ叩いて整地する、と考えているらしい……。


のどかな裏庭に、なんとなく豆科っぽい雑草??


たんぽぽの綿毛三姉妹。


また来年の春、いっぱい生えてきてね。わたし達のサラダのために!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする