ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国パール!パール!事情

2011年05月23日 | 米国○○事情
もう教え始めてから長い年月が経った、ある小学生の女の子のレッスン中に、モーツァルトの『トルコ行進曲』を教えている時のこと。
「モーツァルトの速い音符はね、コロコロと、きれいにそろった真珠の粒みたいな感じに」などという比喩を使ってわかってもらおうとしたのですが、
「???」
「だから、ええと、ほら、ネックレスとかであるでしょ、真珠よ真珠」
「ああ、パール!」
「そう、パール!」
「違う、パール!」
「だからパール!」
「違うってば、パール!」
「せやから言うてるやん、パール!」

それから何回「パール」と言っても「違う」、「違う」、「違う」と認めてくれません。
Pearl
この『r』と『l』が続く単語は、どうもうまく発音できないことが多く、悩みのタネなのです。

「アビゲィル、前から言うてるけど、わたしはピアノの先生やけど、あんたはわたしの英語の先生やろ?ちゃんと言えるように教えてよ」
「だいたいね、そんなオウムみたいにパールパールって言われても、わたしの耳にはおんなじようにしか聞こえへんのよ。分解してわかり易く教えてくれなあかんやん。わたしがいっつもピアノでやってるみたいに」
「そんなこと言われても……う~ん……」と考え込んでしまった10才のアビゲィル。
それからも数分、ピアノのレッスンの後に、パールの練習が続いたのでした。

「じゃあまうみ、今度はタートルって言ってみて」
おっしゃ。タートルやったらお得意や!
「タートル!」
「ギャハハハハハ!」
あかん……墓穴掘ってもた……

もう丸々11年もいるのに……。
ちょっと落ち込みながら、最初の生徒だった7才の女の子エマに、なにかで彼女が腹を立てた時に、「『オクトパス』って言ってみろ」と急に言われて答えたら、
「ふん、下手くそ」と、これまた意地悪に言われて、めちゃくちゃ悔しかった43才だった自分を思い出しました。
まあ、亀の歩みではあるけれど、それでもあんときよりゃマシかと、自分で自分を褒めたったのでした。

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脱原発への道

2011年05月23日 | 日本とわたし
先日の『四人の侍』で書いた、参院行政監視委員会の様子が、YouTubeに掲載されていました。
映像がぼやけて観にくいです。
こんな、日本史上においても意義深い委員会を、報道できない腰抜けのテレビ局、
委員会が開かれる前も、そして翌日の今日も、ひたすら無視を決めているクソッタレ新聞社、
報道しても、まるで意味の無いことのような論調で載せてる新聞社、

こんなド阿呆の寄り集まりだとは信じたくなかったけれど、仕方ありません、これが現実だってことです。

ぜひ時間を作って、じっくりと耳を傾けてみてください。






あ、じっくりと耳を傾けていただきたいのは、四人の侍の話です。
そして、わたしが夜中の3時に、頭から湯気出して怒ってた、どうしよぉ~もなくまとまりのない、的を得ない、議員さん方の質問もよかったらどうぞ。
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福島の大惨事の影響を最小化する対策とは』

2011年05月23日 | 日本とわたし
『Peace Philosophy Centre』というブログで出会った論説です。

共同通信の英語版に掲載された、ロシアのアレクセイ・ヤブロコフ博士の論説を、翻訳ボランティアの方が訳してくださったものです。
ヤブロコフ博士はチェルノブイリ原発事故の被害を過小評価しようとする重圧に屈せず、
Chernobyl:Consequences of the Catastrophe for People and the Environment『チェルノブイリ――大惨事が人と環境に与えた影響』(2009年)を筆頭著者としてまとめました。


『論説:福島での大惨事の影響を最小化する対策とは』
アレクセイ・V・ヤブロコフ/モスクワ、2011年4月15日、共同通信

クリス・バスビー教授(放射線リスクに関する欧州委員会=ECRR)は、日本の文部科学省の公式データに基づき、
福島第一原子力発電所事故による土地での放射能汚染がもたらす健康への影響を分析した。
これによれば、今後50年間で、同原発から半径200キロメートル圏内では、約40万人のがん患者が追加的に生じる可能性がある。

この数字には縮小の可能性があるが、増大の可能性もありうる。
それは事故の影響を最小化する戦略が行われるかどうかだ。
過小評価を行うことは、過大な評価を行うよりも、国民と国家により大きな危険をもたらすことになる。

チェルノブイリでの経験に基づき、今回の大惨事以前の生活を速やかに取り戻すことはできないであろうことを理解した上で、『福島後』の現実を、可及的に速やかに受け入れることが重要だ。

取るべき行動の主な方向性は次の通り。

1. 立入禁止区域を、最低でも福島第一原発の半径50km圏まで拡大すること

2. 食物による追加的な汚染を避けると共に、個々人の健康を守る効果的な方法に関する、具体的な指示を提供すること。
個人線量計による(放射線核種全体に関する)定期的な計測を全員について、少なくとも週に一度は実施すること。
放射線防護剤や除染剤(放射線の有害な影響から身体を守る物質)を配布すること。
こうした種類の食品添加物は数多く存在する。

3. 汚染地域での安全な営農に関する勧告を作成すること。
具体的には牛乳の再処理、肉の除染、食用生産から工業用生産(例、バイオ燃料)への転換など。
こうした「放射性核種耐性型」農業は高コスト(従来型農業と比較して最高で3~4割程度割高)なので、補助金を支出する必要がある。

4. 被曝した人々が被る短期的かつ長期的影響に対処するため(染色体分析に基づく医学・遺伝学的診断など)、既存の医療センターを緊急に改良する…可能ならば新設する…必要がある。

5. 汚染地域での『福島後』の生活を支援するもっとも効果的な方法は、(チェルノブイリでの教訓に基づくと)最初の数年間のもっとも困難な時期に起きる、汚染地域での諸問題に対処するため、特別で強力な省庁横断型の政府組織(省または委員会)を設置することだ。

放射線の影響への対処では多大な経験を有する、ロシアやベラルーシ、ウクライナの放射線医学や農業の専門家、放射線生物学者や放射線生態学者は、日本にいつでも協力する用意がある、と私は確信している。

(アレクセイ・V・ヤブロコフ氏はロシア科学アカデミー評議員で『チェルノブイリ――大惨事が人と環境に与えた影響』(2009年)の筆頭著者。)


昨日の行政監視委員会を、生まれて初めて、始めっから終わりまでじっくり観たのだけれど、
あまりにもお粗末な議員さん達のオツムに、わたしはかなりのショックを受けている。
上記のヤブロコフ氏の、悲惨かつ貴重な経験に基づく、非常に有益なアドバイスを、受け入れ、咀嚼し、なんとか実行してみよう、などと行動に移せる者が、今の政府の高官達の中にいるのだろうか……。
というか、耳を傾けた者がひとりでもいるのだろうか……これはもう、一ヶ月以上も前に発表された論説なのだから。
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四人の侍

2011年05月23日 | 日本とわたし
今日は朝一番からボケボケのぼろぼろ。
けど、心は満足とまでは言えんけど、それなりの充実感がある。

日本時間でいうと、今日23日の午後からの参院の行政監視委員会に、参考人として、小出氏、後藤氏、石橋氏、そして孫氏を参考人として招かはった。
この学者のお三方は、それまでずっと、長い長い間、反逆者扱いを受け、様々なイヤガラセや弾圧にも、自説を頑として曲げんかった、あるいは捨てはらへんかった。
よもや、小さな委員会であるにせよ、国会に招かれ、証言する機会を与えられるなどとは、想像もしてはらへんかったと思う。

1時から始まった委員会の様子を、どこのテレビ局も放送せえへんというので、Ustreamがネットで配信してくれた。
海外に暮らす我々のような者にとってはありがたかった。
原子炉の専門家である小出氏、原発に詳しい後藤氏、地震学の石橋氏、ほんで今回の震災をきっかけに、日本の立て直しに意欲を燃やす実業家の孫氏、
彼らに与えられたのはたったの15分間。
その中でなんとか理解してもらいたいこと、訴えたいことを必死でまとめ、いつもの口調でしっかりと、非常にわかり易う話をしてくれはった。
ついつい怒りが声色に混じる小出氏。早口で、けれども的確に簡潔に事態を説明する後藤氏、言葉と言葉の間に間が入り、微妙にリラックスさせてくれる石橋氏、さすがプレゼンテーションはまかしとき!の孫氏、

それに比べて、呆れ果ててひっくり返りそうになったんが、質疑応答に入ってからの、政治家のセンセイ達の質問のまずさ!
あんた、何言いたいん?
これの連続?!
信じられへんほどの論点の無さ!
議長が「時間が押してきてるので、3分以内にお願いします」言うてはるにもかかわらず、自分の言いたいこと、言おうと思てたことをダラダラダラダラダラダラ。
なるほど、これが政治家ってもんやな、と深く納得。
普段から、ちやほやしてくれる人間ばっかり周りに侍らせて、自分の好きなことを好きなようにベラベラ話してる人達やからなあ。
それにしても恐ろしい現象やった。
こっちは夜中の2時3時に、フラフラの頭を叩き起こしながら、必死になって聞いてるっちゅうのに、あんたらな~!ええ加減にせえよ!と怒り心頭!
とにかく我慢して我慢して我慢して、やっと参考人の4氏の答を聞いてスッとする。これの繰り返し。
委員会する前に、ちょっとぐらいは勉強しとけ!
まるであの、パロディ映画『東京原発』を観てるような委員会。
けど、これって現実やんな~と、ちょっとゾッとした真夜中。
ある意味怪談やん。

さて、この委員会に出席してた議員さん達、どこまでやれるのか、しっかり見届けさせてもらいまっせ。
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