早っ!!
今回の削除は、えらい早かったですねえ。
よっぽど、見て欲しなかったってことかなあ。
けど……ふっふっふっ……文字は残ってます。
ただ、名嘉社長の、お腹から振り絞るような苦悩の声は、文字からは聞けません。
そして、東電松本氏の、まるで他人事のような、地球外生物的な態度は、文字からは観れません。
でもまあ、内容だけは残りました。どうか、ゆっくり、頭に叩き込むように読んでください。
と、ここまで書いて、YouTubeにまだ残っているのを見つけました。
これも多分、削除されてしまうと思いますが、残っている間だけでも、どうぞ観てください。
古舘:早速、今日のゲストをご紹介いたします。
この方は、人間の習性を追及している、あるいは、人間の業を追及し続ける、といっても言い方だと思います。
作家の佐野眞一さんです。
よろしくお願いいたします
佐野眞一:よろしくおねがいいたします
古舘:まずですね、後ろにも映っておりますが、今や世界で、これが言われていっていると言っていいと思います。
福島第一原発の、4号機の燃料プールの懸念です。
東電は、いまだに納得できる材料、情報を出しておりません。
一方ではですね、検証が無いままに、世の中に、その燃料プールの不安が、ネットももちろん含めて増幅している、といってもいいと思います。
検証します。
このテレビ番組自体も、今日ようやく、4号機の燃料プールの検証をお伝えする、という事に至ったわけです。
えー、二つポイントがあります。
内部で働いている方、一つの証言を得ました。
ここから見えてくる事、開けてくることがあります。
それからもうひとつ、実験も含めて、取材をしておりますけれども、
燃料プールの中に眠っている、被覆管というものにおおわれた燃料棒。
ある状況になったと想定した時には、温度が急上昇して、ある温度のあたりで、その燃料棒が破裂するという、そういう実験結果を得ました。
これを中心にお届けします。
まずはこちらを。
東電は『安全』強調も
無残な姿4号機に『不安』
おとといの福島第一原発。
霧のむこうで、ひときわ無残な姿をさらしていたのは、4号機だった。
隅田繁(ヘリより):海側の部分なんですが、かなりやはり損傷が激しいです
特にですね、3号機側の壁なんですけれども、骨組すらもですね、大きく外に曲がってしまっています。
非常にですね、やはり不安定な状態に見えます。
事故収束という言葉とは裏腹に、いま、危険性を指摘する声が強まっている。
4号機は、地震で崩壊するのではないか?
午後6時過ぎ
東電・松本純一:今回の測定結果をもっても、あの~、健全性は確認できたと。
使用済み燃料を安全に保管出来ているものと、いうふうに考えております。
番組では4号機に潜む危険を徹底検証。
新たな事実が明らかになった。
今日夕方開かれた、東京電力の会見。
福島第一原発4号機について、傾きや、ひび割れなどの調査結果を公表した。
東電・松本:この建物(4号機)に対して、えー、ま、壊れるんじゃないかですとか、
あるいは、傾いているんじゃないか、というようなご意見をよく聞くこともございましたので、
実際に、ま、レーザーの測定、あるいは水位の測定を行った結果では、傾いていない、という判断をしたものでございます。
従いまして、強度の確認もできておりますので、使用済み燃料を安全に保管出来ているものというふうに考えております。
この映像は先月、内閣府の中塚副大臣が、4号機の内部を視察した時のものだ。
ここでも、
東電:プールの床下の補強をしてございます。
あの天井がもうプールの床下ということになります。
見ての通りですね、ほとんど健全な状況でございまして
なぜ東京電力は、4号機の安全性を、やっ気になってアピールするのか?
事故当時、4号機は、定期点検中だった。
炉心のメルトダウンは免れたが、水素爆発が、建屋の中程、4階部分で発生。
3号機などは、建屋の上側が吹き飛んだのに対し、4号機は、建屋の下の方まで、大きく損傷した。
このため、余震で崩れるのではないか?との声が、事故直後から挙がっていた。
これは、おととい撮影した、4号機。
隅田繁(ヘリより):外壁がですね、反り返っていますね。
外側に反り返ってしまっています。
特にやはり海側の方なんですけれど、外壁のほとんどがですね、骨組みを残して外れているような感じです。
大きく外側に反り返った鉄筋コンクリートは、見る者に不安を抱かせる。
そして中でも懸念が高まっているのは、この白いカバーの下にある、燃料プールの存在だ。
ここには、
使用済みも含め、核燃料が1500本以上(1535本)も置かれてたままになっている。
抱えている放射性物質は、膨大だ。
小出裕章:
(4号機プールの核燃料は)セシウム137の量は、広島原爆に換算すれば、少なく見積もっても、5000発分はあると思っています。
原発の危険性を訴え続けてきた小出氏も、4号機の現状を、最も危惧する。
小出:使用済み燃料プールが埋め込まれている階そのもので、爆発が起きて、壁などがもう、吹き飛んでしまっている。
本当に大きな余震が起きて、使用済み燃料プールがくずれおちてしまうというようなことになれば、
また再び、大量の放射性物質が吹き出してしまう事になると思っています。
アメリカでも、先月福島第一原発を視察したワイデン上院議員が、藤崎駐米大使に手紙を送付。
4号機の危険性を訴えている。
不安は、第一原発の現場でも広がっている。
福島第一原発の作業員:
プール自体が、噂だと何パーセントか傾いているとか、いう話も去年からずっと聞いているし、
だから作業している最中に、外でも感じる揺れとかきたときに、まず「4号機大丈夫かな?」って見るんですよ。
果たして、これ以上4号機が崩れることは、本当にないのだろうか?
東京電力が、単独取材に応じた。
東電・松本純一:使用済み燃料プールの強度という意味では、事故前、爆発前の状況よりも、向上しているというふうに考えてございます。
東京電力は、去年7月、燃料プールの下に鉄柱を入れ、コンクリートで固める補強工事を行っている。
地震に対する強度は、工事前と比べて、2割上がったという。
Q:100%安心しても、よいのでしょうか?
松本:あのー、1か0か、100か0かっていうのは、非常にお答え辛いですけれども、
わたくしどもとしては、今後地域の皆様が、避難されている皆様が、あのまあ地元にお帰還、あ、帰還されるのに関しては、安心して大丈夫というふうに考えています。
本当にそうなのか?
原発の耐震設計に携わっていた専門家に話を聞いた。
後藤政志:
壁があるけれども、どの位の強度を持っているかは、簡単には分かりませんね。
火災によって、熱でどのくらい強度が落ちているのか、本来は構造計算をやる時には全データが無いと分からないわけですね。
毎回そうですけれども、東電から出てくるデータというのは、
「こういう事を計算しました。で、やった結果がこうです。だから安全です」と言っているんです。
それを第三者が、外からデータをもとに計算を、再計算ができるようなデータは一切出していないです。
政府と東京電力は明日、4号機を報道陣に公開する。
細野大臣が建屋の中に入り、安全性をアピールする予定だという。
燃料プールの危険検証
「メルトダウン」可能性は
古舘:第一の、耐震の問題の懸念が、今ちょっと出てきたわけですけれど、ここからさらに続くんですが、
この時点でも言えることはですね、『起こり得る最悪の事態』を考えていない、東電は。
そして、1年2カ月が、ゆうに経っているという、この状況下ですね、
東電は今後“燃料棒”使用済み核燃料を中心とした燃料棒の、4号機燃料プールの、その取り出しを、3年かけてやると言っているんですね。
それも、実現するかどうかは見えませんが、それを仮に信用したとしても、その間で余震が起きない、とは言えない。
いろんな懸念がありますね。
で、この番組ではちょっと切り口を変えましてですね、
燃料プールに関して、この心配材料から見てみるとどういう証言が得られたか、次ご覧いただきます。
東電協力会社社長が訴え
4号機「地震で危機が……」
名嘉幸照社長(70)東北エンタープライス:
私が、原発と長年共生してきて、被災者でもあり、加害者でもあるという認識です。
国民に迷惑をかけて、これからもさらに迷惑をかけることは絶対にやってはいけない。
その思いだけです。
長年、福島第一原発での作業に携わり、今も事故収束にあたる技術者。
4号機の現実を知る人物が、その危険性について口を開いた。
名嘉:「怖い」というのは、ちょっとあまり、表現が適当ではないと思う。
「そこ(4号機)にリスクがありますよ」という表現が、私はいいと思う。
名嘉幸照氏。
おもに、原子炉のメンテナンスなどを行う、東京電力協力会社の代表だ。
事故直後から、福島第一原発に社員らを派遣し、復旧作業にあたっている。
名嘉:(名嘉氏の隣に立っている男性を指して)去年の夏まで、現場に入って作業をしていたんですけれど、
(被ばく)線量が(上限)いっぱいになって、今は全体のコーディネーションを担当しています。
もともとGEの技術者だった、名嘉氏。
福島第一原発には、建設の段階から深くかかわった。
(1号機、2号機、6号機の建設に携わる)
配管などの構造に詳しい名嘉氏が、今懸念しているのは、燃料を冷やしている、プールの水が失われることだ。
名嘉:
今ある(4号機の)燃料プールの冷却システムっていうのは、仮設で順調に冷やされているんだけど、
何十kmも配管があって、あくまでも仮説ですから、仮設が地震に強い訳はないですよ。
サポートも十分しない、がれきの間を全部通してやっていますから、
下の方からかなり損傷して、漏れた場合には……おそらく短時間で、プールの水が無くなるでしょう。
名嘉氏の指摘はこうだ。
去年3月の時点で、使用済み燃料を冷却するシステムが破損。
現在は、仮設で配管をつなぎ直すなどして、使用済み核燃料を冷やしている状態だ。
しかし、この仮設の冷却システムは、脆弱なため、強い地震が起きた場合、配管などが壊れ、
燃料プールの水が、外に流れ出て、全て無くなってしまう恐れがあるのだという。
名嘉:
(水が無くなってから)どの位の時間で(燃料が)溶けるのかは分かりませんけれど、
再臨界には至らなくても、(プールが)空になることによって、そこから出る放射能、放射線というのは……もう人間は近づけないです。
プールの冷却水は、核燃料の放射線を遮る役割もある。
水がなくなれば、1号機から3号機にも近づけなくなるという。
復旧作業に与える影響は甚大だ。
燃料プールの危険検証
「メルトダウン」可能性は
高い放射線以外にも、危険性はある。
冷やしている水が失われたら、発熱し続けている使用済み核燃料は、いったいどうなってしまうのか?
思い起こせば、1号機から3号機では、炉心で水が無くなってからわずか数時間で、メルトダウンが始まった。
(燃料棒が1800℃でメルトダウン)
悪夢は再び蘇るのか?
東京電力に聞いた。
松本純一:水が無い、空の状態になりますと、徐々に燃料棒の集合体の温度としては、上がってくるという事になります。
とはいうものの、
東京電力は、どの位の高温になるのか、詳しい予測は行っていなかった。
では、国ならば、把握しているのだろうか?
森山善範 原子力安全保安院:今現在の数値は・・あの、持っておりませんけれども……、
こちらも、データを持っていなかった。
しかし、燃料棒がメルトダウンしてしまうのかどうかは、重要な問題だ。
そこで番組では、独自に解析を依頼した。
熱工学が専門の、東北大学圓山重直教授。
4号機の核燃料が現在出している熱量や、燃料棒の内部構造などのデータを使って
水がなくなった場合どの位まで温度が上がるのか計算してもらった。
圓山重直教授:
空気がきちんと(燃料棒の隙間を)抜けて流れてくれるという仮定を計算しますと、
一番温度の高い燃料棒の上端で、せいぜい140℃ぐらいの温度にしかならない。
意外にも、140度程度にしか、温度が上がらないというのだ。
圓山:空気で冷やされるからですね、
(温度が)一定以上になると、空気の流れと放熱がバランスしますので、それ以上は温度が上がらない。
圓山教授によると、
燃料プールから水がなくなった場合、空気が燃料棒の隙間を流れ、熱を奪って上昇していくという。
4号機の燃料プールは現在屋根が無い状態。
このため熱は内部にこもらずに外に放出され続ける。
加えて、1年以上、水で冷やされていた事で、使用済み燃料の発熱量も、下がってきているのだという。
番組では、
他に、2つの機関に同じ依頼をしたが、100℃から300℃程度の温度上昇にとどまる、という予測だった。
しかし、
決して、4号機の燃料棒はメルトダウンしない、というわけではない。
圓山:プールが全部ひっくり返って、崩れて地面に、こう、(燃料棒が)重なっちゃったとしますね。
そうすると空気が流れなくなりますから、真ん中の方は熱くなるでしょうね。
溶けるかどうかは分かりません。
たとえば、
燃料プールが地震で崩れた。
核燃料は重なり合い、コンクリートのがれきの中に埋もれる。
そうなれば、水も空気も燃料棒に届かず、冷却できなくなってしまう。
かなりの高温まで加熱し、メルトダウンする可能性も否定できないのだ。
燃料棒低温で”破裂”も
4号機の「危険」を検証
さらに取材を続ける我々は、新たな危険性にたどり着いた。
メルトダウンするような高温にならなくても、放射性物質が漏れ出すことが分かったのだ。
原発の安全性を研究している、日本原子力研究開発機構。
番組では、ある実験を行った。
永瀬文久リーダー日本原子力研究開発機構:これが試験用の模擬燃料棒です。
中央の部分が燃料棒を模擬しております。
で、表面の温度を測るためのセンサーが、3つ付いています。
使った燃料棒は、中身こそ放射性物質が入っていないが、実物と同じ材質だ。
この燃料棒を加熱し、温度を高めていく。
永瀬:600度を超えましたね。
急速に上昇する、燃料棒の温度。
そして、700度台の後半にさしかかった時だった。
ビシッ!
中にある燃料棒に、いったい何が起きたのか?
燃料棒に潜む、新たな危険。
加熱実験を行ったところ、700度台の後半で、異変が起きたのだ。
永瀬:今破裂しました。
この時、温度は780℃。
カバーを開けると、赤くなった燃料棒が。
放射性物質を閉じ込める筈の被覆管は、外側に膨らみ、ポッカリと穴が開いていた。
永瀬:これが温度が上がることによって、被覆管が破裂した跡です。
実は、燃料棒には、メルトダウン以外にも、破裂するという危険性があったのだ。
しかも、急激な温度変化があった時には、穴が開くだけにとどまらない。
あとかたもなく、燃料棒が”崩壊”する事すらもある。
永瀬:温度が上昇してまいりますと、徐々に燃料棒の被覆管、ペレットを包んでいる管でございますけど、
こちらの強度が下がってくると。
と同時に内部の圧力が高くなってまいりまして、
大体700℃以上になることによって、燃料棒は破裂いたします。
過去にも、同様の実験を行っているが、ほとんどが、700℃から900℃に達すると破裂してしまったという。
永瀬:
何らかの原因で、(4号機の)建屋、あるいは、使用済み燃料プールが壊れてしまうと、
燃料棒が一カ所に固まってしまって、除熱が出来ないような状況になれば、
メルトダウン以前の状態でも、(燃料棒の)被覆管が破損して、内部から徐々に、放射性物質が出てくる可能性はあります。
東京電力はー
Q:700℃位で、破裂してしまうっていうような実験結果を頂いたんですけれども、それはご存知ですか?
松本純一:破裂するっていう事ですか!?
ちょっと、わたくしも存じ上げませんけれども、
被覆管自身がもろくなっていることも相まって、破裂といいますか、亀裂が入るってことはあると思います。
ぬぐいきれない、4号機の危険性。
今のところ、燃料棒の取り出し作業が始まるのは、来年の12月からになる。
小出裕章:
大量の放射性物質を、すでに抱えてしまっているのですから、
それが大気中に噴き出してくるという、その危険が何よりも重大だし、それを何とか防ぐという事をしなければいけません。
やるべきことは、中に入っている使用済み燃料を、とにかく安全なところに早く移す、という事だろうと思います。
今も不安を抱えながら、作業員を送り出す名嘉さん。
政府や東電に、4号機の危険性を訴え続けてきた。
名嘉幸照:
想定外で起きるであろう緊急事態に、現場を、政府も東電も、危機感を持って準備して欲しい、と僕は思うんです。
(作業員は)みんな被ばくして、もう、線量ギリギリになっている訳です。
想定外の事も、最高に対応しなくちゃいけない。
もっと、政府も東電も、国民に、しっかりした情報を出すべきです。
Q:今は出してない?
名嘉幸照:
十分とは言えません。
東電は安全強調も
無残な姿4号機に「不安」
古舘:佐野さん、あの・・・
事故処理に関して、東電任せになっている。
国も、情報を隠しているのか、「いや知らない」と言っている。
これ、あの・・・こんなことで、燃料棒取り出しに3年以上かかるというような話で、それ以上かもしれない。
「いったいなんだ!」という事になりますけれども、1年2カ月以上経って。
佐野眞一:そうなんですよね、もう本当に、3.11から1年2カ月経ってですね、
で、未だにですね、僕は、
もう、あの瞬間に、日本の安全神話というものは崩壊したにもかかわらず、
彼らが言っているのは、「安全だ安全だ」という事しか言っていない訳ですね。
で、これは本当に、原子力ムラの論理であってですね、実際に、ま、古舘さんも、福島に何度か行かれていると思います。
悲惨な現場。
豚たちはですね「共食い」を始め、それから誰も見ない、桜だけが咲いているという、「沈黙の春」のような風景を、
一体この原子力ムラの人々というのは見たことがあるのか?
僕は、人間にとって、大きく出るとですね、
一番大切な感情というのは、「身につまされる感情」だと思うんですよね。
「身につまされる」というのは、相手の立場に立ってですね、「その立場に自分がいたら、どういう思いがするんだろう」と。
たとえば、東京電力の、何時もスポークスマンで出てくる方。ま、論理的に破たんはないような気はしますけれども、
じゃ、彼がですね、たとえば、「浪江のですね、牧場経営者であったら」ということは、人間ならば必ず、想像はできるんですよね。
その時に、彼の論理というのは、僕は通用しない、と思うんですよね。
あくまで、原子力ムラの論理であってですね、それが一歩、外へ出ると、通用しない論理になっていて、
これを、テレビを見ていらっしゃる福島の方達はですね、「何を言っているんだ!」という事だけしか思わないと思うんです。
で、もう一つ言いたいことは、
この1年2カ月の間に、どんどんどんどん、なし崩し的にですね、再稼働であったり、それから、値上げの攻勢であったりですね、
どんどんどんどん、やっぱり東京電力というものに対して、我々がつのってくるのは、不信感だけなんですよね。
その事を彼らは、身を持って感じながら言ってくれなければ、困ると思うんですね。
で、僕はあの映像を見ていて、破裂する、ペレットが飛び出す、これはもう、本当に空恐ろしい風景なんですよね。
それにもかかわらず、「は、そうですか」みたいな、まるで地球圏外の生物が言っているような、我々と地べたが違っている。
この恐ろしさを一番感じましたね。
なんか、背筋が寒くなりましたね。
古舘:
国は、ある部分、東電任せ、東電は、ある部分、国策民営である、という事で国にと。
そういう事をやっている場合じゃなくて、世界が、注目せざるを得なくなっている。
日本から世界に向けても、福島に向けても、全部ひっくるめて、「世界の英知結集してやらねば」って声が前からあるんですが、
本当に、第一原発に関しては、やらなくては収拾がつかないんじゃないでしょうか?
佐野眞一:と思いますね。
本当にね、そういう小さなことにこだわってるんではなくてですね、
これはもし、
何かが起きた場合、もう、日本が沈没するだけの話じゃないんですよね。
おそらく世界的な規模での、大きな沈没が始まってしまう。
その危機意識というものを、ぜひ持っていただきたいと思いますね。
本当に……なにか……そんな場合じゃないんだと、僕は思いますよ。
古舘:佐野さん、さっき「身につまされる」ということっていう、大変、根幹大事なことをおっしゃって下さったと思うんですけれど、
わたしそれでね、一つ、僕の勝手な想像なんですけれども、質問があるんですけど。
あの、区域が再編されましたよね、福島で。
で、これはですね、「賠償のお金がかかる」っていう事を、多少でも圧縮するために、一部区域を、線量の高い低い色々あります、問題ありますが、
そこを「大丈夫だ、帰って来られる」っていう形にしたんじゃないかと。
「お金がかからないようにしているんじゃないか」という事も言われていて、わたしも「そうかな」と、ずっと疑いを持っていた。
で、さっきのお話しを聞いていてふと思ったんですけれど、それもあるかもしれませんが、逆の想像をしますとね、
一部の区域には、結果今賠償が、一人につき10万なら10万出ていると、家族4人で40万としても、
もうなんとか避難しながら、ぎりぎりの生活をしているとして、
そういう方が、帰りたいと思っても、結果的には戻れば、その賠償費用はでなくなる、お金がでなくなる。
「帰れったって、帰れないじゃないか」と。
じゃあ「帰るな」と言っているのか?と、逆に。
「もうあそこは無理だから」と。
私は、そういうあたりも想像してしまうんですが。
佐野眞一:そうですね。
全く、本当に帰るに帰れないという現状が、実はある訳ですよね。
で、先程の東電の方の説明で、「帰還安全」というような、「帰還しても大丈夫だよ」と。
ああいう言葉を、不用意に言ってしまう、この鈍感さ。想像力の無さ。
彼らにね、僕がぜひ言って欲しいのは、言葉を失う現場は沢山あるんです。
福島原発に、あの地域に、僕は何度も入りましたけれども、言葉を失う現場ばっかりです。
彼らに一番足りないのは、言葉を失う体験が無いんじゃないですかね。
言葉を失う体験が無いから、ああいう言葉が出てきてしまう。
非情な鈍感力。
これは世界に対して、本当に恥だと思うんですよね。
世界中が見ているんです、みんな。
その認識を、本当にヒリヒリとした感情で、危機意識を持って、
あの、最後に、福島原発を最初に造った、で、現在メンテナンスをやっていらっしゃる社長さんがですね、本当に痛切なことばで、
「私も、自分も加害者であった」と。「だから言うんだ」と。
もう悲痛な声で言った言葉が、(心に)響きますよね。
本当に、対照的だったと思いますね。
古舘:これから考えていくべきことの重要さというものが改めて出てまいりました。
世界の叡智に助けを乞う。
これがどうしてできんのやろう。
もうどうしようもない状態のまま、1年以上も時間が経って、結局今だに想像と推測の世界でしか何も言えんのに。
頭がどうかしてしもてんのやろか?
ひょっとしたらほんまに、あの連中は、地球圏外の生き物で、地球侵略を企ててる宇宙人なんかもしれん。
そう思たら突然、原発ムラの連中の顔が、地球外生物に見えてきた。
わたしらは、えらいもんと闘うてるのかもしれん。