もう教え始めてから長い年月が経った、ある小学生の女の子のレッスン中に、モーツァルトの『トルコ行進曲』を教えている時のこと。
「モーツァルトの速い音符はね、コロコロと、きれいにそろった真珠の粒みたいな感じに」などという比喩を使ってわかってもらおうとしたのですが、
「???」
「だから、ええと、ほら、ネックレスとかであるでしょ、真珠よ真珠」
「ああ、パール!」
「そう、パール!」
「違う、パール!」
「だからパール!」
「違うってば、パール!」
「せやから言うてるやん、パール!」
それから何回「パール」と言っても「違う」、「違う」、「違う」と認めてくれません。
Pearl
この『r』と『l』が続く単語は、どうもうまく発音できないことが多く、悩みのタネなのです。
「アビゲィル、前から言うてるけど、わたしはピアノの先生やけど、あんたはわたしの英語の先生やろ?ちゃんと言えるように教えてよ」
「だいたいね、そんなオウムみたいにパールパールって言われても、わたしの耳にはおんなじようにしか聞こえへんのよ。分解してわかり易く教えてくれなあかんやん。わたしがいっつもピアノでやってるみたいに」
「そんなこと言われても……う~ん……」と考え込んでしまった10才のアビゲィル。
それからも数分、ピアノのレッスンの後に、パールの練習が続いたのでした。
「じゃあまうみ、今度はタートルって言ってみて」
おっしゃ。タートルやったらお得意や!
「タートル!」
「ギャハハハハハ!」
あかん……墓穴掘ってもた……
もう丸々11年もいるのに……。
ちょっと落ち込みながら、最初の生徒だった7才の女の子エマに、なにかで彼女が腹を立てた時に、「『オクトパス』って言ってみろ」と急に言われて答えたら、
「ふん、下手くそ」と、これまた意地悪に言われて、めちゃくちゃ悔しかった43才だった自分を思い出しました。
まあ、亀の歩みではあるけれど、それでもあんときよりゃマシかと、自分で自分を褒めたったのでした。
「モーツァルトの速い音符はね、コロコロと、きれいにそろった真珠の粒みたいな感じに」などという比喩を使ってわかってもらおうとしたのですが、
「???」
「だから、ええと、ほら、ネックレスとかであるでしょ、真珠よ真珠」
「ああ、パール!」
「そう、パール!」
「違う、パール!」
「だからパール!」
「違うってば、パール!」
「せやから言うてるやん、パール!」
それから何回「パール」と言っても「違う」、「違う」、「違う」と認めてくれません。
Pearl
この『r』と『l』が続く単語は、どうもうまく発音できないことが多く、悩みのタネなのです。
「アビゲィル、前から言うてるけど、わたしはピアノの先生やけど、あんたはわたしの英語の先生やろ?ちゃんと言えるように教えてよ」
「だいたいね、そんなオウムみたいにパールパールって言われても、わたしの耳にはおんなじようにしか聞こえへんのよ。分解してわかり易く教えてくれなあかんやん。わたしがいっつもピアノでやってるみたいに」
「そんなこと言われても……う~ん……」と考え込んでしまった10才のアビゲィル。
それからも数分、ピアノのレッスンの後に、パールの練習が続いたのでした。
「じゃあまうみ、今度はタートルって言ってみて」
おっしゃ。タートルやったらお得意や!
「タートル!」
「ギャハハハハハ!」
あかん……墓穴掘ってもた……
もう丸々11年もいるのに……。
ちょっと落ち込みながら、最初の生徒だった7才の女の子エマに、なにかで彼女が腹を立てた時に、「『オクトパス』って言ってみろ」と急に言われて答えたら、
「ふん、下手くそ」と、これまた意地悪に言われて、めちゃくちゃ悔しかった43才だった自分を思い出しました。
まあ、亀の歩みではあるけれど、それでもあんときよりゃマシかと、自分で自分を褒めたったのでした。